プレミアリーグが折り返しを迎えたので、全チームの特徴を語る
こんにちは。
tadashiです。
プレミアリーグが一周しました。折り返しです。
なので、全チームの話をしてみようと思いました。
まとまるのかどうかも不安な無謀な挑戦の始まりです。
これをまるっと読めば、対戦相手のことがわかるはずです。(対シティ限定)
表記例
(A):アウェイ
(H):ホーム
W:勝利
L:負け
D:引き分け
スコアは右側がシティの得点
システムは相手チームのもの
記載は試合のスケジュール順
- 第2節 ウォルバーハンプトン(A)1-3 W 3-4-2-1
- 第3節 レスター(H)5‐2 L 5-4-1
- 第4節 リーズ・ユナイテッド(A)1-1 D 4-1-4-1
- 第5節 アーセナル(H) 0-1 W 4-3-3
- 第6節 ウェスト・ハム(A)1-1 D 5-4-1
- 第7節 シェフィールド・ユナイテッド(A)0-1 W 5-3-2
- 第8節 リバプール(H)1-1 D 4-2-3-1
- 第9節 トッテナム(A)2-0 L 4-2-3-1
- 第10節 バーンリー(H)5-0 W 4-4-2
- 第11節 フラム(H)2-0 W
- 第12節 マンチェスター・ユナイテッド(A)0-0 D
- 第13節 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(H)1-1 D
- 第14節 サウサンプトン(A)0-1 W
- 第15節 ニューカッスルユナイテッド(H)0-2 W
- 第16節 【延期】
- 第17節 チェルシー(A)1-3 W
- 第18節 ブライトン・ホーブアルビオン(H)0-1 W
- 第19節 クリスタル・パレス(H)0-4 W
- 第1節 アストン・ビラ(H)2-0 W
- 最後にマンチェスターシティの前半戦を総括
第2節 ウォルバーハンプトン(A)1-3 W 3-4-2-1
昨シーズンは結局1度も勝てなかった相手。なんと言ってもアダマ・トラオレが強すぎる。様々なところで言われているけど、バルサのカンテラ出身でどうやったらその筋肉とプレースタイルになるのか謎が謎を呼んでいる。今も呼んでいるとかいないとか。ちなみに、ヨーロッパでプレイするトラオレはこのアダマだけではなく、アナザートラオレが存在するので、トラオレの違いを発見するのも海外サッカーを見る楽しみの一つにしても良い。
選手を引き抜かれた結果トラオレが右WBでプレーすることになり(昨シーズンは2シャドーの一角)それがシティ側に優位に働いた。
トラオレが低い位置でプレーすることを迫られ、低い位置からのドリブルはなくパスを出すことを見越してパスコースを塞いだら面白いように引っかかり前半だけで2点を先取。ようやく勝てるかと思った矢先。後半は「一人で行くか」とトラオレが開き直ったことによりメンディーがぼこぼこにされる事件が発生。
後半のポデンセのループシュートが入っていたら今回もだめだったかも。ヒメネスもとんでもない存在感で、簡単にCBがつり出される。ポストプレーでネベスとモウティーニョにパスされたらなかなか厳しい。
ヌーノ監督のおかげなのかうまくポルトガルから若い人材をそろえてくる。ヒメネスの一刻も早い回復を願っています。
第3節 レスター(H)5‐2 L 5-4-1
大敗である。フルボッコという言葉を学生時代ぶりに使った。久しぶりに見ていてつらかった試合。少しぐらい手を抜いてほしかった。
シティはけが人とコロナでCBとFW不足。
ロジャース監督の粋な計らいで好きなだけ相手陣地に入ることができたシティはまんまと罠にはまり、なんとPKを3度献上。少し献上しすぎた。
レスターの5-4-1は前2節と異なった戦術で明確にシティ対策。後ろのほうでしっかり守り、奪う→走る→パスの繰り返し。シティはパスをつないで崩すしかないので、最初の「奪う」が起きないように注意するしかない。一たび奪われれば、奪う→走る→パスで終了。なんせヴァーディーに追いつける人がだれもいない。
シティ攻略法は以下の3つ
1.下がってスペースを埋める
2.ロドリの背後を使う
3.サイドを2対1で攻める
それに加えてロジャース監督は「エデルソンにビルドアップさせない」を追加。徹底的に形で殴ってきたレスター。
