戦術は勝ち点3 第9節 vs トッテナム
こんにちは。
tadashiです。
本日はトッテナムとの試合です。
モウリーニョとペップの因縁がどうとか、昨シーズン負け越しているとか、2シーズン前のCLで負けているとか、トッテナムに関しては嫌な話がけっこう多いんです。
モウリーニョ率いるトッテナムは現在5勝2分1敗。モウリーニョ体制2シーズン目、そして2年目となる今シーズンは、モウリーニョにとってもトッテナムにとっても勝負の一年となりそうです。
一方、我らがボスのペップグアルディオラは、2年の契約延長を行い、2023年までの契約となりました。7年間という長期政権となったことで、ペップがマンチェスターシティに居心地の良さを感じているのと同時に、このチームで勝ちたいと思ってくれているのかなとうれしく思います。
勝ってほしい!
ということで、さっそく試合の振り返りをやっていきましょう。
まとめのところだけ読んでいただいてもそれだけでうれしいです。
この試合の動き、狙いはもっとわかりやすく伝えてくれる人がいます。でも、読んでくれるとなおさらうれしいです。
結果
5' ソン・フンミン(assist by エンドンベレ)
65' ロチェルソ(assist by ケイン)
スタメン
両チームのスタメンはこちら
昨シーズンは怪我人に悩まされたモウリーニョ。今シーズンは、コロナウイルスという影響はありますが、昨シーズンよりはベストな布陣を揃えている。前線はケインをトップに、ソン・フンミンとベルフワインが両サイド。トップ下にエンドンベレが入ります。
DFラインにはモウリーニョがマンチェスターユナイテッドの監督の時から欲しがっていたダイアーがスタメン。左はレアルマドリーから加入のレギロン。今日はこのレギロンがしっかりとマドリーらしさを出してくれます。
アンカーにはホイビル。この選手、まあ厄介ですね。守備も攻撃もサボらない。シティだけではないですが、試合を決める決定的なプレーをするわけではないですが、そのために必要なことをすべてやってくれるのです。
・injuryed player
ドハーティ、ラメラ、ダニーローズ
■シティを苦しめた選手
ケイン(ソン・フンミン)
ソン・フンミンをあげたいとこでしたが、全体で見るとケインが圧倒的でした。今シーズンのケインは得点だけでなく、ゲームメイク、チャンスメイクすべてができるFWになっていた。
とくに、今日の試合はシティの失点すべてに関わるプレー見せました。
シティのCBを引き付ける絶妙な位置を取り、ロドリの背後を常に狙い、ボールを引き出してはソン・フンミンの飛び出しを使うというプレーは今シーズンかなり成熟してきていると思います。まだ、9節なのに。
エンドンベレ
フィジカル強く、ボールをキープされてチャンスメイクというより、シティの流れを作らせなかった。
自陣深いところでボールを受けたときも足元に納めながらフィジカルでシティの選手を振り切るシーンもあった。
守備ではケインと並んでシティのアンカーを塞ぐなど、トップ下に入りながら守備とパスの出口として機能。チャンスメイクはケインに任せるという役割分担はあまり思いつかないところでさすがモウリーニョと思いました。
ホイビル
今シーズン加入したホイビルは、良い意味で目立たない選手。
今日の試合は守備の面でかなりやられました。デ・ブライネをシャットアウト。鬼のようなインテンシティで、シティの狙いたいペナルティエリア奥にデ・ブライネは走りますがホイビルも同じ速度で対応し、決定的な仕事をさせていなかったと思います。
DF陣は組織で守っていたので、だれか特定の選手をあげるのは難しいかな、と。あげるとしたらレギロン。それはマフレズに対する対応の良さだけでなく、後半のカウンターの瞬間にボールを持ちすぎてロストするところは、なんだかレアルマドリーの左SBっぽいとこでしたよね笑
■マンチェスターシティ
怪我で離脱していたアグエロ、代表ウィークに怪我をしたスターリングは揃ってベンチ入り。
スタメンには、左SBにカンセロ。もうジンチェンコはスタートには考えられていないのでしょうか…。
IHにはデ・ブライネとベルナルド。前線の3枚は右からマフレズ、ジェズス、フェラントーレスです。フェラントーレスは、スペイン代表で、ドイツ相手にハットトリック。バレンシア時代のサイドが主戦場だったときより得点へ意識が向いてるのはシティで1トップを2試合ぐらいやったからでしょうか。
・injuryed player
アケ、メンディー、フェルナンジーニョ
前半 モウリーニョは勝ちを狙う
シティらしい失点
試合開始
トッテナムのキックオフから、アルデルバイレルトのロングボールで試合は始まりました。
