マンシティの少しだけ未来のことを話そう
こんにちは。
tadashiです。
突然ですが、みなさまの働いている職場の平均の退職年齢はどれぐらいですか?
長く長く働いていた人たちが抜けたあと、企業は基本的には退職した人よりも若い人を雇おうとしますね。
雇ってもすぐ退職になってしまっては採用にかかったコストとのバランスが悪くなるからです。
しかし、これまで働いてくれた人にはその業界や職種での経験と技術、知識がある。
新しく入ってくる人にそれらが備わっているかは正直わかりません。
新しい人、それが若い人であれば、これから長く働いてくれるメリットと技術を一から伝えていくデメリットがあります。それを退職前に継承できれば問題はありませんが。
さて、今日のテーマは世代交代
サッカーだけでなく、どのスポーツでも、スポーツだけでなくとも関係のある世代交代。
今の組織の機能はそのままに世代交代が行えれば最高ですが、現実はなかなか難しい。
私のもう一つ愛するチームレアルマドリードは、世代交代はできず今でもセルヒオ・ラモス、モドリッチ、クロースを酷使しています。勝てるからいいんですけど。
そこで今回は私の愛するマンチェスターシティの5年後に焦点をあて、シティの課題と世代交代の必要なポジションをアカデミーや元シティのプレイヤーを当てはめられるかなどとあわせて警鐘を鳴らしていきたいと思います。
- 現在のスカッドと5年後
- コンパニーとダビド・シルバの後継者は現れたか
- 現状と課題
- 純粋な選手のいないサイドバック
- 決定的な仕事のできるアンカーが必要かどうか
- 問題を先送りにしたインサイドハーフ
- ザネを思い馳せるウイングというポジション
- アグエロの退団で陥るストライカー不在
- 武者修行中の逸材たち
- EDSに目を向けよう
- まとめ
現在のスカッドと5年後
未来をとやかく言う前に現在のスカッドを年齢に焦点を当てて、整理してみたいと思います。
まずは、各選手の年齢を表にしました。
ポジション | 年齢 | |
Gk | Zack Steffen | 25 |
Ederson Moraes | 27 | |
Scott Carson | 35 | |
DF | Kyle Walker | 30 |
Ruben Dias | 23 | |
John Stones | 26 | |
Nahan Ake | 26 | |
Aymeriv Laporte | 26 | |
Benjamin Mendy | 26 | |
Joao Cancelo | 26 | |
Phillipe Sandler | 24 | |
Eric Garcia | 20 | |
Oleksandr Zinchenko | 24 | |
MF | Ilkay Gundogan | 30 |
Rodrigo | 24 | |
Kevin De Buryne | 29 | |
Bernardo Silva | 26 | |
Fernandinho | 35 | |
FW | Raheem Sterling | 26 |
Gabriel Jesus | 23 | |
Sergio Aguero | 32 | |
Riyad Mahrez | 30 | |
Phill Foden | 20 | |
Ferran Torres | 20 | |
average | 26.375 |
※ポジションは、今シーズン多く使われているポジションでわけています。
全選手の平均年齢は約26歳。プレミアリーグでは6番目に若い数字です。
続いて各年代の割合を見ていきましょう。
20代後半の選手が42%とほぼ半数を占めています。
また、マンチェスターシティの特徴は10代の選手がいないということです。
(今シーズンはデラップなどアカデミーの選手が出場していますが、ノーカウントとしています)
ちなみにマンチェスターシティの年齢の最頻値は26歳で実に7人の選手がいます。
最高齢がフェルナンジーニョで35歳、
最も若い選手がフォーデンとフェラントーレスの20歳となります。
今シーズン35歳のフェルナンジーニョと32歳のアグエロの退団がほぼ決定的なので、さらに平均年齢は下がると思われます。
続いてポジション別の年齢構成。
GK | DF | MF | WG | ST |
29 | 25.1 | 28.8 | 24 | 27.5 |
これはMFがもっとも高く約29歳。ロドリ以外は30近い選手が多いです。
現在の整理ができたところで、今回のテーマである少し先の未来の話に焦点を当てましょう。
ここでは、少し先=5年後として、年齢を整理してみます。
平均年齢は31歳
最頻値も31
若かったフォーデンとフェラントーレスは25歳となり、MFの平均年齢は34歳となります。
5年後なので当たり前ですし、この5年間があれば監督は変わり選手は半数は入れ替わるはず。
時間の経過と共に選手たちは歳を重ねていくことをここでは伝えておきたい。
コンパニーとダビド・シルバの後継者は現れたか
闘志あふれるキャプテンだったコンパニーとプレーで味方を鼓舞する静かなるリーダーダビド・シルバ
この二人がいなくなったあとにシティには後継者が現れたのか。
■ルベンディアス
人々はみな彼のことを過小評価していたと思う。
シティ史上DF最高額での移籍となったこのポルトガル人は、出場早々から味方を鼓舞する姿が見られました。
良い守備をした時にはハイタッチを求め、チームの士気を高めるルベンディアスの姿に、我々はコンパニーを見たはずです。
ダブルボランチの一角でプレーしていた昨シーズンやシーズン序盤の姿はどこへ、というぐらいゴール前に何度となく顔を出してゴールを量産。
プレミアリーグ12ゴールはチーム1位。
ダビド・シルバと同じ役割ではないにしろ、ダビド・シルバと同等の勝利への貢献を見せています。
現状と課題
それではマンチェスターシティの抱える課題をあげる前に、マンチェスターシティの各ポジションの役割を簡単におさらいしておきましょう。
ゴールマウスに張り付くのは厳禁
セービングは当たり前で、ビルドアップにも関与する
ボール保持を第一に考えるので、パスが出せない選手はノーサンキュー
縦パスを常に狙い、パスコースがなければドリブル
サイドラインに張り付いた上下動はしない
ビルドアップの中心になり、相手陣内深くまでは出ない。
被カウンター時はファーストディフェンダーとしても機能する。
- アンカー
サイドバックと共にビルドアップを担う
縦パスを入れるよりはサイドチェンジに従事
自分がダメなら動いてパスコースを作り出せ
ハーフスペースに常にいろ
CB-SB間に走ってペナルティーエリア深くを狙う
守備時は前に出るかアンカーに並ぶ
- ウィング
大外に張り出してサイドチェンジを受ける
1対1よりもワンツーで仕掛ける
逆サイドのクロスに詰める
- ストライカー
縦パスを足元で受ける
ゴール前に顔を出す
サイドには流れない
これからお話しするのは、戦術的なものではなくあくまでスカッド上の課題です。
今後、少しだけ未来のことを考えたときにどこに問題が出てくるかを考えます。
ブラジル代表エデルソン、アメリカ代表ステッフェン、ベテランのスコットカーソンがいるGKは、シティの中でもっともバランスの取れたポジションです。
また、CBに関してもルベンディアス、ストーンズ、ラポルト、アケとこれから数年間はトップフォームを維持できる年齢の選手がそろっているので
だれかが他チームに移らない限りは何の問題もありません。
しかし、残りのポジションには何かしらの問題が存在します。
以下ではその問題をポジションごとに明らかにしていきたいと思います。
純粋な選手のいないサイドバック
ペップの下でプレーするサイドバックは、サイドバックであることを時に忘れてしまうことがあります。
ビルドアップの中心として、アンカーと横並びになったり、幅を取ってサイドチェンジの機会を作り出したり、ペップの考えるサイドバックはペナルティーエリア深くに侵入することは数えるほどしかありません。
現在のシティのサイドバックは、ウォーカー、カンセロ、ジンチェンコ、メンディーの4人。
加入当時は純粋サイドバックだったウォーカーも今ではすっかりペップ仕様のサイドバックとなり、
モナコでぶいぶい言わせていたメンディーは、怪我の影響により、なんとも言えないサイドバックとなっています。
ということで、シティにはここで改めて純粋に縦に推進力のあるサイドバックをチームのオプションとして考えてもいいのではないでしょうか。
世代交代として考えるとけっこう若いんですね。ジンチェンコなんてまだ24歳。他のポジションが埋まって、余力があれば右SBとも思ったんですが、後述するジローナにヤンコートがいます。
決定的な仕事のできるアンカーが必要かどうか
マンチェスターシティには、現在2人のアンカーがいます。
ロドリとフェルナンジーニョです。
ロドリは今シーズンもほぼフル稼働。
左右にボールを散らし、相手のスライドを間に合わせないようにしています。
フェルナンジーニョの年齢的にフル稼働が厳しい中、しっかりとその役目を果たし、試合中も常にシャツをインしているロドリはいてもらわないと困るプレイヤーです。
が、しかし、それこそが問題でもあります。
フル稼働できないフェルナンジーニョとロドリの2枚でシーズンを戦ったマンチェスターシティは、来シーズンのフェルナンジーニョが退団した場合残された選手はロドリのみ。
今さらギュンドアンをアンカーで起用するのはおそらくリージョが許さないので、補強は必須です。
では、補強を考えたときにどんなプレイヤーが必要なのでしょうか。
私は、タイトルにもあるように、「決定的な仕事のできるアンカー」が必要だと考えています。
サッカーにおける決定的な仕事。それは得点です。
パスを左右に散らせる選手がもう一人いてもプランAが2パターンできるだけ。今のシティに必要なのはプランBです。
そうです。
勘の良い人は気づくはずです。
シティには、拮抗した展開でペナルティーエリアの外から得点を決められるミドルシュートをもつアンカーが必要なのです。
ロドリがそこまで成長するかは置いておいて、世代交代の必要性は、ロドリのバックアッパーとして選手を揃えることに意味がありそうです。
問題を先送りにしたインサイドハーフ
第13節の今季初ゴールからコンスタントに得点を重ねたギュンドアンは、IHのポジションで後半戦輝きを取り戻しています。
偽SBによる背後のフォローを受けたギュンドアンは試合中何度となくゴール前、ペナルティエリア内に顔を出し、決定的な仕事を繰り返しています。
ギュンドアンが高い位置を取ることにより、相手のマークが分散され、怪我から復帰したデ・ブライネも少し楽しそうに、自由にプレーできていることも感じられます。
これはまさに昨シーズンと今シーズンの初めを比べたときにマンチェスターシティに足りなかった部分です。
シーズン開幕前に、私は24歳のジンチェンコをダビド・シルバの後継者として期待しているブログを書きました。
また、20歳のフォーデンもIHとしてポテンシャルは十分のはずでした。
しかし、ジンチェンコは左SBでシティでの位置を確立し、フォーデンもその攻撃センスを買われ、WGとしてコンスタントに試合に出るようになりました。
(ジンチェンコは14試合出場うち11試合が先発、フォーデンは21試合出場うち14試合が先発)
ダビド・シルバの後継者とはなれなかったにしても攻撃的な存在として今シーズンシティを支えている選手が、そこまで歳の離れていないギュンドアンで果たして本当に大丈夫なのでしょうか。
未来の中盤構成を考えたときに、ダビド・シルバ、ギュンドアンに続くことができるのでしょうか。
今シーズンこれまでのシティはほとんどの試合を4-3-3のシステムで戦っています。
しかし、その中で時折4-2-3-1のダブルボランチのシステムを採用することがありますが、このときは例外なくIHを休ませる必要があるときなのです。
上述していますが、本来IHでも使える2人の選手が別のポジションで輝いているので、シティのIHは、ギュンドアン、ベルナルドシルバ、デブライネの3人のみ。
シティのように複数のコンペティションを同時にこなすチームではこの控えの少なさは致命的です。
今後も、プレミアリーグ、CL、カラバオカップ、FAカップを戦っていくことを考えるのであれば最重要課題は年齢構成が高く、控えの薄いインサイドハーフです。
ザネを思い馳せるウイングというポジション
マンチェスターシティのウイングはいつしか1対1で縦に仕掛けることが極端に減ってしまった。
大外でボールを受けて、相手を引きつけて後ろに下げ、サイドチェンジが行われたらゴール前に入っていく。
ウイングとは何か。
もしくは、サイドでボールをキープして、カットインからラストパス、もしくはシュート。さらには、ボールをキープしてIHのチャンネルラン(CBSB間を走る)にスルーパス。
ウイングとは何か。
いつの間にかマフレズもスターリングも縦に仕掛けることがなくなり、 なんだかテクニックのある中盤の選手が大外に張っているような感じになってしまっている。
もっと相手の守備組織をはちゃめちゃにできる選手がいてもいいと思っています。
しかし、年齢構成で言えば若い。30歳になっているのはマフレズぐらいです。
世代交代の観点から言うと、そこまで急務ではないかもしれません。
アグエロの退団で陥るストライカー不在
次に課題となるのがストライカーのポジション。
2021年4月に、正式にアグエロの退団が発表された。
11シーズン在籍したチームを離れ、新たな挑戦をするアグエロを尊重したいし、ありがとうと伝えたい。
振り替えればシティズンの中では、伝説のQPR戦の「あぐえろおおおおおおおお!!」が永遠に心に残り続けるだろうと思います。