ここ2シーズンぐらいロジャース監督のもと成績の良いレスターは久しぶりのCLも狙えるのではないか。
第4節 リーズ・ユナイテッド(A)1-1 D 4-1-4-1
サッカーの変人対決はドロー決着。
アンカーのフィリップスになんとしても前を向いてプレーさせようというそれはそれは恐ろしい狂気のような戦術。3~5パターンは仕込んでいたと思う。たぶんもっとあったけど私の頭ではこれ以上解読できない。
前半はペップのマンツーマンにフィリップスを封じられ、おそらくビエルサも「ぐぬぬ」状態だった。なので後半は前の選手にボールを当てて落としたところにフィリップスを置くという三人目にアンカー作戦で持ち直していた。小学校のとき、三人目の動きをかなり叩き込まれ、サイドバックだった私は「三人目の動きはDFラインの裏への飛び出し」という固定観念を持っていた。三人目が後ろ向きでもいいのだ。三人目の動きの連続がビルドアップであり、崩しである。
ほぼマンツーマンで、抜かれても意地でも追いかける守備は、フルシーズンもつのか心配になる。僕だったらビエルサのチームではやりたくない。
走行距離がマンチェスターシティより5.5km多く、スプリント回数が20回以上多かったようで、もはや軍隊のようだ。
シティがなぜカウンターを基本戦術にしたのかというのは謎。たぶんリーズはスイッチ入るといけるやつが走るので、その瞬間はバランスが崩れるのだろう。ここら辺から得点力不足に悩まされるシティであった。
チャンピオンシップでは優勝できたが、プレミアではたぶん難しいと思う。そもそもビエルサはそういう監督ではないし、リーズのファンもそれを望んでいるわけではない。リーズのファンは今でも幸せ。
第5節 アーセナル(H) 0-1 W 4-3-3
師弟対決。アルテタは昨シーズンの12月までシティでペップのアシスタントをしていた。アシスタントが板についていたアルテタがFAカップをアーセナルで獲得したのは喜ばしい。
昨年の冬にアーセナルに就任し、アーセナルにビルドアップと守備の規律を植え付けた。アーセナルは、2015年からシティに勝っていないので、たぶんなんとしても勝ちたい。
しかし、守備の出方を完全に読まれ、ブロックの外を使われて前進され、初カンセロロールもお見舞いされたのでアルテタにはつらい思い出となった。ペップはこのころから今の形を思い描いていたのかもしれない。そのピースがカンセロであり、ベルナルドであり、ストーンズだったと考えるとなんか心が震える。
試合開始15分前にホールディングが怪我。3バックにしようと思っていたのに4バックになった。逆にシティが3バック。おそらくびっくりしたのはアルテタでしょう。
「あ、やられた」「うわ、どうしよ…」と戸惑っている間に試合が終わってしまった。失点したら5バックにしていた。最初からすれば良かったのに。よくわからかなった。
後半が特にひどくて、対策はなし。シティが陥るブロックの外で回して取られてカウンター。まるでマンチェスターシティのようでした。
現在10位というのは納得。一時期14位まで落ちていたので、これでも復調してきたほう。
第6節 ウェスト・ハム(A)1-1 D 5-4-1
クロスと言えばこの人 デビッド・モイーズが監督
トッテナムに残り8分で3点差を同点にした勢いがあったと言えば聞こえは良いが、いかんせんシティが良くなかった。とにかく人が狭いエリアに集まる集まる。光に群がる虫じゃないなんだから、と言いたくなる。2007年以来の一つ前の試合とまったく同じスタメンのようです。
シティとの試合は2015年までさかのぼらないと勝利はありません。
ウェストハムは実は今シーズンは調子が良くて現在5位。
メンバーもGKファビアンスキを筆頭に実力者がそろう。特に前線はフォルナレス、ボーウェン、アントニオと強力な選手がいる。ライスとソウチェクはどのチームも戦いたくないクレバーでかつフィジカルなコンビ。
先制はウェストハム。アントニオがルベンディアスに「これがプレミアだぜ」と教えるかのようなフィジカルなゴール。
5-4-1でコンパクトに、CBの縦パスは絶対に通らないほどに中央を締める。シティのビルドアップに対してもアントニオとボーウェンがCB、左がスタートポジションのフォルナレスがアンカーのロドリを見るという中盤4枚を立体的に使っていたのが面白かった。