2分、3分とナショナルウィークで、大活躍したフェラントーレスがトッテナムゴールへ迫ります。
2分は、マークに来ていたソン・フンミンを交わし、カットインからシュート
3分は、ペナルティエリアの深いところをベルナルドシルバが侵入し、フェラントーレスからパス。これはクロスがカットされました。
さっさくスピードのある展開となります。
カンセロがロドリと並び、大外にフェラントーレス、マフレズと両WGが開くことで、チャンスを作ったようにトッテナムのSHを下げさせる狙いがあったのかもしれません。
モウリーニョがどのようにシティの攻撃を抑えるかだれもが気になるところでしたが、しばらくはマンチェスターシティが攻めて、トッテナムが受ける展開になりそうだな、となんとなか思っていました。
そんな矢先にスコアが動きます。
トッテナム先制点。
5分のことです。
ピッチ中央、シティから見て右サイドでファウル。シティの流れがここで途切れます。
この段階では前線にはソン・フンミン、ケイン、ベルフワインが前にいて、マンチェスターシティのバックラインは高い位置にありました。
トップ下のエンドンベレはボール近くにいてパスを要求。その瞬間のピッチが下の図になります。
ベルナルドがおそらく後方へのパスコースを切りながらエンドンベレを囲んだつもりでいたのですが、2枚目のディフェンダーとしているはずのロドリはそんな気持ちはさらさらなく、簡単にエンドンベレに前を向かれてしまいます。
ケインの位置に注目すると、シティの左CBがつくべきかのような位置取りをしています。ケインは、ソン・フンミンが斜めに飛び出すことをわかっています。なので、シティの左CBがカバーに行けないように自分に注意を引き付けていました。
前を向いたエンドンベレの眼前にはロドリとCBの間にケイン。そしてその裏に向かって走り出すソン・フンミンが見えたはずです。
エンドンベレのパスはきれいにDFラインの裏へ入り、ソン・フンミンは、1対1を冷静に流し込みました。
あまりにも早い失点。そしてマンチェスターシティの課題とも取れる形での失点。もうなにも言うことはないのですが、気持ちが強すぎてたくさん書いてしまいました。
とにかくさっそくビハインドを背負います。
モウリーニョの狙いは勝ち点3
ここで両チームの狙い。否、モウリーニョの狙いを見てみます。
モウリーニョは、マンチェスターシティの2つの問題点を狙いました。
・ロドリのスペース管理の低さ
・カンセロの偽SB
まず一つ目。
前線から相手にプレスをかけることになっているのだとすると、その戦術的アプローチはあまりにも不足しています。そのあとのケアがありません。
また、攻め込んだときにロドリは高い位置を取ろうとするし、前線に動きがなければ大外ワイドでボールをもった選手の内側を走り抜けるシーンも、今日のトッテナム戦たけでなくたくさんあります。
トッテナムや、中位以下のチームが中央をしめてパスコースを塞ぐ守り方をしている場合、ここでボールロストすると一転してピンチです。
二つ目は、ソン・フンミンとケインが今シーズンあまりにも良い関係性であることも影響しますが、左から内側に絞る構造上、左サイドが守備時の弱点になるのは明白ですがそこに対するフォローはなく、それでいてスピードのあるソン・フンミンなので、トッテナムはフィニッシュをシティの左からとイメージしていたはずです。
一点目は、まさにケインとソン・フンミンの関係とシティの左サイドという二つの要素をうまく噛み合わせたゴールだったと思います。
今、攻撃に対するモウリーニョの狙いを書きましたが、続いてはシティの狙いと、トッテナムの守備を振り返ります。
まず、今日のマンチェスターシティは、SBを内側に集中させていました。大外ワイドレーンを使うのは両WGのフェラントーレスとマフレズ。(トッテナムの両SHに下げさせる狙い)
WGの質的優位とIHのペナルティ奥を攻める動きでチャンスを狙う作戦でした。(これはやはりこれまでまったく変わらない。ある意味でぶれないです。)
そこで、モウリーニョの取った戦術は以下の3つ
・シティのIHにはアンカーが徹底的に対応
・SBとアンカーでシティのWGに対応
・両SHは相手の後ろからパスコースを塞ぐタスクとし、カウンター時に力を注ぐ
モウリーニョの指示かはわかりませんが、前半開始早々2回ソン・フンミンのところから突破され、すぐさま一枚目の形に変更。1対1はオーリエに対応させ、ソン・フンミンにはパスコースを切るなどのタスクを与え、カウンターに素早く対応できるようにさせました。(もしかしたらスタートはソン・フンミンが自発的に下がっていたかも?)