そのアグエロが来シーズンからいません。
シティは、早急にストライカーの獲得を検討しなければいけません。
マンチェスターシティには、すでにジェズスというブラジル人ストライカーがいますが、ブラジル代表でもウイングをやったり、シティでも下りてきてビルドアップに関わることも多いジェズスは、アグエロの後釜という感じではないですね。
21試合出場で、8得点はやはり少し物足りない。
しかも、ヒートマップを見るとアンカー付近まで色濃くなっており、ゴール前に顔出すストライカータイプではないということもわかります。
むしろ今のシティではギュンドアンの方がストライカー的な顔の出し方をしていますね。
前線の選手が得点を取るというシンプルなチームが結局のところ一番強い。
このポジションは世代交代関係なくインサイドハーフと同様に層が薄いです。
ですが、フロントとペップはいまいちホーランホーランというわりに、デラップやジローナにローンで出しているパブロモレノなんかを考えているかもしれません。
武者修行中の逸材たち
マンチェスターシティは、世界各国にスカウトを派遣し、若い選手を買っておき、レンタルなどで経験を積ませる前に売却するマネジメントを行っています。
トップチームでのプレーを経験していない選手の売却で200億円を稼いでいるとも言われています。
ここでは、シティに所属していた(もしくはレンタル)選手で、現在欧州1部レベルで活躍している選手をあげたいと思います。
■アンヘリーニョ(RBライプツィヒ:完全移籍)
■ジャック・ハリソン(リーズ:レンタル)
■板倉滉(フローニンゲン:レンタル)
他にもジローナに多くの選手がいます。
EDSに目を向けよう
Elite Development Squadというマンチェスターシティの育成チームをご存知だろうか。
プレミアリーグ2を主戦場とするこのEDSにはトップチーム昇格を目指して奮闘する若き才能がプレーしています。
その中で1人選手を紹介したいと思います。
■デラップ
ロングスローを武器にストークなどで活躍したロリーデラップの息子。
フォワードとしてEDSでプレーしており、現在17試合20ゴールと大活躍。
プレミアリーグでも第3節に1度だけ試合に出場した。来シーズントップチーム入りが噂されているので、ぜひ期待したい選手です。
まとめ
では、まとめです。
今回は、マンチェスターシティが少しだけ未来にどんな問題があって、どんな補強が必要かをだらだらと書きました。
ポイントを以下にまとめて終わりにしたいと思います。
■年齢的な課題
■戦術としての課題
- 最重要課題はやはりインサイドハーフ
- 次点はウイングですね
■各ポジションに必要な役割
・純粋なSB:ディーニュ(エバートン)、チルウェル(チェルシー)
・ゴールも決められるアンカー:ライス(ウェストハム)、ドウグラスルイス(アストンビラ)、シェルビー(ニューカッスル)
・インサイドハーフの層を厚くしよう:フォーデン(マンシティ)、グリーリッシュ(アストンビラ)
・1対1で勝てるウィング:サンマクシマン(ニューカッスル)、マーチ(ブライトン)、ネト(ウルヴス)、ジャックハリソン(リーズ)
シティに所属していた選手でも優秀な選手がいます。ローンであれば戻す手段もあります。
CFG(City Football Group)傘下のジローナにもヤンコートやパブロモレノがいます。
EDSをそろそろ自チームの向上に繋げてもいいかもしれません。第二のフォーデンが出るのか。デラップやドイル、パーマーに期待しましょう。
UEFAやマドリーのペレス会長のこの数日の動きにより、UEFAが絶対ではないと私みたいな頭の悪い人でもわかるようになりました。特に日本のサッカーファンには衝撃だったと思います。
プレミアリーグは残り5試合
今朝の試合もなんとか勝利したシティは優勝目前。
応援するとともに、来シーズン、さらにその先を少しだけ想像してみてください。
それでは!
エル・クラシコ ジダンが奏でたピッチと選手の協奏曲
こんにちは。
tadashiです。
本日は世界中が注目する一戦エル・クラシコのレビューになります。
レアルマドリードのレビューは初めてです。
人生で初めて好きになったクラブチームのレビューをするのは少し心配になります。
久しぶりに両チームが好調な状態でぶつかる試合でしたので、非常に楽しみでした。その、期待通りの試合になったことがとても良かったです。
リーグテーブルでは、バルセロナが2位、レアルマドリードが3位です。首位のアトレティコを追う2チームというのは13-14シーズンのアトレティコ優勝のとき以来でしょうか。(記憶曖昧)
勝った方がアトレティコとの優勝争いを演じることができる素晴らしいタイミングでの試合。だれも手を抜くことのない試合。気を抜いたほうがやられる緊迫したゲームになりました。
※リーガのレビューになりますが、ピボーテ=アンカー、インテリオール=IH、ラテラル=SB,WBと表現いたします。
エル・クラシコ
スペイン語で「伝統の一戦」を意味するこの言葉は、スペインではレアルマドリードとバルセロナが戦う試合で使われる。
スペインの首都であるマドリードと、カタルーニャ州にあるバルセロナ。
否が応でも政治的な側面を想像してしまう。このレビューでは、そういったしがらみについては書くことはしないけれど興味があれば調べてみてほしいと個人的には思います。
さて、この両チーム。初めての対戦はスペイン選手権(今のコパ・デル・レイ)で、1902年までさかのぼる。さすがにここでのエピソードは持ち合わせていないが、もうすでに100年以上の歴史がこのエル・クラシコにはあると思うと、時間の遠さと歴史の重みに踏みつぶされそうになる。
最初の対戦はバルサが3対1で勝利を収めている。
これまで公式戦では245試合を戦っており、レアルマドリードの98勝52分96敗。
極端に勝ち越しているということもなく均衡していることがわかります。
私個人の思い出は、マドリーに在籍するフィーゴがコーナーキックのときにペットボトルやらなんやらをカンプノウのバルサファンから投げられている姿とロナウジーニョのプレーにベルナベウがスタンディングオベーションを見せたことですかね。
熱心にリーガを見ていた時代は、むしろバルサの方が目立っていて、それでもマドリーを応援していたのは、当時在籍していた選手たちに憧れに似た感情を抱いていたからだろうと思います。
私の中ではやはり
ミチェルサルガド
イバンエルゲラ
イエロ
ロベルトカルロス
ラウール
の11人が史上最高でした。
マケレレが無情にも放出され、イエロ、ラウールといなくなっていったマドリーには、大げさではなく絶望したことを今でも覚えています。
直近5シーズンの戦績
■勝利数
バルセロナ:6
レアル・マドリー:5
引き分け:4
■シーズン別成績
15/16:バルセロナ1勝、レアル・マドリー1勝
16/17:バルセロナ1勝、1引き分け
17/18:バルセロナ1勝、レアル・マドリー2勝、1引き分け
18/19:バルセロナ3勝、1引き分け
19/20:レアル・マドリー1勝、1引き分け
20/21:レアル・マドリー1勝
15/16、16/17、17/18シーズンはレアルがCL優勝
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム レアルマドリード 4-3-3
セルヒオ・ラモスとカルバハルが怪我、ヴァランがコロナ陽性のため出場不可。ディフェンスラインが壊滅するかと思いきや、銀河系を陰で支えたナチョがこのマドリーの危機を救い続けています。
この試合もナチョはスタメン。
右WGはここ最近好調だったアセンシオではなく、ヴァルベルデをチョイス。
■アウェイ バルセロナ 3-5-2
最適解を見つけたクーマンの3-5-2。
ピケの怪我以外は考えられるベストメンバーだと感じました。注目したいのは10代ながらメッシから信頼されるペドリです。
それにしても怪我をしていないデンベレというのは違和感がとてつもないです。今までの給料分を1シーズンで返しほしいと私がバルサファンなら思います。
ジダンが見せたバルサ対策
試合の入りは予想通りボールを持つバルサとそれを受けてたつマドリーでした。
バルサの配置
バルサとマドリーの配置を上の図で表しています。
バルサの狙いはメッシのライン間活用。両WBにマドリーが釣られ、そこで生まれた中央のスペースを使うことを意識。と、言いつつも前半3分でデンベレが2度マドリーDFの裏に飛び出したシーンがありました。バルサのポゼッションに食いつくならデンベレがいます、というあいさつ代わりの飛び出しでした。
この日のマドリーは前からプレスをかけていたので、中盤とDFの間が広がり、カゼミーロのいるエリアを浮かせようとしたのかもしれません。
9分のメッシからアルバへのパスは、カゼミーロの脇でかつライン間で受けたメッシが右から中央にドリブルしたことで生まれたチャンスでした。
後述しますが、ベンゼマの得点の前後からマドリーは守備時5-4-1となりアルバをヴァルベルデでマーク。
左CBのラングレが比較的フリーでボールを持てていましたが、メッシが右に流れ、そのエリアへのフォローにペドリもデ・ヨングも回っていたので、ラングレからのパスコースが限定されていたのが惜しかった。
バルサは選手同士の均衡の取れた距離感でボールを回し、相手を動かし、スペースを作っているので、どうしても中心選手に人が集まる傾向があります。その最適解として3バック+WBなのだろうと思いましたが、ジダンマドリーは見事に対応していきます。
バルサの強みをどこに設定するか
今回個人的にジダンに対して驚きと尊敬を抱いたのがここでした。
レアルマドリードはすべての面で世界2位というのが最大の強みです。ポゼッションもカウンターもハイプレスもリトリートもあらゆる必要な能力を一位ではないが、かなり高い次元で再現可能。
例えば、アトレティコやリバプールと戦ったときに相手にボールを持たせたのは有名な話。
バルサ相手にどういった世界2位のプレーを見せてくれるのかと期待していましたが、予想は良い意味で裏切られました。
バルサと言えば、その華麗なパスワークやメッシの個人技とそれに呼応する周囲の連携だと思います。今のこの好調なバルサでは、デンベレの「前に矢印の向いたプレー」も驚異的かもしれません。
3バックの採用で大きく幅を取るWBによりピッチを広く使い、CBやブスケツからの縦パスも十分考えられます。
しかし、ジダンにとって「潰すべきバルサの強み」は、左サイドのジョルディアルバでした。
4バックだったのはスタートの時だけ、今日アセンシオにかわりWGに入ったヴァルベルデは、アルバの上がるスペースを消すために、最終ラインの位置まで下がり、5バックを形成しました。
5バックとすることで、アルバだけでなく逆サイドのデストに対してもメンディーをつけることができ、ピッチを広く使って中央のスペースを空けたいバルサはサイドも中央も固められてしまう展開になりました。
WGが下がっているので後ろに重くなったはずのマドリーですが前半はまったくそんな印象もなく。それはヴァルベルデの機動力のおかげでしかないのですが、守っては最終ライン、攻めてはゴール前とたしかにこの戦い方をするならアセンシオではなく、ヴァルベルデだな、と。
バルサもマドリーと同様に前からプレスをかけてきます。しかし、今このリーガにおいて相手のプレスをいなすことにかけては一番のマドリーは、おそらくバルサの前プレを待っていたのではないかと思います。
13分のベンゼマの得点は、ボール回収後に中央でバルサのプレスをはがしての速攻でした。
アルバに対して内側にドリブルをしたヴァルベルデのプレーもほめたいプレーの1つ。これによりアルバの視界からルーカスバスケスが消え、ヴァルベルデにいくか、ルーカスバスケスを見るかの迷いが生まれました。
結果的には一歩飛び出し、足の長いヴァルベルデにかわされてしまいました。
ヴィニシウスという若き才能
ジダンのもう一つの策は、ヴィニシウスでした。
右WGのヴァルベルデと違い、下がりすぎず、バルサCBのビルドアップには前から狙いにいきます。ベンゼマがブスケツを見ていたので、ファーストプレッシャーとしての機能をヴィニシウスは担っていたと思います。
ボールを持てば中途半端なプレーはせずにバルサ守備陣に果敢にドリブルを仕掛けていました。ドリブルだけでなく、20分のクルトワのロングボールに反応するなど、前線でベンゼマとは違った驚異を与えていたと思います。
26分のFK獲得の場面は、ヴィニシウスの良さがもっとも活きた場面でした。デストを裏街道でかわし、2枚のDFに囲まれながらも前への意識を失わずにドリブル。
それにより得られたFKをクロースが決めて2点差です。
ヴィニシウスは、決定力に問題があるとずっと言われていたんですが、ここまでドリブルで攻め込んでくれるなら決定力のなさはマイナスにはならないはずです。
この試合もドリブル4回、キーパス3回と一定の結果を示しています。
クーマンの意地
グリーズマン投入の意図
前半で2点を先制されたバルセロナ。
前半で2点差がついたのは2008年までさかのぼるようです。
さて、このまま黙ってやられるわけにいかないクーマンは、後半頭から動きます。
メンディーに封じられていた右WBのデストをグリーズマンに代え、4-3-3にシステムを変更しました。
トップにいたデンベレを右へ、グリーズマンを左へ。そしてメッシを真ん中に配置します。
メッシ真ん中の時点でだれもが思ったと思いますが、そうです、0トップです。
メッシは後半ブスケツと同じ位置にまで下がりボールをもって前を向いたプレーを頻発させました。
後半の配置としては上の図のような形。
