第29節 vs ウルヴス
こんにちは。
tadashiです。
今日はウォルバーハンプトンとの一戦。
ピッチに8人のポルトガル人が立ったこの試合。昨シーズンのダブルの借りを返せるか、シティファンにとっては気になる試合。
この過密日程の中でもまったく手を抜かず、常に調子の良いスタメンをピッチに送り込むマンチェスターシティ。
CLがあるから少しは温存しながらリーグを戦ってくれ
と、フロントに言われたりはしてないのでしょうか。
言われていないのでしょうね。
固定メンバーで戦って分析されても失点しないし、という自信すら感じます。
今日の試合も勝利をおさめてくれました。(ひやひやしましたが)
昨シーズンダブルをくらったチームにダブルを達成。
そんな記念すべき試合を簡単に振り返ってみたいと思います。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム マンチェスターシティ 4-3-3
前節より人変更。いつもの4-3-3の形。
SBはウォーカーとカンセロ。最近はジンチェンコも含めた3人を相手チームの特徴や状態を見ながら起用することができています。
ルベンディアス、ベルナルドシルバ、カンセロがポルトガル国籍の選手
■アウェイ ウォルバーハンプトン 3-4-2-1
前節より1人を入れ替え。
アダマ・トラオレの1トップでセメドとネトがセカンドトップの位置にいます。中盤センターにはネベスとモウチーニョが並び、前線3人を支えます。
トラオレは今季いまだにゴールもアシストもないようで真価が問われるときがきていますが、単独で突破できるフィジカルとスピード、そしてテクニックを持っているので、負けたくないけど期待したい。
ルイパトリシオ、ネベス、モウチーニョ、ネト、セメドがポルトガル国籍の選手
苦しめられた選手
■ネト
後半残り10分までタイスコアであったこの試合では、後半のネトとセメドの右サイドでハーフスペースをうまく取りながら攻める姿勢を見せていて60分のファウル獲得により、61分のコーディのゴールが生まれました。
攻められていてもカウンターのためにトラオレとファビオシウバの2枚は残していたので攻守に汗をかかなければいけなかったのがネトでした。
5-4-1への対抗策
今日の試合は残り10分で決着がつきました。
前半こそリードで折り返しながら、後半に失点。そのまま80分まで同点。
後半はウルヴスの圧のあるカウンターに少しヒヤッとする場面も。
しかし、前節と比べると落ちついて試合を進めていましたし、苦手とするトラオレにもきちっと対応ができていました。
今日は前節との違いを踏まえて見ていきたいと思います。
前節のウェストハム戦をご覧になっている方がいれば思い出してほしいのですが、シティはウェストハムの5バックに苦しみました。
5-2-3、5-3-2で前からのプレスとピッチ幅を占有したバックラインの配置で、中央からの展開を阻害、WGには複数枚で対応され前半20分までシュートが0だったシティ。
ウルヴスは普段から3-4-2-1の守備時5バックを採用しているチーム。
ウェストハムよりも攻めあぐねる展開が予想されました。
しかし、試合が開始するとウェストハム戦よりも一方的な展開で試合が進みました。
なぜか?のポイントは2つです。
- ビルドアップの形
- 巧妙な立ち位置
ビルドアップは、片方のSBがアンカーと並ぶ今までの3-2ではなく、SBの一人が高い位置で幅を取る3-1のダイヤモンドの形をとりました。
前節のウェストハム戦でもそうでしたが、シティは相手が前からプレスに来なかったとしてもビルドアップに人数を割いてしまう傾向にあります。
そのもっともたる失敗がWBAとの最初の対戦です。1-1のスコアで引き分けとなりましたが、WBAがほとんどプレスに来ない中で5人の選手をビルドアップに割いていました。
※ペップもこの試合以降自分たちのプレーを見直したとインタビューで言っていました。
今日のウルヴス戦は、3-1のビルドアップ。
ウルヴスが守備時に5-4-1もしくは5-2-3になると分析できていた証拠です。
5-4-1であれば、3-1の両脇(ラポルトとウォーカー)がドリブルで持ち運べるし、5-2-3であれば、2の脇をIHが使いフリーでボールを受けることができました。
続いて、シティ選手側の巧妙な立ち位置について。
上の図は前節のウェストハム戦のシティボール保持のシーンです。
5レーンを埋められ、中央のスペースを消されたことで、ハーフスペースからシティの選手が離れてしまっていました。これにより相手の5バックは均等な間隔を保ち、サイドチェンジにもゆとりをもって対応できていました。
