ManCityを追うものは一兎を得ず

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選手交代から見るCLレビュー マンチェスターシティvsレアルマドリード

こんにちは。

tadashiです。

 

チャンピオンズリーグ準決勝マンチェスターシティvsレアルマドリードの衝撃的な試合を選手交代という観点でレビューをするという試みです。

好きな両チームが近年CLで戦うことが増えた。複雑な気持ち。

 

 

 

 

1stレグ マンチェスターシティホーム

結果は4対3でマンチェスターシティが勝利した。

前半10分でマンチェスターシティが2点を先制する展開。

ここまでうまくいくとは思っていなかったけど、ペップはおそらく早めに先制してボールを保持したまま勝利しようと考えていたはずで、前半15分だけ見てもシティが60%の支配率を記録している。(試合を通して変わらず)

勝てたけど、という気持ちではあったと思う。

 

一方のアンチェロッティはさすがにこの展開は予想していなかった。ボールを持たれることは容易に想像できるので、あまり激しくプレスに行かず、というよりも行けずに、ボールが持てたときに素早くシュートまで持っていくというリーガでの戦い方と特に変えなかった。カゼミーロがいないので守備はどうするのかと思ったが、カゼミーロがいないときのいつもの戦い方で、工夫はしなかった。

 

36分 ストーンズフェルナンジーニョ

交代の理由は間違いなく、怪我もしくはコンディション不良。

開始10分で2点先制したものの、追加点を入れられず、レアルマドリードに1点返されてすぐの交代。

ペップとしてはここからどう勝ち切るか、追加点をあげるかというところにフォーカスしたかったはずだが、ここで交代枠を一枚使う、ましてやSBに使うことになるとは。

そもそもストーンズをSBで起用せざるを得なかった状況がきつい。

ウォーカーが怪我、カンセロが累積により出場不可。しかも、ヴィニシウスを相手にするという肉体的負荷の高い役割。

ウォーカーがいないことが何よりも悔やまれた瞬間だったに違いない。

試合の展開はそれ以降もマンチェスターシティ優勢であったことには変わらないが、ここ数シーズン大事な場面でDFのプレイヤーが怪我していて、そのままCLで敗退しているという嫌な記憶をどうしても思い浮かべてしまう。

 

さて、右SB不在の中控え選手からフェルナンジーニョをSBとした意図を考えてみたい。

まず、控えメンバーでDF登録はアカデミーのライリー、エンベテ、そしてトップチームのアケ。このCL決勝をかけた試合でアカデミーの選手を起用するのはあまりにも酷。フォーデンをあれだけ大事に起用したペップがそれをするとは思えない。

 

では、アケで良かったのではないか?と思った。

アケを左CBにして、ディアスを右SB。結果的には後ろ3枚でビルドアップをすればフェルナンジーニョ起用よりもシンプル。

考えられる理由としては、右利きを置きたかったことと、ルベンディアスを真ん中にしておきたかったのが理由だと思う。

結果論ではあるが、フェルナンジーニョだったからこそフォーデンのゴールをアシストできたのだと思った。

 

 

後半開始 アラバ⇒ナチョ

マンチェスターシティが選手の怪我によって交代枠を一枚使った一方でレアル・マドリーにも同様のことが起きてしまう。

直近のリーグ戦で怪我をしたアラバを変えざるを得なくなった。この試合スタメンで出た時点でなにかしら無理をしての出場だとは思っていたが、前半でアラバは退いた。

前半のうちにベンゼマのゴールで1点差としたので、状況はそこまで悪くない。ボールは支配されながらもフィニッシュにかかるスタッツは大きく差がなかったので、マドリーならば十分試合を返せる。

 

アラバを変えるならナチョしかいないので、交代の人選に対する意図はない。

今シーズンのナチョは怪我人の多かったDFラインの穴を埋める形でCB、SBと固定されない時期が多かったが、シーズ通してみるとやはりCBとしてのプレーのほうが安定している。

結果として、2ndレグも含めてナチョは抜群だった。

 

 

70分 ロドリゴ⇒カマヴィンガ

この交代の前に試合はまた大きく動いた。

 

