ManCityを追うものは一兎を得ず

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マンチェスターシティとレアル・マドリー。時々それ以外

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ジンチェンコに愛をこめて

こんにちは。

お久しぶりです。tadashi(ただし (@tadashi0716) | Twitter)です。

 

 

 

 

ついに来てしまった

ついにこの日がやってきた。

ジンチェンコがマンチェスターシティを去るそのときが。

 

移籍先はアーセナル

監督は、ペップの下でアシスタントコーチをしていたアルテタ。

 

少し前にジェズスが移籍したが、まさかこの短期間でジンチェンコまでいなくなってしまうとは思わなかった。

 

ジンチェンコは、その明るいキャラクターとは異なり、非常に努力家で、レンタルバックから主力をつかみ取ったマンシティでは希少な存在であり、また、これまで経験していないSBでのプレーを受け入れ、マンシティで存在感を放ちました。

先のロシアウクライナの戦争は心がいたみました。ジンチェンコは到底サッカーをしている精神状態ではない中でもマンシティでプレーし、プレミアリーグ優勝をはたし、ウクライナ国旗を世界中に示した姿は胸にこみあげてくるものがあった。

 

さて、2年前の2020年8月に私はこんな記事を書いている。

※ジンチェンコのパーソナルな部分もこの記事に書いてあるので参照いただきたい。

tadashicity.hatenadiary.jp

 

ジンチェンコがIHでプレーするべき3つの理由

前提として僕はジンチェンコのことが好きだ。

マンチェスターシティでプレーすることを望み、そのためにSBの選手としてスキルや戦術を会得しようと努力している姿はやはりかっこいい。

だれよりも熱く、一昨シーズンのPSG戦でのディフェンスは本当に心からチームを勝たせようという気持ちを感じたし、決勝進出の涙もそう。昨シーズンは最終節のドリブル突破からロドリのゴールをアシスト。相手陣内でのかけ引けの成長も見られた。

 

このちょうど2年前は、ダビド・シルバが退団し、スペインに戻ることが決まった時だった。

この時私の心の中に渦巻いたのが、ジンチェンコがIHとしてプレーするチャンスが来るのではないかということだった。

ダビド・シルバと同じ左SBでポゼッションをけん引し、左サイドに安定をもたらしたジンチェンコがそのまま左IHでダビド・シルバの穴を埋めることができるとわりと本気で信じていた。

詳しくは上の記事を読んでいただきたい。

 

さて、前置きが長くなってしまったが、今回はジンチェンコに愛をこめて、20-21シーズンと21-22シーズンにおけるジンチェンコにスポットを当てて、どれだけジンチェンコがマンチェスターシティに貢献してきたかを語りたいと思う。

 

 

いなくなる選手のことを書くのは寂しい。

 

ジンチェンコのこと

※先のブログ記事から抜粋

 この中では、ジンチェンコのかわいらしい一面も記されています。

 ぜひご一読を。

ジンチェンコのキャリア

今日の主役ジンチェンコのパーソナルデータをご紹介します。

本来攻撃的ポジションであるはずなのに、SBというポジションを受け入れ、一時期レギュラーにまで上り詰めたジンチェンコ。そんな彼を私は彼がシティにやってきたときから気になっていました。

 

プロフィール

出身国 : ウクライナ

身長 : 175cm

年齢 : 23歳(1996/12/15)

背番号 : 11

 

キャリア

プロ契約まで

地元ラドミシュルのクラブチームでサッカーを始めたジンチェンコは、13歳の時にシャフタールの下部組織に移籍。14歳までプレーしましたがトップ昇格できず、FCウファというロシアのクラブチームとプロ契約を結びました。

 

 

シティへの移籍

そこからシティへの移籍は思いの外すぐでした。

2016年7月4日(私の誕生日の12日前)ロシアからイングランドプレミアリーグへ移籍します。

 