冬のマーケットでマンチェスターユナイテッドのリンガードを獲得。このままの調子でいけばEL圏内も十分狙えそう。
第7節 シェフィールド・ユナイテッド(A)0-1 W 5-3-2
通称ブレイズ。
ユナイテッドはマンチェスターもニューカッスルも、もっと言えばコルチェスターとかたくさんあって、シェフィールドはシェフィールドウェンズデイというチームがあるようで、敬意をこめてブレイズ。
監督はクリスワイルダー。2016年5月にブレイズに就任してからこのシティ戦までに99勝。100勝目をシティ戦であげるのか、というとまったくそうではなくシティの勝利。シティでの100試合目の出場を達成したウォーカーが地を這うミドルをズドン。古巣相手ということでゴールセレブレーションはなし。
プレミアは2シーズン目。シティとの対戦は3試合目。2試合で2敗。
ブレイズは、ロングボール主体に攻撃を組み立て、それにより前進ができればテクニックのある中盤の選手体で右サイド(シティのから見ると左サイド)からクロスを放り込む作戦。ロングボールを蹴るのも同じサイド。カンセロのサイドを狙う明確な意思が見える。このあとの試合もカンセロやジンチェンコのサイドを狙われることが多かった。
ワイルダー監督の率いるブレイズの特徴はなんといってもオーバーラップングCBだが、今日はそこまで多くはなかった。しかし、ベルゲ、バルコックとともに右サイドの崩しに関与していたので、十分攻撃的。
それにしてもベルゲはイケメンすぎないだろうか。ずるい。スピードはないけどドリブルもうまくカンセロをするすると抜いていた。
ただ、順位は最下位。今のところ降格の可能性は高い。なぜ、シティの試合のときだけ良い試合をするのか。最下位であることを忘れてしまう。降格権を出るまでにすでに11ポイントの差があるのでかなり厳しい。がんばってほしい。
第8節 リバプール(H)1-1 D 4-2-3-1
監督はクロップ。日本のサッカーファンなら香川真司がドルトムントで大活躍したときのドルトムントの監督として記憶にあると思う。
ちなみに当時J2のセレッソにいた香川真司の獲得をクロップが熱望していたわけではない。クロップはフロントに説得され了承した。しかし、ふたを開ければマルコ・ロイスを押しのけスタメンを奪取。レヴァンドフスキがバイエルンに移籍するまでクロップドルトムントはドイツだけでなく欧州を驚かせた。
ヨーロッパでもっとも注目される対戦と言われるのは、ペップとクロップがそれぞれ現代サッカーの基礎となるポゼッションとストーミングの最高峰であるからだ。
昨シーズンは1勝1敗。2シーズン前はシティの1勝1分。17-18シーズン、16-17シーズンも1勝1敗である。毎回いい勝負をする。
今シーズンのリバプールは大変なことになっている。
リバプールの守備はこの人でなんとかしていたというファンダイクがシーズン絶望の大けが。そこから少しずつ歯車がかみ合わなくなる。10月のアストンビラ戦ではなんと7失点をして負けている。
シティとの対戦では、それに加えてファビーニョ、チェンバレン。さらにはチアゴも怪我で離脱という不運。それでも引き分けで終わらせるリバプールの強さを感じた。
結局、攻撃的なチームの弱点はSBの裏のスペース。例にもれずリバプールと対戦するチームはそこを突いてくる。SBに自由にやらせてカウンターいただきます、というわけだ。しかし、シティはSBに自由を与えないように4-4-2で守った。そしたら中央の空いたところをトップ下に入ったフィルミーノに蹂躙されてしまった。さすがである。
右SBのアーノルドも自分が警戒されていることに気づきハーフスペース後方でロングボールを配球することに従事。なんという21歳か。
おそらく後半もそのまま進んでいたら負けていた。アーノルドが怪我をして、フィルミーノに対してスペースを与えないようにコンパクトに中盤の選手たちが動いたおかげでスコアがこれ以上動かなかった。
サラーもマネもいつものように厄介だったが、ウルヴスからきたジョタが想像以上にフィットしていて、ミナミーノの立場危うし、と思っていた。
現在4位。優勝をあきらめるようなポイント差でもないが、チアゴの活用がいまいちなのが気になる。