これは、この試合の一つのシーン切り取った場面です。
ウェストハム戦との決定的な違いはハーフスペースに選手がいるということです。狭くても狙われていてもハーフスペースに人を配置することで、ディフェンスの意識はより中にいる人に向くのが常です。
上の図でもビルドアップからファイナルサードに移行する場面で、デブライネがハーフスペースにいることで、右WBのフーフェルが絞ることを強いられ、本来攻撃に意識を強く持ちたいセメドがカンセロのケアをする必要性に迫られていました。
セメドが戻らなければ、WBは一人で二人を相手にすることになり、局所的数的優位を取ることができます。
15分の先制点、そして80分の2点目はそのハーフスペースに立つことで空いた大外レーンを攻め込んだ結果の狙い通りのプレーでした。
どちらもベルナルドシルバが左WBの意識を引きつけ、マフレズとウォーカーを瞬間的にフリーにし、パスコースを作り出していました。
あと、思いつくとしたらフィニッシュへの道筋をサイドからつくりだしていたことです。
スターリングとジェズスを2トップ気味に配置し、左はカンセロやデブライネのパス、右はマフレズの突破を攻撃の軸にしていました。
上記のハーフスペースへの人の配置が影響して、大外レーンが空いていくことを利用していました。
24分には、通らなかったけど、デブライネがサイドライン際からダイレクトでスルーパスを出したシーンもありました。ゴールへの最短距離を取るデブライネはどんなチームにも貴重です。
ここで注意しなければならないのが、そのデブライネが入ることによるオープンな展開に残りの10人が耐えられるかということです。
24分のシーンは、その後ベルナルドシルバが猛然とウルヴスGKにプレスをかけていますが、チーム全体にこの意識がないとカウンターを受ける場面も増えるし、そもそも体力ももたなくなっている。
シティがリーグ折り返しでもここまでフィジカル的に良い状態が保てているのは、デブライネがいなかったことが良い方向に影響していたのかもしれません。
一方で、ここまでスタッツで圧倒されながらウルヴスが後半同点に追いつき、終盤まで戦えたのはなぜなのか
それは以下の2点です。
- トラオレの配置替え
- 打ち合い上等の2枚残し
今日のトラオレは1トップでの出場でしたが、持ち味は発揮できていませんでした。
5-4-1での守備がほとんどだった前半は、ボールを奪えても前線への距離が遠く、トラオレもサイドに流れてボールを受けるプレーが多く、囲まれてしまうことが多かったと思います。
後半FWのファビオ・シウバを投入し、左のシャドウに入ると、ファビオ・シウバとともにカウンター要員として前線に残り、攻撃へつなげていました。
また、5-4-1の守備から5-2-3や5-3-2にシフトできたことで、前からシティにプレッシャーをかけられるようになりました。
狙いが明確になったことが良かったことかもしれません。
2つ目の理由も関係しますが、もはやウルヴスは打ち合う気満々で後半を進めていたと思います。
61分の同点弾、68分のカウンター、69分のシティ陣内でロドリをとらえた場面など攻撃的な姿勢を後半の45分は見せていました。
このようにウルヴスもなんとか食らいつきましたが、勝利はシティへ。
決勝点はジェズス。
ハーフスペースの選手につられてウォーカーをフリーにしたのが決定打。
ディフェンスはなんとか戻りましたがクリアした位置が悪かったです。仕方ない…。この時間にちゃんと二人ペナルティエリアに入っていたマンチェスターシティがさすがです。
さらにマンチェスターシティは、というよりペップは攻めのメンバー交代。
ベルナルドシルバを下げてギュンドアン
解説の戸田さんも「ボールを落ち着かせることを考えるとデ・ブライネが交代すると思っていた」と言っていましたが、デ・ブライネピッチに残りました。
結果はご存じの通りです。
残り10分での交代は守備固めかボール保持だと思うじゃないですか。
シティの最後の2点ともハイライトを見てください。
得点取る気満々。
ネベスが交代して若い選手が入ったことでチャンスだと思ったのかなんなのか。
3点目はその20歳のアメリカ人が自陣深くでボールをタッチしたところを狙ってボールを奪ったのが決め手になっています。
抜け目ないですね。
スタッツから見る
90分間のスタッツをまずは確認します。
すべてのスタッツにおいて圧倒的な数字をシティは出しています。
シュート22本のうち10本が枠内シュート。そのうち4点を決めているので、枠内へのシュートの実に40%が得点になっています。
