ManCityを追うものは一兎を得ず

水色と白

マンチェスターシティとレアル・マドリー。時々それ以外

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22-23シーズン マンチェスターシティのビルドアップ大全

こんにちは。

tadashiです。

 

22-23シーズンが閉幕。

 

マンチェスターシティが強かった。相変わらずシーズン終盤にかけて勝ち続ける強さもあり、今シーズンはさらに強いマンチェスターシティが見られた。

 

ハーランドが加入したこと?リコルイスが台頭したとこ?ギュンドアンがシーズンを通して好調だったこと?ストーンズが覚醒したこと?

 

これらはすべて正しいが、これらがすべて正しくなったペップシティの戦術的進化がこれまでにないものだった。

 

本記事では、ペップシティのビルドアップスタイルを全試合抽出し、パターン化。

改めてマンチェスターシティの今シーズンの変化と強さをまとめていく。

 

 

各試合のビルドアップスタイルについてはただのメモなので、結論だけ知りたい人は飛ばしてほしい。

 

各試合のビルドアップスタイル

※各節ごとに書かれているフォーメーションは相手チームのもの。

 

■1節 4-4-1-1

両SBがロドリの横でしぼる2-3もしくは片方のSBが後ろに並ぶ3-2のビルドアップ

IHはCFと同ラインまで高い位置を取る。

 

■2〜4節 5-3-2、4-3-3、5-4-1

右SBウォーカーが絞る3-1のビルドアップ。左SBのカンセロは高い位置を取り、左WGと入れ替わりながらボールを引き出す。IHはCFと同ラインまて高い位置を取る。

 

■5節 5-4-1

右SBウォーカーがしぼる3-1のビルドアップ。左SBは高い位置。

前3節と異なるのは右IHが大外、右WGがCFと同ラインに入ること。4節も、5-4-1が相手となっていたのにスペースができるところが違ったのだろう。興味深い。

左WGはカンセロと入れ替わったりする。

 

■6節 4-3-3

ウォーカーは最初5分は外に開く。試合が落ち着いたらロドリの横へ。

ビラは前3-3がコンパクトに絞る。カンセロもウォーカーと同時にロドリの横にいるときもあった。試合が進むにつれてカンセロの方が絞ることが多くなる。大外に張るWGにボールを通しやすいようにより中央にディフェンスを集中させるためのSBの移動。

 

■8節 4-2-3-1

右SBに入ったストーンズがしぼり、IHベルがロドリに並ぶ2-3ビルド。カンセロは大外レーン。1節、6節以外カンセロは大外レーンでグリーリッシュやフォーデンの中への侵入をサポートしている。右サイドはWGが大外に張り、IHがハーフスペースにいる。ここら辺の構造は今シーズンのスタンダードかもしれない。

 

■9節 4-4-2もしくは4-2-3-1

カンセロはワイド。ウォーカーは中途半端な位置。CBはユナイテッドのFWが1枚でプレスに来たらドリブルで運ぶ。

アンカーとインサイドハーフは大きく距離を開け、ユナイテッドの守備を間延びさせていた。

15分過ぎてからいきなりウォーカーが入り込んで中央から左に展開。

ビルドアップにおけるSBの位置、特にウォーカーは臨機応変に対応していた。

 

■10節 4-4-2

GKにまでプレスに来るセインツに対して、シティは両SBは外に張り、ロドリの横にIHのベルが入る。もし、セインツのCHがロドリやベルに食いついたらさらにその後ろを狙う。重心はやや左より。

ロドリやベルナルド・シルバの後ろの前進の仕方は右はハーフスペースにデ・ブライネが動き、ロドリやCBからの配球。左はカンセロが高い位置を取り、CBからの配球。その際は後方カバーにベル。

 

■11節 4-4-2

シティは3-4-2-1。リーグでは初。

ビルドアップとしては3-2になる。

アゴがうまくハーランドへの縦パスを消して、その他の前線の選手がプレスをかけるリバプール

ビルドアップの出口として見られたのはデ・ブライネが右ワイドからハーフスペースに入り、チアゴを引き出してCBからハーランドに縦パス。

 

■13節 3-4-2-1

カンセロが高い位置を取る3-1のビルドにベルが降りてくるパターンとラポルトが開いて、エデルソンがDFラインに入るパターンもある。(前半はこっちがメイン)

 

■14節 5-4-1

右SBに入ったストーンズがしぼり、ロドリの横へ。カンセロが後方のハーフスペースに位置取る変則的な2-3のビルドアップ。

左はグリーリッシュが張ることが多いので、カンセロは中間ポジション。ストーンズが中央で受けたときは、CBアカンジが右サイドに開いてボールを受ける。残りの5人はレスターの5バックと同数。

 

■15節 4-4-2

右SBストーンズがスライドして、後ろは3枚。3-1もしくはカンセロが入って3-2のビルドアップとなる。

左はグリーリッシュ、右はベルが幅取り、カンセロとデ・ブライネがビルドアップのサポート。SBとWGの間にある左右のスペースを利用する。

 

■16節 5-3-2

右SBストーンズがスライドして後ろ3枚。中央のロドリと3-1を形成し、ビルドアップ。相手のFW2枚の間にロドリ。

左SBカンセロは幅を取る。右の幅取りはベルでデ・ブライネがSB落ち。

10分を過ぎてから後ろを2枚、SBをしぼって2-3に。攻め込んだこぼれを拾えるように中央を厚くしてるように見えた。

 

■17節 4-3-3

リーズは前の3枚を中央にコンパクトに配置。

シティはリコルイスがロドリの横に並ぶ。状況に応じてアケが並んだり後ろになったりと3-2、2-3を使い分け。後ろが3枚のときはワイドに配置している。

マンツーマン気味につぶしてくるリーズに対してギュンドアンとデ・ブライネは3-3のブロックから外れた位置でボールを引き出す。リーズがハイラインなのでハーランドが裏に抜け、シンプルに使う場面もある。

 

■18節 5-3-2

リコルイスが右SBに入り、ビルドアップ時には一列前に出てロドリと並ぶ。前節と違うのは後ろの3枚がそこまで開かないこと。

エバートンがアンカーも使って5枚をシティの後ろ5枚に当ててくる。デ・ブライネはそのブロックのそばで一人を吊り出すように動く。

エバートンは結局押し込まれ、5-4-1になる。

 

■19節 4-4-2

スタートは左SBカンセロの4-3-3。すぐさま3-4-2-1に変更し、カンセロは右ワイドに移動。ベルナルド・シルバがロドリと中盤ダブルボランチを形成。ビルドアップは3-2の形。

チェルシーの前線2枚に対して3枚でビルドアップ。ロドリとベルに対して中盤2枚を引っ張り出してギュンドアンとデ・ブライネを使いたい狙い。

チェルシーは深さも幅もコンパクトにして、追い込んでサイドに散らせてそこに強度を持っていく。必然的にスペースがなくなり、ギュンドアンとデ・ブライネはサイドに開くことになる。

後半リコルイスとアカンジをカンセロとウォーカーに代えた3-2のビルドアップに変更した。

 

■20節 4-2-3-1

スタートのシティは4バックが均等に並び、真ん中にロドリ。可変なし。

久しぶりにリコルイスのいない4バック。ウォーカーとカンセロのSB。

ユナイテッドはロドリをマークする選手を一人置いて、ボールホルダーに一人プレッシング。シティのCBはSBがマークにつかれていたら自分で運ぶ。CBに対してのパスコースを増やしてドリブルでも運びやすくするための横並び4枚。

SBを背中で消しながらSHが当たる。アンカー2枚はシティのIHにマンマーク。シティのSBを意図的にフリーにしている。

ベルナルド・シルバがDFラインまで落ち、ハーランドがセンターサークル付近で縦パスを受けることで打開していく。

 

■7節 3-4-3

3-2のビルドアップだが、後ろに並ぶ3人は幅を大きく取る。中央にロドリとリコルイス。

トッテナムは3トップがペナルティエリア幅程度に開いてケイン頂点の垂線の短い二等辺三角形のような形でにらみ合う。その間をリコルイスが顔を出して複数のパスコースを作っていく。トッテナムは中央の二人ホイビュアとベンタンクールがそれぞれロドリとリコルイスを見る。シティのビルドアップに対して五角形。

プレス回避としては、ビルドアップに対して中央コンパクトにするので、ワイドのCBから幅を取るWG、そしてリコルイス。

もう一つはアカンジからギュンドアンで人を釣りだしてハーランドに当てる。

 

■21節 4-2-3-1

シティは後ろ3枚、前にロドリとリコルイスの3-2ビルドアップ。

ウルヴスはロドリ番を一人つける。1トップはパスコースを消してWG2枚はサイドに流れたボールにプレス。

リコに対しては左WGのファン・ヒチャンがついてくる。幅はグリリとマフレズ。

ウルヴスは右WGも同じように絞ってコンパクトな幅で守る。ラポルテはそこから遠いところでボールを持つ。

レミナがギュンドアン、ネベスがロドリを見る。ギュンドアンは中央からあまり動かないので必然的に中央でレミナを固定。

右サイドは空いたスペースにデ・ブライネが入ったり、マフレズが入ったりする。

 

 

■22節 5-4-1。前プレ時は3-4-3。

シティは今シーズンお気に入りの幅取り3枚+コンパクト2枚の3-2のビルドアップ。リコルイスが左SBから可変。

3-2-1-4で2トップでトッテナムの3バックをピンドメ。ベルはトッテナムの中盤の背後やロドリ、リコが間に合わないときの後ろ3枚へのサポート。

 

■23節 4-4-2

後ろの3枚が幅を取る3-2のビルドアップ。

相手の2トップが背後で2を消しながらボールホルダーを睨む。後ろの4-4のブロックはコンパクト。

パスコースがなければ、エデルソンがDFラインまで上がり、サイドに素早く展開している。幅取りの二人をケアする関係で4-4のブロックでありながらワイドの3枚のサイドの二人はフリーとなる。

ベルナルド・シルバとロドリは場合によってはDFラインまで下がり、相手を釣りだす。ベルナルド・シルバはSB落ちを見せることもある。

70分過ぎぐらいからウォーカーが幅を取り出す。

 

■12節 4-3-3

アーセナルはシティが後ろ3枚でビルドアップしてくると予想して3トップを高い位置から当てている。その対策として幅を取る3バックかアケが絞ってベルがSB落ちするパターンでビルドアップの出口を作り出す。

ベルナルド・シルバの立ち位置は押し込まれたときや右から展開されたときなどその時時で立ち位置を変えている。

 

■24節 4-5-1

ベル左SBフォーメーション。

ビルドアップに詰まって、ロドリがDFラインに降りたときはウォーカーがワイドへ。ベルナルド・シルバが中にいてボールが左にうつったときはギュンドアンがワイドにいたりする。中央はやはりコンパクトにされるのでサイドにスペースができやすいため、必然的にそのスペースに人が流れる。

フォレフトは引いた守備なのでハーフラインまで簡単に運べる。運んだあとどう崩すかという展開。

 

■25節 5-4-1

SBのリコルイスがロドリと並ぶ3-2のビルドアップ。

ラポルトストーンズが不在なので、アケをどう休ませながら起用するかが今シーズンの鍵。アカンジは本当によくがんばっている。

フォーデンとグリーリッシュが幅を取り、シャドーにギュンドアンアルバレスの配置。

5-4-1はワイドをWBで見て、中盤の4枚はコンパクト。後ろで持っているときは5-2-3で後ろ3枚を見ている感じ。リコとロドリに中盤センターが、ギュンドアンアルバレスにCBがいく。