IHのペドリとデ・ヨングもメッシを追い越し、高い位置をキープ。この二人が敵陣ハーフスペースを狙うことで、左右バランスのよい攻撃が可能となります。
もっとも変わったのがアルバの位置です。前半はWBとして大外にいましたが、後半はその役目をグリーズマンに託し、アルバはインナーラップを狙うようになります。
5バックの一角として動いていたヴァルベルデがどう動くかを見るためのものだろうと思います。
途中から強い激しい雨が振り出し、それにあわせてオープンな展開となります。
55分のデンベレ、デ・ヨング、グリーズマンと作り出したチャンス、そして60分の両サイドからクロスを放ち左右に揺さぶりをかけた結果のミンゲサのゴールによりバルサの流れになっていきました。
ヴァルベルデは結局、アルバを見ることになったので、そうするとペドリをだれが見るのかという問題も出てきて、よりバルサのペースが加速。
バルサか同点にするのか、マドリーが耐えるのか、もしくは追加点を取り、引き離すのかという一進一退の攻防が予想されました。
モチベーターとしてのジダン
ジダンは人の心をつかむのがとんでもなく上手い。
クラシコというこの世紀の一戦ですらジダンにとっては、このクラック揃いのメンバーをチームとして強固にするための試合の一つとして捉えていたと思います。
後半投入された選手は以下の3人
イスコ、マルセロ、マリアーノです。
しかもそれぞれクロース、ヴィニシウス、ベンゼマとこの試合で輝いた3人を同時に交代したのです。
相手はバルセロナ
負けたら優勝戦線から離脱
スコアは一点差
この状況で送り出される選手が必要とされていないはずがない。
前線から二度追い三度追いを見せたマリアーノ、後半終盤にロングボールが抜けだしたが、シュートを打てず猛然と走って戻ったマルセロ、雨のなかボールをキープして、体を張ったイスコと最後1点差で勝利した最大の要因は間違いなくこの3人のチームへの貢献があったからだと思います。
根拠のないことはあまり言いたくはないけれど、ラストプレーでバルサのシュートがポストに当たったのはそういった良い流れの積み重ねが起こした現実なんだろうと思いました。
オドリオソラも含めて、途中交代した選手がしっかりとふんばるのを見るととんでもないモチベーターだなと感心します。
試合はマドリーが途中交代のあとに5バックに変更し、守りきりました。
カゼミーロが数分間でイエローカード2枚で退場になったのは予想外だったとは思いますが、価値ある勝ち点3となりました。
未来が明るいのはどっちだ
クラシコに見事に勝利したレアルマドリード。公式戦ではクラシコ3連勝となりました。
しかし、その代償は大きく、カゼミーロのレッドカード、ナチョの累積により出場停止。ルーカスバスケスとヴァルベルデの怪我。
継続してセルヒオ・ラモスとヴァラン、カルバハルは出場できませんからね…。
それよりもなによりもバルセロナにはたくさんの希望が詰まっていましたね。
スタメン出場したペドリとデスト、ミンゲサとアラウーホ。
18歳のペドリは先日A代表デビューも果たし、混沌としたバルセロナにおいてメッシとの連携を深めた非常に貴重な存在。デストは20歳でアメリカ代表。ミンゲサとアラウーホは21歳と22歳です。
途中交代のトリンコンが21歳、最後アンカーに入ったモリバも18歳と、世代交代がうまくいかずいつまでもCL3連覇のメンバーでセンターラインを構成するレアルマドリードとは大きく構成が異なっていました。
バルサの方が早く世代交代の必要性が出てきたのかもしれませんが、この差はなんだろうかと思います。
ほんの近い未来を見るとバルサの方が光輝いているのは間違いない。
シャビ、イニエスタが抜け、カンテラの存在が薄まりつつあるバルサ。
育成組織の存在は置いておいたとしても、若き才能が集まるバルセロナには2、3年後を期待せざるを得ませんでした。
今回はマドリーが勝つことができましたが、モドリッチとクロースとカゼミーロ、そしてベンゼマがいなくなったら果たして勝てるでしょうか。
結果
28' クロース(FK)
60' ミンゲサ(assist ジョルディ・アルバ)
このスタッツの中個人に目を向けるとクロースのパス成功率は93.3%、カゼミーロのインターセプトは5回です。圧倒的ですね笑
翌日にアトレティコが引き分けたため、勝ち点1差まで迫ったことで、マドリーはより追い詰められる展開に。休めません。
リーガもCLも可能性が残ったシーズン終盤戦。
文字通り総力戦。
リバプール戦展望
明日の早朝は、CLリバプール戦。
1点差でのリバプールは非常に怖い。
カゼミーロ、モドリッチ、クロースがいるならばリバプールに前からプレスをかけてもらった方がより試合を進めやすくなるかもしれません。
ポイントは以下
・ナチョ、ミリトンのCBコンビがどこまでリバプール攻撃陣をシャットアウトできるか
・ルーカスバスケスもカルバハルもいない右SBはだれが務めるのか
・ヴィニシウスはまたも輝けるのか
・リバプールにボールを持たせるのか
まだ、結果は見ていません。
心熱く、静かに応援していくしかないです。
それでは!
シティ対策にはもう動じない 第28節 vs フラム
こんにちは。
tadashiです。
本日はアウェイフラム戦。
監督はご存知イケメン青年監督のスコットパーカーです。
スーツ姿のスコットパーカー監督です。
素敵ですね。
この10年間ではシティはフラムに負けていません。引き分けもたったの2回。
この試合を見るファンも負けるはずがないと思って試合を見ていました。
もちろん勝利をマンチェスターに持って帰ることに成功しました。
複数得点+クリーンシートでの勝利はこの後のCLとFAカップに弾みをつけたことは間違いない。
遅くなってしまいましたが、プレミアリーグフラム戦を振り返っていきましょう。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム フラム 4-5-1
前節リバプール戦に勝利したメンバーからは3人を変更。
チェルシーにいたロフタスチーク、シティにいたアダラバイヨ、PSGにいたアレオラとスカッドは魅力的なフラム。
なによりもあの昨シーズンのCLベスト16で、シティを倒したチーム(リヨン)のメンバーだった右SBのテテがいるのが非常に気になりました。
苦しめられた選手
・ハリソンリード
前半スコアレスで折り返した立役者の1人がリードだったのは異論はないと思います。
4-5-1と言いながら中盤の選手がシティへのマークに駆り出されていたため、リードはアンカーとして、DFラインと中盤のスペースを埋め、攻撃では前線へのつなぎ役として左右に走っていました。
守備スタッツでは、7回のタックルを成功させ、インターセプトが2回、クリアが1回でした。攻撃では、59回のパス成功数でチーム2位。
まだ、26歳とこれから成長も期待できる選手だと感じました。
・ロビンソン
80分から出てきた23歳のアメリカ人がシティ相手に非常に良いドリブルを見せていたので、ここに挙げたいと思います。
プリシッチやレイナなど最近のアメリカは良い若手を多く輩出しています。
プレー時間は少なかったけど、1試合を通して見ていた人たちには終盤の勝敗の決まった時間にあれだけアグレッシブなドリブルを見せてくれると楽しいですね。
■アウェイ マンチェスターシティ 3-4-2-1
この試合の数日後にチャンピオンズリーグラウンド16 2ndレグのメングラ戦が控えていたシティは大きくメンバーを変更。システムまでも変えてきた。
前節のセインツ戦からはメンバーを7人変えています。
久しぶりにメンディーとアグエロがスタメンで出場。
守備に難のあるメンディーは、このシステムなら使ってもいいかもしれないという考えなんでしょうか。
アグエロとフェラントーレスは第26節ウェストハム戦以来のスタメン。メンディーは、なんと第13節以来のスタメンです。
3-4-3と4-5-1
まずは、両チームのかみ合わせを見ていきたいと思います。
マンチェスターシティは、とても久しぶりにこのシステムを採用しました。
同じシステムは無残にも散った昨シーズンのチャンピオンズリーグベスト16でのリヨン戦。
今シーズンのプレミアリーグでは、第5節のアーセナル戦が3バックでの戦いでした。
リヨン戦では相手も同じ3バックでWBを採用したチームで、相手のWBに押し込まれる形になってしまいました。
アーセナル戦は、アルテタの裏をかくための3バック、SBのカンセロをCHで起用するやり方でペースをうまく掴みました。
それではフラム戦はどうでしょう。
パーカー監督は、下の図のようにマンマーク+アンカーを余らせて、パスの受け手を封じる作戦で、マンチェスターシティのビルドアップに立ち向かいます。
まず、ベルナルドシルバとロドリの二人のCHには、それぞれレミナとアンギサがマーク。WBのカンセロとメンディーにはそれぞれカバレイロとルックマンがマークをします。
3人のCBにはそこまでプレスにはいかず、ロフタスチークが緩くパスコースを一つ塞ぎながら寄せていきます。
後々、このCBたちのドリブルでのボール運びにフリーの選手をつくられる時間もありましたが、平均60%を超えるポゼッションで試合を進めるシティ相手に50%台で済ませた守備組織はやり方としては成功だったと言えると思います。少なくとも前半は無失点で終えていることは戦術の勝利とも言えるでしょう。
CBで、ボールは持てるが、次にパスを届けたい相手がマークされているということで、マンチェスターシティは3つの策を講じます。
対策1 中盤に+1
1つ目がジェズスの中盤へのフォローです。
3枚のCBの前にいる4人の中盤は、同じくフラムの4人の中盤がそれぞれマークをしているので、ジェズスが下がれば数的優位になるはずです。
しかし、パーカー監督は、それに対してもしっかりと対策。
アンカーとしてマーカーを持たないハリソンリードは、下がっていくジェズスをマークする役目となっていました。
ジェズスだけでなく、アグエロやフェラントーレスが中盤へサポートにいった場合も ついていき、プレッシャーをかけつづけていました。
仮に中盤省略で前線にボールが入っても後ろには4人DFが待っているので、そこまで2対4と数的優位な状態で守ることができました。
7分に見られたシーンは、GKからのビルドアップでしたが、ロドリをマークするアンギサがロドリのマークを捨て、メンディーへプレスして奪ったプレーでした。そのときには背後のロドリを別の人が見ているなど、だれがどこでいく、受け渡しはだれにするかというところが明確になっていたと思います。
なので、シティにとってはこれはあまり効果的とはなりませんでした。
対策2 運ぶドリブル
シティの策の2つ目は、CBの運ぶドリブルです。
今シーズン頻繁に見られ非常に効果的に機能しているプレーです。
ロフタスチークだけがCBへプレスをかける3対1の状況であるため、上の図のように左CBからルベンディアスへボールを出せば、ルベンディアスはフリーでボールを持つことができ、ドリブルを開始することもできます。
また、ロドリやベルナルドシルバは自分がマークにつかれていることを利用して、ボールから離れる動きを見せました。そうすることでより簡単にCBがドリブルでボールを運ぶことを促しました。
このドリブルにより、フラムのマークを自分に引きつけそこからフリーな選手を入れ替わり使っていくビルドアップが前半の15分間に見られました。
45分にストーンズが3人を引きつけてカンセロにパス。そこからアグエロのシュートまでつながったシーンがありましたが、まさにCBの運ぶドリブルでマークを外す動きでした。
対策3 レーン移動
そして3つ目が、カンセロのレーン移動です。
マンマークされていることを逆手に取り、大きくポジションチェンジを行い、フラムの選手に決断をゆだねる作戦です。
カンセロがハーフスペースに、ベルナルドシルバが大外のレーンに移動。それに合わせてフェラントーレスがトップの位置に動くことで、もともとついていたマークが大きくずれ、フラム守備組織を左右非対称にさせることができていました。
カンセロにカバレイロがどこまでもついていくわけでもなかったフラムの守備は、そのカンセロの動きをつききれず、前半20分間の間にカンセロからラストパスを3本も出しています。
得点にはなりませんでしたが、効果的だったことは間違いなかったです。
そのほかにもロドリとベルナルドシルバが縦関係(DFラインに一人入り、ストーンズとラポルトをSB的に振る舞わせる)になったり、右大外にポジションを移したベルナルドシルバが個人技でペナルティーエリアに侵入するなど、様々なアクションでフラムゴールを脅かしていました。
しかし、GKのアレオラが枠内シュート3本すべてをしっかりとセーブしています。
アレオラは3失点しましたが、十分に能力の高いGKであることを証明したと思います。
フラムのビルドアップにも言及します。
フラムの上背のあるロフタスチークに簡単に放り込むのではなく、しっかりとGKからつなぐことを選択します。
下の図は、GKからのゴールキックでの1シーンです。
CBがペナルティーエリア幅に広がり、大外にSB、空いたセンターにはハリソンリードが入りますが、シティの方も前からマンマーク。
シティのWGがCBに、アグエロがハリソンリードに、そしてSBにはWBを寄せていきます。
レミナとアンギサにも同じようにベルナルドシルバとロドリがマークをつき、GKからCBにボールが出されたとしても思うように前に運べず、どちらかのサイドで必ずつまっていました。
41分には、カンセロがフラムのミドルパスの目測を誤り、オーバーしてしまったことで、プレス回避となっていましたが、戦術的にはシティの守備も、フラムの守備と同様にうまくはまっていたと思います。
前半は両者譲らずのスコアレスで後半へと向かいます。
3得点は成功?