また、素晴らしい連動だなと思ったのは、アンカーの二人です。目の前に対峙するIHをマークするということに加え、SBのフォロー、DFラインの前のスペースを埋めるというタスクを完璧にこなしていました。
片方がIHに対応すれば中央を埋め、危険なエリアを消していました。
こういった選手個々、もしくは数人の組み合わせに決められた役割はあれど、最終的にモウリーニョが狙うのは勝ち点3。つまり勝つこと。
それ以上でも以下でもありません。
マンチェスターシティにハーフスペースを使われないようにコンパクトにして、ボールを奪ったら好調なケインとソン・フンミンで仕留める。とてもシンプルな形でも今のマンチェスターシティにはなによりも効果のある戦いかた。その解決の糸口を見つけられていないこともモウリーニョはお見通し。モウリーニョを相手にするにはペップには時間も仕掛けも足りませんでした。
さあ、あんまり悪いことばかり言ってもなんか気持ちが落ち込んでいたので良かったことも。あまり良くないときこそ良いところを見ていこうと。
ピックアップするとしたら、失点前の5分間、9分のジェズスとフェラントーレスの関係、27分のジェズスハンドによる得点取り消しでしょうか。
9分、27分はジェズスがとくに良かった。CBを釣り出す動き、CBを話す動き双方がうまくやれていたシーンでした。
特に27分は、ラポルトのシュートをお膳立てした右サイドのクロスをペナルティエリア内でフリーでトラップできる時間的余裕をトッテナムDFとの駆け引きで創出。
アグエロとの比較をよくされますが、曖昧なポジショニングが優れているアグエロに対して、ペナルティエリア内でふっと空間と時間を作るのがジェズスはうまいのかな、と想いました。
その他にもベルナルドのボール運びやフェラントーレスのドリブルなど、随所に良いプレーもありましたからそこまで悲観しなくてもいいですね。
後半 ペップはなにを狙う?
ベルナルドの機動力と引き換えに…
後半開始
1点ビハインドのマンチェスターシティは得点が必要です。
ペップは後半開始から動きます。
ビルドアップを2-3の組み合わせとし、デ・ブライネをフリーマンに据え、前線に4枚並べるように2-3-1-4に見える形で、攻めに出ます。
ベルナルドがジェズスと同じ位置に並び、デ・ブライネとワイドプレイヤーを絡めながらサイドから攻めるのかな?と思いました。
というのも、中央をコンパクトに締めるトッテナムの守備にはハーフスペースすらも空いていません。マンチェスターシティは、不用意なロストをしないように注意しながらもアグレッシブな攻撃が必要になります。
後半もポゼッションできたし、シュートも前半と同じように打つことができましたが、このシステムによりベルナルドが消えてしまったと私は感じました。
ベルナルドシルバの良さは運動量と攻守の切り替えを武器にピッチを広く走り回ることで相手守備組織をずらしていくところです。
しかし、後半ジェズスの真横を基本位置としたことで、思うように動けなかったかなと思います。前に行くとオフサイド、下がりたくてもそこにはすでにカンセロがいたのです。
また、攻めなければいけないマンチェスターシティは、今回のモウリーニョが狙いたいロドリの背後をいとも簡単に空けてしまいます。
それが、65分のロチェルソのゴールに繋がります。
マフレズとウォーカーが左サイドトッテナム陣内でプレス。こぼれたボールをウォーカーが中央にパスしたところ、合わずにトッテナムCBに。すかさずダイレクトで前線にパス。
そこにはロドリの後ろでフリーになっていたケイン。
あとは、ケインの持ち上がりに合わせてカウンターに備えていた選手たちが前線に走り込むだけ。デ・ブライネを振り切り、フリーで抜けたロチェルソにラストパスを送り、そのままゴール。
2失点目はまあ、仕方ないところはありましたが、、少し早かった…。
72分にペップはスターリングとフォーデンを投入。しかし、その交代が効果的かと言われたら首をかしげるものでした。
トッテナムのコンパクトに引いて守るというやり方に対する答えをいまだに見いだせないマンチェスターシティはただただ時間を消化していきます。