一つが53分のマンチェスターシティ追加点。

マンチェスターシティの前線からのハイプレスはCBのパスコースを消し、クロースのパスコースを消し、意図的に左サイドへの誘導を感じた。

当然、バルベルデモドリッチへのパスコースもなく、受けられても低い位置となる。

この追加点では、メンディーが選んだ預け先(ヴィニシウス)をフェルナンジーニョが読み切り、そのままサイドを駆け上がったことで生まれた。

ヴィニシウスは相手を背負って、自分に集めてからフリーの選手にパスを出そうと思っていたようだが、少しだけ背後への意識が足りなかった。

このシーンは、フェルナンジーニョが出場したプラスの作用が大きく、普段アンカーで相手の意図を読み、攻撃の芽を潰していたことが功を奏した。ストーンズだったとしたらここはアタックしていなかったと思う。

 

そして2つ目がマンチェスターシティ追加点の2分後のレアル・マドリード追加点。

なんとも忙しい試合である。

この数行前に、マンチェスターシティの追加点はフェルナンジーニョをSB起用したことがプラスとなったと書いているが、ここでは逆にマイナスとなった。

同じようにマドリーのビルドアップをマドリーの左サイドに誘導し、同じようにメンディーのパスコースをヴィニシウスのみに仕向けたまでは良かったが、フェルナンジーニョの頭の中の数分前の成功体験が、その数分前の状況よりも悪かったとしても足は止まらなかった。

 

前置きが長くなったが、カマヴィンガの投入は再度一点差に縮めたところから15分経過してもスコアも試合展開もあまり変えられていなかったことによるアンチェロッティの策だ。

この試合はシティの左SBジンチェンコがビルドアップに効果的だったことに加えて、IHとフォーデンが絡む左サイドに相当ロドリゴは苦労していた。さらにはヴィニシウスが得点をあげたとはいえここまで普段のようなプレーもできておらず、展開としては右サイドからのスタートが多かった。

つまり疲労も見られたということ。

 

カマヴィンガを投入した意図としては、バルベルデを右WGに配置し、攻守の切り替えを早めること。今のマドリーにおいてバルベルデのインテンシティはチーム内トップクラス。そんな選手を調子の良いエリアにぶつけるのは当然である。

あとはクロースとのダブルボランチにしたとの見方をする人もいたが、ここに関してはそれも正解かなと感じるところである。

カマヴィンガはマドリーの選手には珍しくボールをあまり持たないで散らしながらリズムを作る中盤なので、負けていてボールを早く配球したいこの展開には非常に重要な選手。また、あまり印象にはないかもしれないが、ボール奪取能力が高い。

逆転したいマドリーにおいてはロドリゴ→カマヴィンガは、最善の一手だった。

 

 

79分 モドリッチ⇒セバージョス

ここでアンチェロッティはマドリーを支えるベテランを下げ、じわじわと出番を増やしているセバージョスを投入。

 

“ここで”というのは、丁寧に言葉にすると

“カマヴィンガを投入して、流れを引き寄せようたした中で一瞬の気の緩みから決定的な4失点目を食らったあとで”

ということだ。

 

残り15分で2点差となった時点で取れる選択肢は5点目を取られずに点差を詰めること以外にない。

2点差となってもプレスをさぼらず、非常に集中していたマンチェスターシティを相手にモドリッチを残しても決定的な仕事ができるスペースもない(マンチェスターシティはハイプレスを仕掛けながらもブロックを作り受けることもできるため、スペースが限られる)と判断したのだと思う。

セバージョスの推進力でなんとか、といったところか。

 

83分 ジェズス⇒スターリン

試合開始から献身的に攻守に走っていたジェズスをスターリングに交代。

この直前にマドリーが追加点を取っている。ラポルトのなんとも仕方のないハンドでPKを献上してしまった。

平然と決めたベンゼマには本当に感服するが、勝っているのはマンチェスターシティ。アウェイゴールがないのだから、得失点差よりも勝つことが重要。

 

スターリングもジェズスと同じように献身的なプレーができる。

あわよくばもう一点取れるかもしれない、と思ったかもしれない。

12分間のプレーでタッチ数4回、シュート1本、オフサイド1回。ゴールに迫る姿勢は見せていた。

 

