CL決勝 レアル・マドリーvsドルトムント
こんにちは。
tadashiです。
それぞれのストーリー
この試合でマドリーを退団し、ユーロを最後に現役を引退するトニ・クロースが初めてCLで優勝した場所ウェンブリー・スタジアム。
クロースは最後の試合でこの思い出の地に戻ってきたことになる。なんという出来すぎたストーリーだろう。
ストーリーは選手の数だけある。
マドリーで言えば、2年前の決勝をファンとして観戦していたホセルが優勝メンバー手前まで名前を残している。
ベリンガムは憧れのチームでのCL決勝を昨シーズンまで所属していたチームと戦う。
ワン・クラブ・マンのナチョは歴代CL保持者のパコヘントさんに迫る5個のビッグイヤーを携えて、この決勝でキャプテンマークを巻いている。
シーズンスタートに前十字靭帯断裂でシーズン絶望と思われたクルトワはギリギリで復帰し、それまでゴールを守ってくれたルニンに代わり優勝を誓う。
モドリッチ、カルバハルも最多の6回を目前にしている。
数えれば好きなだけストーリーが出てくる。マドリーはそれだけ歴史を持ったクラブでチーム。
一方のドルトムントには今シーズンで引退するマルコ・ロイスがいる。前回のCL決勝で優勝を掴めなかったドルトムントのレジェンド。香川真司のあとのドルトムントを支え続けた彼が最後にビッグイヤーを掲げるのも悪くない。
10年前の決勝をファンとして観戦したテルジッチは、監督してチームをCL決勝に導く。
古巣で輝きを取り戻したサンチョ。
ドイツ勢との決勝は01-02シーズンまで遡る。
ジダンのスーパーボレーが記憶に刻まれたレヴァークーゼンとの決勝。
ちなみにジダンは表彰式でビッグイヤーを運ぶ係として試合終了後に現れた。
ちなみに、会場には確認できただけでも、ロナウジーニョ、モウリーニョ、ベイル、ジダンなどがいた。
結果はレアル・マドリーが15回目のビッグイヤー獲得で幕を閉じた。スコアは2-0。
トニ・クロース最後の試合でトニ・クロースは先制点をアシスト。交代の際には勝利を確信し、拍手とガッツポーズでピッチを去った。
スコアだけ見るとレアル・マドリーが王者の貫禄でドルトムントを叩き潰したように見えるが、実際の試合はまったく異なる展開だった。
ドルトムントが魅せた前半戦
マドリーはルニンがインフルエンザ、チュアメニとアラバは怪我、ミリオンが大怪我から復帰直後ということで、スタメンの予想はしやすかった。
この試合ではダイヤモンドではなく、中判フラットの4-4-2を採用。ベリンガムが左に回り攻撃もヴィニ、ベリンガム、ロドリゴが左に寄る形を取った。全体的にラインを高くし、ゴールキーパーまでプレスをかける戦術を選択した。
ドルトムントは4-3-3、守備時4-1-4-1のシステムでマドリーに挑む。こちらも同様にハイプレスを仕掛ける。特にSBにボールがわたったときの局所的な数的優位の作り方がうますぎる。パスコースがない。奪われたあとの切り返しも速い。
ドルトムントはあえてマドリーの左にボールを集めるようにして、常にヴィニシウスにダブルチームを仕掛けているように感じた。たぶんヴィニシウスのドリブルは怖いけれど、そこを止めればカウンターの破壊力は増すと考えていたはず。テルジッチ監督が前日会見で、レアル・マドリーには攻撃でも守備でも問題となる部分がある、と言っていたからそこは1つ考えてきたんだと思う。
高い位置であればSBとIH、深い位置であればSBとフンメルスで抑える。中央から人がいなくなるマドリーに対してCBが2枚残っている意味もないのでそれも織り込み済みかと思った。
一応、確認しておくとSBの位置に落ちるクロースにザビツァー、ベリンガムにはエムレ・ジャン、カマヴィンガにはブラント、SBにはWGがマンマーク気味に対応。多少の変化も見事な受け渡しで即時奪回を見せた。
マドリーの守備はどうだろう。
4-4-2のマドリーはエムレ・ジャンへのマークが非常に甘かった。
ゴールキックのときにはカマヴィンガが少し気にしてはいたがそこが上がった分クロースが残る前線に放り込まれる。マドリーの4-4ブロックが下がれば、ゆっくりとボールを運び、エムレ・ジャンがCBの間、その位置に左SBマートセンとザビツァーが並ぶ3-2のビルドアップとなる。ヴィニシウスとロドリゴがCBを意識し、エムレ・ジャンに一切プレスがかからない場面が数多く見られた。
それでも前半15分まではうまくいっていて、このまま先制点を奪い、有利な状態で試合を進めると思っていた。ただ、そんな展開でドルトムントがロングボールをうまく織り交ぜた。