点差を広げてからの後半は、セルヒオゴメスをインサイドハーフからトップ下の位置で動かす場面もあった。

 

■26節 4-5-1

途中2-3のビルドアップ。

本職CBのアケがSBに入った試合ではこれまでは3-2の形でアケは左CBの位置だったがアケが一列前に出るこの形は初めて。

ニューカッスルのWGをアケとウォーカーにマークさせて、幅を取るグリーリッシュとフォーデンへのパスコースを作る。

アケは相手の立ち位置によって自身の立ち位置も変えるため、試合中に3-2の形になる場合もある。後ろが3枚になった場合も後ろはそこまで幅を取らない。

 

■27節 4-2-3-1

後ろ3枚が大きく幅を取る3-2の形。

ストーンズが右SBに入り、そこから可変してロドリの横に立つ。

パレスは前4枚がダイヤモンド型でコンパクト。ロドリとストーンズに近い位置でブロックを作る。その分後ろのアカンジとアケは時間ができる。

幅を取るフォーデンとグリーリッシュがSBをピン留めし、スペースからボールを運ぶ。アカンジやアケとフォーデン、グリーリッシュは高い位置にボールが運ばれると位置をうまく入れ替えながら相手の判断を惑わす。

 

■28節 5-4-1

ストーンズがCBからロドリの横に入る3-2のビルドアップ。後半戦ペップシティの目玉偽CB。

ウェストハムは1トップのアントニオを含めて5枚で前からビルドアップを封じようとする。ベルとアルバレスが5のブロックの背後にいるが、パスコースを封じられる。GKを経由しながら左右に揺さぶり、WGと中盤で打開。

ベルナルド・シルバとアルバレスは中央でビルドアップの出口になるというよりは、WGが降りてビルドアップの出口となったあとのパスコースを意識している。

 

■29節 4-4-1-1

右SBストーンズが絞ってロドリの横に並ぶ3-2のビルドアップ。不可解なのはこの形でボールを運び、守備に回るとストーンズがそのままCBに入る。

リバプールはサラーが前、ガクポ二列目で守るが、シティはストーンズとロドリを置いてるのでどちらかはフリーになる。後ろ3枚のサイドにはリバプールのSHがパスが出たら行くようにしているがその後ろをIHが狙う。中央でヘンダーソンが3-2の2を消しに来たら後ろをまたIHかCFが狙う。

 

■30節 4-4-2

右SBストーンズが絞ってロドリの横に並ぶ3-2のビルドアップ。

セインツは2トップがロドリとストーンズの前、その後ろをセンター2枚でわりと前に配置して見合う形。

シティはエデルソンもズレてゴール前で4-2の形を作って回避するシーンが開始早々から見られた。

 

■31節 5-4-1

ウォーカーが久しぶりにスタメン。ウォーカーが幅を取り、マフレズが一つ内側のレーンに入り、後ろは3-1のビルドアップ。グリーリッシュが左は幅を取る。

IHの二人が同サイド、特に左サイドに寄せて左で数的優位を作っている。相手の5バックに対して前線を6枚にしていると推察。

自陣深くではラポルトが左SBの位置まで開いて、ルベンディアスとの間にエデルソンがサポート。レスターは深追いしないのでボールが持てる。

 

■33節 4-1-4-1→失点後4-4-2

ワントップがボールホルダーに対して横のパスを切りながら後ろの4枚がボールサイドを起点にマークをつける。

シティはストーンズがCBに入るが、これまでの試合のようにロドリの横に動かない。

ビルドアップはCBに対してSB、ロドリ、ギュンドアンが出口に。2-2+SBみたいな形。

前半はその形でビルドアップせずに後方からロングボールを無理せずハーランドに放っている。先制点はアーセナルが前後で分断しているところにストーンズがロングボールを放り込んだことで生まれた。

アーセナルが4-4-2になり、ギュンとロドリにジャカとトーマスがつくようになった。後ろは4枚を崩さず、じわじわとギュンロドリにつけて動かしながら機を見て中盤の背後でボールを受けている。ここも最近の偽CBを数試合ちらつかせてアルテタが対策を取ると見越した戦術。

 

■34節 4-2-3-1

ストーンズがCBの位置からロドリの横へ並ぶ最近実践している3-2のビルドアップ。

相手は、幅を取るWGにはSBが対応し、全体がスライド、降りてくるギュンドアンアルバレスにはアンカーがついてくる。

右サイドでウォーカーが相手陣内でフリーでボールを持ち対角のグリーリッシュへサイドチェンジずるパターンが今日の狙いか。

失点後しばらくしてからエデルソンを交えた3-2+SBのビルドアップに変更?フラムがコンパクトにブロックを作るためその外を使って広げる狙い。

 

■35節 5-4-1

3-2のビルドアップ。リコルイスが久しぶりのスタメンでSBの位置から内側へ入っていく。

リーズが前からプレスはかけずブロックを、作るので前進は容易。

SBの位置にデ・ブライネが降りたりしている。

 

■36節 4-5-1

ストーンズ、デ・ブライネ欠場。

開始早々は相手が前一枚に対して4バックがフラットに4枚並ぶビルドアップ。その後アカンジがストーンズのようにロドリと並ぶ。中央にはハーランドだけ置いてなるべく密集から避けるように人を配置している。ギュンドアンアルバレスがそれぞれ左右のハーフスペース。エバートンは引いてブロックを作るので前進は容易。

気づいたらラポルトがロドリの横に。規則性はあるのだろうか。

 

■37節 3-4-2-1 or 5-4-1

ターンオーバーのシティ。やることは変わらず。

セルヒオゴメスがうちに絞る偽SBの形。リコルイスはスタートからIHで、フォーデンと並ぶ。幅取りはパーマーとマフレズ。

チェルシーギャラガーが少し前目でスターリングが下がってる。リコルイスにはギャラガーが下がって対応

 

■32節 4-4-2

ブライトンがシティの中央ラインをマンマーク気味に対応。

シティは後ろ4枚+ギュンドアンとベルナルドでビルドアップ。SBはピッチ幅に開く。ギュンドアンとベルナルドがボールを受けてに下ながら少しずつ前進し、ハーフライン近くになるとリコルイスが中央に、ウォーカーはよりワイドに開く。

デ・ブライネがCBを背負ったまま降りてきて、ブライトンのマンマークを利用してスペースを作る。

10分をすぎるとリコルイスがギュンドアンと並ぶ。右はウォーカーとマフレズが縦に並び、左はフォーデンだけ。左に関してはリコルイスが動いて空いたスペースはIHの回避用スペースとしていた。

 

■38節 5-3-2

ブレントフォードはキーパーに一人プレス、もう一人は背後でパスコースを消しながらパスがでたところにプレスをかけられる位置に立つ。アンカーのフィリップスには中盤が一人前に出て対応というようにマンマーク気味。

シティは、CBが開き、ウォーカーはワイド、セルヒオゴメスがフィリップスと並ぶ。少し歪な2-3のビルドアップ。IHに入るリコルイスがフィリップスに並ぶ3-3のパターンもあり。

少し前進すれば後ろは完全に3枚気味。マフレズとセルヒオゴメスが幅取り。仕掛けの局面へ。

下がっていく選手に対してもついていくブレントフォード。スペースが開かないようにするための5バック。

エデルソンからのビルドアップは、CBが前に出たり、IHが降りたり、横に移動したりしてマンマークを、ずらしてスペースを作りながらシティは繋いでいく。

 

 

ビルドアップのグルーピング

38試合のすべてをフルで観戦し、試合ごとのビルドアップの形が見えたところで、この章ではペップシティが用いたビルドアップスタイルをわかりやすくグルーピングしていく。

グループでわけるということは、わかりやすくするということである。

決して、複雑に数を増やしてはいけない。

 

現代フットボールのなんちゃらというのはたくさんの素晴らしいブログや書物がある。もちろんここでは説明しない。

マンチェスターシティがどうビルドアップしていたかにしかこのブログでは興味がないのです。

 

■2-3のビルドアップ

 

 CBが後ろ、SBがアンカーの横に移動するいわゆる偽SBによるビルドアップを行うグループ。

 

■3-2のビルドアップ

 このグループには、"片方のSBがアンカーの横まで移動する偽SBによるビルドアップ"と、"中盤と同等の選手がDFラインからアンカーの横に移動するビルドアップ"がある。

これまでも3-2の形は見られたが、今シーズンは後ろの3枚が大きく幅を取る形が見られた。例えばアケ、ルベンディアス、アカンジの場合など。アケ、アカンジがSBのように振る舞い、CBが一人。つまればエデルソンがDFラインに入ったり、中盤から降りてきたりとアレンジが多めの形だった。

 

■3-1のビルドアップ

 カンセロやウォーカーなど片方のSBがビルドアップの出口として幅を取ることでビルドアップを行うグループ。

 上記の3-2の形から3枚のDFは中央に絞り、SBが開き、片方のSBがフリーとなり、プレス回避の選択肢の一つとなる。

 

■4-1のビルドアップ

 4バックがフラットに均等に幅を取り、アンカーが中央に位置するビルドアップのグループ。

 アンカーの脇にインサイドハーフが降りてくるスペースを残し、SBの位置からの展開が基本になる。

 

■4-2のビルドアップ

 上記の4-1+ギュンドアンやベルナルド・シルバが最初からアンカーの横に並ぶ形でのビルドアップを行うグループ。

 

 

 

所属選手と狙いによる違い

今季のマンチェスターシティは“所属選手”と“チームの狙い”の2つの観点から4つの期間に分けられると思っている。

ウォーカーに期待した時期からストーンズの偽SB、リコルイスの起用、カンセロの移籍、そしてストーンズによる最適解である。

各試合のビルドアップスタイルを見てもらえればわかるが、これから4つの時期が順を追って確認できる。

 

簡単にではあるが、一つずつ解説してみよう。

 

■偽SBウォーカーへの期待 第1節〜8節

 シーズン当初はウォーカーを偽SBとして配置する可変を用いることが多かった。

 ウォーカーに期待してのことだし、とてつもない守備力を誇るウォーカーが、守備時にDFライン付近に残っていることも大きい。

 しかし、ウォーカーの怪我やウォーカー自身がペップの思い描く偽SBとしてのプレーができなかったことにより、早めに偽SBとしてプレーさせることをやめた。

第8節だったか、ペップがはっきりとウォーカーのことを口にしていた。これは同時にウォーカーが絶対的なスタメンではないよ、と言っていることと同義。それでも、要所要所でウォーカーを起用していたシーズンでもあり、ウォーカーという選手のキャラクター自身を評価していたのは間違いない。

この時期の特徴は左SBに入ったカンセロが幅を取っていたこと。彼はとてもテクニカルだけど色々と軽いし、浅い。右利きなので左で止めて右足でグリーリッシュにボールをつける。そのボールの置き方だとほぼ100%グリーリッシュにパスが出されるので相手も狙いが絞りやすい。時々右足のアウトサイドで切り替えしたりもしていたが、グリーリッシュも窮屈そうであった。この解決策はカンセロ移籍後に出現する。

 