後半を語る前に試合を通したスタッツを紹介します。
xGはほぼ点差通りの結果でした。
ポゼッションもそこまでシティが圧倒しているわけでもなく、パス数も普段のシティよりもかなり少ない(平均606本)です。それだけフラムの統率の取れた守備の効果が出ています。
クリアの数がシティはフラムの倍の数字にもなっており、よりフラムがシティの陣内にも入っているとも言えます。
この試合のアクションゾーンを示したものです。
左から右がホームのフラム。右から左がシティです。
中央のミドルサードでの試合展開が多く、お互いのゾーンではほぼ同じ割合となりました。
ここからもシティに対して、うまく戦術的アプローチがはまっていた証拠だと言えます。
今日のポイントは後半の部分にありますが、
マンチェスターシティは、フラムのミスに救われた
ということです。
得点を振り返ってみましょう。
1点目のストーンズのゴールは、フラムが自陣でファウルを犯してしまい、そのFKをカンセロがストーンズに合わせたものです。
47分の失点で、ファウルを犯してしまったのは後半開始直後ということになります。前半が良かっただけに、この判断は非常に惜しかったフラム。
2点目は56分。
フラムの自陣でのビルドアップミスからジェズスがボールを奪い、そのまま一人かわしてゴールを決めています。外から中央に誘導するハイプレスがうまくはまりフラムの連係を阻害することに成功しました。
お母さんに電話するいつものゴールパフォーマンスも披露され、フラムを突き放します。
最後の3点目は、60分のアグエロのゴールという最高の形でしたが、このPKもフラムのビルドアップミス。
フェラントーレスがアダラバイヨからボールを奪い、そのままペナルティエリアに侵入した際にアダラバイヨに倒されたものでした。
シーズン中盤になってから引いて固めて守ってカウンター一辺倒ではなく、前からプレスをかけてきたり、ミドルサードでパスの矢印方向を狙ってきたり、中位以下のチームもアグレッシブに、シティに対して挑んでくることが多く見られています。
前半守られてしまったことを嘆いているわけではなく、今シーズンは苦しいときの得点が多いことが非常にポジティブな部分です。
この試合も後半開始直後のFKのチャンスをしっかりとものにしています。
相手のミスもついて追加点もあげています。
得点後、フェルナンジーニョを投入すると、
ロドリがラポルトとディアスの間に入り、ラポルトとストーンズをSB的に開かせ、フェルナンジーニョを中央右寄りに配置。アグエロがロドリのいたスペースに入ってきていました。
83分には、フラムが決定機を作りましたが、ゴールならず。
ミトロビッチのキープからアンギサのシュート。完全にシティDFの裏を取り、シュートさえ、良ければというシーンでした。
フラムはよくがんばったと思いますが、最終的にはクリーンシートでゲームを占め、最高の結果と言えるでしょう。
結果
フラム 0 - 3 マンチェスターシティ
47' ストーンズ(assist by カンセロ)
56’ ジェズス
60’ アグエロ(PK)
HIGHLIGHTS | FULHAM 0-3 MAN CITY
まとめ(今日のジンチェンコ)
出場はなし。
しかし、いつでも出場可能なように準備は怠っていなかった…はず。
次回のジンチェンコは、4月3日レスター戦です。
しっかりと準備しましょう。
本日はメンディーとアグエロが久しぶりにスタメンで出場しました。
アグエロも本調子ではないですし、メンディーも普通のプレーに終始。
特にメンディーですが、モナコのときの勢いはシティで追った怪我により影を潜めています。きっと偽SBではない本来のSBとしてメンディーを活躍し、大外レーンをメンディーに任せ、スターリングをよりゴールの近くでプレーさせようという思惑があったはずです。
しかし、現在のメンディーのままでは、今日の試合のように無難にプレーできるWBを置けるシステムにわざわざ変更せざるを得ないという印象でした。
シーズンの途中からジンチェンコやカンセロが左SBでプレーするようになり、レーンを巧みに移動する偽SBがはまったことで、メンディーの立場は危うくなっています。
もしかしたら、もっとシンプルなSBとしてのプレーを求めてくれるチームに移籍した方が本人の幸せにもなるかもしれません…。
本日は以上です。
クリーンシートで、完勝。
何よりもうまく守られて、前半で得点ができない嫌な流れのある中で修正してしっかりと勝利したことはプラスだと感じます。
あとは先制されたあとでも勝利できるかどうかということですね。
この試合のあとにCLラウンド16メングラ戦、FAカップエバートン戦を勝利。
マンチェスターダービーで完敗しながらも崩れない今シーズンのシティの堅さを感じます。
現在代表ウィーク。
代表に召集されたシティの選手たちが怪我をせずに戻ってきてくれることを心から祈るばかりです。
4月のリーグ戦までしばしの休息。
それでは!
立ち位置が重要すぎた試合 第33節 vs サウサンプトン
こんにちは。
tdashiです。
本日は今シーズンいまいち調子がつかめないセインツとの試合です。
メンバーも、やっているサッカーも悪くないと思ってはいますが、なかなか結果がついてこない。リーグ戦直近5試合では前節シェフィールドユナイテッド戦での勝利のみ。
しかし、南野が冬の移籍市場で加入し、初戦のニューカッスル戦とドローで終えたチェルシー戦で得点。
この試合でも出場を期待しましたが、残念ながら出場はありませんでした。
RBグループ仕込みのサッカーを体現するハーゼンヒュットルのスタイルには南野はすぐにマッチできるはず。
残りの試合に期待しましょう。
結果はマンチェスターシティの大勝ということになりましたが、マンチェスターシティはまたもPKで失点。得点直後の失点というものもありました。
今日はネガティブなイメージを払拭するマンチェスターシティの良かったプレーをピックアップしながら、スタッツと合わせて振り返っていきたいと思います。
スタメン
両チームのスタメンはこちら。
■ホーム マンチェスターシティ 4-3-3
前節マンチェスターダービーからは、5人を入れ替え。ダービーの敗戦を引きずるとは思えませんが、ジェズスはベンチスタート。
右SBはウォーカーで、カンセロを休ませています。
ジンチェンコはまたもスタメン。最高です。
3トップはフォーデン、ベルナルド、マフレズと並びのわからないスタメンでしたが、スタートはベルナルドが0トップでした。
この過密日程の中、ストーンズ、ディアス、ラポルトがローテーションできているCBは昨シーズンの状況を考えたらポジティブすぎます。
■アウェイ サウサンプトン 4-2-2
前節エバートン戦からは2人を入れ替え。南野はベンチでした。
とにかく勝てないセインツ。直近10試合で1勝。よく監督が解任させられないものです。
イングスやウォルコットが怪我をしていますが、精鋭はそろっています。
苦しめられた選手
特筆して良かった選手はいなかった印象でした。
どちらかというチームとしての連動が目立ちました。特に前半開始15分と2点目を取った後のボール保持も追加点を狙う姿勢がよく見えました。
強いて言うならウォードプラウズ。
前回対戦でもあげているのですが、結局彼の精度の高いキックがラストパスにもフィニッシュにも活かされるのが今のセインツ。
それよりも守備をしっかりした方がいいと感じてしまった試合でした。
スタッツから読み取る戦況
マンチェスターシティが5得点、サウサンプトンが2得点とスコアだけ見れば大味な試合になったと思いそうですが、実際にどのような試合だったのかをスタッツから少し考察してみたいと思います。
まずは、90分間のスタッツを見てください。
※データはすべてFotMobを活用しています。
「xG:Expected Goal」はゴール期待値と呼ばれ、シュートに対して得点の可能性の高さを考慮した数値として枠内シュートや決定率よりも実の値として用いられています。
マンチェスターシティは2.61、セインツは1.73。両チームともxGよりも多く得点をしていることがわかります。ただ、このxGは、なんとも曖昧な数字だなと私なんかは思います。得点の可能性をどのように数値化しているのか、可能性の高さを感じるのは人それぞれでつまり指標や用いる式が媒体によって異なる点が非常に曖昧。今後の発展はある指標だと思っています。
はい。
そのほかのスタッツに関しては、パス本数以外は均衡しています。シュートに関してもシュート数に対する枠内シュート数、いわゆる枠内決定率は、シティ58%、セインツ55%なのであまり変わりませんでした。
パス本数が少ない分効率よく攻めていたのはセインツの方だったなと思います。
守備のスタッツを見るとクリア本数、空中戦の勝利数はほぼイーブン。
インターセプトの数が5本セインツの方が上回っています。
前半は両サイドで相手の内側へのパスをひっかけることが多く、後半はディフェンスラインと左サイドでのインターセプトが多かったです。
シティは、中盤でのインターセプトは1本だけで残りはサイドとディフェンスラインでのものでした。
xGからもそうですが、この点差はあまり予想のつかないものだったということがわかります。
それもそのはず。
前半のシティの3得点は、こぼれだまへの反応が2点、セインツのビルドアップミスで1点なので、スタッツには表れない部分も多かったと思いました。
続いてはゲームが動いた前半のスタッツを2つのタームにわけて見てみたいと思います。
前半開始からボールを保持したのはセインツ。
WGがCBに外切りでプレスをかける4-4-2のシティに対して、空いたサイドを有効的に活用していました。
2トップの片方が下りてきてウォードプラウズを前向きに使い、サイドに展開。シティのSBに対してセインツはSBとSHで数的優位を作るシーンも見られました。
と、試合展開を書いてしまいましたが、前半の15分間はセインツがポゼッションでシティを上回っていました。
シュートはどちらも0本。均衡した試合展開で、どちらがゲームを支配するかにらみ合いという15分間と見えます。
10分間だけで言えば60%を超えるポゼッションを見せたセインツ。6分に見られたようにシティのスローインを狙ったり、偽SBとして振る舞う左サイドを狙ったりと前進も見せていました。
※WhoScoredから引用
色がわかりにくいのですが、左から右に攻める赤丸のシティと右から左に攻める青丸のセインツの前半15分間のタッチ位置をプロットしたものです。
相手陣内ではサイドでしかボールを持てていなかったシティに対して、セインツは相手陣内のペナルティーエリア周辺でボールを持てていることがわかります。
シティ側の要因は0トップにありますが、ジンチェンコがロドリと並ぶ3-2でのビルドアップでかつ、ギュンドアン、デブライネ、ベルナルドシルバとどんどんボールを受けに来てしまうので、人はいるのに狭くてパスが出ないという事態に陥っていました。
ボールのタッチ数でみると、ギュンドアンこそ13回と多い数字でしたが、デブライネ3回、ベルナルドシルバ4回とかなり少ない数字でした。それだけパスが回っていなく、外回りを余儀なくされていたことがわかります。
そこで、少し立ち位置を変えたのが15分を過ぎてからでした。
これが残り30分のスタッツです。
シティがポゼッションで圧倒しています。最初の15分間はなんだったのかと思うほどです。スコアも3対1で折り返すことに成功しています。
そのほかのスタッツは15分間と同じく均衡はしていますが、ボールを保持し、自分たちのペースで攻撃をしていたことが数字として表れています。(逆にセインツもシティ相手にうまく立ち回って同じだけのシュートを打っていますが)
この要因がまたスタッツには表れないことで、ジンチェンコが外に開き幅を取り、ギュンドアンが少し下がりました。ベルナルドシルバが下りてくる前線にはフォーデンが流れるようになり、配置の整理されたシティが中盤を経由したボール回しを可能としていました。
だいぶ、相手陣内でもボールを持てるようになっているのがわかると思います。
失点がまたもPKというのはとても気になりましたが、悪くない前半でした。
このように少しずつペースをつかみ、いい形で折り返したシティは、そのままの勢いで2点を追加。
55分の4点目もセインツのパスミスでしたが、5点目はウォーカーのグラウンダーのアーリークロスからデブライネが決めました。
後半はフォーデンをトップに変えるなど、前半と少し変更を加えたり、主力を休ませフェランやアグエロを試合に出すことができたなど、今後のチームマネジメントとしても良い方向を見せて試合を閉じることができました。
