立ち位置が重要すぎた試合 第33節 vs サウサンプトン
こんにちは。
tdashiです。
本日は今シーズンいまいち調子がつかめないセインツとの試合です。
メンバーも、やっているサッカーも悪くないと思ってはいますが、なかなか結果がついてこない。リーグ戦直近5試合では前節シェフィールドユナイテッド戦での勝利のみ。
しかし、南野が冬の移籍市場で加入し、初戦のニューカッスル戦とドローで終えたチェルシー戦で得点。
この試合でも出場を期待しましたが、残念ながら出場はありませんでした。
RBグループ仕込みのサッカーを体現するハーゼンヒュットルのスタイルには南野はすぐにマッチできるはず。
残りの試合に期待しましょう。
結果はマンチェスターシティの大勝ということになりましたが、マンチェスターシティはまたもPKで失点。得点直後の失点というものもありました。
今日はネガティブなイメージを払拭するマンチェスターシティの良かったプレーをピックアップしながら、スタッツと合わせて振り返っていきたいと思います。
スタメン
両チームのスタメンはこちら。
■ホーム マンチェスターシティ 4-3-3
前節マンチェスターダービーからは、5人を入れ替え。ダービーの敗戦を引きずるとは思えませんが、ジェズスはベンチスタート。
右SBはウォーカーで、カンセロを休ませています。
ジンチェンコはまたもスタメン。最高です。
3トップはフォーデン、ベルナルド、マフレズと並びのわからないスタメンでしたが、スタートはベルナルドが0トップでした。
この過密日程の中、ストーンズ、ディアス、ラポルトがローテーションできているCBは昨シーズンの状況を考えたらポジティブすぎます。
■アウェイ サウサンプトン 4-2-2
前節エバートン戦からは2人を入れ替え。南野はベンチでした。
とにかく勝てないセインツ。直近10試合で1勝。よく監督が解任させられないものです。
イングスやウォルコットが怪我をしていますが、精鋭はそろっています。
苦しめられた選手
特筆して良かった選手はいなかった印象でした。
どちらかというチームとしての連動が目立ちました。特に前半開始15分と2点目を取った後のボール保持も追加点を狙う姿勢がよく見えました。
強いて言うならウォードプラウズ。
前回対戦でもあげているのですが、結局彼の精度の高いキックがラストパスにもフィニッシュにも活かされるのが今のセインツ。
それよりも守備をしっかりした方がいいと感じてしまった試合でした。
スタッツから読み取る戦況
マンチェスターシティが5得点、サウサンプトンが2得点とスコアだけ見れば大味な試合になったと思いそうですが、実際にどのような試合だったのかをスタッツから少し考察してみたいと思います。
まずは、90分間のスタッツを見てください。
※データはすべてFotMobを活用しています。
「xG:Expected Goal」はゴール期待値と呼ばれ、シュートに対して得点の可能性の高さを考慮した数値として枠内シュートや決定率よりも実の値として用いられています。
マンチェスターシティは2.61、セインツは1.73。両チームともxGよりも多く得点をしていることがわかります。ただ、このxGは、なんとも曖昧な数字だなと私なんかは思います。得点の可能性をどのように数値化しているのか、可能性の高さを感じるのは人それぞれでつまり指標や用いる式が媒体によって異なる点が非常に曖昧。今後の発展はある指標だと思っています。
はい。
そのほかのスタッツに関しては、パス本数以外は均衡しています。シュートに関してもシュート数に対する枠内シュート数、いわゆる枠内決定率は、シティ58%、セインツ55%なのであまり変わりませんでした。
パス本数が少ない分効率よく攻めていたのはセインツの方だったなと思います。
守備のスタッツを見るとクリア本数、空中戦の勝利数はほぼイーブン。
インターセプトの数が5本セインツの方が上回っています。
前半は両サイドで相手の内側へのパスをひっかけることが多く、後半はディフェンスラインと左サイドでのインターセプトが多かったです。
シティは、中盤でのインターセプトは1本だけで残りはサイドとディフェンスラインでのものでした。
xGからもそうですが、この点差はあまり予想のつかないものだったということがわかります。
それもそのはず。
前半のシティの3得点は、こぼれだまへの反応が2点、セインツのビルドアップミスで1点なので、スタッツには表れない部分も多かったと思いました。
続いてはゲームが動いた前半のスタッツを2つのタームにわけて見てみたいと思います。
前半開始からボールを保持したのはセインツ。
WGがCBに外切りでプレスをかける4-4-2のシティに対して、空いたサイドを有効的に活用していました。