2008年にアブダビ資本を手に入れたマンチェスターシティは、CFAを開設したり、様々な国とCFGを提携したり、大きく動いていましたが、その他にも未来のシティの選手を育てるために、若い選手を買い、試合の出れる環境へすぐさまレンタルするという手法を取っています。(今もやっており、日本では板倉や飯野がその対象になっています)

さらには、シティはこのようなやり方でマンチェスターシティでの試合経験がない選手を売却し、多くの利益を得ています。(サンチョもその一人ですね)

 

ジンチェンコも19歳そこらでマンチェスターにやってきました。そこからすぐにオランダのPSVへレンタル。主力選手としてチームの攻撃を牽引しました。

 

シティに残留したのはその翌シーズンの17-18シーズン。獲得当初から中盤の選手として期待されていましたが、そのシーズンにメンディーの負傷によって左SBとして起用され、攻撃的MFのSBが誕生です。

 

ペップがバイエルンを率いていたとき、アラバとラームをSBで起用する偽SBという戦術が話題になりました。私はその当時「戦術」なんてことに興味もなく、ただボーッとサッカーを見ていたことを覚えています。元々学生時代はずっとSBでプレーしていたのですが、その世界のトレンドと自分のプレーはなにもリンクはしませんでした笑

 

ジンチェンコのSBは偽SBとして有効でした。左WGのサネ、スターリングやIHのダビド・シルバと巧妙にトライアングルを形成し、ボールを前進させていました。

ある程度出場機会も得ることができ、現契約は2024年まで残っています。

また、19-20シーズンからは背番号を11番としています。なぜ、11番なんでしょうね。

 

ボールの扱いはやっぱりうまくて、サイドでパスを繋ぐことはなにも問題ないのですが

大外のレーンでボールを受けたときの選択肢の少なさはやはりメンディーと比較すると物足りない。サイドを突破する選択肢もありながら中へのパスが出せる方がSBとしては幅が広がるでしょう。

 

今シーズン(19-20シーズン)のスタッツ

プレミアリーグでのスタッツです。

 

19試合出場(うち13試合に先発)

パス成功率 91%(1097本)

タックル成功率 61%(19回)

クリア 19回

インターセプト 17回

レッドカード 1枚

ゴールもアシストもないのが少し寂しいです。

 

 

 

 

ジンチェンコの役割とその特徴

マンシティのSB

この2シーズンでは、ほぼすべての出場が左SBであった。

カップ戦でIHでの出場もかすかに記憶されるが、もうほぼ左SBとしての出場と思ってもらって問題がない。

 

マンチェスターシティのSBは例外なく、”偽SB”という言われ方をしている。

元来言われるSBのようにサイドに張り、オーバーラップを繰り返すようなプレーではなく、自分のひとつ前のポジションの選手の位置、相手チームの守備の位置、CBやアンカーとの距離、ボールの位置を見て、内側や外側と様々な場所でボールを呼び込み、配球するプレーが基本となる。

モナコからメンディーを獲得したペップはダイナミックな縦への推進力を持つ彼にさえも偽SBとしての動きを求めたぐらいだ。

ペップの中でSBはSBではなく、攻撃における司令塔の一人と考えていたと思う。

 

マンチェスターシティにはSBが3人いるが、ジンチェンコの役割、特徴はなんだろうか。

ウォーカーやカンセロはジンチェンコよりもわかりやすく映っていると思う。

 

例えばウォーカーの役割はなんといっても被カウンター対応のための後方配置だし、カンセロはラストパスもしくはラストパスに繋がる一つ前のパスを出すパサー

 

特徴で言えば、ウォーカーは圧倒的なフィジカルと危機察知能力、カンセロは足元のテクニックと長短の質の高いキックと言える。

 

それではジンチェンコの役割と特徴は何か。

 

 

役割はビルドアップの安定感

である。

 

この2シーズンは、ジンチェンコ自身のコンディションであったり、ロシアウクライナの問題であったり、カンセロのブレイクであったりと、ジンチェンコは1シーズンを通してスタメンで出場し続けていたわけではない。

