第3節 vs レスターシティ ~お決まりはない~
こんにちは。
tadashiです。
プレミアリーグは第3節。続々とリーグ開幕3連勝をしていくチームが出てくるなかマンチェスターシティも続きたい。
前節苦手なウルヴスに勝利し、波に乗れるか。
相変わらず出場不可の選手が多いですが、ペップはだれを選ぶでしょう。
スターティングメンバー
両チームのスターティングメンバーです。
ホーム マンチェスターシティは前節と同様に4-2-3-1。ジェズスも怪我により3週間ほどの離脱となってしまったので1トップにはスターリングが入ります。マフレズが復帰。
アウェイ レスターは5-4-1。ロジャーズ監督は開幕2連勝した4-1-4-1ではなく、昨シーズンもマンシティ相手に採用した5バックを採用しています。前節からは、右SHのぺレスが外れ、DFラインを一人増やしています。
13 ステフェン
11 ジンチェンコ
14 ラポルト
69 ドイル
21 フェラントーレス ⇒ 64' フォーデン out
80 パーマー
12 ダニーワード
28 フース ⇒ 80' エバンス out
11 オルブライトン
20 チョウドリー
17 ぺレス
10 マディソン ⇒ 69' プラート out
14 イヘアナチョ ⇒ 85' ヴァーディ out
結果
マンチェスターシティ ⚽⚽
レスターシティ ⚽⚽⚽⚽⚽
4' マフレズ
37' ヴァーディ PK
53' ヴァーディ (assist by カスターニュ)
58' ヴァーディ PK
77' マディソン (assist by メンディー)
84' アケ (assist by マフレズ)
88' ティーレマンス PK
両チームの狙い
ボール支配率はマンチェスターシティが71%であったこの試合。ロジャーズ監督は明確にマンシティ対策を練って試合に挑んでいました。
Brendan Rodgers:
— Man City Report (@cityreport_) 2020年9月28日
"For this game it was important from a tactical perspective to take the keeper out of it, because if you press @EdersonMoraes93 too much - he could play as a centre-half in some teams, he's that good with the ball."
[via @footballdaily]pic.twitter.com/5HwHkL1UTe
ロジャーズはこのインタビューで「マンシティのGKを相手の戦術から取り除くことが重要」と言っています。
マンシティは前節同様にCBとダブルボランチのスクエアを形成。
サイドバックがワイドに開き、WGは中に絞ります。3-1-6のような形に。
明確に前2節と変えてきたのはレスター。
5-4-1の形で後ろに重心を置く。ヴァーディはロドリのそばでビルドアップへの関与を阻害。中盤はCBやフェルナンジーニョにはプレスをかけず、持ち上がってきたら中央のパスコースを消してブロックの外に誘導するように仕向けていました。マンツーマンでもあり、ゾーンでもあり、昨シーズンから見たマンシティへの対応の完成版のようでした。
ロジャーズ監督の言うGKを取り除くというのは、上の図のように、ボールを持ち運ばせて後ろで繋がせないこと。エデルソンの長短のパスを出させないように高い位置でマンシティがボールを回すように陣形を組んだことでした。
ロジャーズ監督の目論見通りに試合が運ぶだけじゃなく、思った以上にマンシティのパスがひっかかるので前半の35分以降、特に後半は狙った通りにチャンスが作れていたと思います。
ペップもあんな苦い顔になまりますね。
前半良い形が作れたのは、ウォーカーがワイドから内側に絞り、マフレズが大外レーン、デ・ブライネがハーフスペースからチャンネルランという場面。
ゴールには繋がらなかったとはいえ、ここはマンシティの強み。
前後半を通してデ・ブライネのチャンネルラン、デ・ブライネのペナルティエリア外からの高速クロスぐらいが得点の可能性を感じたプレーでした。
しかし、後半ウォーカーがカウンター対策で下がってからは本当にチャンスらしいチャンスはありませんでした。