2トップの片方が下りてきてウォードプラウズを前向きに使い、サイドに展開。シティのSBに対してセインツはSBとSHで数的優位を作るシーンも見られました。
と、試合展開を書いてしまいましたが、前半の15分間はセインツがポゼッションでシティを上回っていました。
シュートはどちらも0本。均衡した試合展開で、どちらがゲームを支配するかにらみ合いという15分間と見えます。
10分間だけで言えば60%を超えるポゼッションを見せたセインツ。6分に見られたようにシティのスローインを狙ったり、偽SBとして振る舞う左サイドを狙ったりと前進も見せていました。
※WhoScoredから引用
色がわかりにくいのですが、左から右に攻める赤丸のシティと右から左に攻める青丸のセインツの前半15分間のタッチ位置をプロットしたものです。
相手陣内ではサイドでしかボールを持てていなかったシティに対して、セインツは相手陣内のペナルティーエリア周辺でボールを持てていることがわかります。
シティ側の要因は0トップにありますが、ジンチェンコがロドリと並ぶ3-2でのビルドアップでかつ、ギュンドアン、デブライネ、ベルナルドシルバとどんどんボールを受けに来てしまうので、人はいるのに狭くてパスが出ないという事態に陥っていました。
ボールのタッチ数でみると、ギュンドアンこそ13回と多い数字でしたが、デブライネ3回、ベルナルドシルバ4回とかなり少ない数字でした。それだけパスが回っていなく、外回りを余儀なくされていたことがわかります。
そこで、少し立ち位置を変えたのが15分を過ぎてからでした。
これが残り30分のスタッツです。
シティがポゼッションで圧倒しています。最初の15分間はなんだったのかと思うほどです。スコアも3対1で折り返すことに成功しています。
そのほかのスタッツは15分間と同じく均衡はしていますが、ボールを保持し、自分たちのペースで攻撃をしていたことが数字として表れています。(逆にセインツもシティ相手にうまく立ち回って同じだけのシュートを打っていますが)
この要因がまたスタッツには表れないことで、ジンチェンコが外に開き幅を取り、ギュンドアンが少し下がりました。ベルナルドシルバが下りてくる前線にはフォーデンが流れるようになり、配置の整理されたシティが中盤を経由したボール回しを可能としていました。
だいぶ、相手陣内でもボールを持てるようになっているのがわかると思います。
失点がまたもPKというのはとても気になりましたが、悪くない前半でした。
このように少しずつペースをつかみ、いい形で折り返したシティは、そのままの勢いで2点を追加。
55分の4点目もセインツのパスミスでしたが、5点目はウォーカーのグラウンダーのアーリークロスからデブライネが決めました。
後半はフォーデンをトップに変えるなど、前半と少し変更を加えたり、主力を休ませフェランやアグエロを試合に出すことができたなど、今後のチームマネジメントとしても良い方向を見せて試合を閉じることができました。
後半の失点も4点目の直後でのもので、流れとしては最悪な失点。しかも、ベルナルドシルバのパスミスというのもなにか嫌でした。(頭を抱えるベルナルドシルバが印象的でした。すぐ戻れよ、と笑)
本日はスコア上圧倒したシティの個人的に良かったと思った15分の得点シーンと54分のその後のフェルナンジーニョのインターセプトから得点につながったシーンをピックアップしたいと思います。
ピックアッププレー①
ピックアッププレーの一つ目は、15分のシティ先制点のシーンです。
ジンチェンコに幅を取らせ、ギュンドアンが少し下がり目になってからすぐのシーンでした。
こんなに配置替えが効くのか驚きもありました。
形としては大外のジンチェンコがセインツDFラインの裏を取り、CBルベンディアスからロングボール一本でゴール前に侵入できたシーンでした。
特筆すべきはマンチェスターシティの個々の立ち位置です。
全員がセインツ守備陣の間に立っているのです。だれか特定の人にマークされない絶妙な立ち位置によりセインツ守備陣のマークへの迷いを生み出し、だれにでも楔をだせる状態だったのです。
セインツ右SBのバートランドに注目してください。
DFの鉄則は中のマークから見ること。
この場合、だれもマークについていないフォーデンに注意が引きつけられるのは仕方ないこと。ベドナレクやウォードプラウズの任せたところでより危険な中央の選手がフリーとなる危険性がはらんでいました。
ルベンディアスのルックアップと同時にジンチェンコはDFラインの裏へ走ります。
高精度のパスがルベンディアスから配球されます。この時点でセインツ守備陣は自陣ゴールを向いた状態での守備を強いられます。