それでも彼が試合に出ているときにだれもが思わず考えたことがある。

 

 

”これで後ろは安定する”

 

 

今シーズンのプレミアリーグで、ジンチェンコが途中から出場したときに、解説の戸田さんが「これで後ろが安定しますね」と言っていて、ジンチェンコが左SBに入るとチームとしての安定感が増すことが広く知れ渡ってきていると思った。

 

直近だとCLレアルマドリード戦2ndレグでの途中交代。

SBをカンセロとウォーカーにしていたマンシティは、ウォーカーの体調を考慮して後半途中でジンチェンコを投入。するとそれまで停滞していた左サイドから中央へ簡単に通り、マフレズのゴールが生まれた。結果は負けてしまったがあれはレアルマドリードがすごすぎた。

 

 

では、なぜジンチェンコが左SBに入ると安定するのか。

それは二つある。

 

1つはサイドで体を開いて受けられるから。

もう1つは中央で背を向けて受けられるから。

 

 

アーセナルではどんな役割なのか。

 

特徴はグラウンダーのパス

そして左SBでのジンチェンコの特徴がこれだ。

シティズンならこれまで幾度となく見てきたことだろう。

センターサークル付近にいるCBから左に開くジンチェンコにボールが渡り、前を向いたジンチェンコが相手の中盤とDFラインの間に実に見事にグラウンダーのパスを通すシーンを。

 

これこそが最大にして最高のジンチェンコの特徴だ。

 

マンシティでのジンチェンコを何試合か見てもらえればわかるがロングボールが異様に少ない。サイドチェンジする際は、ロドリかCBをあえて経由してディフェンスをさらに自らのサイドに寄せている。

丁寧に正確にサイドチェンジ後のフリーな時間を作るための一手間をジンチェンコは行っている。

 

ロドリの横に入ったときも同様にロングボールはほぼ使わない。

ジンチェンコがロドリの横でボールを受けるのはジンチェンコ自身がボールを散らすことが目的ではない

ジンチェンコに人をつかせて、他をフリーにさせるための動きである。

特に、マンシティのビルドアップがロドリを確実に経由するということが一時期相手チームから対策されていた時期があったが、ここをサポートしたのがジンチェンコであった。

彼がロドリの真横に移動することで、ロドリへのパスコースを消すだけでは中央からの侵入を止められず、たまらずサイドのプレーヤーがジンチェンコをマークしに行くとCBからWGへボールが配球される。

 

ジンチェンコというのは横の動きだけで、ゲームを落ち着かせる魔法使いのようだ。

 

そして上でもあげているタッチライン際からの中央へのグラウンダーのパスは、受け手側がこの数年で変化してきたが、今でも変わらずマンチェスターシティにおけるビルドアップから崩しに移行するときのスイッチと言っても良い。

 

 

このスイッチももうマンシティでは押されない。

 

20-21シーズン

さて、ここからはジンチェンコの貢献具合を見ていきたいと思う。

コンペティションの出場記録

まずは20-21シーズン。

さっそくこの表を見てもらいたい。

 

これは20-21シーズンにおけるジンチェンコの出場数をまとめたものだ。

特筆すべきはプレミアリーグチャンピオンズリーグ

 

特にプレミアリーグは、前半戦の出場がほぼ0だった中でこの数字。後半になるにつれジンチェンコの精度の高いパスが信頼されていった。

チャンピオンズリーグでは、9試合に出場。マンシティは決勝まで進み計10試合を行ったが、ジンチェンコは9試合に出場。

このシーズンの左SBのレギュラーメンバーは間違いなくジンチェンコだった。

 

詳しくは下記ブログに書いているので、読んでもらえると飛び跳ねて喜びを爆発させると思います。

 

 

tadashicity.hatenadiary.jp

 

 