マンチェスターシティはこのマドリーとの1stレグは二人しか交代枠を使っていない。

たしかにサブにいる選手の大半がセカンドチームの選手ではあるが、ギュンドアンやグリーリッシュも控えていた。

フォーデン、マフレズ、ベルナルドシルバ、デ・ブライネみな素晴らしいパフォーマンスだった。変える必要がなかったとも言える。

リーグでの戦いが非常に混戦となっているため、ターンオーバーのような考えもあったはず。

 

88分 ヴィニシウス⇒アセンシオ

この試合の最後の交代は、得点をあげたヴィニシウス。アセンシオが投入された。

残り数分で何かを起こすならばアセンシオの左ということだろう。

 

控えにはマルセロ、イスコ、ベイルがいた。選択肢はアセンシオだろう。

ただ、結果として何も起こらなかった。

 

 

試合はだれも想像もしていない打ち合いとなった。

ここで覚えておきたいのはマンチェスターシティはグリーリッシュが出場していないこと。(結果論ではあるが)

一方で、レアルマドリードは、15人の選手が試合に出場し、マンチェスターシティと対峙した。

お互い2ndレグに向けて、戦術を練っていたはずだが、まず選手個人に向けて考えてみるとどうなるだろうか。

大きな対戦相手の圧をピッチで直接感じたかどうかというのは戦術以上に重要な気はする。

 

それでは2ndレグを見てみよう。

 

 

2ndレグ レアルマドリードホーム

レアルマドリード大逆転での決勝進出。

3-1でレアルマドリード

 

1点差でベルナベウでの試合はマドリーからすると十分勝利の許容範囲であることはマドリディスタであれば知っている。

1stレグ怪我で交代したアラバは出場できず、その穴を埋めたのはナチョ。それ以外は考えられるベストメンバーでレアルマドリードマンチェスターシティと戦うことができた。

バルベルデを右WGに配置し、右サイドの強度を1stレグ同様に高めようとしたのは一つある。もしかしたらロドリゴをあとから出場させることも考えていたのかもしれない。

 

マンチェスターシティは、ウォーカーが間に合った。間に合ったというより“ウォーカーを右SBでなんとか出場させることができた”という表現の方が正しい。なぜならウォーカーは、全体練習には復帰しないままCLベスト4のスタメンに名を連ねたからだ。ただ、なんとなくウォーカーなら大丈夫そうだなと思わせてしまうのは不思議。デブライネだったら絶対に途中で終わるって思える。

それ以外はこちらもベストメンバー。

ペップとしては1stレグで点差を広げられなかったのを2ndレグで取り戻そうとする意識はあったと思う。点を取らないと勝てないマドリーのプレスをかわしてボールを運ぶシティの姿はなんとなく想像できた。

 

 

前半はかなりがっちりお互いがお互いを睨みつけながら進んでいった。

シュート数は6本で同じだが、枠内シュート0のマドリーに対して、枠内シュート4のシティ。シュートはすべてクルトワがセーブ。

マドリーはエリア内でのシュートが4本もあったが枠には一本も飛ばなかったのは後半への不安が増す。

シティは5本のシュートがエリア外からだったのは、侵入できなかったのかしなかったのか。前線で人数をかけてクルトワに拾われて高速カウンターを受けるのを恐れていたようにも思える。

とにかくヴィニシウスが怖い。ウォーカーがどこまでもつかわからない。

前半ウォーカーで耐え忍んで差を広げる算段だったように今考えると思える。

 

 

68分 クロース⇒ロドリゴ

後半開始キックオフでの決定機が外れ、その後もゴールが奪えないマドリー。

ここでアンチェロッティは決断する。

この決断の早さが名将と言われる理由なのかもしれない。

 

ロドリゴを中盤の選手と変え、バルベルデを中盤に落とす采配。

交代した選手はクロース。なんとしても得点がほしい。ただ、シティも点を取りに来ている。おそらくゲームはどんどんオープンになっていくと予想された。

そこで静的なクロースよりも動的なバルベルデを中盤に入れ、CLで調子が良いロドリゴを投入し、機動力を高めた。

 

 

72分 デブライネ⇒ギュンドアン、ウォーカー⇒ジンチェンコ

その数分後、マンチェスターシティにアクシデント。

数週間ぶりのフルマッチで相手はヴィニシウス。さすがのウォーカーにも限界が来た。

それと同時にペップはデブライネを下げることにした。

 