第9節 トッテナム(A)2-0 L 4-2-3-1
「2年目のモウリーニョは強い」
なにかしらのタイトルを2年目に獲得するモウリーニョからすると今年は勝負の年でもある。
レアルマドリードからレギロン、ベイル、セインツからホイビュア、ベンフィカからジェドソンフェルナンデスとビニシウスと割といい補強。シティ対戦時もたしかプレミアで1位か2位だったと思う。直近の直接対決ではシティ相手に1勝1分。
さて、この試合。ケイン、ソン、ベルフワインがいて、トップ下にエンドンベレ。フィジカルタイプの選手をトップ下に置くなんてモウリーニョも人が悪い。ブロックを作り、中央をがちがちにして、スピードのあるカウンターをお見舞いする。しっかりとお見舞いされたシティはボロボロ。
プレッシングの連動も失い、見事にそこをつかれて失点。
モウリーニョは戦術家だと思っているけど、この試合後の記者会見では「戦術は勝ち点3を取ること」と言ったとか言ってないとか。
レギロンがしっかりとレアルマドリードらしさを残していてボールを持ちすぎる場面が見られて良かった。
ケインとソンのコンビは威力が大きすぎる。なんでもできる万能型のFWにスピードと決定力でゴール前に顔を出すシャドウストライカー。攻撃はほぼこの二人に頼っていると言っても良い。それでいいぐらいの結果を出している。逆に言えば、どちらかが欠ければ失速するだろう。
他のチームとの試合ではどうかわからないが、アンカーのタスクが多すぎる。IHのインナーラップについていってWGの対応を行い、中央のスペースをケアする。たぶんロドリとジーニョではできない。シソコとホイビュアが高次元にこなしていたのを見て、トッテナムがいいチームだと思ってしまった。CLでの敗戦があるから嫌いだけど。
ちなみに現在はケインが怪我で離脱してからは失速。9位にまで落ち込んでしまった。
目指すところはCL圏内か。
第10節 バーンリー(H)5-0 W 4-4-2
マンチェスターシティ相手に真っ向勝負。引いてブロックを作るのではなく前からプレスを仕掛けてきた。正直、ありがとうとしか言いようがない。トッテナム戦のいろいろな課題がうやむやにできるぐらいの大勝だった。
監督は、2012年からバーンリーを率いるシーンダイシェ。
8年間も同じチームを率いるなんてチェルシーにこの話をしてやりたい。
マフレズがハットトリックを決めたこの試合。人の動きがないのか動きすぎてスペースを消してしまっているのか、とにかくどの試合も組織的な攻撃が全然魅力的でないし、得点にもつながっていないので、この活躍は助かる。
レビューでは本質を忘れさせてくれると書いていた。辛辣。
バーンリーの要はGKのポープ、左SBのテイラー、左SHのマクニールだと思っている私。特にテイラーは、この圧倒的に負けた試合においても平均ポジションを真ん中より高く保ち、チャンスを1本作り、クロスを3回も上げている。
ジェイロドリゲスを右サイドに、2トップのウッドを右に置いて、メンディーと競り合わせるのはいい作戦だと思ったが、そんな場面もあまりなくひたすら打ち込まれるバーンリーだった。
現在17位。降格だけは避けたい。
第11節 フラム(H)2-0 W
監督はスコットパーカー。トッテナムにもいて、フラムで引退後監督のキャリアをフラムでスタートしています。イケメンで40歳。
普段の試合はどうしてるのかわからないが、3-4-1-2を採用し、トップ下ロフタスチーク。守備時は5バックにして攻撃は中央へボールを繋いでいくスタイル。
前線にわりとタレントがいるので、ある程度フィニッシュは任せられる。Hを絶対に経由するビルドアップは即時奪回を狙うシティのハイプレスと相性は最悪。
試合全体を通してフラム自身のミスが多く、そりゃ勝てないだろうなという感じ。まずはミスを減らそう。
アレオラがいなかったら何点入っていたのか。
降格圏にいるチームは最終的にどこまで順位をあげられるか。
第12節 マンチェスター・ユナイテッド(A)0-0 D
レジェンドが監督をする場合はある程度ゆとりのある心を持たないといけないと思う。
スールシャールは哲学を持っていない。攻撃の型もない。ブルーノフェルナンデスよろしく!だ。
昨シーズンは惨敗した。ブルーノフェルナンデスにやられたと言ってもいい。