■ウォーカー怪我による右SBの不在 第9節〜16節

 ウォーカーが怪我したことで、ストーンズが代役を務める。最初の役割としては偽SBがこなせる選手ということで選ばれてる感じがした。左はカンセロとセルヒオゴメスがいたが、右はウォーカーだけだったので、ペップの中にはウォーカーを試してだめならストーンズというのは構想にあったと思う。

 この時期の特徴は、後ろ3枚のビルドアップの際にエデルソンがDFラインに入ること、右SBストーンズが偽SBも、後ろ3枚でのプレーもこなすなどとわりと多種多様なビルドアップが見られた。相手の枚数と配置に対してのことだと思うが、この期間は見返すとなかなか面白い。

 

■リコルイスの台頭と左SBの不在 第17節〜26節

 カンセロが出場時間に不満を表し、移籍を希望したあたりからがこの時期。

ウォーカーが偽SBとしては難しいと判断され、カンセロが移籍に向けてモチベーションを下げていたことで、ペップは左SBにアケ、右SBにリコルイスを起用する。

ペップに小さなフィリップラームと言わしめたリコルイスは、正直なところまったく知らなかった選手。右SBで出場し、ビルドアップ時にはロドリの横をキープし、ボールを引き出し前進させていた。まだ、18歳というので恐ろしい。

この時期の特徴は3-1、3-2のビルドアップ(相手によってフラットな4枚や可変なしの3-2のビルドアップを使用したりしている)で、後ろの3枚が大きくペナルティエリアの幅以上に開いていたこと。基本的には右からアカンジ、ディアス、アケという並び。

ボールを奪われ、ネガティブトランジションの際には後ろの3枚がスライドし、リコルイスが右SBに戻っていく。これはウォーカーのときもカンセロのときも、昨シーズンのジンチェンコのときも、むしろデルフでやり始めたときからこうだったと思うし、だいたいいつもここを狙われて失点をしている。後にペップはここのフラット4への移行に工夫を凝らす。

 

左SBアケは、元々の守備力は申し分なく、ビルドアップ時に右SBを移動させることで、3-1や3-2のビルドアップの“3”を任せることができる。CBが本職の選手なので対人守備も期待ができ、3枚でのビルドアップから4バックに移行するスライドもスムーズ。

そして何よりカンセロ左SBのときと違い左利きのアケが左足でボールを止め、複数の選択肢を持って、グリーリッシュに時間を与えるように預けることができたのも大きい。(後半戦のグリーリッシュなら厳しいパスでも問題なかったかもしれないが。それぐらい洗練されていた)

 

ストーンズによる攻守のバランスの最適化 第27節〜38節

 22-23シーズンの完成形がこの時期。

よく耳にしたのは「ストーンズの偽CB」という言葉。

 初披露は第27節。いつものようにするすると右SBの位置からアンカーの位置に移動したストーンズ。ボールを前進させるだけでなく、自らも前に出る。今までロドリがいたようなところに顔を出す。相手陣内のペナルティエリア近くでサイドからボールを受けるストーンズ。なにより足元の技術が素晴らしい。

 

 ボールを奪われたときは、前述しているフラット4への移行に工夫が。

 ストーンズが中央のポジションからそのままCBの位置に下がり、CBの選手がSBの位置に入る。そしてボールを回収したらまたストーンズはロドリの横へ入る。

 

 この時期の特徴はストーンズの立ち位置。CBの位置から、SBの位置から、ロドリの横に移動する。その偽CBを見せた上でアーセナル戦ではCBのままプレーした。

 ストーンズという一人の選手の存在で対戦相手のシティ対策を自由に崩落させることができたところが最大の特徴だった。

 

 リーグも終盤になり、勝ち点計算やCLとの兼ね合いもあり、すべての試合で偽CBが見られたわけではないが、偽CBという言葉がこれからも対戦相手を惑わすことは間違いない。

 

使い分けの推察

それでは最後に、今回示したビルドアップのパターンがどう使い分けられていたかを推察していきたい。

 

■2-3

両SBがうちに絞り、アンカーと横並びになる形は今シーズンはあまり見られなかった。

というのも相手の守備が4-5-1、5-4-1でかつ1トップがロドリへのパスコースを消して、プレスもかけてこない場合に限定されていた。

後述する3-1、3-2の形では相手が1枚に対して後ろの枚数が余ってしまうので、相手の守備ブロックを動かし、前線の選手にボールを配給するという目的を達成するためにはシティからしたらもっと前(相手陣内)で、ボールを回すべきだ。

同じ守備の形でも相手のWGやSHもシティのビルドアップ時にプレスをかけてくる場合は後ろの枚数を3枚、4枚と増やしていた。

これは対戦相手の監督のスタイルで判断していたように思える。

チェルシーリバプールには3枚、ユナイテッド、アーセナルには4枚を採用したところからもわかる。

 

■3-1、3-2

今シーズンの基本の形がこの2つ。

多くのチームが守備時に4-4-2や5-3-2になり、アンカーを一人が消しながらもう一人がボールホルダーへプレスをかけ、サイドの選手がボールの受け手をとらえる。

この守備ブロックに対して、3-1、3-2は相手の前線2枚に対して3枚と数的優位を作れるだけでなく、アンカーのロドリの立ち位置で2枚のうちの1枚を無効化させることができる。

余っているSBは相手守備の幅を見ながら外か中かを選択していた。

中央圧縮のコンパクトな守備に対しては残ったSBが外に張り出し、DFラインがスライドして生まれたもう片方のスペースにはIHが下りたりする。

アカンジやアケ、ストーンズはボールを運ぶこともできる。ロドリがマークをされている場合はドリブルを開始し、相手守備のマークをずらす工夫も見られた。

 

■4-1

シティのビルドアップに対してチームとして前から押し上げてプレスをかけてくるチームに対して用いた。特にコンパクトに陣形を作り、ロドリへのパスを阻害することに全力を注いでいるチームにはこの形が効いていた。

中央に人が集まるということはサイドが空いているということ。

IH(主にギュンドアンとベルナルド・シルバ)があえてロドリの脇のスペースに顔を出して相手選手を集め、サイドから崩していく。

 

■4-2

スタートからギュンドアンやベルナルド・シルバがロドリの横に配置された形は、4-1のビルドアップのときと違い、対戦相手の守備がシティのビルドアップに対してマンマーク気味のときに用いられた。

というのもこの場合は、後ろでボールを繋ぐというよりは相手を前に引き寄せてハーランドを使うという意味合いのものだった。プレス回避はハーランドへの浮き球のボール。

アーセナル戦やユナイテッド戦で見られた。特にアーセナル戦では前からマンマークでビルドアップを阻害してくるアーセナルに対して4-2の形でアーセナルを引き込み、ストーンズのロングボールをハーランドに当てたところからデ・ブライネのゴールが生まれている。

 

 

23-24シーズンは

ペップは来シーズンもマンチェスターシティを率いてさらなる高みを目指すだろう。

今シーズン、3冠トレブルを達成し、ようやくマンチェスターユナイテッドに肩を並べることができた?と思うのでこれからさらに強さを磨いていくだろう。

現段階では、ギュンドアンバルセロナにフリー移籍で退団、ライプツィヒのグヴァルディオルがDF史上最高額で加入、チェルシーからコバチッチ加入というニュースが入ってきている。

ハーランドという理不尽も手に入れたことで、ペップのまだ開けられていない引き出しがどんどん開けられるかもしれないわくわく感がある。

 

ここまで魅力的なスカッドを手に入れたら、あとは過密日程と怪我人との兼ね合いで選手を決めていくだろうし、対戦相手の監督の戦術に合わせて、ビルドアップスタイルを流動的に使い分けるだろう。

ハーランドが加入するまでのマンチェスターシティに対しては、今シーズンのユナイテッドやアーセナルが実践した守備が有効であったが、今シーズンはハーランドに蹴られて形勢逆転する。

唯一の可能性は、CL決勝で見せたインテルの守備かもしれない。

 

開幕戦に向けてデ・ブライネの欠場が濃厚となっている。

来シーズンのマンチェスターシティについて個人的な願望を述べるとフォーデンのIHとハーランドアルバレスの2トップが見たい。

 

また、来シーズン。

マンチェスターシティ 第9節 vs マンチェスターユナイテッド

こんにちは。

tadashiです。

 

22-23シーズンのマンチェスターダービーがやってきた。

両チーム合計9ゴールの乱打戦となったダービーはどのような試合になったのか。

リアルタイムで観戦して感じたことをテキスト形式で記録していきたい。

 

 

スタメン

ホーム マンチェスターシティ

エデルソン、ウォーカー(セルヒオゴメス)、アカンジ、アケ、カンセロ、デ・ブライネ(アルバレス)、ギュンドアン(ラポルト)、ベルナルド、フォーデン、ハーランド、グリーリッシュ(パルマー)

※()内は交代選手

 

ギュンドアンアンカーの4-3-3でダービーに望んだシティ。

ルベンディアスとロドリを温存する布陣でシティズンの不安を煽るペップ。

前線には怪物ハーランド、シティの宝フォーデン、そしてセクシーアイコンのグリーリッシュが並ぶ。

 

アウェイ マンチェスターユナイテッド

デ・ヘア、ダロット、ヴァラン(リンデロフ)、L.マルティネス、マラシア(ルーク・ショー)、マクトミネイ(カゼミーロ)、エリクセンアントニー、B.フェルナンデス、サンチョ(フレッジ)、ラッシュフォード(マルシャル)

 

マドリディスタとしてはヴァラン、カゼミーロ、ロナウドのいるユナイテッドはもはや無視できない存在。ヴァランだけがスタメン。マグワイアはいつの間にかスタメン落ちしている。

エリクセンが当たり前のようにスタメンでプレーしているのはサッカーファンとしてうれしいし、ドルトムントから赤い方を選んだ元マンチェスターシティのサンチョにはあまりがんばらないでほしい。

 

 

今日のビルドアップ

開幕からウォーカーの立ち位置にサッカーファンが驚愕したが、ここ数試合は大人しい立ち位置をキープしている。というより、ここ数試合はウォーカーは離脱をしており、そんなに本調子じゃなさそう。そのウォーカーでなんとか耐えていたサイドの質的優位性を突破される事案が発生したのは記憶に新しい。

 

ウォーカーのアンカーシステムはバイエルンでキミッヒにより実現しているし、シティでもデルフ、ジンチェンコ、カンセロなどにより実践している。しかし、純粋なSBをアンカーに移動させることはチャレンジ的な意味合いも大きいし、今後、年齢を重ねてスピードが衰えるウォーカーにしてもこのチャレンジは選手生命を延ばせる最高のチャンスでもある。

しかし、開幕からここまでで、正直なところ完全にウォーカーアンカーシステムをこれからも使用していくかというとおそらく相手の守備陣形、選手個々の判断によると思われる。

常にウォーカーがジンチェンコみたいに振る舞うかというとそういうわけではないと思う。

 

今日のシティはカンセロが幅を取り、ウォーカーがハーフスペースからサイドライン側に立つ。

マンチェスターユナイテッドは4-2-3-1でB.フェルナンデスがギュンドアンを見ながら2CBにはラッシュフォード一人で対応していた。

両SHは立ち位置に迷っていたように見えた。開くSBにつくか、ハーフスペースを閉じるか。

マンチェスターシティは、シンプルに空いたところからボールを運んだ。

ラッシュフォードが一人のCBに寄せれば隣のCBに。ユナイテッドのSHが自分にプレスに来たらSBかギュンドアンか前線から降りてくる選手へ。ユナイテッドのSHがSBに寄せれば自らで運ぶ。すべてが切られていたら逆サイドのSBへ。プレッシャーが早かったらエデルソンへ。

この判断はシンプルながらも非常に効果的だった。ユナイテッドが実践したいことを詰将棋のように一つずつつぶしていった。

 

 

沈黙した赤い方

フォーデンハーランドハーランドフォーデン!!