マンチェスターシティも追加点が奪えない中で試合は予想通りオープンな展開となった。特に、攻め込めるときがあるとわかればスピードアップを図るデブライネは、カウンターでも威力を発揮するがプレー選択のミスでボールロストする可能性がチームとして大いにあった。

ゲーム展開を落ち着かせることともう少しマドリー相手に後ろで落ち着き、前線とバックラインを広げたい狙いを考えた。

 

ウォーカーはジンチェンコ、デブライネはギュンドアンとの交代だ。

 

SBに関しては選択の余地はない。

アケがいたけれどCBの控えに残しておきたい。

ギュンドアンの選択も至極当然。

控えにはギュンドアンフェルナンジーニョパルマー。

上のような狙いがあったと推測すると時間を作れるギュンドアンとなる。

 

こう見ると、マンチェスターシティには展開を変える控え選手がいない。

 

 

ちなみに投入直後にマンチェスターシティは待望の追加点、この試合での先制点をあげた。

ジンチェンコが左ワイド後方でボールを持ち、左足で外側から中央ギュンドアンへ。ギュンドアンは体を後ろ向きで左足でトラップ。食いついたマドリー中盤の背後にフリーで待つベルナルド・シルバにパスをした。

 

采配が一分後に的中したのはペップが初めてなのではないか。オープンな展開を急激に止め、オープンな展開を望むマドリーの裏を取る。

ここで2試合合計5-3となり残り15分。

マンチェスターシティが圧倒的有利となった。

 

 

75分 モドリッチ⇒アセンシオ、カゼミーロ⇒カマヴィンガ

おそらくこの交代はどこかで考えていたと思う。

モドリッチの交代のメカニズムは、1stレグに近い。モドリッチが決定機なプレーをするスペースは消されていく。アセンシオとの交代は当然アセンシオの左足での一発に期待するものだ。

なにか起こせる可能性をアンチェロッティはピッチにちりばめていく。

 

2点差となったシティがもっと前から来るとは思えない。(前線からのプレスはサボらないし、プレスバックもサボらないが)

CBの前で相手の攻撃の目を摘み取るカゼミーロはこの展開では、絶対な存在ではないということである。

カマヴィンガを投入したことで、マドリーは加速せざるを得ない。とにかく得点のために手を尽くす必要がある。

 

ここで個人的に衝撃だったのが、CL3連覇を果たしたマドリー伝説の中盤の3枚がピッチからいなくなったことだ。

アンチェロッティの思い切りの良さ。

何度でもいう。

この決断の速さが名将と呼ばれる理由だ。

 

だが、しかし2点差は変わらないマドリーはなんとかして点を取りに行くことになる。

中盤の構成はバルベルデとカマヴィンガの前にアセンシオというような形となっていたと思われるが、もはやシステムなどどうでも良かったと思う。場合によってはカマヴィンガを残して、バルベルデも前にいる時間もあったので、どんどん押し込んで得点の可能性を高めようとする意志を感じた。

 

それにしてもフランスで成功をおさめ、マドリーに引き抜かれたカマヴィンガは19歳にしてすでにマドリーに欠かせないオプションとなっている。世界のレベルの高さを思い知らされた。

 

1stレグでも途中出場、そしてこの2ndレグでも途中出場。

途中出場するほど難しいことはないのに、大事な大事な試合でしっかりと試合に順応するポテンシャル。マドリーは若手の買い方もうまくなってしまったのか。

 

78分 ジェズス⇒グリーリッシュ

続いてマンチェスターシティ。

試合開始からボールを追いかけ、スペースに走り、体を張っていたジェズスをグリーリッシュに交代した。

 

交代した理由の一つはおそらく疲労。ロスタイム含めて残り25分ある中でフレッシュな選手を使いたい。

また、グリーリッシュをチョイスした理由は、ボールキープと単独突破。どうしても守備に比重を置く残り時間を考えるとグリーリッシュのように不用意にボールをロストしないかつ、フォローがいなくても縦に侵入できる選手を置いておきたかった。

 

投入後、グリーリッシュは二本の決定機を単独で生み出している。どちらもマドリー守備陣のほぼ奇跡に近い守備で防がれたが、グリーリッシュの存在はマドリーの右サイドに少しだけ待ったをかけたように思えた。