スタッツ

続いては、各コンペティションのスタッツを偉大なるSofaScore様から抜粋させていただいた。

特徴的なのは、平均90%を超えるパス成功率からわかるとおり、パスの正確性と判断の的確さ。

総パス数におけるロングボールの割合も低く、近くにパスコースが見つけられないことがほとんどなく体の向きとファーストタッチ、そして正確なインサイドキックで確実にパスを通している。

 

もう一つはクリーンな守備

4つのコンペティションを戦いながらもイエローカード1枚のみ。ディフェンスの選手としては異常なほどだ。

決して守備をさぼっているわけではないのは、ジンチェンコを愛する皆様ならよくわかっていることだろう。

 

 

不器用でがむしゃらな守備は彼が愛される理由ではあったが、もう見られない。

そのがむしゃらさを対戦相手として見ることになる。

 

 

プレースタイル

プレミアリーグの話だが、このシーズンは15節まで出場が0であったが、それ以降は20試合に出場している。

下に示しているのは20-21シーズンのプレミアリーグのヒートマップだ。

自陣ではサイドに開き、ポゼッションしながらボールを前進する際には内側へ入っていることが読み取れる。

 

このシーズンのプレースタイルは”パスで相手を出し抜く”という言葉が一番合っていたと思う。

相手を複数枚自分に引きつけてからその間を縫うようにディフェンスの背後にボールを配球するジンチェンコのパスは芸術だった。

インサイドキックのフォームが美しく、そのフォームはトラップするときの姿勢と同じであり、パスかトラップかぎりぎりまで判断してから行動できる。ディフェンスからするとトラップするのか、ダイレクトでパスを出すのかわからない。

ディフェンスが行けばジンチェンコはダイレクトプレーを選択し、こなければトラップしてパスコースをまた作れば良いだけ。

この言葉にすると簡単なプレーが高いパス成功率を可能にした。

 

 

芸術は、もう見られなくなってから価値が増す。

 

ジンチェンコ's ベストゲーム 3選

1.プレミアリーグ第17節 vs チェルシー

最初に選ぶのはこの試合。

ジンチェンコがフル出場しています。

試合内容は下記ブログ参照。※実際は17節ですが間違っています。

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第2節から15節までにフル出場が一度もなかったジンチェンコは17節でようやくフル出場

タイミングもすごかった。

メンディーがコロナ禍でのパーティ参加、ウォーカーのコロナ感染という中で、得た出場機会だった。

ベストゲームであり、20-21シーズンのターニングポイントだと思っている。

 

プレーとしては3得点のうち2得点に絡む活躍。

タッチライン際から中央への伝家の宝刀が出ている。”左SBジンチェンコ”の最も得意なプレーで、マンシティの他のSBにはできないこと。

 

守備面では、31分の決定機回避のプレーが光っていた。

一人でアスピリクエタとドリブルを始めたマウントを見る形になったジンチェンコは一瞬の判断で、マークを捨てマウントを止めにかかった。

おそらくドリブルを許し、パスを通されていたら決定機となっていただろう。

 

 

2.プレミアリーグ第27節 vs マンチェスターユナイテッド

この試合マンシティは負けている。この試合の敗戦で、直近4戦0勝。

試合としては悪いマンシティがよく表れた試合だった。

 

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その中でもパス成功率92%、インターセプトを2回記録。

なによりも相手をひきつけて、ダイレクトとトラップを直前で判断する正確なモーションのパスでユナイテッドの選手を置き去りにするもう一つのジンチェンコの伝家の宝刀が発動。

これがあるからジンチェンコはSBの位置で、ペップに使われる。

後方で時間を作り出せる選手がジンチェンコだ。

 

3.チャンピオンズリーグ準決勝 vs PSG

そして最後がこの試合。

 

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これはもう言うまでもない。1stレグも2ndレグもジンチェンコは最高だった。

 

ネイマールのドリブルを止めて、ストーンズと胸をぶつけ合ってみせたあのシーン。

 

エデルソンからのキャノン砲に反応し、アシストをしたあのシーン。

 

思い返すだけで心が震える。

マンシティ初の決勝進出に向けて、ファンも含めて負けられない、いや、絶対に勝たないといけない試合だったのだから。

 