 

前半はもうこの実況がすべてを物語る。

ユナイテッドはなす術なく前半を終えた。と誰の目から見てもそう映ったはずだ。

 

定まらない守備の基準、プレスを突破されたあとのグダグダなブロック、統率されないラインコントロール

攻撃ではラッシュフォードだけが裏を狙い、起点のできないロングボールや両SHの単調な仕掛け。

後半にシティが圧を落としたのもあり、多少の改善は見られたが、終始押されていたユナイテッドはSBも満足に攻撃参加することができなかった。

正直なところ、前半にユナイテッドの印象はまるでない。

 

マンチェスターシティは、グリーリッシュが輝きを見せた。

左サイドからハーフスペースに移動し、カットインで中央へ。

今日のシティの得点のほとんどは外と中を交互に使い、ユナイテッド守備陣の視野を振ることでスコアラーをフリーにさせたが、その外から中へのスイッチングはグリーリッシュが見事にやってのけた。

右足でボールをキープし、カットインするグリーリッシュは脅威だし、その足元の技術を活かし、ゴール前でハーフスペースに位置するのも守備者からしたら非常に厄介だ。

 

フォーデンの1点目、ハーランドの3点目、フォーデンの3点目。

その攻撃は美しく完全にユナイテッドを崩していたがそのスタートの合図はグリーリッシュだ。ぜひハイライトでも良いので見てほしい。

それにしてもシティの3点目(ハーランドの2点目)を演出したデ・ブライネのクロスはその足に幻術でも備えてるのではないかというほど次元の違うラストパスだった。

足元に入ってしまったボールを擦り上げるようにユナイテッドの4バックの裏に流す。デ・ブライネの視点ではスペースなんてほとんどなかったのではないか。

そこに飛び込むハーランドのストライカーとしての技術も素晴らしいが、前を向いたあの状態でシュートではなく、逆サイドへのパスを選択するデ・ブライネの今シーズンには期待が高まる。

ちなみにこのゴールも、デ・ブライネにパスを出しているのはグリーリッシュである。

 

締まらない青い方

本来ならば、大量得点無失点という終わり方が理想的だった。

しかし、結果を見ると6-3。なんと3失点もしてしまったのだ。

 

後半途中に大胆な選手交代で試合を事実上終わったものにした。

そのときのイレブンがこちら。

エデルソン、カンセロ、アカンジ、ラポルト、アケ、マフレズ、ベルナルド、セルヒオゴメス、フォーデン、アルバレス、ハーランドの4-4-2。

毎シーズンペップシティを見ている方ならすぐにわかるが、だいたい4-3-3か4-2-3-1以外のシティはまったくと言ってよいほどはまらない。

このシステムも例に漏れずグダクダの極みとなった。

 

ユナイテッドは後半頭から左SBをマラシアからルーク・ショーに替えた。攻撃的に振る舞うルーク・ショーはチャンスを作り、得点にも絡んでいる。そういえばいつかのマンチェスターダービーでも得点を決めていたような。

その後、カゼミーロ、マルシャル、フレッジと投入し、システムはそのままで、ダブルボランチをフィジカルなメンバーにした。カゼミーロがいることで、守備に安定感をもたらし、フレッジが後ろを気にせず前に出られるというメリットあった。その恩恵は2点目に現れている。

アントニーは補強成功と予感させるプレーで一人食らいついているように見えた。ドリブルに自信を持っているようで、カットインからのシュートは彼の一つの形なのかもしれない。

 

カゼミーロの獲得から、マクトミネイが調子を上げているという噂がある。カゼミーロにポジションを奪われないようにという気持ちの現れだろう。

しかし、今日のような試合を見るとカゼミーロを真ん中に置いて、もう片方のボランチを前に押し上げるほうが攻撃に厚みが出るのではないだろうか。

エリクセンは左で試合をコントロールしてる方が良さそうだと感じた。ルーク・ショーが攻撃的なのでなおさら相性は良い。

個人的には後半のユナイテッドのメンバーがベターだと思っている。マルシャルかラッシュフォードかは判断に困るが。

 

少しだけ心配に思ったのが後半のシティ。

怪我人が多く、アンカーより後ろに十分な控えを整えられていない。

マンチェスターダービーの1試合で見れば大量得点で、3失点ぐらい影響はないが、シーズンを通して見ると、ターンオーバーが組みにくい。

カルビンフィリップスやストーンズの怪我、ウォーカーの不調は、じわじわと特にCLを勝ち進んでいくと効いてくる。

今シーズンは11月にワールドカップがある変則的なシーズン。

このまま怪我人が増えないことを祈るばかりだ。

 

とにかくマンチェスターダービーに難なく勝利できたのは非常に大きい。

CL、リーグと週2回の日々が続くので着々と勝点を積み上げていってほしい。

 

それでは!

【書評】集中力はいらない/森博嗣

こんにちは。

tadashiです。

 

今日も書評。

Kindleは片手で読めるので素晴らしい。

SB新書から出ている森博嗣の著書「集中力はいらない」を3日ほどで読み切ることができたので忘れないうちに感想を書こうと思う。

 

 

 

 

読書感想文というのが昔から苦手だった。

「感想」というのはどういう形態のものか理解ができないあんまり頭の良くない子供だったからだ。

だから、あらすじで原稿用紙の7割を埋めてしまい「楽しかった」「良かった」「面白かった」の言葉で閉じていくスタイルが、私の読書感想文であった。当然、褒められたことはない。

読書も苦手、読書感想文も苦手。そんな集中力が昔からなかった。

 

というこで、本題。

これは森博嗣のエッセイだ。

 

集中力が大事。

集中して取り組めば成功できる。

 

なんてよく聞いたセリフを真っ向から否定していく内容。

読んでいていちいちうなずいてしまった。

 

というのも僕には集中力がない

小学生の頃からサッカーをやっていたけど、ことあるごとに「集中しろ!」と怒られていたことを思い出す。

あのときは「自分は集中してないんだ!集中しないと…!」と思っていた。

今となっては、あれはあれで集中していた。それをこの本を読んで再確認することができた。

 

 

以下、本書における私が印象的に感じた部分引用していきたいと思う。

※太字は作中の小タイトル

 

発想は集中からは生まれない

発想は、集中している時間には生まれないということである。

僕は土木工学で大学院まで進み、修士課程を卒業したが、そこでは修論のテーマがあって、期待される成果があって、それに基づいて実験及び計測手法を決めていく。だいたいが、実験や計測の結果だけをただ持ってきてもいまいちそれが何を示しているか、この結果から何が得られるかはわからない。

これで良かったのか?もしかしてやり直しか?

ということも含めてちょっとの間考える。指導教官(研究室の教授)にも見せながら。

当たり前だけど的確に次の指針を示すのは教授だ。毎日10人以上の学生を相手に研究のディッスカッションをしながら学部生に授業を行い、自らの論文作成や論文の査読を行っていながらも、その日に持ってきた僕の成果に対して的確な指示を入れる。

これはまさに集中していない時間に発想が生まれていることなんだと思う。

色々なことに頭を次々切り替え、そのどこかに別の答えを導き出すヒントが隠されていたりする。

きっと教授は、経験とヒントで答えへの道筋を描いていたんだと思う。

 

大学院に進んで良かったと思うのは、社会に出る前に大人たちとフラットな視点で議論ができたこと。

こう考えたというところは研究をしている自分にしか答えられない。それをもとに教授たちは、次を考える。

毎月、研究の途中結果報告会があったが、緊張はするけど、自分の話を大人たちが真剣に聞いているのはわりと楽しかった。

 

 

仕事に没入するスイッチはあるか

嫌々やっているから、コンスタントにできるわけです。楽しかったら、もっとのめり込んでしまい、もっと時間を使って集中しすぎてしまうでしょう。そうなると、きっと上手くいかないことが出てくると思います。いらいらするでしょうし、躰を壊すかもしれないし、また、やりすぎて厭きてしまって、もっと嫌になるかもしれませんね

現在、俗に言うサラリーマンとして働いて10年目。1、2年で次々と異動している僕はやりたかった仕事、やってみて楽しくなった仕事、興味のない仕事、やってみたらつまらなかった仕事と様々に経験年数のわりに体験することができた。

この本で言われている通り“つまらない仕事”、“興味のない仕事”では早く終わらせよう、あまり深追いしないようにしようと淡々と進めていて、“やりたかった仕事”、“楽しくなった仕事”は時間を気にしなかった。やれぱやるほど課題が見えて、一生終わらない気さえした。

例えばつまらない仕事は、“だれにでもできる事務作業”、興味のない仕事は、“構造物ではないものの補修工事”、やりたかった仕事は、“橋梁などの構造物”、楽しくなった仕事は“企画・計画関係”だった。

 

たぶんどんな仕事だって、仕事じゃなくたって、たくさんの課題があるはずなんだけど、突き詰めないからそこまで見えてこない。とにかく目の前のものをこなしておけばいいやと、ある意味これは「集中」という状態なのだと思う。効率を求め、簡単に済ませられる策を考える。本質から遠ざかろうとも。

好きなことはそうはいかない。ということが、森博嗣先生によって言語化されている。

そうそう!と手を打った。

 

 

文系は言葉に頼りすぎる

こういった発言は、「自分の役に立つことがすべてだ」という極めて集中した思考に基づいているだろう。自分や、自分の利益しか見えていない。

この文章はこのあとにこう続く。

「あなたはなんの役に立つんですか?」「役に立つこと以外に、価値はないのですか?」

 

これは仕事をしているときの自分がこうであるので反省しないといけないと思った。時間のない中、大量の業務をさばくために不要なものは排除したい。

仕方ないとは思いつつ、そのすべての行動に自分に絶対意味があることは難しい、いや、無理。

このゴールに対してはたぶん役に立たないかもしれないけど、どこかで役に立つのだろうというゆとりが必要かもしれない。

 

 

コンプレクスとどう向き合うか

コンプレクスというのは、誰もが持っているもので、裏を返せば、人間がそれぞれ違っていることの証です。

とても森博嗣らしい、森博嗣的に言うと我々が望んでいる森博嗣像を忠実に読み取ってくれた発言だと思う。

コンプレックスのない人間はいない。個性と同義としても良い。

 

「自分のコンプレックスはなんですか?」と言われたら身長とのっぺりした顔と意地が悪いことなんだけど、意地が悪いのは強みにもなったりし、身長と顔がコンプレックスだからこそそれ以外で何か目立つものがないといけないと思って色々とかんばれたりした。

コンプレックスは個性であると同時に、自分が他人とは違う自分を持っていることの証明にもなる。

 

〇〇がコンプレックスで…と言う人の大半は「そんなことないよ〜」と言ってもらいたいだけだから間違っても「そうだよね〜」と言ってはならないことを中学ぐらいで知れたのは良かった。

女性からの相談を受けるようになったのも、こういった相手が言われたいことを見抜けるようになったからだ。

話が変な方向に飛んだ。

 

 

効率化を図るには?