後半の失点も4点目の直後でのもので、流れとしては最悪な失点。しかも、ベルナルドシルバのパスミスというのもなにか嫌でした。(頭を抱えるベルナルドシルバが印象的でした。すぐ戻れよ、と笑)
本日はスコア上圧倒したシティの個人的に良かったと思った15分の得点シーンと54分のその後のフェルナンジーニョのインターセプトから得点につながったシーンをピックアップしたいと思います。
ピックアッププレー①
ピックアッププレーの一つ目は、15分のシティ先制点のシーンです。
ジンチェンコに幅を取らせ、ギュンドアンが少し下がり目になってからすぐのシーンでした。
こんなに配置替えが効くのか驚きもありました。
形としては大外のジンチェンコがセインツDFラインの裏を取り、CBルベンディアスからロングボール一本でゴール前に侵入できたシーンでした。
特筆すべきはマンチェスターシティの個々の立ち位置です。
全員がセインツ守備陣の間に立っているのです。だれか特定の人にマークされない絶妙な立ち位置によりセインツ守備陣のマークへの迷いを生み出し、だれにでも楔をだせる状態だったのです。
セインツ右SBのバートランドに注目してください。
DFの鉄則は中のマークから見ること。
この場合、だれもマークについていないフォーデンに注意が引きつけられるのは仕方ないこと。ベドナレクやウォードプラウズの任せたところでより危険な中央の選手がフリーとなる危険性がはらんでいました。
ルベンディアスのルックアップと同時にジンチェンコはDFラインの裏へ走ります。
高精度のパスがルベンディアスから配球されます。この時点でセインツ守備陣は自陣ゴールを向いた状態での守備を強いられます。
ジンチェンコへのカバーとペナルティーエリア内のフォローという二つのタスクを同時にはできないベドナレクの後ろをフォーデンが狙うことになります。
そしてゴールを決めたのはデブライネ。
フォーデンのシュートのこぼれに反応していたデブライネが冷静に決めました。
図にも書いていますが、サリスがなぜ絞っていなかったのか疑問でした。ジンチェンコが裏を取ってもフォーデンがシュートを打っても歩いていたサリス。試合にも入れていなかったし、ミスも多く、かなり印象の悪くなった試合でした。
シティの立ち位置とペナルティーエリアへの侵入が際立ったシーンでした。
ピックアッププレー②
続いてのシーンは、直接的には得点には結びつかなかったものの、最終的にはマフレズのゴールとなった54分のシーンです。
お手本のような3人目の動きだったので紹介します。
ラポルトからジンチェンコへパスが通ります。
この時点でベルナルドシルバがセインツ3人の間に入るように顔を出します。
だれからも届かない絶妙な立ち位置。
ジンチェンコには、右SBのバートランドがプレス。
ジンチェンコは、細かいタッチでバートランドを引きつけてからベルナルドシルバへ。
この時点でセインツの右サイドはSBとCBがつり出されており無人状態なのがわかります。
当然、シティはここを狙います。
ベルナルドシルバはベドナレクを背負ったまま、前向きのギュンドアンに落とし、スペースにダイレクトでスルーパスを出します。
フリーでジンチェンコがパスを受けることができました。
そのフォローにいくことになったヴェスターゴーアはジンチェンコにつめていきますが、当然、中央のマフレズがフリーに。
このシーンから得点シーンへと展開は連続していったのです。
今日のジンチェンコはサイドから裏を取るシーンも見え、SBとしてのプレーもこなすことができていて非常に良かったです。
ここでやっぱり気になるのは、サリスの立ち位置ですね。
もっと絞るべきで、なぜそこをさぼっているのか理解はできません。純粋に知らないのかわざと動いていないのか。ハーゼンヒュットルは早急に対策を講じる必要があると感じました。
結果
15' デブライネ
25' ウォードプラウズ(PK)
40' マフレズ
45'+3 ギュンドアン
55' マフレズ(assist by フォーデン)
56' アダムス
59' デブライネ(assist by フォーデン)
FULL HIGHLIGHTS: Manchester City 5-2 Southampton | Premier League
まとめ(今日のジンチェンコ)
では、最後に今日のジンチェンコをプレイバックしたいと思います。
まずは90分の個人スタッツ。
キーパスの2本は、44分のフォーデンへの決定機にもなりえたサイドライン際からの斜めのパスと上述した54分のマフレズへのパス。
パス成功率は相変わらず高く、例えば69分のように2人に囲まれてもパスのタイミングでいなすことができる能力は本当に素晴らしい。
守備ではインターセプト1回、空中戦1回という数字を記録しました。
コーナーキックでヴェスターゴーアにマークすることになったりかわいそうな瞬間もありました。
最後に、タッチ位置のプロットを線でつないだものです。
自陣及び相手陣内のペナルティーエリアに近い位置ではピッチの中央でボールを触れていましたが、ビルドアップの段階ではサイドラインに位置していたことがわかります。
試合開始時はロドリと並び、ボールを動かす役目としてスタートした中で、試合の状況を読みつつ中央をギュンドアンやベルナルドシルバに任せ、サイドに開いた判断はジンチェンコだけの判断ではないにしろ順応力の高さはやはり本職のSBではなかなか難しいプレーなのかなと感じました。
ということで、以上です。
この試合はスコアで感じる大味さとはほど遠い両チームの攻防があって二つ楽しめた試合でした。
失点は2失点とも悪い失点ではありましたがシーズン序盤を思い返すと勝ったしどうでもいいやと思えるほど、リーグの順位を見ると思えます。
よほどのことがない限り1位でフィニッシュできそうですが、デブライネのコンディション、ストライカーと0トップの使い分けなど、シーズン終盤に向けて気になることは多いです。
個人的にはフェラントーレスにもっと出番を与えてプレミアの空気を感じさせて飛躍の2年目に向かわせてあげてほしいなと思っています。(ルベンディアスが初年度から活躍しすぎです)
レビュー書くのが遅くてすでにフラム戦、CLラウンド16メングラ戦を勝利で終えています。
次回はフラム戦のレビューを更新しますので、少しでいいので読んでください。
CL、プレミアの2冠に向けて応援を続けましょう。
それでは!
マンチェスターシティ vs tadashi
こんにちは。
tadashiです。
本日は「マンシティの守備を数字で見てみよう」の第2部です。
第1部はこちら。
第2部は、第1部で明らかとなった失点の特徴を踏まえて、マンチェスターシティから得点を取ってみたいと思います。
題して
シティ vs tadashi
まずは、前回のおさらいです。
マンチェスターシティが第25節までに失点した15点の特徴は以下です。
【失点の特徴】
■1試合あたりの失点数はストーンズが0.25失点/試合で最も少ない
■ストーンズディアスのペアは0.23失点/試合で最も少ない
■後半開始直後の15分間での失点が33%で最多
■シティは後半開始直後に攻め込まれると弱く、失点すると勝てない
■PKをとられやすく、両サイドの深い位置からのクロスに失点しやすい
■シティ相手に得点を決めた選手たちの特徴は、スピードのある選手が一番多い
■シティから得点をあげたチームは全部で9チーム
■ポジション別に見るとFWが最多で11点(73%)
■ヨーロッパ大陸の選手に得点を取られる(1位はイングランド)
では、これ以降あなたはマンチェスターシティと戦うチームの監督となって、私の言葉に耳を傾けてください。
ドレッシングルームにて マンチェスターシティの守備
メンバー表を眺める我がチームの監督。
マンチェスターシティとの試合に緊張をしているようだ。
私は、彼のもとにそっと近寄りこう声をかける。
「今日は勝ちましょう。いや、勝てますよ」
スターティングイレブンもすでに確定してるので、試合前のミーティングで選手たちに言葉をかけるだけ。
しかし、監督はマンチェスターシティのメンバーを気にしている。
「試合前のアップを見たか。デブライネ、ギュンドアン、ベルナルドシルバ、スターリング、そしてジェズスもいる。ルベンディアスとストーンズもいる」
「そりゃいますよ、監督。相手はマンチェスターシティです。SBはだれでしょうね。もし、ウォーカーが出ていなかったらもっと楽かもしれませんね」
それでも心配そうにしている監督のために、改めて今日の戦術をおさらいしよう。
これまではマンチェスターシティの失点をいろんな角度から分析し、ある程度の特徴を見出すことができた。
しかし、今回分析したものは、あくまで失点に関する数字を使っただけで、そこにいたるまでの戦術的な分析は度外視している。
このまま試合を始めてもボールを取れずに試合が終わる可能性もある。
ということで、マンチェスターシティの守備について簡単におさらいしてみよう。
マンチェスターシティの基本フォーメーションは4-3-3。
これが守備になることで3パターンの形に変わっていく。
4-4-2
マンチェスターシティが4-4-2で守るときは、相手のビルドアップ時に相手のSBを自由にさせたくないという目的がある。
例としてリバプール、セインツの試合をピックアップした。
リバプール戦は、アーノルドとロバートソンという厄介なSBを自由にさせないようにWGを下げて対応した。
この試合ではアーノルドの機転で出し抜かれた形にはなったが。
セインツ戦でも同様。
セインツ戦で唯一違うのはCHのウォードプラウズがSB落ちしたために、そこに対応する選手としてWGをあてている。
4-3-3
マンチェスターシティが4-3-3を採用するときは例外なく相手チームのビルドアップの核となる選手がいる場合だ。
例としてリーズとチェルシーをピックアップした。
リーズはご存じの通りアンカーのフィリップスが肝。彼の出来でチームの攻撃が決まると言ってもいい。だからこそペップがそこを潰さないはずがない。
1トップをぴったりとつけて前半はなにもさせなかった。
このときのチェルシーはアンカーがカンテだったがおそらくジョルジーニョでも同じだっただろう。
形がリーズ戦と一緒なのはやはり4-3-3を使う目的が明確だからだ。
アンカーを潰してビルドアップをなるべく阻害させる。
GKから外にミドル距離のパスを出すことを警戒している配置なのも共通だ。
また、CBに対してWGが外からプレスをかけるのも特徴の一つ。
SBへのパスコースはある程度諦め、パスが出てから全体でスライド。
シティの問題点はここでSBへプレスをかける選手が、IHなのか、SBなのか決まっていないことだ。
3-2-5
マンチェスターシティのビルドアップはほぼ高確率で3-2-5の形で展開される。
時折2-3-5の形も見られるが9割は3-2-5だと思って良い。
そのため、マンチェスターシティはボールを奪われた瞬間は常に3-2-5が守備のスタートとなる。
この陣形での守備の鉄則は素早くそして複数で囲むこと。カウンターを防ぐためだ。
相手がボールを持った瞬間にボールに近い選手がボールホルダーにプレスをかけ、周囲の選手がパスコースを切りながら追い込んでいく。
リーグ序盤はコンディションも万全ではなく、なかなかこの基本ができていなかったが、今ではこれが面白いようにはまる。
それがGKであろうとプレスをかけるので、頭で意識していなければプレスをかけられてる状態から正確なパスをつなぐことはかなり難しい。
この3パターンすべてに共通することは、前線の選手が前からのプレスをさぼらないことだ。特に4-4-2や4-3-3でトップの位置にベルナルドシルバとジェズスがいたら相当厄介である。全速力で追いかけてくるし、平然と2度追い、3度追いを仕掛けてくるので、プレミアリーグの並みのCBでは耐えられず、すぐにボールを蹴ってしまう。
シティのポゼッションの高さにはビルドアップの質だけでなく、即時奪回の極意も存分に含まれている。
「監督どうですか」
「勝てる気がしない…」
第二部 マンチェスターシティから点を取るには
それでは最後にこれまで得られたデータを鵜呑みにしてマンチェスターシティから点を取ってそして勝つ作戦を考えましょう。
まず、大切なことだが、これだけは守るべきことがある。
後半開始から60分の間に、シティの左サイドをえぐってラストパスを中央のイングランド人FWに送るか、シティの右サイドからイングランド人MFが直接ゴールを狙う。
(相手チームの目線で言い直しています)
ということ。
