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そのポジショニングはだれのため? 第15節 vs ニューカッスル

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こんにちは。

tadashiです。

 

カラバオカップ準々決勝アーセナル戦を4-1で勝利したマンチェスターシティ。4連覇まであと2つ。

調子の良いカップ戦の波に乗りたいのがプレミアリーグです。前節セインツに競り勝ち、今日は昨シーズン負けてしまったニューカッスルとの試合です。

 

ウォーカーとジェズスがコロナ感染が発覚し、この試合を含めておそらく3試合出られないことになります。

おそらくシティファンも含めて「ウォーカーがいない」なんてことをだれも想定していなかったでしょう。SBのローテーションはどうするの?とだれもが不安に思ったことでしょう。

しかし、今日の試合でシティファンはとても贅沢な悩みを抱えることになるとは、日本時間5時の時点ではだれも思っていない。

 

 

 

結果

マンチェスターシティ 2  -  0 ニューカッスル

 

14' ギュンドアン (assist by スターリング)

55' フェラントーレス

 

マンオブザマッチ

スターリングでした!

 

スタメン

両チームのスタメンはこちら

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■ホーム マンチェスターシティ 4-2-3-1?

今シーズンのお決まりフォーメーション4-2-3-1です。「?」と書いたのは可変が過ぎるからです。

ウォーカー以外はセインツ戦と同じスタメンとなります。右SBにカンセロ、左SBにアケが入りました。CBコンビはストーンズとルベンディアスの二人。ストーンズの復調により安定感が増した最終ライン。どれだけのクリーンシートを積み重ねてくれるんでしょうね。

フェラントーレスは今日も1トップです。本人はどんな気持ちなんでしょうかね。バレンシアでの使われ方と明らかに違いますが。

 

後半にはフェルナンジーニョアグエロ、フォーデンが出場し、交代枠を使いきったペップでした。

 

■アウェイ ニューカッスル 5-4-1

ニューカッスルにとって痛手なのは、これまで調子の良いレギュラーの選手たちを使えないことです。ここまで8ゴールのカラムウィルソンはようやくベンチ入りし、サンマクシマンはコロナからまだ回復してないようです。

昨シーズン2-2のドローで終わった試合で見事なミドルを決めたシェルビーもベンチ外です。GKのドゥブラフカも怪我で出られず、ブルース監督は頭を悩ませていることでしょう。

 

前節のフルハム戦からは5人入れ替えています。ロングスタッフは、兄弟でニューカッスルに所属しているんですね。今日は20歳の弟が出場です。リッチーは前節、右SHで出場していて、今日は左WBで出場。これだけで魅力的ですね。

 

苦しめられた選手

今日はいましたか?

ジョエリントンもボールキープはほとんどできず、腰を痛めて交代。アルミロンもカンセロに苦戦し、攻撃では違いを生み出せず。

 

 

 

今日のポイント

今日みなさまにお伝えしたいことはたった2つです。

・戦術カンセロ

・後半のポジション変更

 

 

戦術カンセロ

試合の展開は見ているだれもが予想していた展開でした。

マンチェスターシティがボールを持ち、ニューカッスルが守る。しかし、マンチェスターシティの配置を見るとふと思ったことでしょう。

「カンセロはどこだ?」

 

今日のマンチェスターシティは3-1-6。前線に6枚配置したとんでもないフォーメーション!というわけではなく、カンセロの能力を最大限に活かした戦術カンセロでした。


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4-2-3-1からの選手の動きを上図に示します。カンセロどこに移動してるんだよ、って思いますね。

アケ、ルベンディアス、ストーンズが後ろで3枚ならび、その前にロドリ。この4人がひし形の陣形でビルドアップを行います。ニューカッスルの1トップ ジョエリントンもプレッシャーには来ないので、人数が多すぎるぐらいでした。


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さて、カンセロのポジションに注目してください。ギュンドアンと同じくハーフスペースにポジションを取り、デ・ブライネに並んだ位置にいることがわかります。

このカンセロの位置が今日の試合のポイントとなりました。マンチェスターシティは前線が6枚となり、より攻撃的にいくことができ、前から来るニューカッスルを押し込むことにも成功しました。それだけではなく前節から続いている「デ・ブライネの負担軽減」にももちろん役立っていました。

守備では4バックの右SBに入り、今日の試合左に動きがちだったデ・ブライネがいないときはトップ下を、ロドリのフォローでアンカーも。後述しますが後半にはWGもこなしていたので、カンセロは一人でSB、DH、IH、WG、CAMと5役もやっていたことがわかりました。まさにカンセロロール