今回もブルーノフェルナンデスはもちろんスタメン。ポグバが左SHに入る大胆な布陣。試合はスコア通りの塩試合で、マンチェスターダービーがこんなのでいいのか。
それでも昨シーズン終盤からようやくフィットしてきたフレッジと若きタレントのマクトミネイのダブルボランチはシティにとっては厄介極まりない。
いつも思うが、ワンビサカが守備専任のプレイヤーで本当に良かった。彼にドリブルやクロスが備わっていたらシティの右サイドから好きなようにやられていたはずだ。
それでも連動した右サイドのディフェンスには少々手を焼いた。
ダイヤモンドでビルドアップするシティに対して、2トップが両脇、ブルーノがアンカーを封じ、サイドに追いやってシティの左SBにワンビサカを当てる。なかなか効果的だった。
両チーム通じて決定機がほぼ1本だったと思う。
ただ、ユナイテッドも2位なので気は抜けない。
第13節 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(H)1-1 D
監督は、ビリッチ。この引き分けのあと解任。
シティにはこの10年一度も勝てていない。勝利の記録を遡るには、2010年まで時を戻さなければいけない。(しかもリーグカップ)
選手紹介では4-5-1。試合が始まると6-3-1で引いて守るWBA。引いて守られると得点パターンを失うシティにとっては圧倒的に効果的。
グラントがフィジカルを活かしてアケをふっとばし、ゴールを決めたが、ギュンドアンのリーグ初ゴールもこの日だった。
残り10分間のデブライネの鬼クロス vs ジョンストンの飛び出しという男心くすぐる真っ向勝負が繰り広げられるもドローで終了。
ブレイズに続いて、19位。現実的に残留も難しいWBAである。
第14節 サウサンプトン(A)0-1 W
サウサンプトン。愛称はセインツ。セントメリーズ教会青年会が結成当時の名前だったことから由来される愛称。(たぶん)
監督のハーゼンヒュットルはラングニックの系譜だ。
4-2-2-2によるハイプレスでシティのゴールキーパーエデルソンまでプレスをかけるその姿はドイツのライプツィヒを想起させる。それもそのはず。彼は2018年ライプツィヒからやってきたのだ。
開始序盤のセインツのハイプレスはシティに一定の効果を与えた。ロドリを中心に包囲網を形成し、ロドリでも奪うし、ロドリのパスの先でも奪う。このまま息が続けばと思っていた矢先に失点してしまったので少しもったいなかった。
ウォルコットのハーフスペースの位置取りで、カンセロをつり出し、SBのピータースがオーバーラップ。ウォードプラウズとヴェスターゴーアはその右サイドに向けてそれぞれ短いパスと長いパスを狙う。それだけでなく、左SHのジェネポまでもカットインからサイドチェンジ。徹底したカンセロいじめである。
ウォードプラウズは、フリーキックで3点を取っている。ベッカムの記録したフリーキックの1シーズン5得点を越える可能性がある。(現在はすでに4得点)
一番驚いたのはウォルコット。まさかこんな戦術的にクオリティの高い選手に成長しているとは。31歳となった過去の快速ウインガーは微細なポジショニングにより相手の注意を自分に引きつけ、攻撃を活性化させていた。アーセナルのころの彼より明らかに面白い選手になっていた。
順位はそこまで上がらず、つい最近はマンチェスターユナイテッドに9失点の敗北。冬の移籍でミナミーノをローンで獲得。
12位という順位では収まらないチームなので後半戦に期待したい。
第15節 ニューカッスルユナイテッド(H)0-2 W
ブルース監督のこの試合の苦悩は計り知れなかった。
5-4-1の布陣で深くブロックをつくる対シティの基本のようなフォーメーション。
セインツ戦が終わるまでのシティであればこの戦い方に対抗できなかったが、セインツ戦で答えを見出したシティに完全敗北。
カンセロロール初披露
1トップのジョエリントンは孤立し、ロングボールを送ってもキープできない。ひたすらボールを持たれ、アルミロンもディフェンスラインに吸収されることも多く、攻撃へ転じることができず。
チーム内得点王のカラムウィルソン、スピードある突破ができるサンマクシマン、昨シーズン豪快なミドルで同点に持ち込んだシェルビーなど、主力が揃いもそろって不在。それはなかなか難しい。