それではさっそくだが、マンチェスターシティから点を取るためのフォーメーションと戦術をここに置いておこうと思う。
シティ対策のフォーメーション
これはもう5-4-1一択だ。
5-4-1を採用する理由は主に2つある。
1.5レーンをすべて埋める
2.中盤の4枚がその隙間を埋める
これによりシティが使いたいハーフスペースを消し、中央でボールをキープするスペースを消し、外回りにボールを動かさせることができるからだ。
前提条件
失点のデータだけでは、シティの戦術がわからないため、枚試合シティを見ている私が構造上のシティの条件を決めた。
■シティの構造上の条件
- ビルドアップは3-2-5の形(偽SBは一人とする)
- ビルドアップはゴロのパス(浮き球はエデルソンのみ)
- 幅を取るのは両サイドのWG
- 後半残り25分で負けている場合デ・ブライネのクロスに頼る
前半の戦術
第1部の結果にもあるように前半に得点をあげるのは難しい。
(前半を3分割したとき、シティの失点数は全体の14%、7%、20%しかないからだ)
狙うのはデータ上シティがもっとも失点している後半開始から60分までの15分間。
この時間に失点した試合では、シティはほとんど勝てない。
この圧倒的なデータによる優位性を存分に使わせてもらおう。
(もちろんFWとMFにはイングランド人を起用したい。)
なので、前半は耐えることが目的だ。
上で紹介しているシティの4-4-2及び4-3-3の守備のことは考えなくていい。私が書きたかっただけだ。
ポゼッション率は気にしなくていい。どうせボールは持てない。
とにかく耐えること。
なるべく無失点で前半を終えることを考える。
マンチェスターシティは、ビルドアップで3-2-5という形に変化する。
片方のSBがアンカーと並ぶ形になる。
(右SBがカンセロ、左SBがジンチェンコ)
SBが移動するので、SHがついていきたくなるがそこはぐっと我慢する。
マンチェスターシティのビルドアップから崩しのフェーズに対してやるべきことはたった2つ。
- ハーフスペースを消すこと
- サイドチェンジはCBを経由させること
これだけでマンチェスターシティがフィニッシュに持っていける確率がぐっと下がる。
マンチェスターシティがやりたいのは片方のサイドでボールを保持し、相手が寄ってきたらロドリなどを経由して素早くサイドチェンジ。フリーで受けたWGが1対1を勝利し、ラストパスを送る。という形である。
要はその1対1を作らせなければいいということになる。
なぜ、1対1を作られるかというとシティの片方のサイドでのボール保持に焦り、全体的にサイドに偏ってしまうからだ。マンチェスターシティは、持っているサイドから直接フィニッシュにはもっていかない。
より確実な人の少ないところを狙うので安心してほしい。
サイドチェンジをされる前にもう一つ警戒しないといけないことがある。
それは、CBとSBの間のチャンネルランだ。
CBとSBの間をするすると走り抜け曖昧となったマークを潜り抜けたプレーヤーが幅を取るWGからスルーパスを受け、低弾道のクロスを放るシーンは幾度となく見られてきたプレーだが、これをなんとしても食い止めなければ前半を無失点で終えることは難しい。
なのでチャンネルランに対してはCHがついていくことを決まりごとにする。
あくまで5バックは5レーンを埋めることに専念し、そのほかのシティのアプローチに対してはCHが対応することにするのだ。
決定機はもしかしたら2回ぐらい作られるかもしれない。
しかし、マンチェスターシティはそこまで決定率は良くない。シュートの数はいつも多いがそこまで得点はしていない20-21シーズンの現状もある。
第25節時点で、シュート381本で50得点およそ13%ということになる。枠内シュートで見てみると33%なので3本に1本しか入らない。
平均するとシティは1試合あたり15本もシュートを打っており、標準偏差は5.38。
もし、シティの1試合辺りのシュート数が正規分布であったら、9本~21本の間におよそ65%が占めている。なので、シュートは打たれるものと思ってほしい。(攻撃に関する分析はしていないため、失点をしないことはもはや運である。)
ここで注意。
ここまで徹底して守りを固めたらシティのビルドアップの途中でボールを奪えることもある。
しかし、その場合偽SBとアンカーがファーストディフェンダーとして襲い掛かってくる。場合によってはもう一人のSBも加わり、パスコースを消しながらプレスをかけてきてインターセプトを狙われる。今シーズンアンカーのロドリ、SBのカンセロ、ジンチェンコがシティでのインターセプト数トップ3なのだ。
できれば前半はカウンターは確実なときにだけ実行することとして、ゆったりと落ち着いて後ろにボールを下げてもいいだろう。
ということで、なんとか前半を守りきれた。
あと45分。
ここで、ついに仕掛けることになる。
今回は得点を取る方法を2種類用意してみた。
- シティのビルドアップをピッチ中央で奪う場合
- シティのGKからのビルドアップにハイプレスを仕掛ける場合
それではどうぞ。
後半の戦術① シティのビルドアップをピッチ中央で奪う
後半の最初の15分間がやってくる。
ここが唯一無二のチャンスだ。全力を尽くそう。
一時的に5-2-3もしくは3-4-3にし、WBを高い位置にキープすることをハーフタイムで確実に反芻しよう。
戦術①では、シティの偽SBの裏を取りペナルティエリア深い位置からラストパスを狙うのが目的。
後半開始
守備の基本は変わらない。
中央を締め、CBを経由させ、外回りのサイドチェンジをさせる。
前半スコアレスで、なおかつドローの状態になるとマンチェスターシティは少しだけ攻撃のスピードを上げる。縦に入れるタイミングと狭いハーフスペースへの強引なパスが増えてくる。
これを狙うのが①だ。
5-4-1から5-2-3へシフトし、中央はより狭くしたことでシティのIHはスペースを作るためにサイドに移動する。
目的はRCBからFWへのパスコースを作ること。
おそらくここ最近であればジェズスが空いたスペースに下りてくるので、CBがついていき、近くにいるLSHとLCHの3人でボールを奪う。
シティのビルドアップではたびたびこのようにFWが中盤深い位置まで下りてきてボールを受けようとする。基本的にはここまでマーカーのCBもついてこないので、ジェズスは比較的ボールを受ける余裕があり、前を向けるし、別の選手に預けて元の位置に戻ることも容易。
しかし、ここでCBがマークにつくことで時間的に余裕をなくし、判断をあおり、ボールを奪う作戦だ。
CBがここまではっきりとプレスに行けるのも、1トップの選手が下りてきていることが要因。CBが1人いなくなったところでビルドアップ時のシティはFWの位置に人がいないことはよくある。
さらに、負けているときの後半は上の図のようにCBからFWへの縦パスのタイミングが早い。アンカーやデブライネを一度経由するよりも先にジェズスが下りてきたりする。
3人でFWジェズスからボールを奪ったらあとはショートカウンター。
LSHはシティの右サイド深いところを狙い、CHからパスを受ける。
あとはラストパスをゴール前に入れるだけだ。
このときLSHにだれがついてくるかだが、偽SBとしてふるまうカンセロの確率が高い。その場合はスピードで振り切ることが可能なのでフリーでクロスがあげることができる。
もし、右SBがウォーカーだった場合は、左SBがジンチェンコかカンセロとなり、このショートカウンターをまったく同じ形を左サイドで実行すれば良い。
得点の入る時間は57分がいいところだ。
後半の戦術② シティのGKからのビルドアップにハイプレスをしかける
戦術②では、シティの構造上の弱点をついてシティ陣内でボールを奪いそのままゴールを奪うのが目的。
全体的に大きく押し上げエデルソンのビルドアップから足元でパスをつなぐシティを追い詰めよう。
シティのビルドアップでもっとも特筆すべき特徴は、平面的であること。
ミドルパスはエデルソンしか使わないと思っても良い。
グラウンダーのパスを狙うだけでいい。
ただ、その瞬間は一回しかないと思ってほしい。
その一回で決めるべく一週間前からその再現を狙うための練習が必要だ。
シティのゴールキックで、GKエデルソンから大きく開いたCBにパスが出たらSHがプレスをかける。
(ここゴールキックでなくても良い。ビルドアップのやり直しでGKに下げた場合でも同じ。ただ、ハーフラインから下げたボールには深追いしない。あくまでシティ陣内でのバックパスに留意する)
プレスをかけるときは絶対に外側からプレスをかけること。できればスプリントで判断の余地がないほどのスピードが望ましい。
シティのSBには高い位置を取らせるWBをつけよう。これは両サイド前に出てしっかりとマンツーマンとすることを忘れないでほしい。
逆サイドだからといって距離を離してしまうとエデルソンが簡単にその選手の足元にボールを入れてしまう。
そして最後はアンカーを1トップの選手で徹底的にマークする。およそ振り切れないほどの勢いでマークをすればボールを受けたCBも下げてもらうエデルソンも、そのアンカーにパスを出そうとは思わない。
ここまでお膳立てができればあとは様子を見てIHがロドリの位置まで下りるのを待つだけ。
IHへのパスを近くにいる全員で囲いボールを奪う。
あとは深い位置からのクロスがラストパスになるのでイングランド人FWでフィニッシュだ。
得点の入る時間は49分だろう。
試合の締め方
後半開始からの15分間で1点をもぎとったらあとは前半と同じ要領で守る。
サイドにかなり揺さぶられると思うが、基本は忘れない。
ハーフスペースを消すことと、サイドチェンジはCBを経由させること。
この2つが守られればあとは問題ない。
時々見られるCBの運ぶドリブルは、今回のデータからは見られていないので無視する。
これが得点に結びついたことはないからだ。
こうなったときにデータにはないが、マンチェスターシティはデブライネでひたすらクロスを上げる時間が必ず訪れる。
もし、その場面になったら勝利の確定演出だと思ってもらいたい。
長身でエアバトルに強いCBを投入できたらなお良い。
慎重に中央を固め、冷静にクロスを跳ねかえす。
30分間は長いかもしれないが、クロスをはねかえし、こぼれ球に必ず1人は反応し、ペナルティエリア手前でフリーにさせなければ失点は防げる。
マンチェスターシティにこの状況を打開できる選手はいない。
90分警戒し、ロスタイム。
シティはGKエデルソンが上がってくることもない。
そういうリスキーなプレーはペップがもっとも嫌がる。
試合はそのまま1-0で勝利。
ここまで狙い通りであれば最高だ。
ということで本分析は以上となる。
勘違いしないでほしいのだが、私はマンチェスターシティを愛している。
今、世界のどのチームよりもマンチェスターシティが好きだ。
だからこそ、今のマンチェスターシティの特徴も弱点もわかるし、データからわかる攻めどころも見えた。
この勝利で我がチームは降格圏を脱出。監督は、ペップを出し抜いた戦術家として2週間ほど現地で話題になった。
~fin~
長い時間をかけ、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
とてもうれしいです。
プレミアリーグでの圧倒的な勝ち点差はよほどのことがない限りひっくり返らないと思うので、心配はしてないが、ここら辺をしっかりと攻め込まれたらCLでは簡単にやられてしまうのではないかなと思っている。
これを見て、みなさんがどう思うかはわからないが、私がシティと対戦する監督であれば必ずこの戦い方をして、それで負けても仕方ないと思うだろう。
今回は、データを活用して数字上の分析をしてみたが個人的には数字と構造を用いて、シティを倒すことができそうだと感じた。
ここまで見ていてウェストハム、レスター、トッテナム、ユナイテッドあたりはこの戦術を容易に遂行できそうだ。
それは5-4-1も使えて、FWにイングランド人がいることも影響している。
マンチェスターシティがどこまで高みを目指すかはわからないが、私はCL制覇を願っているただのファンである。
※これを書いている間に第26節から28節までの試合が行われたが、まさに今日書いていたような攻撃を繰り出すチームもいた。さらに、ペップはカンセロを大外に張らせたり、ミドルパスでボールをつなぐ瞬間を見せたりとこの短時間でさらに歩みを進めようとしているのがわかった。また、この3試合でPKを2つも取られていた。
サッカーの加速度的な進化と思い通りにいかないカオスをまとう空気にはより引き込まれざるを得ない。
それでは!