言葉にするとすべて陳腐になってしまう。

それほどまでにこの試合のジンチェンコは、今後のシティでの成功を見せてくれる姿だった。

 

 

だからこそ

寂しい

 

 

21-22シーズン

コンペティションの出場記録

つづいて、21-22シーズンをまとめてみた。

このシーズンはジンチェンコにとってはとてもつらいシーズンだったと思う。母国のことが気がかりできっと正常な気持ちでサッカーには向き合えなかっただろう。

プレミアリーグでは、カンセロとウォーカーが基本のSBのセットだった。

ジンチェンコは要所要所で試合に出場し、しっかりと結果を残している。

 

チャンピオンズリーグでは9試合のうち8試合に出場。昨シーズンもそうだったが、チャンピオンズリーグではほぼ全試合に出場している。

 

20-21シーズンもそうだが、シーズンが進むにつれて、出場機会を増やす選手で、21-22シーズンもじわじわと試合に出場した。

 

スタッツ

20-21シーズンと同様にスタッツをまとめている。

特徴としては、20-21シーズンと同様だが、これまでと違うのはアシストの数が増えていることだ。リーグ4アシストはジンチェンコのプレミアリーグでの自己ベストだ。

 

昨シーズンよりも1試合当たりの総パス数におけるロングボールの割合が減ったのも特徴かもしれない。

20-21シーズン 4.8%

21-22シーズン 4.4%

次の項でも言っているが、このシーズンはよりロドリのサポートとしての役割が多かった。ロドリをフリーにさせて、マークをずらす立ち位置を意識しているようだった。

 

ちなみに、同じSBのウォーカーとカンセロはロングボールをどれだけ蹴っているか調べてみたところ、

 

ウォーカー 126本

カンセロ  236本

らしい。

 

ジンチェンコの全コンペティションの数字を合わせても(80本)ウォーカーには届かず、2年分の全コンペティションの数字を合わせても(183本)カンセロには届かなかったのだから、よほどロングボールを使用していないことがわかってもらえただろう。

 

パス成功率も圧巻の91%である。

これは、ラポルト、ルベン・ディアス、ロドリ、ストーンズギュンドアンに次いだチーム6位の数字だ。

より自分の長所に磨きをかけたというのが21-22シーズンのスタッツから見られるところだ。

 

プレースタイル

ほぼ20-21シーズンと変わらない。

一貫したジンチェンコへの要求がわかると思う。

昨シーズンよりもハーフラインをまたぐときはライン際にいることぐらいの違いしかない。

 

上でも書いているが、昨シーズンよりもロドリのサポートを意識していた。

マンシティのビルドアップはロドリを経由する”ことが対策され始めたため、SBをよりロドリに近づけたことで、ロドリのプレーが安定したのがこのシーズンだ。

特にジンチェンコはロドリに極力近づくことで、相手のサイドのプレーヤーの判断を惑わせ、ロドリへの負荷を軽減した。

 

ベストゲームにもあげているCLグループリーグ第1節のライプツィヒ戦ではここまで入ってきている。エンクンクもさすがにここまではついてこれない。

このシーンではそのままボールを前進させたが、この状況で後ろの選手も寄って切れくれれば、受けてすぐにリターンをすることもあった。

 

今までの偽SBとしてのジンチェンコより幾分自己犠牲が強かったと思う。ボールを受けなくてもいいという割り切りを感じた。

サイドからディフェンスと中盤の間に差し込むパスよりも今シーズンはこのプレーが光った。

 

また、シーズン終盤にはドリブルで仕掛ける姿も幾度か見かけた。

相手陣内タッチライン際の深い位置でボールを持ったジンチェンコは何かしらのアクションを見せてDFを動かすプレーがあった。これまでは正対し、DFと対峙したところから後方へ下げていた。

これも21-22シーズンのプレースタイルであり、22-23シーズンへの布石だったと思われる。

 

 