ずっとそんな単純作業ばかり続ければ、たしかに嫌になるでしょう。それは、同じゴールがまた設定されるようなものです。それに、もうさほど最適化もない、まったく同じルーチンになる。多くの仕事は、こういったものだと思います。これは、もう、もらえる賃金を想像して、そのお金で自分が何をするのかを想像するしか目新しいゴールはありません。

世の中の仕事には単純作業が多すぎる。

データの入力とか、数字の確認とか、そした単純作業の成れの果てが思考の停止。作業自体には何も意識はなく、この文章の最後のように“お金をもらえるから”やるだけになってしまう。

単純作業がこの世からなくなれば、多くの人が働く時間を減らしながら成果をあげられると思う。

 

ちなみに私の今の職場はこういった単純作業が多くて、考えてることは何も起きずに終わることだけ。効率化にもやはり限度がある。

ある意味で型にはめるだけなので楽といえば楽だが、残業になってしまったときに自分への後悔しかないのがもったいない。

 

 

 

人生をかけたテーマ

誰かに認めてもらわなくても、自分が自分を認められるようになります

これは私の考えとも非常によく似ている。

自分を愛せるのは自分だけ。自分を守れるのは自分だけ。

まあ、似たようなものだ。

 

承認欲求というものがある。だれかに見てほしい、認められたい、褒められたい、共感されたい。

その集まりが今のSNSで、SNSには承認欲求と金稼ぎと業者と暇人のバカしかいない。恐ろしい世界。

承認欲求の根底にあるのは“他者”に対するアピール。他者からどう思われるかが重要。自分がいくら良いと思っていようが、他社からの評価がなければ納得できない、不安になる。

例えば、女性が肌を露出し、際どい衣装の写真をアップしたり、男性がジムで鏡越しの筋肉を披露したり、プライベートの結婚式の様子とか、家族で行ったおいしいご飯とか、そのどれもがわざわざ人に見せるものでもないのに見せたがる。

 

女性でセカンドになる人や不倫、浮気相手になる人は総じて承認欲求が高く、そういった相手を多くつくる男性は承認欲求が高いのに欲求が満たされていない女性を見つけるのがうまい。

そういう人の相談に乗るときは、自分を守れるのは自分だけだし、自分をまず愛してみなさいと伝えていた。

今の自分を愛せますか?今後本当に愛する人に出会ったときに、この今の自分がいた過去を持ったまま接することができますか?と。

 

やる気が感情だとは、あまり感じません。やる気というのは、この苦労をすれば、将来きっと楽になる、きっと良いことがある、という推測に基づいた計算です。ようするに理屈というか、論理なのです

やる気が理論。

うなりました。

 

ということは、とある塾のキャッチコピーである"やる気スイッチ"は、決してスイッチではなく、子供が打算的に勉強に取り組むかどうかの話なのだろう。

小学生で言えば「ここでがんばって大学までエスカレーターの学校に入ってしまえば向こう10年間ぐらいは楽ができる」と気付けるかどうかにかかっている。

 

とにかく大事なことは、やる気ではなく、やるかやらないかなのです。そして、やるために必要なものは、計画です。

森博嗣先生の言葉だったか忘れたけど、「やる気がなくてもやりだせばやろうと思う」という言葉があって、ああ、なるほどなぁと思ったのを思い出した。

 

よく私も仕事でやる気が起きないと隣の後輩に愚痴をこぼしているが、やる気が起きないのではなく、ただやろうとしてないだけだった。やる気なんて関係ない。

 

計画という言葉が出たので、私の仕事の仕方を書いておく。

基本的には、4月に1年間のおおまかなスケジュールをもらい、そこから中期短期の目標が定められている。

組織目標や個人目標だ。

また、この1年間のスケジュールの上位には、ある仕事をするための大元となる計画が存在している。なぜ、この仕事をしなければいけないのかというのを明確に定めたものだ。

正直、もう決まったことでやる気など関係ない。

さて、そのスケジュールをもとに私自身は、仕事に優先順位と労力を割り当てる。

まず、優先順位。

上位計画の目標と目的をピンポイントで達成する仕事かどうかという判断だ。

次に、労力。

自分の作業スピード、実力、知識をもとに割り当てられた仕事がどれぐらいの期間が必要かという判断。

どちらも当然やる気のバロメーターは入ってこないことがわかるだろう。

 

この2つを並べると自ずと年間のスケジュールに対する力の入れどころがわかってくる。後は、中期短期の目標に対して、強弱をつけて日々取り組むだけだ。

基本的に単純作業は最後。もうにも考えなくて良いのでただ作業をする。

計画を立てて、課題を解消できる道筋が見えたらもうその仕事は終わったも同然だ。

 

 

人間不要の時代

人間は本来面倒くさい生き物だったはずである。話が通じず、我が侭で、好き勝手にする。子供を見ていれば、少しは思い出せるはずだ。子供は面倒なものだが、人間らしい。

人間らしさとはなんだろう。

言葉を発する事自体がもう人間しかしないことだし、僕らの行うことほぼすべて人間らしい行動なんだと思う。

 

人間は生まれてから死ぬまでの間に色んなことを知識として吸収して、少しずつ面倒くさくなってくる。

面倒くさいと思われる人間は往々にして、この世界の事を知りすぎている。

また、何な対して、誰に対して面倒くさいかというのもある。

私は面倒くさい人間だった。飲み会になれば熱く持論を展開し、恋愛、音楽、生き方、自分に揺るぎない思いをぶつけていたと思う。

それを面倒くさいと思わない人もいた。それは同じ熱量でぶつかってくれる人だ。

 

面倒くさいか面倒くさくないかは、受ける相手が同じ熱量、内容で話し合えるか感じ取れるかだと学生の頃から思っている。

いざ、学生の身分を失い、働いていると面倒くさい人がこの世には多すぎると感じている。よくもまあこんなやり方で今まで生きてこられたものだと思う。

それはきっと多くの人が、面倒くさいを諦められて放り投げられて無視をされてきたからだと思う。だれもそれに対して面倒くさいとも言わない。それはとても悲しいけど、これができないと生きにくい。

 

習慣を変える

自己主張というのは、自分の意見を述べることだ。自分の願望を述べることではない。何が正しいと考えるか、というのが意見である。どうなってほしいのかではない。

最後だ。

自分の意見を述べるということが願望ではなく、正しさを主張することだとこの本では言っている。

なるほど。

では、提案はどうなのだろう。自分の意見で相手に対してこうするのはどうか?ということを伝えているわけだが、正しいのはこっちだよと言っている場合もあるし、自分の願望に寄せたいからという場合もあるだろう。

 

昔、まだ若手の頃、「君はどうしたいの?」と聞かれることがよくあって、すぐに答えられないぐらい使えない人間だった。

君はどうしたい?って、私の意見が通るならば主張している。色んな法律があって、色んな決め事があって、期限があって、相手があって、それで進めている仕事が自分の意見に左右されるはずがないと思った。

ただ、今になって思うのは、あらゆる取り決めの中で、デティールには自由があることが多くあって、その中で君なら何が正しいと言える?と聞かれていたのだと最近は気づいた。

それならばきっと答えられた。

 

学生の頃にはあまりなかったが、働いてからは自己主張を履き違えている人がけっこう多い。

特に管理職。

私ならこうする、こうあるべき。

 

 

うーん、それはあなたがそうしたいだけですよね?上から言われてるんですか?そうであれば最初からそれを主張してください。

僕らも自己主張の剣を鞘に収めますから。

 

 

本のタイトルである「集中力はいらない」というのは、その言葉の意味のままではなく、“集中力という言葉や集中という状態は何も一つのことに向いているものではない。”ということなんだろう。

 

それにしても私が森博嗣に出会ったのは高校2年生の冬。

サッカー部を辞めて今後の進路を考えなくてはいけない時期だった。

すべてがFになるを読んで、その発想力に驚かされ、“理系”(今ではおかしな言葉だと思うけど)という響きに憧れた。論理的な思考がかっこいいと思ったし、知識があるというのはそれだけで役に立ちそうだと思ったからだ。

現在、作る人ではないけれど、日々工学的な視点で、街づくりに尽力している。たまには不毛な事務作業もあるけれど、いつだって多方面に目を向けて、あらゆることに集中を分散させていきたい。

そんかことを思って、書評を閉じさせていただきたい。

【書評】経産省の山田課長補佐、ただいま育休中

こんにちは。

tadashiです。

 

現在、育休を取っている。

育休を取っていると、人と接する時間は減り、赤子と接する時間が増える。

言葉が減り、表情が豊かになる。

 

語彙力が減っているような気がする。

今回は書評である。

 

Twitterのタイムラインに流れてきた「男性育休におすすめの本18選」みたいな特集で見つけたこの本。

 

 

経産省の山田課長補佐、ただいま育休中

 


国家公務員のキャリア官僚でありながら、子供のため奥様のため、そして自らのため育休を1年間取ることを決意した方のエッセイのような作品。

文体はライトでさくさくと読めるし、内容も育休中に起きたことが著者の心情ととともに語られているので、肩肘張らずに読み進めることができた。

 

では、少なくなっていく語彙力で書き連ねる書評。

どうか最後までお読みください。

そして、いつかみなさまも育休を取る自分を想像してみてほしい。(取らなくてもよい。)

 

感想

まだ、子供が生まれて3ヶ月の自分にとっては「これからこんな楽しいことが待ってるんだ」、「こんな不安なことがあるんだ」と想像を巡らせながら読むことができた。(著者の子供と同じく、男の子だからだ)

書いてあることはおそらく今まで育児に携わってきた男性ならだれしもが経験するであろうことだと思うが、この本には国家公務員という政治最前線に身を置いている著者の周囲の様子も同時に描かれている。
国家公務員といえば国民の生活を豊かにするために、激務であり、責任がある仕事だと思っている。
毎日毎日、長い時間働き、家に帰るのは日付が変わってからなんてこともよく聞く。
そんな中で働く人が育休を取ろうと思うきっかけが書いてあり、省庁の中での様々な意見が書いてあり、復帰後の働き方の順序も書いてある。

“出世に響く”という話も今から18年前であってもなかったようだということがこの本を読んでわかった。(きっとこの方がとても仕事のできる、また人望に厚い方だったからだと思うが)

 

この本の中でも書かれているが、著者の奥様は産休後にすぐに復帰している。

夫婦で国家公務員であり、出産付近の業務において、奥様の方が大きな案件を抱えていたからのようだ。

 

女性だけが育休を取って仕事を休まないといけないのはおかしい

 

奥様も、著者も、家族と仕事の状況を冷静に考えて判断している。

現在(2022年)でも、女性が育休を取る。ということが当たり前のようになっているが、女性だって働きたいと思う(そうでない人もいる)し、大きな仕事を産休育休で手放したくないはずだ。

もちろん男性も同様ではあるが、育休の取得の有無、期間を考えても男性の方が仕事に尽力できるのは不公平だと本を読んで感じるようになった

 

 

20年前の課題も今の課題

何よりもこの本を読んで良かったと思ったのは、最後の方に書かれている著者の個人的見解だ。

簡単に抜粋してみる。

 