降格圏との勝ち点差は10で、降格は大丈夫そうだが、目指すものはなにか。
第16節 【延期】
マンチェスターシティ側で、コロナ陽性者が多数となり、試合開始4時間前に延期の決定がとられました。
第17節 チェルシー(A)1-3 W
監督はチームのレジェンドであるランパード。もうチェルシーでの彼を見られないと思うと寂しい。
ランパードは、昨シーズン若手を積極的に起用し、一定の評価を得られた気がしたが、チェルシーは今夏、190億円の大型補強。若手はいずこに…。
チアゴシウバ、ヴェルナー、シエシュ、ハヴァーツ、チルウェルなどなど。
エデルソンが出られなかったシティに対して、猛烈にプレスをかけるが、それだけで崩れるほどシティは甘くない。シティと同様にポゼッションを高めて相手を崩そうとしたランパードは、昨シーズンの勝利とは異なる戦術を採用。
結果はご存じの通り敗戦。ヴェルナー1トップの効果はまるでなく、カンテを揺さぶられ、スペースを突かれる事態。
不慣れな0トップとしてスタメンのデブライネにすらDFラインの間を抜けられる始末。ポゼッション率はシティよりも高かったが、どうやらそこに特化してしまったため、勝敗のことまで考えていなかったらしい。
チェルシーは結局ランパードを解任。最後の試合ではメイソンマウントにキャプテンを託す。まるで、チェルシーの未来を託すかのように。
CL圏内は十分狙える位置にいるが、チェルシーというクラブがどういう未来を描くかはいまいち見えてこない。
第18節 ブライトン・ホーブアルビオン(H)0-1 W
監督はポッター。
とにかく離脱者の多いブライトン。それでもシティ戦はがんばりましたが一歩及ばず。
可変、可変、可変。
もとのフォーメーションを忘れるぐらい複数のフォーメーションを使い分けるブライトン。役割を忘れそう。
シティに前からプレスするときは4-4-3、ハーフラインまで持たれたら5-3-2、自分たちがボールを持つときは4-3-1-2などなど。
ポイントはWBのベルナルドと左CBのバーン。
WBがCHになり、CBがSBになる。相手のマークを惑わすことができるが、それはボールを持てたら、という前提が必要。シティに対しては、この形になるところまでいくことも少なかった。
もっとも攻撃の頻度が多かったのは、トロサール。彼はチャンスを作るが、質が低い。ここが高まってくればもっと高い順位も目指せるはず。
個人的にはランプティを見たかった。
第19節 クリスタル・パレス(H)0-4 W
監督はロイ・ホジソン。73歳でも全然元気。
シティに対して、パレスは前からプレス。外切りから中央に誘導し、中でかっさらうぞ!という意思が見て取れた。取れてないけど。
しかし、プレミア初挑戦のエゼにはその考えは伝わらず、右サイドからやられてしまった。
ザハが不在だったため攻撃も不発。失点も4でいいとこなし。シュートも2本しか打てなかった。
なにがダメだったのだろう。
マンチェスターシティはとてもいいゲームだった。ストーンズ2得点。
正直、パレスが良かろうが、悪かろうが、知ったことではない。
第1節 アストン・ビラ(H)2-0 W
気づいたらディーンスミス監督が退場していた。
バークリーが勝ったのは2015年までさかのぼる。なんとアーセナルと一緒だった。
チェルシーから加入したバークリーと2部得点王のワトキンスに注目していたけど、相手がシティなので思った通りの試合展開。
グリーリッシュが守備にも戻っていたのが昨シーズンと違うところ。ターゲットがとてもゆとりをもって守備できていたと思う。怪我したけど。
そしていましたアナザートラオレ。右SHでスタメン。
シティ下部組織出身のドウグラス・ルイス。できればフェルナンジーニョの後釜としてシティに戻ってきてほしいと思うのだがいかがか。
守備をし続けることが多かったビラは、勇猛果敢にボールの狩場を自陣ハーフスペースに設定。奪ったらグリーリッシュでカウンター。28本もシュート打たれたけど、11本シュートを打っている。
グリーリッシュは、デブライネを尊敬していて、デブライネの出ているシティの試合はほぼ間違いなく見ていると思う。
