ビルドアップが狙い目のシティ 第27節 vs マンチェスターユナイテッド
こんにちは。
tadashiです。
プレミアリーグが開幕してから48回目のマンチェスターダービーがやってきました。
順位なんて関係ない。隣のライバルに勝つか負けるかだけのプライドを賭けた試合。
無観客のエティハドで行われるのがとてももったいないとも思える。
前回対戦は引き分け
ダービーはこれでいいのか 第12節 vs マンチェスターユナイテッド - ManCityを追うものは一兎を得ず
そんな感情で第28節のダービーは行われました。
シティ15勝ユナイテッド23勝引き分け9回の過去の戦績は、今日の試合でユナイテッドが通算成績を24勝に伸ばしました。
マンチェスターシティはわりとあっさりとシティファンの嫌な予感の通りに封じられ負けることとなってしまいました。
では、振り返りたくもない試合を振り返っていきましょう。
スタメン
■アウェイ マンチェスターユナイテッド 4-2-3-1
公式戦3試合連続スコアレスドローのユナイテッドは、前節からは4人を変更。
怪我をしたカバーニの代わりに入るのはマルシャル。
中盤はマクトミネイとフレッジでこの二人がとても厄介。
さらに今日右SHに入るダニエル・ジェームズはさらに厄介。今日のユナイテッドの肝であったと言っていい。
苦しめられた選手
後半の早い時間に失点を奪われ、残りの時間をかなり不利な状態で戦わなければならなかった。ユナイテッドはブロックを作り、シティの戻りが間に合わなければカウンターを出せば良い状態に。
それは可能としたのがルーク・ショーであった。マフレズ相手に飛び込まない1対1と抜かれてもすぐに対応する機敏さが見えた。
得点のシーンでは、カンセロを出し抜いてカンセロが一歩目を出すタイミングでトラップで前に出たのでお見事。その後のシュートも迷いなく振ったことできれいにゴールに吸い込まれた。
■フレッジ
マクトミネイも良かったが、試合を見ていてフレッジの方が利いていた。
数字の上では、チーム2位の3回のインターセプトとチーム1位の3回のシュートブロックを見せたし、中盤では相手の攻撃の芽を摘む役割をしっかりとこなしていた。
真ん中が空きフレッジだけの瞬間もあったが、1対3のような状況でも中央で時間を稼いで周りの戻りを待ったりボールをはじくことができていたのはさすが。
個人的にはスターリングをシャットアウトしていたワンビサカよりもいてほしくない選手。
■ダニエル・ジェームズ
今回、スールシャールが採用したもっとも戦術的な采配がジェームズの起用です。
90分間のスプリント回数が25回とおよそ3.6分に一度スプリントしている。恐ろしい。
しかも、このスプリントは攻撃だけでなく守備のときにもしているので、この選手が一人いるだけで周りも本当に助かったと思う。
ジンチェンコへのファーストプレス。ジンチェンコがCBにボールを落とした時のセカンドプレス。おそらく一度もさぼっていない。
ロスタイムにも左サイドに出たボールをスプリントして回収し、時間を稼いだり、結果以上の役割を果たした。
失点に思うこと
開始34秒のPK献上は不運としか言えない。
ジェズスは、シティキックオフのボールから確実に流れをつかもうと前線から下りてきて起点になろうとしていたのがはっきりとわかる。
だからこそ、この開始早々の事件は、ジェズスには忘れずに反省してもらいたいと思う。責任感の強さから奪われたボールは自分で追って奪い返そうという気概も見えたので、批判をするつもりはさらさらない。
批判はまったくせずに、あの場面でジェズスがどうすれば良かったかをあくまで外から試合を見ていたただの凡人が考える。
答えは簡単で、マルシャルと対峙できたほかの選手に任せる判断をする必要があった。ジェズスは追いかけた。つまりどうがんばっても相手の後ろからしかディフェンスのしようがない。
おそらくだけど、ユナイテッドはスローインからジェズスが降りてくる形を狙っていた。スローインからポゼッションができないのは、マンチェスターシティの大きな弱点であるので、百戦錬磨のマンチェスターユナイテッドという悪魔がそれをみすみす見逃すはずがない。
まんまとはまってしまったということだ。
2試合前のウェストハム戦でもほぼ同様の形でボールを奪われて失点している。リバプールがスローインコーチをつけてポゼッションが上がったという話を聞いたが、そろそろマンチェスターシティも考えた方がいいと思っている。
出鼻をくじかれた形で開始早々にビハインドの展開を強いられるマンチェスターシティ。
マンチェスターシティは15か月間ビハインドから勝利をしていないという最悪なデータがあり、それはしっかりと継続されてしまったことは残念でならない。
2失点目も、もし悪いところをあげるならば、カンセロのルーク・ショーへの対応なのかもしれないが、あの場面で行くなというのも難しい話。
GKからのスローインがそのままゴールまでつながったシーンだが、GKからCBにパスが出ることを想定してマフレズはルーク・ショーをケアしていなかった。
ユナイテッドのCBとCHを封じれば、SBが逃げ場になるのはわかるとは思うが、そこに釣られて上がった裏をキックで取られたら話にならないので、カンセロのあのポジショニングは問題のない判断だったと思える。
もちろんカンセロもルーク・ショーへのパスは予想していたし、だからこそ、あの速さでプレスにいくこともできた。
ルーク・ショーがまさかダイレクトでカットインして抜き去るとは正直シティファンはだれも思っていなかったはずだ。
今日のルーク・ショーは絶好調だった。引き締まったからだとはお世辞にも言えないが、機敏さも強さもあった。