このポジションがこなせるのは現代フットボールではユベントスダニーロぐらいではないかなと思います。


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ニューカッスルは次第に押し込まれます。前半の途中からSHも前に出ることができなくなりました。

ニューカッスル中盤4枚の後ろからビルドアップでつまったときだけ顔を出しながらボールキープ。ビルドアップ時は右にずれているストーンズが自由にボールを運ぶことができるので、ストーンズは好きなタイミングでパスを入れることができました。アグエロが出てきた後半にもストーンズは素晴らしいスルーパスを最終ラインから出していました。

 

前半のマンチェスターシティは、主に左で作り右で仕留める形を意識。デ・ブライネとギュンドアンは時折位置を入れ替えながら左サイドでベルナルドと3人でニューカッスル守備陣を左に寄せます。左に引き寄せて右に展開。カンセロとスターリングでフィニッシュを演出していました。

 

この狙いが実を結んだのが16分の先制点のシーンです。


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左サイドライン際でボールを持ったベルナルドは斜め後ろにフォローに来たデ・ブライネへ落とします。

その瞬間が上の図です。

波線の矢印は人の移動、ただの直線は守備のブロックを表していますが、この段階ではニューカッスルの5-4のブロックは崩れておらずしっかりと並んでいます。カンセロもアルミロンとクラークに挟まれています。大外にスターリング。

デ・ブライネはボールを受けて内側にドリブルをします。ほんの2タッチぐらいですが。


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デ・ブライネが内側にボールを持ったときが上の図です。

アルミロンが最終ラインに吸収され、守備ブロックは分断されました。このあとはみなさんご存知の通りゴールに繋がります。

デ・ブライネがカットインしたときに、ギュンドアンがDFラインの裏へ、カンセロはペナルティエリアから外にそれぞれ動いたことで、マークをずらし、ラインを動かし、カンセロはペナルティエリアの前でフリーになることができました。

カンセロのスルーパススターリングの飛び出し。本当に素晴らしかったのですが、この得点シーンでもっとも素晴らしかったのは個人的見解ですが、ギュンドアンの動きです。

デ・ブライネが受けたときはまだペナルティエリアの真ん前にいましたが、デ・ブライネが右足でボールを一度ずらしたときにはだれよりも早くDFラインの背後に走っていました。マークをしていたロングスタッフは間に合わず、シェアーに受け渡し、そのシェアーはフェラントーレスを見ていたので、クラークに受け渡し。クラークのスペースには本来WBがスライドしますが、スターリングがいるのでアルミロンが下がらざるを得ず、その瞬間気下りてきたカンセロがフリーになったのです。

 

 

後半のポジション変更

後半はこれだけ話させてください。

メンバーチェンジはなかったが、選手の配置が入れ替わっていたことです。


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後半のマンチェスターシティは、スターリングとベルナルドを左右入れ替え、さらにベルナルドがインサイドで、カンセロが大外に配置されました。
この配置変更の意図はなんだったのでしょうか。

その答えが以下です。

 

前半は左で作って右で仕留める形だったが、ラストパスを出したところでスターリングが利き脚でシュートを打つスペースはほとんどなかった。(一本は得点になりました)

 

スターリングをフィニッシャーとするためスターリングを左に配置する。

 

本来であればベルナルドとの入れ替えで終わりです。しかし、ペップは③を施しました。

 

③カンセロとベルナルドを入れ替え。カンセロが大外へ。

 

 

なぜか

 

 

ここでスターリングとベルナルドを単純に入れ替えると右サイドのクロッサーがいなくなり、攻撃が停滞する恐れがありました。

その理由は、左からスターリング、ギュンドアン、デ・ブライネ、カンセロ、ベルナルドとなる場合、カンセロがペナルティエリア深くまで侵入しない(ベルナルドはペナルティエリア深くを狙う)し、ベルナルドは縦に突破してクロスを上げるタイプではない(カンセロはSBなので当然クロスをあげる)から、仕留めるはずのスターリングまでボールが届かない可能性が高いのです。

前半のカンセロが行ったようにギュンドアンからスターリングへの展開というのも考えるが、ギュンドアンは右利きなので前半16分のカンセロからスターリングに出したスルーパスのような体の向きは難しい。(ギュンドアンはゴール方向に体を向け、ボールを受けたら右足の裏で左に向きを変えるため)