グリーリッシュはいつの間にか2025年まで契約延長。もしかしたらワンクラブマンとして生涯をビラで過ごすことになるのかも。
そのためにはプレミア残留を果たさなければならない。
最後にマンチェスターシティの前半戦を総括
疲れた。
一応、マンチェスターシティの前半戦を取り上げます。
まずはこの下のグラフを見てください。
前半戦の得点数と失点数を累計で表している。
前半戦終了時点では、31得点13失点。失点はリーグ最少の数字です。
レスターにフルボッコにされた次の試合からルベンディアスが出場。突然守備が安定して、さらにストーンズが復帰した第10節からは2点しか取られていない驚異の数字。
- ディアス出場前 2試合6失点
- ディアス出場後 6試合5失点
- ストーンズ復帰後 10試合 2失点
ギュンドアンのプレミア今シーズン初ゴールからシティの得点数が伸びているのが興味深い。カンセロロールよりも影響力は大きかったと言える。
第13節で初ゴールなので、8試合7ゴールという冬から加入したストライカーのような活躍。
次の第20節でシティはプレミア首位に立つが、それはまた次の機会に。
開幕からのトピック
■トラオレの呪縛を克服
昨シーズンダブルをくらった相手に勝利したのは幸先良いスタートだった。しかも初戦。
どんな試合をしても最終的にはアダマトラオレになにかしらやられて失点というパターンが怖かった。
ふたを開けてみるとやっぱりトラオレは厄介だったが、それよりもポルトガルの選手たちの方が嫌な相手だった。
と、言っても今シーズンのシティもポルトガルの選手たちに助けられているのでなにも言えない。
結論から言うとポルトガルは強い。
■シルバロスによる迷い
シルバの退団は思ったより深刻だった。
昨シーズンまでは、左でキープして逆サイドに展開したら質的優位性で突破できていたし、その右を囮にして、左スターリングから得点が取れていた。
しかし、序盤戦のマンチェスターシティは引かれた相手が作るブロックの外をただ回すだけの試合が多く続いた。単調なパスは相手の守備組織に亀裂を入れることはできず、不用意なパスでボールロストし、カウンターを食らう。多くのチームがそれを狙う強者の苦悩である。
この不調の最もたる要因が相手陣内でIHが背を向けてボールを受けられないこと。
ダビド・シルバはそれがものすごくうまかったし、ジンチェンコから斜めのパスを受けることで中盤とDFラインの間で前を向くことができた。とにかく狭いスペースでのプレーが抜群だったのだ。今シーズンのシティにダビド・シルバほどのプレーヤーはいない。デ・ブライネはスペースが必要だし、ギュンドアンは高い位置まで上がらない、ベルナルドシルバはピッチ全体を走り回ってしまう。起点がないのだった。このときは。
■ポルトガルからの救世主
もちろんルベンディアスのこと。
実は彼、加入してから2回しか練習してなかった。勝者のメンタリティというか、キャプテンシーというか、コンパニーが抜けてから不足していた精神的なところでチームを奮い立たせる選手が現れてくれたという感じ。まだ23歳だって? 驚きです。どんな人生を過ごしたらああなるんだ…。
ちなみに、このあとはカンセロとベルナルドシルバもチームを助ける。
■深刻化するデ・ブライネ依存
僕らにプレシーズンなんてなかった。
前半戦のとあるタイミングで、デ・ブライネは昨シーズンのCL終了後から十分な休息と準備が得られなかったと語っている。
我々は知っている。デ・ブライネが過密日程について感想を漏らすときは疲れていて、動きの質が悪くなり、試合終盤のプレー精度が極端に落ちることを。特に今シーズンは、ダビドシルバが退団し、彼にかかる期待や責任は大きい。彼だってサッカー以外は普通の青年である。
ある試合で、ひたすらデブライネにボールを預け、得点の予感がかなり低いクロスを上げざるを得なくなったことがあった。
それは引き分けに終わったWBA戦。残り10分のところから始まったデブライネvsWBAゴールキーパー。右足でクロス→クリア→クロス→クリアという攻防。男同士の殴り合いを見ているよう。
この試合を見て、状況は想像以上に深刻だと思ったことを思い出す。
そもそも、4-2-3-1トップ下デブライネ。みんなデブライネにボールを預けて走り出す。
いや、おれフリーランで裏つくのも得意なんですけど!