ジンチェンコへのカバーとペナルティーエリア内のフォローという二つのタスクを同時にはできないベドナレクの後ろをフォーデンが狙うことになります。
そしてゴールを決めたのはデブライネ。
フォーデンのシュートのこぼれに反応していたデブライネが冷静に決めました。
図にも書いていますが、サリスがなぜ絞っていなかったのか疑問でした。ジンチェンコが裏を取ってもフォーデンがシュートを打っても歩いていたサリス。試合にも入れていなかったし、ミスも多く、かなり印象の悪くなった試合でした。
シティの立ち位置とペナルティーエリアへの侵入が際立ったシーンでした。
ピックアッププレー②
続いてのシーンは、直接的には得点には結びつかなかったものの、最終的にはマフレズのゴールとなった54分のシーンです。
お手本のような3人目の動きだったので紹介します。
ラポルトからジンチェンコへパスが通ります。
この時点でベルナルドシルバがセインツ3人の間に入るように顔を出します。
だれからも届かない絶妙な立ち位置。
ジンチェンコには、右SBのバートランドがプレス。
ジンチェンコは、細かいタッチでバートランドを引きつけてからベルナルドシルバへ。
この時点でセインツの右サイドはSBとCBがつり出されており無人状態なのがわかります。
当然、シティはここを狙います。
ベルナルドシルバはベドナレクを背負ったまま、前向きのギュンドアンに落とし、スペースにダイレクトでスルーパスを出します。
フリーでジンチェンコがパスを受けることができました。
そのフォローにいくことになったヴェスターゴーアはジンチェンコにつめていきますが、当然、中央のマフレズがフリーに。
このシーンから得点シーンへと展開は連続していったのです。
今日のジンチェンコはサイドから裏を取るシーンも見え、SBとしてのプレーもこなすことができていて非常に良かったです。
ここでやっぱり気になるのは、サリスの立ち位置ですね。
もっと絞るべきで、なぜそこをさぼっているのか理解はできません。純粋に知らないのかわざと動いていないのか。ハーゼンヒュットルは早急に対策を講じる必要があると感じました。
結果
15' デブライネ
25' ウォードプラウズ(PK)
40' マフレズ
45'+3 ギュンドアン
55' マフレズ(assist by フォーデン)
56' アダムス
59' デブライネ(assist by フォーデン)
FULL HIGHLIGHTS: Manchester City 5-2 Southampton | Premier League
まとめ(今日のジンチェンコ)
では、最後に今日のジンチェンコをプレイバックしたいと思います。
まずは90分の個人スタッツ。
キーパスの2本は、44分のフォーデンへの決定機にもなりえたサイドライン際からの斜めのパスと上述した54分のマフレズへのパス。
パス成功率は相変わらず高く、例えば69分のように2人に囲まれてもパスのタイミングでいなすことができる能力は本当に素晴らしい。
守備ではインターセプト1回、空中戦1回という数字を記録しました。
コーナーキックでヴェスターゴーアにマークすることになったりかわいそうな瞬間もありました。
最後に、タッチ位置のプロットを線でつないだものです。
自陣及び相手陣内のペナルティーエリアに近い位置ではピッチの中央でボールを触れていましたが、ビルドアップの段階ではサイドラインに位置していたことがわかります。
試合開始時はロドリと並び、ボールを動かす役目としてスタートした中で、試合の状況を読みつつ中央をギュンドアンやベルナルドシルバに任せ、サイドに開いた判断はジンチェンコだけの判断ではないにしろ順応力の高さはやはり本職のSBではなかなか難しいプレーなのかなと感じました。
ということで、以上です。
この試合はスコアで感じる大味さとはほど遠い両チームの攻防があって二つ楽しめた試合でした。
失点は2失点とも悪い失点ではありましたがシーズン序盤を思い返すと勝ったしどうでもいいやと思えるほど、リーグの順位を見ると思えます。
よほどのことがない限り1位でフィニッシュできそうですが、デブライネのコンディション、ストライカーと0トップの使い分けなど、シーズン終盤に向けて気になることは多いです。
個人的にはフェラントーレスにもっと出番を与えてプレミアの空気を感じさせて飛躍の2年目に向かわせてあげてほしいなと思っています。(ルベンディアスが初年度から活躍しすぎです)
レビュー書くのが遅くてすでにフラム戦、CLラウンド16メングラ戦を勝利で終えています。
次回はフラム戦のレビューを更新しますので、少しでいいので読んでください。
CL、プレミアの2冠に向けて応援を続けましょう。
それでは!