 

ということで、

後半のシティは、右からのクロスをアグエロスターリングで狙い、こぼれ球はIHのベルナルドがつめる。という形にするため、カンセロをワイドに配置したということです。
ペップが始めから後半の配置変更を考えていたのかはわかりませんが、考えていたとしたら純粋に怖いです。

 

この展開により、55分にフェラントーレスのゴールが生まれました。

59分にも左でキープして、フェルナンジーニョ経由で右へ。ライン際カンセロが抜け出してクロス。抜けたさきにスターリング打てず、こぼれをベルナルド。ポストに当たりゴールにはなりませんでしたが後半の狙い通りの形でした。

 

 

雑感

試合のまとめ

時系順に起きたことで気になったところを適当に書きます。

 

34分 ロドリがイエローをもらったシーン
ここの読みや判断の遅さはロドリの弱点でもあります。フェルナンジーニョを見習って克服してほしいところ。

 

35分 デ・ブライネ決定機。カウンター。完全にフリーで抜け出して大外のベルナルドにパスが出せるかとうかがいながら結局シュートを選択。こういうのは決めないといけない。

 

36分 カンセロがまたもハーフスペースからチャンスメイク。スターリングへのスルーパスが2本目。ニューカッスルはアルミロンにカンセロを見させていましたが、これは逆効果だったと思います。カウンターの機械すら前半はありませんでした。

全然どうでもいい話ですが、アルミロンは俳優の村上虹郎くんに見えて仕方ないです。



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44分 デ・ブライネ左カットインから抜け出したスターリングへ。左足で切り返してさらに右足で切り返してディフェンスに当たる。なぜ最近はシュートを打たないのでしょうか。読まれているのでしょうか。

 

45分 カンセロが中央から飛び出し。スターリングからのパス。きれいに抜けたがトラップミス。おそらく飛び出しはこの一回切り。

 

46分 アケが左で中にトラップして近くに出したシーン。左足で大外レーンの選手にダイレクトで出せたら展開がもっと良くなると感じている。ジンチェンコならできる気がするけどアケはそこは期待されていないか。

 

65分 相手の5-4ブロックの前で右→フェルナンジーニョ→左→フェルナンジーニョと繋ぎ、カンセロにロングボール。カンセロはクロスまでいきましたがニューカッスルがクリア。後半は右で崩せていたからゴール前で決めたかった。

 

74分のストーンズの縦パス。この一回だったけど、アンカー的な位置で体を開いてDFの視線を外に向けさせて縦に出す技術。元々の能力なのかまるでバルサブスケツを彷彿とさせる。

 

76分のデ・ブライネ抜け出したシーン。アケは出せず。前半アディショナルタイムでも言えるけどアケは前への意識が低い。デ・ブライネが完全に抜けていたのでトラップの位置が良ければ出せたと思いました。

 

81分 カンセロのクロスからアグエロの決定機。決まらず。
これも右で崩したシーン。ベルナルドが大外でWBを釣りだしてインサイドのカンセロが前へ。顔を出したデ・ブライネにベルナルドが出して、ダイレクトでカンセロへ。カンセロはクロスの質も高い。逆のアグエロにグラウンダーのピンポイントクロス。

 

85分のさすがアグエロのシーン。ウェーブを使った素晴らしい飛び出しからストーンズのスルーパスストーンズは「作り」のパスだけでなく「仕掛け」のパスもできる存在になりつつある。

 

試合終了。

 

感想

カンセロが躍進。試合を通してカンセロの攻撃センスが現れていました。

SBとして出場しながら、IH、WG、アンカー、トップ下と様々な役割をこなしていた姿はマケレレロールならぬカンセロロールという言葉が生み出されそうなプレーでした。

守備の弱点は左SBをアケにしてカバーするぐらいカンセロの攻撃に期待する戦術は少しだけバルサ時代のダニエウ・アウベスを活かしたペップが思い出されました。

このSBを守備の選手ではなく、攻撃の1ピースとして考えるのはCBが優秀だからこそ。ストーンズが怪我をせず、ルベンディアスが1年目のジンクスにやられなければもしかしたらもしかするとリーグとCLも?と期待してしまいます。

 

間髪入れずエバートン戦が。

ボクシングデーの試合というのはなぜこうも頑なに守らなければならないのか。と思わずにはいられない。なんと48時間後に試合。

ぜひとも選手達に休息を。

 

それでは!