また、パスの本数はウルヴスの約2.9倍のパスを成功させています。ほとんどの時間をシティが支配し、圧倒的な勝利を見せているだろうということがわかります。
特にウルヴスのクリアの数。26回のクリアを見せるほどシティが攻めていたということもわかると思います。
4対1というスコア。そして90分間のこのスタッツの差を見たら、マンチェスターシティ圧勝のゲームと見ることができます。
これを前半と後半にわけてみても実はそこまで大差はありませんでした。
後半の方がウルヴスは前に出てきていました。
ウルヴスが前半のシュート0本に対して後半は6本。そのうちファーストシュートで唯一の枠内シュートで1点を取っています。
xGに関しては
マンシティ 3.35(1.07:2.27)
ウルヴス 0.33(0.00:0.33)
※かっこ内 前の数字が前半 後ろの数字が後半
となっています。
前半に比べて重心を前にし、攻撃に転じたウルヴスのおかげで同点というスコアも重なってシティもより攻撃的になっていったということでしょう。
(以降、WhoScored引用)
続いてアクションゾーン。
ホームマンチェスターシティは40%を相手のエリアでプレーしていました。
相手陣内でプレーしている時間が長いということは、守備のときも相手陣内でスタートできるメリットがあります。ペップが好む展開ですね。
ペップは臆病なんですね、きっと。
両チームの攻撃にかけたピッチの縦方向については、ウルヴスの攻撃の半分が右サイドからでした。ネトとセメドのがんばりが利いていますね。
こちらはシュートを放ったゾーン。
両チームともペナルティーエリア内でのシュートがほとんどです。
シティについては、22本の18%の4本がゴール前でのシュートとなります。
試合終盤でもあれだけペナルティーエリア内に選手を配置できるシティは本当に選手たちの状態が良いのだと思います。
ギュンドアンを終盤に投入するのも悪くないですね。
最後に両チームのボールロストした位置のプロットです。
相手陣内深くまで入ってからボールロストしているシティに対して、自陣でプレッシャーをかけられて、ボールロストしているウルヴスという対照的な結果が見ることができました。
ウルヴスは試合終盤に自陣ペナルティーエリア内でボールを奪われ失点をしています。
シティのプレス位置が高いことはわかっていたので、もう少し奪われるリスクを回避したプレー選択を考えておくべきだったのかなと思いました。せっかくファビオ・シウバとトラオレが前線にいるので、なんとかなりそうな気もしますが。
ちなみに個人スタッツに着目すると、デブライネのボールロストの数が28回と圧倒的に多く、両チーム最多となっています。
シュート4本(枠内2)、タックル5回と攻守にわたり、活躍していたようにも思えますが、試合を見ていたら少しパスがずれるなんてことがよく見られました。
デブライネが本調子に戻った時にはチームもデブライネに慣れてくるころだと思うのであまり心配はしていませんが、少し気になりました。
結果
マンチェスターシティ 4 - 1 ウォルバーハンプトン
15' Own goal
61' コーディ(assist by モウチーニョ)
80' ジェズス
90' マフレズ
90'+3 ジェズス
HIGHLIGHTS | City 4-1 Wolves | THE UNBEATEN RUN GOES ON
まとめ(今日のジンチェンコ)
今日のジンチェンコは出場なし。(ベンチ入り)
前節のウェストハム戦の反省もあり、相手がトラオレ、ネトなどの個で打開する相手だったので仕方ないかなと思っています。
特に今日のような大外レーンに張ったカンセロがフィニッシュへのパスを出していたりしたので、役割としてはジンチェンコではないですね。
次回のジンチェンコは、次節のマンチェスターダービーです。出場に期待。
ウルヴスはやはり良いチームですね。
極上のパサーがいれフリーキックだって最高のチャンスになるし、自陣深い位置からでも攻撃が成立する力強さがあります。
ヒメネスやポデンセがいなかったことが悔やまれますし、シティが絶好調なのでウルヴスでなくても手が付けられないと思います。
そのほかの試合ではぜひ勝利を。そしてトラオレに得点を。
ということで、以上です。
マンチェスターシティが公式戦21連勝となったこの試合。
上には上がいるもので、世界記録にはまだまだです。あまり気にせずにやれることを精いっぱいやってほしいです。
3月にはCLもあります。
プレミアリーグ制覇が見えてきたので、CLモードに頭を切り替えつつ応援していきましょう。
それでは!