苦しめられた選手
■ティーレマンス CH
5-4のブロックをコンパクトにして、スペースを消す守備はマンシティにとても効果的でしたが、あとはどうやって点を取るか。というところで、ティーレマンスの落ち着き、視野の広さ、状況判断にやられました。
特に前線の選手が飛び出してマンシティDFを下げてくれるので、そこはあえて一つ横パスを入れ、マンシティを間延びされるプレーを何度か見せていました。
詳しくは下で図解します。
■ジャスティン WB
5バックのWBは押し込まれる時間帯が多いと、DFラインに張り付くことになり、攻撃参加は試合を通じて数回。特に今日のレスターはペナルティエリアの幅に5バックを並べ、ボールサイドに中盤と連携して全体でスライドする守備でした。中位以下のチームであればボールは繋がず大きくクリア。攻撃は得点能力のある前線に任せ、WBがかけ上がることはほとんどない。
しかし、レスターはボールを奪うやいなや、チームとしてボールをキープ、ボールサイドのWBだけでなく、逆サイドでもWBが高い位置を取っていました。
ジャスティンに関しては57分。
まず、ロドリのロングパスをワントラップで前に出ようとしたマフレズを止めたところから攻撃がスタート。
さらに、バーンズの内側をインナーラップして、ウォーカーがバーンズに当たりにいけない状況(ウォーカーがジャスティンを気にしなければいけない)を何度か作り出していてすばらしいプレーだなと思いました。
詳しくは図解します。
マンシティの失点
今日はなんと5失点。
マンシティの守備
これは思った以上に深刻で、攻撃が対策されはじめたことで守備に転じることが多くなった。それによりさらに弱点が浮き彫りになった感じです。
35分 PK献上
53分 右サイドを崩されてヴァーディの技ありシュート
57分 PK献上
77分 ペナルティエリア前で十分な時間を与えてマディソンからのスーパーミドル
86分 PK献上
この5失点に共通していたことを簡単に述べるとたった2つ。
・背後のスペースを意識しないプレッシング
・飛び込めない状況を作られるとアクションがなくなる
まず、背後のスペースを~は35分のシーン。
次に、飛び込めない状況を~は57分のシーンを例にとって図解します。
さっそく35分のシーン。
レスターCBエバンスからレスターアンカーのメンディーにボールがわたったときに、デ・ブライネとフェルナンジーニョが縦で挟み込もうとします。
おわかりだと思いますが、この状況ではDFラインの前には広大なスペースができます。ロドリもメンディーの体の向きを見て、ティーレマンスにプレッシャーをかけたのだと思いますが、ここを簡単にかわされ、右サイドのバーンズへ。
ウォーカーは局面1対2の状況で、飛び込めなくなりました。
ずるずると下がってPKのシーンです。
問題なのは、ダブルボランチのチームなのに背後ががら空きになっていることです。マフレズも懸命に戻りましたがバーンズに前に入られ奪えず。
ロドリはフェルナンジーニョのカバーを考えるべきだったと私は思います。
このロドリの動きに、守備に対するチームの決め事がないように感じました。DFラインの前のスペースは潰しておくこと。これはとても重要です。それを放棄してしまうプレーをしてチームでなにも言われないのは少し危険な感じがしました。
ちなみにヴァーディが足早いのわかってるんだからCBが一つ前にでてスペースを埋めるのは論外です。ヴァーディに好きなように飛び出されてしまいます。
フェルナンジーニョはこのプレーを反省して前半はパーフェクト。ロドリ、デ・ブライネがプレスをかけたあとの潰しを彼が引き受けました。
自分まで行くと背後ががら空きになる。
プレスの連動がシステマチックになってないマンシティにおいてフェルナンジーニョの存在は防波堤です。それを彼自身も久しぶりのアンカー2試合で思い知ったことでしょう。
しかし、得点、勝利がほしいペップは、フェルナンジーニョを下げ、17歳長身のアカデミー出身デラップを投入します。(彼がプレミアリーグで有名なロングスローのデラップ選手の息子とは当然私も知らなかったです)
防波堤を失ったマンシティ。背後のスペースを忘れた選手たちが不用意にプレスをかけ、53分の右サイド、77分のマディソン放置、86分のペナルティエリア内のマディソンフリーなど立て続けに失点に直結するプレーを連発しました。