という心の声が響いていたと思う。
その解決策はセインツ戦で現れるが。
■フォーデンの火遊び
若気の至りはサッカー界にも平等に訪れる。
コロナ禍にて開催されたUEFAネーションズリーグでイングランド代表に初選出されたフォーデンとグリーウッドが揃って新型コロナ規則違反により代表を追放された。
それはまあ、やってはいけないことだし、自分が無事でもだれかを感染せてしまったら…というリスクを考えられない若さが出てしまって、なにもなかったから良いものを。この若い二人には今回の反省を活かして改めて行動してほしい。
許せないのはこれだ。
宿泊先に無断で女性を招き入れたことだ。
なにやってんだよ!うらやましいぞ!
これだけは本当に許せない…あ、心の声が出てしまった。
このあとのフォーデンの活躍を見たら心を入れ替えたと思っている。
■おかえりストーンズ
第10節から復帰。
昨シーズンずっと不調で、しばらく試合も出てなくて、シティにいて本当に幸せなのかファンが一番心配していた選手。
復帰後からはルベンディアスの横で素晴らしい活躍。変な期待から解放されたのか、後方から好きなようにビルドアップ。
トラップでかわしたり、縦パス入れたり、ワンツーで駆け上がったりと楽しそうにプレーをしていてほっとした。
ちなみにロッカールームでは、踊るタイプ。
■ギュンドアンの覚醒
前半戦もっとも活躍した選手と言ってもいい。いや、言う。
13節で今シーズンプレミア初ゴールを取ってから得点を量産。ゴール前に顔を出す回数はおそらくアグエロより多い。今シーズンはたぶんトップ。
現在キャリアハイを更新中。香川真司に感想を聞きたい。
アグエロとジェズスがそろって離脱している期間が長かったシティにとってはとても助かった。ここまでやるとはだれが想像していた?
たしかペップも「彼は時間を作り出すのがうまいんだ」と言っていて、得点力に関するコメントはまったくなかった。
ペップにも感想を聞きたい。
■カンセロロール
そして、前半戦一番の衝撃は、5節アーセナル戦から構想を得て、17節チェルシー戦からお披露目になったカンセロロールだろう。
ハーフスペースをアンカーの位置から2列目まで自由にポジショニングし、攻撃の最適解を出し続けるカンセロが、このチェルシー戦から続いている。
特にペナルティーエリア手前中央でボールを持った時の落ち着きはSBとは思えない。SBではないのかもしれない。1試合に1回は簡単に裏を取られるか1対1で抜かれるので、ストーンズが右に大きく開いている今の形は、カンセロのフォローに回りやすく、わりとそれはそれで安定している気がする。
ユーべ時代から「カンセロは攻撃はいいんだけど、守備がなぁ」と言われていたが安心してほしい。今もまったく変わらないし、ペップはカンセロの守備を鍛えるのではなく、守備をさせないという斬新な方法で切り抜けた。その代わりにジンチェンコに負担がいっている気がするのが、私は少し心配である。
長かった。
読んでくれてありがとうございました。
どうでしたか。
ほぼほぼくだらないことしか書いてません。
後半戦はやらないかもしれないです。
次回がぜひとも「苦しめられたベストイレブン」でお会いしましょう。
それでは!