手っ取り早く、かつ、効果がある少子化対策として、手厚い助成は欠かせない。高齢者対策予算との不均衡は、多くの識者の指摘するところだ。

 

いまの児童手当には、いろいろ問題がある。

第一に額。月額五千円(約20年前の話)は、「これで安心して子どもが産める」という気にさせる額ではない。

第二に所得制限だ。金持ちの子どもでも、そうではない家庭の子どもでも、子供としては平等なはず。収入にかかわりなく「子どもを産む気」にさせようとするならば、むしろ、収入が多い世帯ほど手当を増やすべき、とさえ言える。

 

首都圏でのマンションの販売チラシを一度でも目にしてほしい。そもそも4LDKの部屋なんてほとんど販売されていないのだ。(中略)子どもを増やしやすいように、住宅政策を考えてほしい。

 

最後は、職場の意識の変革だ。(中略)日本人男性は総じてハードワークになっている。この「働き過ぎ」を放っておいて、さぁ女性も機会均等ですから、などと言っても、歪みが出るのは当たり前だ。(中略)

要は、少子化問題の根底には、社会における男女差別がある。

「女性の社会進出が少子化の原因だ」と唱えて、女性だけに責任を押し付けるというのではいつまでも解決は図られない。それに、男性だって、育児をしたいという人は増えているのだ。

 

まさに現代のことを書いているかのような子育てや少子化に対する課題がずらりと並べられていて、この約20年間であまり歩みが進んでいなかったこと、それでも育休を取る男性が増えてきていることがわかった

こういった過去からの繋がりを知ることができるのは大変今後の参考になる。

それにしてもこの方の考える解決策がどれも現代でも実現できそうな効果の高い策ばかりだ。ここには書いていないが、予算の配分におけるバラマキ防止の案として課税所得からの控除とする案も素晴らしくぜひ読んでいただきたい。


まだまだ変えないといけないことはたくさんある。当時から考えられていることが今でも実現されないのは大きな原因があるのだろうと思った。

 

時代は約20年前。

こういう方々が職場のあらゆる視線を振り切って強い意志で育休という権利を取得してきてくれたから今の僕らへの後押しがあると感じられるこの作品は、一度読んでみることを強くおすすめしたい。

 

 

注意点

この方は夫婦ともに国家公務員ということもあるのか生活費に困っている描写はない。もしかしたらこれを読んで、「お金のことを考えずに子育てができて、しかも3人も!」とこの本の主題とは関係のないところでもやもやする人もいるかもしれない。
ただ、著者は「時間とお金」という最大のテーマを本書を通して語っている。
この本を読んで金銭的な劣等感を感じるのも間違いではないが、国の中枢で働いてる人たちも同じことを考えている。


それにしてもこの方は育休取る前の働きぶりが素晴らしかったからこそ色々な方から信頼を得ていたんだろうと感じた。
育休中の職場との関わり、復帰後の働き方と実現に向けての強い意志。

その後4年間で管理職になったのは当然のことのように思う。
自分自身はまだまだ管理職にほど遠いが、育休を取った人間がマネジメントするほど部下たちは動きやすいのではないかと思った。
管理職にまったく興味がなかったが、少しだけ管理職になる意味を持った

 

育休を取得してみて

職場で初めての男性の育休だった。

育休取得を宣言してから、育休にいたるまで、気を遣うことだらけで、そもそも男性だろうが女性だろうが同じ育休のはずなのに、前例がないから…と自分で調べる羽目になった。

幸いにも他の部所などには男性で育休を取得している人もいたのでなんとか申請を行うことができたが、いつまでたっても、育休を取っている今でも、本当に合ってる?と思っている。

 

金銭的な心配もある。

育児休業給付金というものがあるが、これがまあすんなりともらえない

まず、ここ数ヶ月間の67%しかもらえない。社会保険料所得税はないが、住民税は払わなければならない。(住民税は昨年の収入に対してなので)

そうするとざっと見積もって今までの8割で生活をしないといけない。奥様も同様に育休を取っていれば奥様の方でも8割となるので、世帯収入でいくとわりとダメージが大きい。

さらに額だけでなく時期も悪い。

2ヶ月後から申請をして、そのさらに1ヶ月後に支給される

その間の家賃もしくは住宅ローンや保険の支払いなどは免除されないので3ヶ月給与なしでそれらを支払う必要があるので100万ぐらいは貯金が必要だったりする。

というのを申請するぞ!となってから知った。

それはそれは大変だったので、育休を取ろうと言う人はお金の計算もしっかりして、夫婦で話し合うべき。

 

ということで、ここで育休の素晴らしさや赤子かわいいという話をするつもりはないので、書評を終わりにしたい。

育休を検討している人も読んでみるといいかもしれない。

 

それでは!

マンチェスターシティ 第3節 vs ニューカッスル

こんにちは。

tadashiです。

 

開幕から2試合で強さをまざまざと見せつけたマンチェスターシティ。

今節でもしっかり強さを見せつけたけど、なんかおかしいという内容。

 

では、目次。

 

 

 

 

変わらないウォーカーの役割

ウォーカーはどこ

ルベンディアスが控えスタートのこの試合。CBは、今シーズン初出場のストーンズと開幕から大忙しのアケ。SBはいつもの二人。

 

というか二人しかいない

 

前節のボーンマス戦も危なげなく勝利して連続のクリーンシート。

どのメディアも「今シーズンもマンチェスターシティは強い」という評価をしっかりと得たものの、セントジェームズパース(ニューカッスルのホームスタジアム)は気をつけろという声が聞こえてくる。

 

難敵ニューカッスルとの試合である。

試合は勝っている。

前回負けたのは2019年のニューカッスルホーム。

直近は全部勝っているのに、なんでこんなことをシティファンですら口にするのか。

それはもちろんマンチェスターシティとの相性が悪いチームがニューカッスルだからである。

サンマクシマンという名前だけで震え上がる人も多いと聞く。

ウォーカーを上回る質をもっているのだ。

 

さらにジョエリントン、ウィロック、カラムウィルソン、アルミロン、そしてブルーノギマラインスで構成される攻撃陣。

そこに加わるエディ・ハウ監督の戦術。

 

前半5分で幸先よく先制点を奪ったのに、見事に良い試合を演じてしまった。

 

 

試合が始まったが、やはりウォーカーはだいぶ内側にいた。

マンチェスターシティの試合を見るたびに「SBとは」という自問自答を繰り返しているが答えには辿り着かない。

辿り着くはずがない。

 

 

ウォーカーはもうどこにもいない。

 

 

いや、中央にいる。

 

 

今日もロドリの横をキープしてCBからボールを受けたり、下がってきたWGからきたボールを逆サイドに展開したりしている。

今日のカンセロは開いたり絞ったり守備でも逆サイドまでとわりと広範囲にSBらしいこともしていたが、ウォーカーはオーバーラップ、インナーラップほとんどなし。

一度だけ中央でドリブルしていた。

 

「SBとは」

 

ウォーカーがそこにいるメリット

さて、ここで考えたいのは在席5年目のSBをこのように置いている理由だ。

 

ウォーカーはペップのもとで技術力が向上して、偽SBとしてペップシティに欠かせない存在になった。

 

これではただ事実を述べただけでなんの意味もない。

 

この3試合から感じたウォーカーがあの位置(アンカーのポジション、ロドリの隣)にいるシティにとってのメリットは以下の通り。

 

1.被カウンター対策

読んで字の如くです。

ウォーカーがあんまり前に上がらずに攻撃が円滑に行けば、カウンターを受けてもウォーカーがいる。

これはポゼッションチームの弱点である堅守速攻のチームに対しても有効性が高い。

 

3-2のビルドアップのままでいいのでは?と思ったが、ウォーカーは3の右にいるとオーバーラップするのでいないときがある

 

この戦術であれば常にウォーカーがいる。

絶対的な安心感だ。

 

 

2.ビルドアップの選択肢増

この選択肢増というのはロドリにとってという意味。

後述するデメリットのように右CBからするとなかなか地獄

 

ロドリを孤立させてはいけない。

 

これは一作シーズンでマンチェスターシティが得た教訓であり、ビルドアップをさらに強固なものにするためのもの。

 

 

3.IHのトップ下化、FW化

デブライネとギュンドアンの好調ぶりはみなさん見ていてどうでしょうか。

より前に前にアタックしているような気がしませんか。

それもそのはず。

 

これまでビルドアップのときに、IHが降りてきたスペースにSBの位置から入ってきているので、二人がこれまでより下がってこなくて良い

 

相手の守備ブロックの後ろ、DFラインの前を活用し、攻撃に集中することができる。

カンセロがいるのでギュンドアンは降りてくる回数も多い。

ただ、それと同じ、それ以上にゴール前に顔を出している。

 

それだけビルドアップに加担する時間が短くなったからだろう。

 

それにしても、これだけ得点が取れるギュンドアンをCLの決勝でアンカー起用した監督がいたらしい。不思議なもんだ。

 

4.ロドリの進化

で、これは推測だけど、ロドリを動かそうとしてるんじゃないかと。

これまでロドリは中央でどっしり構えてもらっていたけど、やはり狙われることも多くなった

また、カウンター対応のためのファーストディフェンダーとしての役割もかなりこなせるようになってきたことで、ロドリをもはや中央に固定しておく必要がないとペップは判断したのではないかと思った。

 

主に左にスライド。

いずれ、ロドリはカンセロの上がったスペースにSB落ちをするクロースのようなプレーを見せてくれるのではないかとわくわくしている。

ニューカッスル戦を見てわくわくした。

 

 

ウォーカーがそこにいるデメリット

1.CBの守備範囲増

少しだけメリットと矛盾するかも。

サッカーを守備で考えたときに4バックは右からSB、CB、CB、SBという並びになる。

守備のときの自分が守るエリアはおおよそピッチを縦方向に4分割した1エリアということになる。

 

これまでのマンチェスターシティはウォーカーは3-2ビルドアップの後ろの"3"になることが多く、ボールを運び相手陣内に入ったところで中央にいることはあったが、初めから中央にいることはなかった。

 

それはおそらくビルドアップの段階で失った場合のことを考えていたはず。

しかし、今シーズンからの試みは右サイドに広大なスペースを作り出す

この試合で言えばストーンズの横、ウォーカーの右斜め後ろである。

あろうことかそのエリアはサンマクシマンが大好物のエリアにも関わらずだ。

 

それだけウォーカーを内側に入れるメリット(後方にいるもしくはサイドをオーバーラップさせるメリットよりも遥かに大きい)があるからだと思うし、ウォーカーの走力なら多少は走られても戻れるという算段なのかもしれない。現に何度も戻ってきてピンチを止めていた。

が、しかし、ストーンズの守るエリアは明らかに倍になっている。いや、ボールを保持しているのだから"気にしなければならないエリア"が倍になっている。

 

ニューカッスル相手に苦労していた。

この2-3のビルドアップをリバプールバイエルンなどのハイプレスのチーム相手に行うのかはまだわからない。

 

 

2.CBのパスコース減

もう一つはビルドアップにおいてけっこう致命的な気がするし、この試合でも何度も狙われていた。

 

右CBの方が状況は厳しい。

なぜならストーンズがエデルソンからボールを受けて、右足でトラップしたときに自分の右側にはだれもいない

 

ウォーカーは自分の前にいるのだから。

 