次に、57分のシーンです。
マフレズがジャスティンに止められたところからレスターの攻撃がスタートします。
ティーレマンスがボールをもったとき、ヴァーディなど前線の選手の動きにより、DFラインが下がる。
ティーレマンスはあえてバーンズにつける。間延びして空いたスペースをバーンズに使わせるためですね。
本来であればウォーカーがプレスをかけたい。フリーで運ばれるのは危険です。
しかし、マフレズからボールを奪ったジャスティンがそのまま上がっていてバーンズの内側をインナーラップ。ウォーカーがバーンズに当たりに行けば即座にスピードアップしてウォーカーの裏をとっていたでしょう。それぐらい絶妙な位置でした。
これによりウォーカーはボールウォッチャーにならざるを得なくなり(なぜかロドリも見てましたね)、PKのシーンへ進みます。
5失点がほとんど同じパターンというのは見てる側も悪い例として紹介しやすい。教材っぽい失点でした。
もう一つ言うならば
自らのミスで相手ボールになってからほんの数十秒での出来事です。
ネガティブトランジションが機能していない、いや、そもそもデザインすらされていない恐れがあります。
ちなみに最後マディソンにPKを与えたメンディーのプレー。ペナルティエリア内で軽率だったとは思いますが、対応として悪くはなかった。
マディソンをあの付近でフリーにしたのは、メンディーではありません。スターリングかアケです。アケが気づいて身振りで知らせたところいち早く反応したのはメンディーです。
まあ、その他のプレーはあれでしたけど笑
このような試合を開幕2試合目で露呈してしまったのは幸か不幸か。
まだ修正ができると思うか、残りの36試合で相手にさらに対策させやすくしてしまったか…。
怪しいなと思っていたマンシティの守備は、これまで圧倒的なボール保持と攻撃力、そして即時奪回により明るみに出ていませんでした。
しかし、昨シーズンから、ボール保持させられ、中央を固められ、即時奪回に対してはショートカウンターで剥がされることが増え、守備をしなければならない状況がついにやってきました。
この試合は「守備をしなければならない状況」に対応できなかった。
マンチェスターシティは決断に迫られています。
長所をさらに磨くか、短所を克服するか。
なんでもできることが今のサッカーのスタンダードになりつつあります。メッシやロナウドのような圧倒的な個性でない限りみんながなんでもできる必要があります。
攻撃だけでなく守備も。
チームとしてなにを優先して、なにを後回しにするかをこれから見ていきたいと思います。
最後に
好きなものを、好きじゃなくなるときはある。好きなものをどれだけ好きかもその人、その瞬間で様々。
それを周りのせいにするのはおかしいですね。
巷では、ペップが来て戦術大好きな人たちがこぞってマンシティを取り上げ、冷めていった人たちが増えたと指摘している人がいます。
こういう論争が起きることが、マンシティの日本での歴史の浅さを感じます。特にうまくいかない時期ほど。
アーセナル、マンチェスターユナイテッド、チェルシーの日本のファンは、うまくいかない時期でもチームに対して愛がありました。めちゃくちゃ文句言ってるけど笑。
黙らなくていいけど、応援の仕方は人それぞれ。結果に一喜一憂して、うなだれる人がいてもいいし、敗戦の原因を解明する人がいてもいいし、特定の選手を応援する人がいてもいいし、プレーに文句を言う人がいてもいい。それはみんな好きだから、期待しているから言うのだから。
私はジンチェンコが好きですが、今日の試合メンディーのかわりに同じタスクでジンチェンコが出ていても結果は変わらずだったと思います。
なにも考えず言うのであれば、WGが外張って、SBがアンカーの脇にいたときの方が強かったなぁって感じます。
マンチェスターシティ初優勝のときより云々というのは、それはそれで昔からのファンに失礼だし、昔からのファンからしたら、こっちはお前らの生まれる前からファンだわ!となりますから、そこはどうでもいいと思います。そうやって、にわかは黙ってろ!みたいな風潮も最低です。
多様性を享受したいところです。
反省を活かしてほしいなと思いつつ結果に一喜一憂していきたいと思います。
それでは!