ヒュルクルクのポストプレーとエムレ・ジャンからのライン間へのパスが散りばめられ、少しずつマドリーは守備のプレスが中途半端になっていく。ボール保持率はマドリーのほうが高く、ボールは持てるけどチャンスが作れない悪循環を強いられる。
まるですべてで2位を取るマドリーが他チームに実行するような感覚もあったかもしれない。
実は、3-2のビルドアップではドルトムントはほとんどチャンスを作っていない。チャンスが生まれたのはマドリーがハイプレスを仕掛けたとき。何本もやられて決定機も作られたアデェイミの裏抜けはまさにそれ。
だからハイプレスに行く必要なんてないんじゃないかと前半30分ぐらいずっと思っていた。
よく無失点で切り抜けたなとひやひやした。
クルトワとカマヴィンガに感謝したい。
アンチェロッティが変えた後半戦
ハーフタイムに、アンチェロッティはヴィニシウスに喝を入れたとか入れないとか。
とにかくマドリーはなにかしら変えないといけないながらもあの前半を無失点で終えたことで、これは勝てるんじゃないかとファンは思い始めたと思う。
前半はクロースから配球できず、CBの前にスペースがあったので、てっきり後半はCBのボールの動かし方を変えると思っていたが、あんまり変えた様子はなかった。
アンチェロッティが手を加えたのはシステム変更と守るときの立ち位置。
4-4-2から4-2-3-1になった。
攻撃時はカルバハルとヴィニシウスをワイド、中央に1トップロドリゴ、その後ろにベリンガムとバルベルデを配置。
守備時は4-5-1でプレスをかけないが、前半自由にやらせていたエムレ・ジャン、そして両脇のCBにはロドリゴがプレッシャーをかける。前に立ってパスコースを切る。ヴィニシウスがサンチョまで下りて中央を厚くしてフラットな5枚のブロックを作った。10分が経過して試合の流れからかロドリゴが右に回り、運動量のあるベリンガムとバルベルデが前に立ちドルトムントの後ろ3枚を追いかけ始めた。少しずつドルトムントも蹴らされるロングボールが増え始める。
アンチェロッティのシステム変更はドルトムントの非保持の形を変更させた。ロドリゴが中央に居続けることでドルトムントのCBが守備時に前に出られなくなった。ライン間の処理は中盤の選手がすることになり、必然的にチーム全体の重心は後ろになる。ハイプレスでこないマドリーに対してマドリー陣内までボールを運べるがスピードのある攻撃ができなくなり、アデイェミなんかは良さが活かせなくなる。
顕著に変わったのはカマヴィンガの立ち位置か。前半はショートカウンターを受けることが多く危険な位置を察知して低い位置にいたが、後半はなるべくドルトムントの中盤の後ろにポジショニングするような意識が見られた。
ロドリゴがどちらにも顔を出せるようになって前半のカルバハルの孤立を改善し、右から崩しをスタートさせることでヴィニシウスが深い位置で仕掛けられるようになったのは大きな違い。
ヴィニシウスは相変わらず対峙するDF相手にドリブルを仕掛け、コーナーキックを奪うドリブルを何度か見せている。圧巻は最終的にカルバハルの先制点につながるコーナーキックをお膳立てした。テクニカルな股抜きドリブル。軸足を残してボールを持つ足でボールを引き、軸足に当てて相手の股を通す狙ってやっているヴィニシウスのテクニカルに脱帽。そこに追いつくフンメルスもすごいが。
先生点後はヴィニシウスの突破を警戒した裏をカマヴィンガが狙い、ベリンガムの決定機を演出したりした。
ここまで来るとマドリーの勝利がほぼ見えてくる。焦る必要がないマドリーは強すぎる。
最後の結末はとてもあっけなかったが、ベリンガムのパスを受けたヴィニシウスがエジルキックをかましたのがびっくり。たまたまか?ベリンガムがヴィニシウスのトラップの瞬間に喜びのポーズを見せるほど彼の成長がファンとしてはうれしい。
ロイスがすぐにマートセンを抱き寄せて、大丈夫だ問題ない、おれに任せろと言っていた(ような気がする)
ドルトムントのことを考える。
疲れの見えたアデイェミをロイスに代えたところで、サンチョをギリギリまで引っ張らないといけなくなった(後半から出てサンチョを上回れる選手がいれば良いが)。せっかくヴィニシウスまで下がって守備をしてくれるのに右のロイスは中に入ってくるのだ。あぁ、危ない。
案の定、中央のロイスとのパス交換を奪われて一気にヴィニシウスの場面が起きてしまった。サンチョが左に回ってできることもちょっとなさそうで、アレが入ってからの展開も特になかった。前半がとても悔やまれる。
マドリーが失敗してくれた前半で1点でも入っていれば…というスポーツではタブーな言葉も言いたくもなる。
クロース。ありがとう。
モドリッチは、まだ続けるらしい。
次の8番はバルベルデ。違う8番としてマドリーを背負ってくれるはずだ。