右WGがフォローする必要があるが、今日のベルナルド・シルバは幾分フォローが遅かったと思う。

 

左はカンセロがCBから受けられる位置にポジションにいることはいるがそこをマークされるとパスコースが消えることになる。

これからペップシティがどのように改善してくるか気になる。

 

 

エディ・ハウの陰謀論

開幕2試合を恐ろしい強さで勝利したマンチェスターシティに対して、エディ・ハウ監督は引かなかった

 

 

どこかでマンチェスターシティのボールを引っ掛けて前線の個で仕留める。

とにかく速く。

 

 

という意志の共有がチーム全体に浸透していたようで前半からかなりアグレッシブに選手たちが躍動していた。

 

1つ目はマンチェスターシティのビルドアップ

前線からプレスをかけ、サポートが遅くなりがちな右CBストーンズを狙っていく

パスコースのないストーンズが苦し紛れに出したパスをさらって、サンマクシマンに渡す。

サンマクシマンがウォーカーを質で上回りフィニッシュ。

 

左についてはカンセロが中途半端な位置に立つので、そこに中盤のウィロックがついていく。するとやはりルベンディアスもパスコースがなくなり、エデルソンに下げる。

そうしたらまたマンチェスターシティの右サイドを攻める。という形。

 

ハイライトを見てもらえばわかるけど、17分にルベンディアス、23分にストーンズのパスを奪ってそこから数秒で決定機を作っている。

同点弾はサンマクシマンの個だ。

 

 

2つ目は、マンチェスターシティの攻撃後の速攻

マンチェスター相手に3得点のチームはもしかしたらもう今シーズンは現れないかもしれない。

それぐらい今のマンチェスターシティに3得点はすごい。

 

この得点及びチャンスは、だいたいがマンチェスターシティの攻撃の後に生み出されていた

 

ブルーノギマラインとジョエリントン、カラムウィルソンでゴールキーパーからのボールをキープし、左サイドのサンマクシマンへ。

サンマクシマンがウォーカーをぶち抜く。という作戦。

 

逆転弾の2点目はまさにこのパターン。

マンチェスターシティの攻撃後のゴールキックからパス3本でゴール。

これもサンマクシマンが人を寄せ集めてカラムウィルソンへ。カラムウィルソンも素晴らしいトラップだった。

 

ちなみに3点目はサンマクシマンのドリブルからファウルをもらってなかったかな。

トリッピアーの素晴らしいフリーキックニューカッスルがトリッピアーを獲得したのはプレースキックのため。

 

 

ということで、はまりすぎて怖い。

 

中継でも言われていたけど、サンマクシマンが周りにパス出すようになっているのがなおさら怖い。

1対1だけとめればと人数をかけたら、あっという間にフリーの選手が生まれてしまう。

 

 

また、セント・ジェームズ・パークニューカッスルというチームにもってこいのチームだ。

ボールが前線の選手に渡れば、「いけ!仕掛けろ!」な大声援

サンマクシマンのドリブルも声援の後押しを受けてより加速していたような気がした。

 

 

前に通れば後は個で

この3試合を見て感じたのはこの表題の通り。

 

ビルドアップに関しては、今シーズンもさらに進化をさせてきたペップ・グアルディオラ

ウォーカーを完全にアンカーポジションに置いて、被カウンター対策と同時に組み立てをさせることで、安心してIHをビルドアップの出口と攻撃に専念させることができた。

そしてなにより、チャンスとあれば下を向いて猛然と裏へ抜けるゴールハンターのハーランドがいることが何よりも大きい。

なんでもないボールがゴールにつながる可能性がこれまでのマンチェスターシティよりも高い、というだけで負けていても強気になれる。

 

おそらくベースは変わっていないが、これまでよりも選手の個が攻撃に与える影響が大きいと思う。

 

まず、ベルナルド・シルバ

とにかくお互い攻撃にかける時間が短かった中で唯一時間を作ってくれたのがシルバだと思う。

特に1点目はデブライネが右サイドを走り、ウォーカーがその内側を走ったがボールをキープして、ペナルティエリアに人が入るのを待った。

結果的に、ベルナルド・シルバの内巻きのクロスの線上にマンチェスターシティの選手が何人も入ることができた。

3点目に関しても右サイドで時間を作ったのはベルナルド・シルバ。

左足で相手の入れない間合いでボールをキープし、ペナルティエリアの付近まで侵入したことで相手DFラインはグッと下がった。

 

 

続いて、ハーランド

多少狭くても強引に二人ぐらいははがして前に進めるフィジカルとアグレッシブ

得点の取れるタイミングでゴール前に入れる嗅覚

そして、チャンスと感じるやパサーを信じて前に走るダイナミズム

 

あぁ、これこそがFW。

ストライカーだ。

 

3点目の直前に訪れた決定機。

きっと本人は決めたかっだろうし、決めてくれよと思ったが、

「デブライネにパスが入りました」の“た”ぐらいにはもう走り始めていたし、一切後ろを見てなかったのが印象的だった。

ゴールしか見ていない気持ちが伝わってきた。

 

ちなみに、じゃあそれ以外のプレーはどうなのかというと、わりと下りてボールうけるときもあったりする。

ロングボールも競ってくれるし、ターゲットになれるので、ハーランドのいるレーンに無理に人を増やさなくてもボールが回る。

その分デブライネはトップ下や右サイドに回る回数が増え、ギュンドアンは気兼ねなくゴール前に顔を出せる。

 

そういえばギュンドアン

コミュニティシールドでスタメンじゃないことに良いと思っていなかったとのこと。

ここからの怒涛の貢献はさすがである。

 

そして最後にデブライネ

ハーランドの決定機を作り出したトラップとルックアップからのスルーパスまでが速かったプレー。

3点目のベルナルド・シルバへの股抜きスルーパスは時間を作って、DFへの視線を誘導した。

ということだが、昨シーズン終盤から洗練されたデブライネのプレーは今シーズンもずば抜けている

 

キックの質は当然だが、個人的にはドリブルの質がさらに高まったような気がする。

前を向いて一人はがす意識と、1つ目の持ち出し方に変化が出たように感じる。

 

ボールを持ち出す足をよりDFのタックルを受ける位置までスライドするようか運び方。

今シーズンは中央で前を向いて即スルーパス、もしくはピッチ右側で一人はがして前進という姿が見られそう。

 

 

本日は以上。

ここまで読んでくれた人で、まだ、この試合を見ていないという人はぜひSPOTVNOWかcity+に加入して、ぜひ見てもらいたい。

 

SPOTVNOWってなに?

city+ってなに?という人は下記のブログを参照してほしい。

 

tadashicity.hatenadiary.jp

 

プレミアリーグで熱くなろう。

 

それでは!

レアルマドリード 第1節 アルメリア戦

こんにちは。

tadashiです(ただし (@tadashi0716) | Twitter)。

 

ラ・リーガ開幕。

開幕前ラ・リーガを賑わせたのはバルセロナ。放映権を売りさばき、レヴァンドフスキやハフィーニャ、ケシエ、クンデ、クリステンセンと補強を敢行した。

シャビバルサは意地でもタイトルをマドリーから取り返したいらしい。

そのバルサも開幕戦は引き分け。

マドリーは先にいかせてもらいます。

 

では、目次

 

 

 

 

5-3-2の良いところ

開始6分の先制点は、マドリーではなく、アルメリア

昇格組のアルメリアが昨シーズンの王者マドリー相手に先制したのは試合をより面白くしてくれた。

 

ゴールを決めたラマザーニと前線で起点になったサディク。

スピードかありシュートのうまいFWと手足が長く背も高いフィジカルFWの組み合わせは成熟してないマドリーDFラインには少しきつかった。カゼミーロも出ていない。

 

失点のシーンは、そのラマザーニが2列目から飛び出してオフサイドをかいくぐったのはハイライトでも見て取れる。

 

問題は3つあった。

 

・ナチョがサディクにつられすぎた

・左SBメンディーが絞れてなかった

・リュディガーがマークを受け渡したあとにボーッとしていた

 

 

アルメリアの左SBからパスが出る2、3手前に

リュディガーがマークしていたのはおそらく中盤の選手。スルスルとマドリーの右サイドにずれ、リュディガーはルーカス・バスケスに託す

その時にはサディクが降りてパスを引き出そうとしている。

ここにナチョがついていったことでDFラインが凸凹になる。ルーカス・バスケスとナチョのライン、リュディガーとメンディーのライン。

そしてアルメリア左SBにパスが出たときにはラマザーニがリュディガーの横をすり抜けた。

 

試合開始からこのDFラインにけっこう不安を感じていたがばっちり当たったような守備だった。

 

 

さて、アルメリアの5-3-2に話を移そう。

アルメリアが今日のマドリー相手に用意した5-3-2は、前半だけで見れば思ったよりもマドリーに対して善戦していた。

用意したというのは、これまでアルメリアは4-2-3-1で2部を戦っていて1部での戦いのための布陣だと思ったからだ。

 

マドリーが相手にポゼッションされることを嫌がらないチームとはいえ、WBをマドリーのWGとSBの間に置き、キーパーから直接到達させる前進方法は非常に効果的。

パスコースがなくなったときの長身サディクへのロングボールという逃げ道も確保するというのもばっちり。

守備ではぎりぎりのとこで体を投げ出していてシュートをシャットアウトしていた。

 

5-3-2はWBを下げさせられて左右に揺さぶられると中盤の3枚がどうがんばってスライドしようともいずれ無理が出て崩されるパターンマンチェスターシティの試合でよく見られる。

しかし、マドリーは左右の幅をそんなに大きく使わないでヴィニの裏抜けなんかにパスを出してしまうからアルメリアもたぶんそこまで脅威を感じなかったはず。

 

 

若手の成長と勝利の天秤

アンチェロッティが「若手を起用する代償は喜んで支払うさ」と言っていた記事を読んだ。

勝利が至上命題のマドリーにおいて監督がその姿勢をもってくれてるのは今後訪れる盛大な世代交代に対して先手を売ってくれてるからとてもありがたいし、素晴らしいマインドだと思う。

 

マドリーが5年後まだ頂点にいるためにはモドリッチやクロースががんばることより、カマヴィンガやチュアメニが成長するほうがはるかに大事だ。

 

ただ、この試合を見ていた人たちは少しだけ気になったと思うんだけど、なんとなくなーんとなくカマヴィンガとチュアメニがキャラクター被ってるように感じた。

ロングホールとか縦パスとか成功はしてるんだけど、タイミングが近いというか、二人いるのにリズムが同じというか。

ここにゆったりとしたリズムでパスを送るクロースで中盤が構成されたもんだから、攻撃はあまりうまくいかなかった。

 

Twitterでも見かけたけど、クロースにはピルロになってもらうしかない。あのメンバーであれば。

 

ちなみにチュアメニがマドリーに来てすぐリーグでスタメンなのは当然期待の表れだと思うけど、ちょっと守備のときのタイミング悪いなと感じた。まだベストコンディションじゃないのだろうか。

合わせてこいよ。マドリーだぞ。

 

 

後半の変更点

さすがレアル・マドリー

前半0-1で後半2-1。見事な逆転勝利。

 

後半さっそくカマヴィンガを変えてモドリッチを投入。

もうさすがです。

リズムを見事に変えてくれた。

モドリッチはアウトサイドのパスがあるから嫌でも相手のタイミングがずれて、アルメリアの守備が少しずつ間に合ってこなくなったのがわかった。

 