 

グリーリッシュ投入というペップの采配はベストだった。ここでも戦況を読み、的確な人材を配置することで、相手よりも優位にたった。

ただ、試合を見たものもおそらくグリーリッシュもこの二本の決定機が止められたことに驚きを隠せなかった。

さすがはレアルマドリードというところで、グリーリッシュはそのレアルマドリードを初めて肌で感じた。

 

85分 マフレズ⇒フェルナンジーニョ

試合は終盤戦。

攻めあぐねるマドリーと決定機が決められず引き離せないマンチェスターシティとの戦いは、残り5分となってペップがカードを切る。

 

1stレグからチャンス、決定機を演出し、この試合の先制点をあげたマフレズを下げた。

投入されたのはフェルナンジーニョ

ピッチへのメッセージは「試合を締めろ」ということだろう。

 

1stレグは思わぬ形で途中出場し、勝利に貢献したフェルナンジーニョは、今シーズンを最後にマンチェスターシティを退団することが確定している。

ここで試合をクローズし決勝へ。

 

マンチェスターシティの全選手が残りの5分を共有の意識で戦った。

 

 

99分 ロドリ⇒スターリン

90分を超えてなお続く試合。

残り5分でフェルナンジーニョが投入されたときに「99分に選手交代」という言葉を使うとは思ってもなかった。

 

フェルナンジーニョが投入され、ロドリが交代するまでのこの14分間で、マンチェスターシティは3失点した。つまり逆転された。

 

この14分間の展開はもはや多くの人間が目の当たりにした事実であるため、詳細は割愛するが、レアルマドリードは交代して入ったカマヴィンガとロドリゴが見事に活躍したというところ、マンチェスターシティは交代して入ったグリーリッシュがマドリー相手には緩い守備をしたというところに両チームの差が出ていたように感じた。

マドリーを初めて肌で感じたグリーリッシュは、プレミアでは守備をさぼるような選手ではない。それでもプレミアの中位以下であればあの寄せでもなんとかなっていたのだと思う。

 

ロドリが変わったのは、もう交代”させる”選手がロドリしかいなかったからで、スターリングが出てきたのは、スターリング”しか”いなかったからだ。

トップチームの選手は、この時点でスターリングとアケしか残されていなかったペップの切るカードは、スターリングしかない。

 

104分 ベンゼマ⇒セバージョス

PKを沈めたベンゼマは、セバージョスと栄光の交代。輝かしいマドリーの歴史をここでまた塗り替える素晴らしい活躍だった。

おそらくそのままの位置には入らず、残りの時間縦横無尽に走り回る。ヒートマップをあとで確認したところピッチ全体に薄くちりばめられていた。

セバージョスもしっかりと役割をこなしたことになる。

 

この間マンチェスターシティは当然攻撃を繰り返すが、監督が切れるカードは残されていない。

時間だけが過ぎていくという言葉がぴったりな展開だった。

 

115分 ミリトン⇒バジェホ、ヴィニシウス⇒ルーカスバスケス

そして2試合合計210分の戦いのラストの交代はミリトンとヴィニシウスだ。

ミリトンは負傷による交代。アラバは怪我気味であったためバジェホが投入された。

マドリディスタが不安に思っていたと思う。

 

そしてヴィニシウスはルーカスバスケスと交代となった。

ヴィニシウスの疲労を考慮しての交代であると同時に5バックへのシステム変更を行ったアンチェロッティ。抜け目はない。

 

 

潮流を作った男と時代を作った男

いかがだっただろうか。

210分の激闘を制したレアルマドリードは勝者に値するとんでもないチームであったことがわかった。

涙をのんだマンチェスターシティはこの絶好調のレアルマドリードに対して戦術的に上回りほとんどの時間でレアルマドリードを圧倒した。

現代の潮流は、ペップのかかげるポゼッションサッカー+αであり、強豪チーム以外でもその流れはある。いつの間にかCBとGKはパスやドリブルの基本技術を求められるようになってきた。今ではSBすらも当たり前のようにゲームメイクをする時代。