得点をあげたシュートも力みは感じたが、迷いはなかった。
その前のラッシュフォードの冷静さにやられた感じはする。
今回ユナイテッドに取られた2点というのは、流れの中のものではなかった。
失点にならなかったのが不思議なぐらい中盤でボールを奪われていたし、セカンドボールはほぼユナイテッドにキープされていた。
また、特に前半はCBから何度もブルーノ・フェルナンデスに縦パスが通っていて、ボールを持っているのは圧倒的にシティなのに、ユナイテッド保持では前に引き出されていた印象は否めない。
それもこれもすべて開始早々の失点が影響していたと言ってもいい。
残念だが、ユナイテッドには4戦0勝。なかなか厳しい。
そして先日書いたこの記事でも言っているが、
後半開始から60分の15分間に失点するとシティは勝てない。
今回もそれがデータとしても明らかになってしまった。
ユナイテッドにとってシティに勝利することとは
そこまで難しいことではないのかもしれない。
シティだけが意識して、シティだけが思い上がって、シティだけがテーブルで上にいるからユナイテッドよりも上だと思っているのかもしれない。
今日の試合のユナイテッドには余裕すら感じられた。
アンカーのロドリにはブルーノ・フェルナンデスがつき、1トップのマルシャルは、ゆるくボールホルダーのプレスをかける。
今日偽SBとしての役割はカンセロで内側に絞る動きを見せるがそこには無視できないほど絶妙な位置にラッシュフォードが立つことでけん制。
幅を取るWGには、ユナイテッドは両SBを当てている。
シティのビルドアップには、後ろで開くジンチェンコとストーンズにボールが入るとそれぞれダニエル・ジェームズとラッシュフォードがプレス。サイドには出させないように気を付けながら中への折り返しをひっかけるという手法が前半に何度も見られた。
3分、11分、16分と立て続けに狙われ、取られていたのでシティ側も意識せざるを得なかった。
パスカットするときにはフレッジかマクトミネイが中央のロドリまで距離を詰めていることが多く、背後はあまり気にしていないようだった。
それはシティのビルドアップが狂おしいぐらい病的に平面的だからだと推察する。
だから34分のカンセロのミドルパスには違和感を感じたし、これ以降ミドルパスが出ることもなかった。
もちろんシティには数多くの決定機があったので、攻めを封じられていたわけでもなかった。しかし、得点は封じられていた、と言える。
勝っているユナイテッドは冷静にCBでキープし、前に出てきたところを中盤の背後にブルーノ・フェルナンデスへの縦パスを入れる。狙っているプレーとしか思えなかった。
それだけ、スールシャールがシティを研究していたのか、選手たちが戦い方を知っていたのかはわからないが、シティにとってはいちいち嫌なプレーになった。
後半ウォーカーとフォーデンが交代で入ってからはより攻撃的になる。
74分のフォーデンのシュートは、初めて流れるような一連の攻撃を見せることができたし、79分にはウォーカーの低くて速いクロスにスターリングがシュートミス。
おそらくこのスターリングのシュートが昨シーズンのCLリヨン戦を思い出させたと思う。
今日のジンチェンコ
ひいき目もあったかもしれないが、シティではジンチェンコが一番良かったと思っている。
前半3分こそ、横パスをひっかけられてしまったが、その後は安定したプレーを見せていたと思う。
パス成功率は92%、枠内シュート1本、インターセプトも2回記録している。
22分のギュンドアンへのスルーパスは、ギュンドアンのチャンネルランをライン際から見逃さなかったし、24分には中央に入って、右からのボールをミドルシュート。可能性の感じるプレーだった。
もっとも素晴らしいプレーだったのが、27分のダイレクトでのギュンドアンへのリターン。パス1本でユナイテッドの2枚の選手を置き去りにする好判断だった。
前回か前々回の記事でも言っているが、
ジンチェンコはトラップとダイレクトパスの判断をぎりぎりまでコントロールする能力に長けている。
ダイレクトでパスをすることもトラップすることも直前で切り替えられるので、相手のプレスの位置や速さを見て27分のように判断することができる。
この能力はビルドアップに欠かせない能力とも言える。
後半は負けていることもあり、いつもよりも前線へ走る回数が多かったように思う。
インナーラップやオーバーラップを繰り返し、攻撃の一端となっていた。
64分のように一人だけスプリントで前へ出ることもあったけど、フォーデンとウォーカーが入るまではカウンターの迫力も薄かった。ついてくる選手が少なかった。
49分にはデブライネと並んで、左からのフリーキックをセットし、ジンチェンコがボールを蹴っていたし、前半デブライネがシュートを打ったところで実況の下田さんが「ジンチェンコー!」と言っていたのはこの試合のハイライトだったと思う。
結果
マンチェスターシティ 0 - 2 マンチェスターユナイテッド
2’ ブルーノ・フェルナンデス(PK)
50’ ルーク・ショー(assist by ラッシュフォード)
HIGHLIGHTS | MAN CITY 0-2 MAN UNITED
結果は敗戦。
公式戦21連勝がここで途切れてしまったことより、マンチェスターユナイテッドに負けてしまったことの方がダメージが大きい。
4回リーグで戦って1勝もできないのは、相性が悪すぎる。相性という言葉で片付けるのも少し良くないかもしれないが。
切り替えなければいけません。
次節はミナミーノのいるセインツ。
シティが良い流れに乗れたきっかけとなった試合はセインツ戦だったので、ここでまた良い波を取り戻し、CLに繋げていきたい。
応援しましょう。
それでは!