もうマンシティでのプレーは見られないのだが。

 

 

ジンチェンコ's ベストゲーム 3選

ありきたりではあるけれどベストゲームはこの3試合を選びたい。

 

1.チャンピオンズリーグ第1節 vs ライプツィヒ

1試合目はチャンピオンズリーグライプツィヒ戦。

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チャンピオンズリーグのグループリーグということで、わりと早い時期での試合。

ここでのポイントは、何度も何度も言っているロドリのサポートに徹するSBの位置取り。

ジンチェンコは、ロドリの横で巧妙にライプツィヒ守備陣に迷いを与えていた。

このシーズンは、ジンチェンコの動きに深みが出るだろうと感じさせた試合だった。

 

 

2.チャンピオンズリーグ準決勝 vs レアルマドリード

ここでも負けた試合を選んでしまった。

それにジンチェンコがフル出場しているわけでもないのに。

 

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72分にウォーカーと代わってピッチに入ったジンチェンコはレアルマドリード相手にもその能力を発揮した。

そのインサイドキックは白い巨人の足を止め、その位置取りは白い巨人を惑わせた。

 

投入直後のマンシティの追加点は、左ワイドから中央のギュンドアンへ刺すいつものジンチェンコのプレーであった。

 

 

そのいつものプレーはもうマンシティでは見られない。

 

3.プレミアリーグ最終節 vs アストンビラ 

何よりも21-22シーズンの優勝を手繰り寄せたのは間違いなくジンチェンコであったと私は思う。

他の人が、ミドルを決めたロドリと言おうが、こぼれへの反応が抜群だったデブライネと言おうが、得点を決めたギュンドアンと言おうが、僕だけはジンチェンコと言いたい。

 

それに来シーズンに期待を持たせる縦への意識、ゴールへの意識。

最終節で来シーズンのジンチェンコの活躍が目に浮かんだのだ。

 

 

浮かんだイメージはもう二度と実現しない。

 

 

 

マンチェスターシティへの貢献度

獲得タイトル

マンシティに戻ってきた17-18シーズンからタイトルを獲得し続けているジンチェンコ。

ここでは獲得タイトルを紹介しておく。

 

プレミアリーグ4回  (17-18、18-19、20-21、21-22)

FAカップ1回  (18-19)

EFLカップ4回  (17-18、18-19、19-20、20-21)

コミュニティシールド2回  (18、19)

 

本格的に主力として活躍し始めたのはレンタルバックから二年後の19-20シーズンからではあるものの、毎年のようにタイトルを獲得。全部で11個。

決勝で涙をのんだチャンピオンズリーグはやはり悔やまれる。

 

 

このチャンピオンズリーグでの悔しさはアーセナルで晴らせるのだろうか。

 

 

 

移籍金

そしてもう一つの大きな貢献が、移籍金だ。

マンシティに入る金額の多さである。

 

22-23シーズンに向けて、これまでシティの主力としてプレーしたジェズス、スターリングがそれぞれアーセナルチェルシーへと移籍した。

移籍金はたしかに二人ともジンチェンコよりも大きい金額である。しかし、ジンチェンコはユースチームから這い上がった選手だ。シティの目に留まり、若くしてシティでのプレーを夢見た若者はそれはそれは大きな貢献をしたのだ。

 

ジェズス    32M€(in)  52M€(out) ⇒+20M€

スターリング  63.7M€(in)  56.2M€(out) ⇒ー7.5M€

ジンチェンコ  2M€(in)  35M€(out) ⇒+32M€

 

 

お金で喜べればどれだけ良かったか。

 

 

ありがとうジンチェンコ。

 

私は、ジンチェンコのこれからの成功を祈っている。仮にマンシティにいるときよりも大きな幸せを享受し、たくさんの成功を得たとしても。

 

 

れがジンチェンコの喜びであるのなら、何も問題はない

 

 

ただ、それがマンシティであってほしかったと少しのわがままを言いたくなるぐらいのものだ。

 

2022年7月30日