次に入ったのがアザール

チュアメニを変えて、バルベルデをインテリオールに下げてクロースをピボーテに。

右サイドは前半と変わらず、ルーカス・バスケスバルベルデが担当して、アザールベンゼマの近くで2トップ気味にプレー

ドリブルのキレはたしかに減ってきてはいるけどやはり狭いところでのプレーはまだまだ健在。

モドリッチ、ヴィニ、ベンゼマアザールの小気味よいパス回しでアルメリアを制圧していった

 

最後はダビド・アラバ

投入後すぐさま蹴ったフリーキックが美しい軌道でゴールマウスに吸い込まれる。

どのチームもレジェンド退団後の背番号問題に悩まされる中でアラバほどすんなりと収まった選手はいない

もうマドリディスモを体現してやがる…!!そうでなければクロースがいるのにフリーキックは蹴らない。

 

 

素晴らしい逆転劇で今シーズンもマドリーは強いなと思ったところで、最後の感想。

 

アザールがあの形で使えるとして、アンチェロッティがあの形を多用したら右サイドのロドリゴとアセンシオは起用されにくい

アザールが中に入っていく以上、右サイドは二人でなんとかしないといけない

 

ロドリゴにはインテリオールの振る舞いをしながら右SHはできないだろうし、アセンシオのインテリオール起用は昨シーズン序盤で打ち切っている

アンチェロッティのことなので、うまく使い分けるとは思うけど、この試合の後半のメンバーで逆転したのをベンチから見ていた二人の心境はいかに。

 

 

それにしてもバルベルデルーカス・バスケスの右サイドの組み合わせは非常にマッチしていて良かった。

押し込まれればバルベルデがWB的に下がれるし、バルベルデがWGの時は一時的に縦の二人のポジションが入れ替わってもいいバルベルデがサイドに張り、ルーカス・バスケスがインナーラップしても効果的で、その役割が逆になっても成立する。

どこでもがんばれる選手を二人組み合わせることで、新たな選手起用の幅を作り出すアンチェロッティもマドリーと同じぐらいさすがだった。

 

 

次の試合で気になるのがCBをどう組み合わせるか

この試合では、得点が欲しくて左SBにアラバを入れたが、アラバはCBでのプレーを希望している

チャレンジ&カバーが基本のCBで、チャレンジするCBが多すぎるのが今のマドリーの課題の一つだ。

リュディガーもミリトンも、意外にもナチョもチャレンジタイプのCBだ。(バジェホは知らない)

やはり今シーズンもミリトンとアラバがファーストチョイスになるだろうと感じるDFラインではあった。

 

 

今シーズンもラ・リーガが始まった。

今シーズンは途中でワールドカップを挟む特殊なシーズン。疲労がどう影響してくるか。

マドリーで給料がもらえれば良いマリアーノ幸運のオドリオソラなどもどこかで出場せざるを得ない事態がやってくる。

昨シーズン以上に困難なシーズンになりそうだ。

 

それでは!

AbemaかSPOTVマンチェスターシティの試合を見る方法

こんにちは。

tadashi(ただし (@tadashi0716) | Twitter)です。

 

日本の夏は暑いですね。

プレミアリーグはもっと暑い!

 

ということで、プレミアリーグが開幕しました。

実はマンチェスターシティの開幕戦。ウェストハムとのゲームは観戦するメディアを決めておらずリアルタイムでの視聴ができませんでした。

 

今回は同じようにマンチェスターシティの試合は結局どうやって見るのが良いの!?と悩んでる人のために少しだけ遅いですが、まとめてみました。

 

まとめるにあたっては、費用、視聴環境、情報量、ライブ中継の有無、見逃し配信の有無を考慮しました。

 

それではどうぞ。

 

 

 

 

SPOTV NOW

www.spotvnow.jp

 

■費用

月額1,300円となります。(年額9,900円)

 

■視聴環境

PC、androidiPhoneスマホアプリあり)

 

■情報量

試合中継のみで、スカッドなどの情報はなし。

 

マンチェスターシティのライブ中継

SPOTV NOWはプレミアリーグ全試合独占配信なので、マンチェスターシティの試合ももちろんライブ配信があります。

 

■見逃し配信

少なくとも1週間は視聴ができそうでした。

 

Abema

abema.tv

 

■費用

無料ですが、広告などが入ります。

広告などのないプレミアム会員(960円/月)のプランもあり。

 

■視聴環境

PC、androidiPhoneスマホアプリあり)

 

■情報量

SPOTVと同じ

 

■ライブ中継

マンチェスターシティのライブ中継はかなり限られている印象です。

Abemaでは、アーセナルやブライトンの試合がメインになるようで、特にアーセナル全試合無料配信を売りにしています。

マンチェスターシティは2022年8月12日現在で、次の配信は8月27日のゲームです。

 

 

■見逃し配信

8月6日のアーセナルの開幕戦が明日まで視聴が可能だということから1週間が見逃し配信の期間です。

 

 

ManCityApp

www.mancity.com

 

■費用

基本は無料。

city+に加入する場合は月2.99€。

 

■視聴環境

AndroidiPhone

 

■情報量

無料のままだとしてもマンチェスターシティに関するニュースが読めます。

些細なニュースから試合結果、移籍の話までマンチェスターシティを追っている人であれば十分すぎる情報量だと思います。

注意点は、英語というところと確実な情報しか出ないので噂好きの人には物足りないかも。

 

■ライブ中継

無料のままでは中継は見られません。見逃し配信も不可です。唯一、試合にあわせたラジオ中継のみ聴くことができます。

city+に加入したとしてもライブ中継はないようです。

 

■見逃し配信

無料では見られません。

city+に加入することで、いつでも視聴できるようです。

ハイライトについては無料でもcity+でも視聴可能ですが、見られるハイライトの種類が異なるようです。

 

 

結局何がいいのか

長々と事実だけを並べてみましたが、実際のところマンチェスターシティの試合を見たいのであればどのメディアが良いのでしょうか

 

ポイントは以下の2つ

マンチェスターシティの試合を常にリアルタイムで視聴したい

・時間帯的にリアルタイムは無理だけど試合はフルで視聴したい

 

 

常にリアルタイムで視聴したい人

常にリアルタイムで、熱狂と興奮を味わいたい人は間違いなくSPOTVです。

マンチェスターシティの試合だけでなく、イングランドプレミアリーグ全試合配信スコットランドスコティッシュプレミアが毎節1試合配信します。

ビッグ6のゲームや三笘のゲーム、古橋含め日本人が複数人所属しているセルティックのゲームが見られるのでマンチェスターシティが一番だけどサッカー観戦が好き!という人ならSPOTVを契約するのが良いでしょう。

少しだけDAZNより画質が悪いかもしれません。

 

自分のタイミングで視聴したい人

リアルタイムで見るには仕事や予定があるので難しいけど、マンチェスターシティの試合はフルで絶対に視聴したい!という人にはManCityAppをダウンロードしてcity+に加入するのがおすすめです。

試合だけでなく、ペップの試合前インタビュードキュメンタリー映像、EDSやWOMEN‘Sの試合(こちらはリアルタイム)も視聴できるので、マンチェスターシティを網羅したい方は絶対にこちらです。

 

 

 

番外編

DAZN

www.dazn.com

 

プレミアリーグの配信を事前通告なく失い、新シーズンになった途端にプレミアリーグフリークス以外のプレミアリーグのコンテンツが消えたことで契約者から大きく批判を受けたDAZN。一応、事前に予告なくコンテンツが変わるというのは書いてあるので契約違反ではない。

他には有料会員しかコンテンツが見られないのに広告が入り、しれっと値上げを行ったのも記憶に新しい。

 

それでもサッカーのコンテンツの魅力は他にの追随を許さない。

 

DAZNで視聴可能なリーグ

Jリーグ(J1、J2、J3

AFCチャンピオンズリーグ

ネーションズリーグ

ラ・リーガ

セリエA

リーグ・アン

ポルトガルリーグ

○ベルギーリーグ

カラバオカップ

○BFDポカール

コッパ・イタリア

 

などの試合だけでなく

 

フットボールタイム

セリエAフリークス

プレミアリーグフリークス

ラ・リーガフリークス

Jリーグプレビューショー

Jリーグジャッジリプレイ

 

とコンテンツはもっとも多いです。

 

月額費用は3,000円となります。

PC、AndroidiPhoneなんでも見ることができます。

 

 

WOWOW

wod.wowow.co.jp

 

WOWOWではラ・リーガを毎節ピックアップした5試合をライブ配信で視聴することができます。

それだけではなく、チャンピオンズリーグヨーロッパリーグは独占配信、昨シーズンはU21のヨーロッパ選手権やユーロまで見ることができます。

 

月額2,530円ですが、チャンピオンズリーグヨーロッパリーグが見られる点を考慮するとそれだけの価値はあります。

 

WOWOWオンデマンドを契約すればAndroidiPhoneでもPCでもご自宅のテレビでも視聴可能です。

 

 

スカパー

soccer.skyperfectv.co.jp

 

最後はスカパーです。

僕が小さい頃からスカパーはありましたね。昔はスカパーでチャンピオンズリーグなどを放映していた時代もありました。

 

スカパーでは、ブンデスリーガが目玉コンテンツです。

その他にはルヴァンカップ天皇杯

 

月額はブンデスリーガだけであれば980円ルヴァンカップ追加で2,350円、天皇杯をさらに追加すると2,480円となります。

 

また、WOWOWとのセット契約もあり、こちらは月額4,680円と330円お得に契約することができます。

 

Amazon Prime Videoチャンネルでも視聴できるのは良いですね。

 

 

tadashiの契約例

僕が現在検討しているサッカーメディアの契約例を最後にご紹介します。

ぜひ参考にしてください。

 

【tadashiの契約】

DAZN

・SPOTV NOW

・ManCityApp

WOWOW

 

 

DAZN

値上がり前の今年の2月に年間契約しました。プレミアリーグの配信がなくなりそうという前情報はありましたが、セリエAや各種フリークス、フットボールタイム、カラバオカップ、そしてJリーグが見られるので契約しておいても無駄にはならないと判断しました。

 

SPOTV NOW 月額支払

マンチェスターシティだけでなく、プレミアリーグ全試合配信というのはそれだけで魅力。

Abemaの無料も検討しましが、マンチェスターシティはあまり優先度が高くないようですやめました。

 

ManCityApp

マンチェスターシティのニュースを読みたいと思い、アプリをダウンロードしました。city+は現段階では考えていません。

ハイライトが見られるし、ニュースも読めるし、非常に重宝しています。

 

WOWOW 月額支払

ラ・リーガチャンピオンズリーグヨーロッパリーグが見られるので契約しています。

WOWOWは僕のサッカー観戦の礎を築いたメディアでもあるので心のWOWOWです。

実は2500円ほどの月額料金で、これらサッカーだけでなく、邦画洋画、音楽ライブが見られるのでものすごくお得です。

 

 

 

ここまで、マンチェスターシティの試合を見ることのできるメディアをご紹介いたしました。

それぞれのリンクから契約までたどり着くことができると思いますので、気になった方はぜひとも楽しいサッカーライフ実現のために行動してみましょう!

 

未成年の方は、この記事を見せて、ご両親を納得させて契約にこぎつけましょう。

 

それでは!