一方で、その時代の流れから別の道を歩んでいるレアルマドリード。個の中に戦術を取り入れるスタイルは一発勝負という戦術を超えた試合で真価を発揮する。

どちらもおそろしくレベルが高く、生きているうちにこのような試合に巡り合えたことを感謝しなければならない。

 

 

最後に、交代選手を改めて確認していきたい。(投入された選手)

マンチェスターシティ

1stレグ フェルナンジーニョスターリン

2ndレグ ジンチェンコ、スターリング、ギュンドアンフェルナンジーニョ、グリーリッシュ

 

レアルマドリード

1stレグ ナチョ、セバージョス、カマヴィンガ、アセンシオ

2ndレグ バジェホ、アセンシオ、カマヴィンガ、ロドリゴ、セバージョス、ルーカスバスケス

 

共通しているのはどちらも少数精鋭のスカッドでシーズンを戦っていること。

異なるのは交代で出てくる選手の年齢層。

 

マンチェスターシティには、グリーリッシュを除いてペップが育てた高性能な選手たちで構成されている。おそらくだれが出場してもある程度の形が作れる。

だから強いし、だからこそ脆い。

劣勢のときにゴール前に飛び込めるのがジェズスとギュンドアンだけなのも悩ましい。

この2試合交代で出てきた選手はグリーリッシュを除いてここ数シーズンマンシティを支えてきた選手たち。途中交代でもしっかりと試合に入ることはできるが、試合を変える展開をこのレベルのチーム相手に行うのは難しいということがわかった。

(※つい先日行われたプレミアリーグ最終節では0-2を5分間で逆転したが、相手はアストン・ビラであった)

さらに言えば、2失点ともグリーリッシュの目の前で出されたパスからなのもさらに悩ましい。マンチェスターシティはこういう展開にほとんどの期間で遭遇しない。マンチェスターシティで、レベルの高い戦術を習得しつつあるグリーリッシュは一歩だけ相手に近寄る場面をこの1年間で経験していない。

グリーリッシュはまったく悪くない。

この展開になってしまう前に講じる策があった。フェルナンジーニョを投入して、ブロックを固める以外の策が。

 

レアルマドリードは、交代で出てくる選手たちが若い。DFラインを除けばさらに若い。

ロドリゴ、アセンシオ、カマヴィンガと入っていくと機動力がどんどん高まり、何人もゴール前にも飛び込んでいくシーンが見られた。パサーとフィニッシャーのバランスが良かった。

1stレグでも控えメンバーを投入し、2ndレグに向けてマンチェスターシティを経験させたのはアンチェロッティの考えだと思う。

3連覇を達成したメンバーに全幅の信頼を寄せつつ、要所で新しいメンバーを投入する。

おれが信頼するこの選手に変えて君を投入する意味わかるな?と言わんばかりの痛烈なメッセージ。モチベーションは爆上がりだ。

そんな交代策をシーズン通して行ってきた(序盤は一度、ベースを変えようとしたが)アンチェロッティは、常に選手交代がピッチの熱量を高めるための材料だと思わせる。

 

 

と、ここまで書いて、両指揮官の交代の目的にいたる過程がまったく異なることに気づいたので、最後にそれを記して終わりにしたい。

 

マンチェスターシティを率いるペップグアルディオラは、相手チームを崩すこと、壊すことを目的とした交代をしている。

例えばこの試合では2ndレグでのデブライネ→ギュンドアンの交代。マドリーが得点を取るために前に出てくることを想定しての交代。

 

レアルマドリードを率いるアンチェロッティは、自チームの勢いを高めること、モチベーションをあげることを目的として交代を行っている。

ベースとなる11人をほぼ固定化するのは、11人への絶大な信頼があり、その信頼する11人にかわって入る選手のことも同様に信頼していることを、選手交代で伝える。

 

どちらが良いかという議論はあまり意味がない。どちらも試合に勝利するために、トーナメントを突破するために、選手交代を行うのだから。

 

 

さて、残すところ今シーズンの欧州サッカーは、レアルマドリードリバプールが争うCLのファイナルのみとなった。

90分間のどのタイミングに、だれを投入し、どこを変えるか。刻一刻と変わる状況は待ってはくれない。それならば、自分の信念があったほうがいい。

 

アンチェロッティとクロップの交代枠の使い方に注目して決勝戦を見てほしい。