ビルドアップが狙い目のシティ 第27節 vs マンチェスターユナイテッド
こんにちは。
tadashiです。
プレミアリーグが開幕してから48回目のマンチェスターダービーがやってきました。
順位なんて関係ない。隣のライバルに勝つか負けるかだけのプライドを賭けた試合。
無観客のエティハドで行われるのがとてももったいないとも思える。
前回対戦は引き分け
ダービーはこれでいいのか 第12節 vs マンチェスターユナイテッド - ManCityを追うものは一兎を得ず
そんな感情で第28節のダービーは行われました。
シティ15勝ユナイテッド23勝引き分け9回の過去の戦績は、今日の試合でユナイテッドが通算成績を24勝に伸ばしました。
マンチェスターシティはわりとあっさりとシティファンの嫌な予感の通りに封じられ負けることとなってしまいました。
では、振り返りたくもない試合を振り返っていきましょう。
スタメン
■アウェイ マンチェスターユナイテッド 4-2-3-1
公式戦3試合連続スコアレスドローのユナイテッドは、前節からは4人を変更。
怪我をしたカバーニの代わりに入るのはマルシャル。
中盤はマクトミネイとフレッジでこの二人がとても厄介。
さらに今日右SHに入るダニエル・ジェームズはさらに厄介。今日のユナイテッドの肝であったと言っていい。
苦しめられた選手
後半の早い時間に失点を奪われ、残りの時間をかなり不利な状態で戦わなければならなかった。ユナイテッドはブロックを作り、シティの戻りが間に合わなければカウンターを出せば良い状態に。
それは可能としたのがルーク・ショーであった。マフレズ相手に飛び込まない1対1と抜かれてもすぐに対応する機敏さが見えた。
得点のシーンでは、カンセロを出し抜いてカンセロが一歩目を出すタイミングでトラップで前に出たのでお見事。その後のシュートも迷いなく振ったことできれいにゴールに吸い込まれた。
■フレッジ
マクトミネイも良かったが、試合を見ていてフレッジの方が利いていた。
数字の上では、チーム2位の3回のインターセプトとチーム1位の3回のシュートブロックを見せたし、中盤では相手の攻撃の芽を摘む役割をしっかりとこなしていた。
真ん中が空きフレッジだけの瞬間もあったが、1対3のような状況でも中央で時間を稼いで周りの戻りを待ったりボールをはじくことができていたのはさすが。
個人的にはスターリングをシャットアウトしていたワンビサカよりもいてほしくない選手。
■ダニエル・ジェームズ
今回、スールシャールが採用したもっとも戦術的な采配がジェームズの起用です。
90分間のスプリント回数が25回とおよそ3.6分に一度スプリントしている。恐ろしい。
しかも、このスプリントは攻撃だけでなく守備のときにもしているので、この選手が一人いるだけで周りも本当に助かったと思う。
ジンチェンコへのファーストプレス。ジンチェンコがCBにボールを落とした時のセカンドプレス。おそらく一度もさぼっていない。
ロスタイムにも左サイドに出たボールをスプリントして回収し、時間を稼いだり、結果以上の役割を果たした。
失点に思うこと
開始34秒のPK献上は不運としか言えない。
ジェズスは、シティキックオフのボールから確実に流れをつかもうと前線から下りてきて起点になろうとしていたのがはっきりとわかる。
だからこそ、この開始早々の事件は、ジェズスには忘れずに反省してもらいたいと思う。責任感の強さから奪われたボールは自分で追って奪い返そうという気概も見えたので、批判をするつもりはさらさらない。
批判はまったくせずに、あの場面でジェズスがどうすれば良かったかをあくまで外から試合を見ていたただの凡人が考える。
答えは簡単で、マルシャルと対峙できたほかの選手に任せる判断をする必要があった。ジェズスは追いかけた。つまりどうがんばっても相手の後ろからしかディフェンスのしようがない。
おそらくだけど、ユナイテッドはスローインからジェズスが降りてくる形を狙っていた。スローインからポゼッションができないのは、マンチェスターシティの大きな弱点であるので、百戦錬磨のマンチェスターユナイテッドという悪魔がそれをみすみす見逃すはずがない。
まんまとはまってしまったということだ。
2試合前のウェストハム戦でもほぼ同様の形でボールを奪われて失点している。リバプールがスローインコーチをつけてポゼッションが上がったという話を聞いたが、そろそろマンチェスターシティも考えた方がいいと思っている。
出鼻をくじかれた形で開始早々にビハインドの展開を強いられるマンチェスターシティ。
マンチェスターシティは15か月間ビハインドから勝利をしていないという最悪なデータがあり、それはしっかりと継続されてしまったことは残念でならない。
2失点目も、もし悪いところをあげるならば、カンセロのルーク・ショーへの対応なのかもしれないが、あの場面で行くなというのも難しい話。
GKからのスローインがそのままゴールまでつながったシーンだが、GKからCBにパスが出ることを想定してマフレズはルーク・ショーをケアしていなかった。
ユナイテッドのCBとCHを封じれば、SBが逃げ場になるのはわかるとは思うが、そこに釣られて上がった裏をキックで取られたら話にならないので、カンセロのあのポジショニングは問題のない判断だったと思える。
もちろんカンセロもルーク・ショーへのパスは予想していたし、だからこそ、あの速さでプレスにいくこともできた。
ルーク・ショーがまさかダイレクトでカットインして抜き去るとは正直シティファンはだれも思っていなかったはずだ。
今日のルーク・ショーは絶好調だった。引き締まったからだとはお世辞にも言えないが、機敏さも強さもあった。
得点をあげたシュートも力みは感じたが、迷いはなかった。
その前のラッシュフォードの冷静さにやられた感じはする。
今回ユナイテッドに取られた2点というのは、流れの中のものではなかった。
失点にならなかったのが不思議なぐらい中盤でボールを奪われていたし、セカンドボールはほぼユナイテッドにキープされていた。
また、特に前半はCBから何度もブルーノ・フェルナンデスに縦パスが通っていて、ボールを持っているのは圧倒的にシティなのに、ユナイテッド保持では前に引き出されていた印象は否めない。
それもこれもすべて開始早々の失点が影響していたと言ってもいい。
残念だが、ユナイテッドには4戦0勝。なかなか厳しい。
そして先日書いたこの記事でも言っているが、
後半開始から60分の15分間に失点するとシティは勝てない。
今回もそれがデータとしても明らかになってしまった。
ユナイテッドにとってシティに勝利することとは
そこまで難しいことではないのかもしれない。
シティだけが意識して、シティだけが思い上がって、シティだけがテーブルで上にいるからユナイテッドよりも上だと思っているのかもしれない。
今日の試合のユナイテッドには余裕すら感じられた。
アンカーのロドリにはブルーノ・フェルナンデスがつき、1トップのマルシャルは、ゆるくボールホルダーのプレスをかける。
今日偽SBとしての役割はカンセロで内側に絞る動きを見せるがそこには無視できないほど絶妙な位置にラッシュフォードが立つことでけん制。
幅を取るWGには、ユナイテッドは両SBを当てている。
シティのビルドアップには、後ろで開くジンチェンコとストーンズにボールが入るとそれぞれダニエル・ジェームズとラッシュフォードがプレス。サイドには出させないように気を付けながら中への折り返しをひっかけるという手法が前半に何度も見られた。
3分、11分、16分と立て続けに狙われ、取られていたのでシティ側も意識せざるを得なかった。
パスカットするときにはフレッジかマクトミネイが中央のロドリまで距離を詰めていることが多く、背後はあまり気にしていないようだった。
それはシティのビルドアップが狂おしいぐらい病的に平面的だからだと推察する。
だから34分のカンセロのミドルパスには違和感を感じたし、これ以降ミドルパスが出ることもなかった。
もちろんシティには数多くの決定機があったので、攻めを封じられていたわけでもなかった。しかし、得点は封じられていた、と言える。
勝っているユナイテッドは冷静にCBでキープし、前に出てきたところを中盤の背後にブルーノ・フェルナンデスへの縦パスを入れる。狙っているプレーとしか思えなかった。
それだけ、スールシャールがシティを研究していたのか、選手たちが戦い方を知っていたのかはわからないが、シティにとってはいちいち嫌なプレーになった。
後半ウォーカーとフォーデンが交代で入ってからはより攻撃的になる。
74分のフォーデンのシュートは、初めて流れるような一連の攻撃を見せることができたし、79分にはウォーカーの低くて速いクロスにスターリングがシュートミス。
おそらくこのスターリングのシュートが昨シーズンのCLリヨン戦を思い出させたと思う。
今日のジンチェンコ
ひいき目もあったかもしれないが、シティではジンチェンコが一番良かったと思っている。
前半3分こそ、横パスをひっかけられてしまったが、その後は安定したプレーを見せていたと思う。
パス成功率は92%、枠内シュート1本、インターセプトも2回記録している。
22分のギュンドアンへのスルーパスは、ギュンドアンのチャンネルランをライン際から見逃さなかったし、24分には中央に入って、右からのボールをミドルシュート。可能性の感じるプレーだった。
もっとも素晴らしいプレーだったのが、27分のダイレクトでのギュンドアンへのリターン。パス1本でユナイテッドの2枚の選手を置き去りにする好判断だった。
前回か前々回の記事でも言っているが、
ジンチェンコはトラップとダイレクトパスの判断をぎりぎりまでコントロールする能力に長けている。
ダイレクトでパスをすることもトラップすることも直前で切り替えられるので、相手のプレスの位置や速さを見て27分のように判断することができる。
この能力はビルドアップに欠かせない能力とも言える。
後半は負けていることもあり、いつもよりも前線へ走る回数が多かったように思う。
インナーラップやオーバーラップを繰り返し、攻撃の一端となっていた。
64分のように一人だけスプリントで前へ出ることもあったけど、フォーデンとウォーカーが入るまではカウンターの迫力も薄かった。ついてくる選手が少なかった。
49分にはデブライネと並んで、左からのフリーキックをセットし、ジンチェンコがボールを蹴っていたし、前半デブライネがシュートを打ったところで実況の下田さんが「ジンチェンコー!」と言っていたのはこの試合のハイライトだったと思う。
結果
マンチェスターシティ 0 - 2 マンチェスターユナイテッド
2’ ブルーノ・フェルナンデス(PK)
50’ ルーク・ショー(assist by ラッシュフォード)
HIGHLIGHTS | MAN CITY 0-2 MAN UNITED
結果は敗戦。
公式戦21連勝がここで途切れてしまったことより、マンチェスターユナイテッドに負けてしまったことの方がダメージが大きい。
4回リーグで戦って1勝もできないのは、相性が悪すぎる。相性という言葉で片付けるのも少し良くないかもしれないが。
切り替えなければいけません。
次節はミナミーノのいるセインツ。
シティが良い流れに乗れたきっかけとなった試合はセインツ戦だったので、ここでまた良い波を取り戻し、CLに繋げていきたい。
応援しましょう。
それでは!
リーグ最小失点で首位をキープしているマンシティの守備を数字で見てみよう
こんにちは。
tadashiです。
さあ、今宵も始まりました。tadashiの企画シリーズ。
今日のお題はマンチェスターシティの守備
現在、プレミアリーグ25節終了時点で最少失点の15失点。堂々の首位をキープ。
このマンチェスターシティの守備については、ルベンディアスの存在の大きさ、ストーンズとのコンビ、偽SBによる被カウンター対策などポジティブな側面が取り上げられている。
もちろんそれは良いことで、怪我などでストライカーが十分にそろっていないマンチェスターシティにおいて守備がしっかりしているというのは何よりも大切なこと。今でこそギュンドアンが年明けからハイペースで得点をあげているが、それまではこの守備の硬さに救われていたと言ってもいい。
でも、待てよ。
15失点しているという事実が数字として存在している以上、そこを分析され、弱点をつかれたら、今シーズンではないにしろ、いずれどこかで、足元をすくわれるのではないかと勝手に一人で危機感を持っている。
毎日毎晩毎朝マンチェスターシティの失点にはどういった特徴があるのかを脳内に巡らせ、そこそこの睡眠とそこそこの食事しかとれていない。健康になってしまう。
今回は2部構成にし、まずは、腰をすえてマンチェスターシティの15失点を数字で表現し、何か特徴がないかを検証してみよう。
前段はこれくらいにして。
それではどうぞ。
※今回は第1部です。第2部を想像しながら読んでみてください。
第一部 失点にまつわる数字たち
失点の推移
まずは、今シーズン(25節時点)の失点の推移を順延なども考慮した時間の経過ごとに見てみよう。
第25節を終えた時点で15失点。リーグ最少失点。
第3節のレスター戦以降複数失点はたったの1回。第4節からルベンディアスが初出場して、失点が激減。
第10節にストーンズが復帰してからは、4点しか取られていない。クリーンシートは15回。
CBの組み合わせでの失点を見てみると以下の表になる。
ストディアス | ストラポ | ディアスラポ |
ディアスガルシア |
ストアケ |
ディアスアケ | アケガルシア |
13 | 1 | 6 | 1 | 1 | 2 | 1 |
2 | 0 | 5 | 1 | 1 | 1 | 5 |
そのうち最多失点がディアスラポルトとアケガルシアのペア。
第25節までにペップが採用したCBの組み合わせは表の7組。
最多失点は5失点。
ディアスラポルトは0.83失点/試合に対してアケガルシアは5失点/試合と悲惨な結果に。それもそのはず。このアケとエリガルくんがコンビを組んだ試合は大敗したレスター戦。
レスター戦はデータから除外した方がいいのかと思いながらもこのまま進めていく。
もっともコンビを組んでいるストーンズディアスは0.15失点/試合と驚異的な数字。点を取られる心配はほぼない。
1試合しかペアを組んでいないが、ストーンズラポルトのペアは失点をしていない。この二人のシティへの愛の力か、それとも二人の友情か。(そんなはずはない)
意味があるのか不明だが、個人で見るとルベンディアスが9失点、アケとエリガルくんが6失点、ラポルトが5失点、ストーンズが3失点です。
ストーンズさすがですね。復帰から好調をキープ。ルベンディアスという最高の相棒ができてからですね。
ストーンズはきっとディフェンスラインで先頭にたって引き締めたり、中心になったりするのが苦手なんだろうなと思います。
ちなみに1試合あたりの失点数はストーンズが0.21失点/試合と圧倒的に失点していない。
ただ、エリガルくんを除くCBは1失点/試合を超えていないのが今年のシティの守備の固さを物語っている。
強引に結論付けるとイングランド人CB最強!
です。
失点の時間帯
失点をしている時期がわかったところで、次は90分の試合の中での失点が多い時間帯を見てみよう。
ここでは昨シーズンの同じ分析結果と並べてみる。
昨シーズンは、序盤と終盤での失点が多かったが、今シーズンは序盤と終盤の失点が減少。後半開始直後の15分間での失点が33%で最多という結果になっている。
前半と後半での失点を比較すると、前半の失点が減少。
この33%というのは数字で表すと5失点。45~60分の間に25試合で5失点している。
内訳を示すと、
レスター 2点
リーズ 1点
トッテナム 1点
リバプール 1点
となる。
この4試合の戦績は2分2敗。
実はこの後半開始直後に失点した4試合で勝っていないことがわかった。
なんとも極端な数字だ。
そもそも25試合で5分2敗しかしてないのにその4/7をこの時間での失点の試合になるとは驚きだ。
後半開始直後の失点は、先制点であれ、同点弾であれ、追加点であれ、十分に相手チームのメンタルを消耗させることのできるプレーだ。
数字的には全然根拠もないけれど、そういった効果もありそうだ。
ちなみに上の4チームを率いる監督は、ロジャース、ビエルサ、モウリーニョ、クロップ。良い意味でペップシティを知る名将ということも何か関係があるのだろうか。
データから得られる結論を強引に言うとするならば、シティは後半開始直後に攻め込まれると弱く、失点すると勝てない。
失点の発生位置
続いては失点が発生した位置を整理する。
昨シーズンにシティのデータを分析した記事を書いたがそこでも使ったデータ分析。
今回はさらに細かくピッチを分割し、11分割で失点の発生位置を表してみた。
また、得点のパターンを2種類仮定してみた。
1つが得点者の判断、技術から生まれるもの。これはミドルシュートやドリブルからの単独突破によるゴール。複数の選択肢がある中で得点者がゴールを選択したもの。これを分類aとする。
もう1つは、得点者の判断に関わらず、シュートを打つだけのラストパスによりゴールが生まれるもの。マンチェスターシティでよく見られるグラウンダーの高速クロスからの得点はこのパターンに分類される。これを分類bとする。
今回は分類aのゴールにおいてはシュートを打った位置を発生位置とし、分類bのゴールはラストパスの位置を発生位置として、全15失点のデータを抽出した。
その結果が以下である。
まずは、失点の位置。
PK多すぎ問題
失点が少なく、傾向が出ないと思っていたが思わぬところに伏兵が潜んでいた。
15失点中5失点がPKである。
3分の1がPKなのはいかがなものかとも思う。
データ関係なくペナルティエリア内での守り方に問題があるとしか言えない。
PKの内訳を紹介するとレスターに3点、 リバプールに2点だ。
続いて、失点が多いサイドを見てみるとシティ側の右サイドが一番多く4失点(①、②、⑦)。意外だ。
ウォーカー2試合、カンセロ2試合だった。
ちなみに分類aとbは、aが3点、bが6点という結果になっている。
パスからの失点の方が個人での打開よりも2倍多い。
踏み込んでいくと、④bと⑧bが最多の2点ずつ。
つまりシティ側の左のペナルティーエリア深い位置とペナルティーエリア手前のスペースからのラストパスで失点していることが多いということがわかる。
偽SBやロドリの守備になにか因果関係があるのだろうか。
SB-CB間を取られたときにシティはCBがカバーするから?
ロドリが最終ラインに吸収されることでボールホルダーへのプレスがかからなくなるから?
答えは「わからない」だ。それこそ走った方向と距離を細かに見ていかないといけない。一人では無理だ。
またまた強引に結論付けるとPKをとられやすく、両サイドの深い位置からのクロスに失点しやすい。
得点者と部位
マンチェスターシティの失点はどの位置で多く生まれているかがわかったら、次は得点者がだれで、どの体の部位で失点が発生しているかを知りたくなるのが人だ。
ここでは、得点者とその選手の特徴、そしてどの部位でシティから得点をあげたかを抽出した。
1位はレスターのヴァーディ。
第3節の大敗は今シーズンのスタートを物語るうえで象徴的な試合だった。引いて守ってカウンターというわけでもなく、運ばれてサイドで数的優位を作られて、ここぞというときに走り出すヴァーディに誰もついていけなかった。
2位は2試合して2点取られたサラー。
この二人はどちらもPKでしかシティから点を取っていないので、ノーカウントにしてもいいが、そこに運ばれるまでの形は良くなかった。しっかりと失点という現実を書き留めておきたい。
PKを足にカウントしないこととして、もっとも決められている部位は足で7失点。
サッカーというのは主に足でボールを扱うのだから当然といえば当然だ。
しかし、ヘディングでの失点が2点しかなかったことに驚いている。
それだけクロスへの対応が良かったのかもしれない。たしかにペナルティーエリア内での競り合いに負けている姿を今シーズンあまり見ていない。ルベンディアスが入っただけなのに。
考えられるのは、良い形でクロスをあげられていないのか、守備の基本である体をしっかり当てているからなのか。それはちょっとデータからはわからない。
シティ相手に得点を決めた選手たちの特徴は、スピードのある選手が多い。
ヴァーディ、サラーはもちろんのこと、ソンフンミンやハドソンオドイが該当する。
次に多いのが中盤のダイナモでありゲームメイカーである選手の得点。ティーレマンスやロチェルソ、そしてマディソンが該当する。
私が予想していたのはフィジカルの強い選手にド派手に点を取られてしまうのがシティの弱点だと思っていたが、どうやらそれは克服したようだ。
アントニオ、ヒメネスといった屈強なフィジカルでおしてくる相手にいつまでもやられていては優勝なんてできない。
しかし、CLに目を向けると、リーグで多く点を取られているスピードタイプやテクニックタイプと対戦することの方が多いのではないかと心配になってきた。
得点者のチームとポジション
次のデータ抽出は得点者の所属チームとポジションだ。当然、この流れであればこの二つの指標も気になるだろう。
ぜひ、以下の結果を見て「えー、そうなんだぁ」と言ってほしい。
レスター | 5 |
リバプール | 2 |
トッテナム | 2 |
リーズ | 1 |
チェルシー | 1 |
エバートン | 1 |
ウルヴス | 1 |
ウェストハム | 1 |
WBA | 1 |
上の表と図が結果である。25節までのシティから得点をあげたチームは全部で9チーム。
19チームいるので半分のチームからは失点をしていない。まずまずの成績だと思う。
また、得点したポジション別に見るとFWが最多で11点。なんとも普通の結果だ。
CBによる得点がないのは先ほども書いていた通りセットプレーやヘディングでの失点が少ないことに関係する。
プレミアリーグのCBがゴール前で足技で相手をかわしてシュートを決めるなんて想像もできない。
得点者の国籍と大陸
そろそろ気になってくるポイントがわかったところで最後がこれだ。
マンチェスターシティから得点をあげているのはどの国が多いのか、そしてどの大陸が多いのかをここでは表している。
メキシコ | 1 |
イングランド | 6 |
ベルギー | 1 |
ブラジル | 2 |
エジプト | 2 |
韓国 | 1 |
アルゼンチン | 1 |
フリー素材を取ったのだが、私の母国日本とプレミアリーグのイングランドがない笑
大陸ごとに見るとまあ当然のようにヨーロッパがダントツ。イングランドプレミアリーグなので、当然だ。
次いで多いのが南米。アルゼンチンとブラジルだ。
サッカーの強い国にシティは得点をとられる(適当)
分析結果
とういうことでまとめ。
シティの失点を分析した結果、一つの回答が得られた。
あくまでデータをもとに導き出したことであってこれを真に受けてクレームなどは入れないようにしていただきたい。
しかし、私は心の広い人間なので、もしクレームがあるのであればDMも受け入れるし、インスタでのやりとりも問題ない。望むのであればLINEさえ教えよう。
どんなにクレームを言われても私は通報などはしない。
ただ一つだけ言ってやる。
異論はことごとく却下だ。
回答はずばりこれだ。
後半開始から60分の間に、ヨーロッパ大陸の足の速いFWにPKを取られる
え? 暴論過ぎないかって?
仕方ないじゃないか。こんなにPKを取られるなんて思っていなかった。
全部マンチェスターシティが悪い。
ここで終えてしまうのも非常に後味が悪いので、冷静に結論を導き出すと以下のようになる。
後半開始から60分の15分間に、左サイドをえぐられてラストパスを中央のイングランド人FWに送られるか、右サイドからイングランド人MFに直接ゴールを奪われる
ということになる。
みなさんはどういう印象を持っただろうか。
第一部まとめ
今回は、マンチェスターシティの失点をデータからいろんな角度で見てきた。
結論を整理すると以下のようになる。
■第25節を終えた時点で15失点
■1試合あたりの失点数はストーンズが0.25失点/試合で最も少ない
■ストーンズディアスは0.23失点/試合で最も少ない
■後半開始直後の15分間での失点が33%で最多
■シティは後半開始直後に攻め込まれると弱く、失点すると勝てない
■PKをとられやすく、両サイドの深い位置からのクロスに失点しやすい
■シティ相手に得点を決めた選手たちの特徴は、スピードのある選手が一番多い
■シティから得点をあげたチームは全部で9チーム
■ポジション別に見るとFWが最多で11点(73%)
■ヨーロッパ大陸の選手に得点を取られる
個人的に一番驚いたのは後半開始15分間の失点が多かったことと、CBに得点をあげられることがなかったこと。
それだけでも昨シーズンと変わったと思えた。
あとは数字的にもストーンズが結果を出していることがシティファンからするとうれしい。
今回は、CBの結果だけに着目したが、ロドリ、カンセロ、ジンチェンコがチーム内のインターセプト数のトップ3だったり、ベルナルドシルバの運動量やジェズスの前線からのチェイシングなど、リーグ最少失点にはいろいろな要素があるのはみなさま承知の井実。
昨シーズンまで失点よりも得点というイメージの強かったシティが引いて腰をすえて守れるようになったのも喜ばしく思える。
ファン冥利に尽きる。
今日のお話は以上です。
長々と駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
少しでも目を通してもらえて本当にうれしいです。
次回は、このデータをもとにマンチェスターシティから得点を奪ってみたいと思うので、次もこんなくだらないことにお付き合いいただけるとうれしいです。
それでは!