トッテナムはむやみにプレスをかけずパスコースを切りながら時間を稼ぎ全員が帰陣して、少し余裕を持ちながら対応していました。シティはそれによりさらにファイナルサードまで入れずシュートはことごとく跳ね返されていきます。
そして、試合は終了。特に後半は驚くような展開もなく、負けました。
モウリーニョ率いるトッテナムは枠内シュート2本で2点取り、22本のシュートを浴びながら11本をブロックし、クリーンシートで勝利しました。
ペップ率いるマンチェスターシティは60%を越えるポゼッションをしながら、22本のシュートを打つも、枠内に5本しか飛ばず、たった2回の決定機を確実に決められ負けました。
まとめ SBを見るのは楽しい
今日のまとめは(今日も?)SBについてです。
まず、なによりもマンチェスターシティ相手に最初から5バックで挑むチームが多い中で、4バックを採用したモウリーニョありがとう。
それだけで試合を見るのが楽しくなります。
さて、今日の両チームのSB。双方に与えられた役割はまったく異なります。
マンチェスターシティのSBにはビルドアップへの参加で、WGへ良い形で配球すること。
一方で、トッテナムのSBは、マンチェスターシティのWGへの対応と純粋なオーバーラップとなります。
■マンチェスターシティの平均ポジション
(画面上に攻撃)
■トッテナムの平均ポジション
(画面下に攻撃)
他のポジションの選手には言及しませんが、それぞれでなにかを感じ取れそうです。
両チームのSBの大きな違いは、そのポジションです。
シティのSBは
・ハーフスペース
・センターライン
・大外レーン
となっていました。
役割によってここまで平均ポジションが変わるのも面白いです。センターの選手やFWの選手ではこのままで変わりません。これもまたSBの面白さ、魅力です。
この試合で言えばマンチェスターシティのSBはボールを回してビルドアップに貢献していましたが、守備の時は斜めに戻らなければならず相手の攻めに対してまっすく迎え撃つことができなかった点が、構造上の問題ではありますがつらいところでした。SBの仕事はまず守備。CBと協力して守ることが大前提。マンチェスターシティのSBはスタートが「ボール保持への関与」だからなんだか守るとき大変になっちゃう。
トッテナムのSB良かったですね。フェラントーレスとマフレズをしっかり迎え撃ち、特にレギロンはマフレズをちゃんと分析していたのか左足を警戒し、右に運ばせる1対1をしていたと思います。アンカーのフォローも早くチームとして守備を考え、その一員としてSBを活用していました。トッテナムは、守ることを大前提にSBのことを考えているので、実際にSBとしては入りやすいし、相手がゆるければ攻め上がることもできるので、柔軟な対応ができます。
今、SBは非常に多様な役割を持っていて、そのキャラクターも様々です。
サイドをかけ上がってクロスを上げるというのがSBの当たり前ではなくなりました。
今回の試合のように戦術によってキャラクターを使い分けることも可能なポジションです。
ここ最近とても注目しているのが、レアルマドリードのメンディーです。
SBとしてオーバーラップするだけでなく、時にはハーフスペースに入り、ボールをさばくなど、今日の両チームのSBのハイブリッド型のように思えます。
また、チャンスとあればインナーラップでゴール前に入り込むパターンもあり、彼を見ているだけでSBの可能性の高さに楽しくなってしまいます。
このSBの可能性を広げ、それを知らしめたのは間違いなくペップです。
だからこそ彼の作りあげる戦術でのSBの使われ方にはどうしたって期待してしまいます。
もっと楽しませてくれよ!
ということで以上となります。
シティは負けてしまいましたが、モウリーニョさすがだな、というところでした。
ペップの策は策だったのか…。
上でロドリの問題のように書きましたが、ロドリの背後のスペースは、そもそもシティの守り方、ネガティブトランジションの考え方にも要因がありそうな気がします。
もう一つ言えばファイナルサードへ侵入する回数が昨シーズンより減っているように思います。ボールは運べるのに最後のところで届かない。機械的に狙うところを狙っているのでDFからしたらわかりやすいし、圧倒的に強かった数シーズン前より流動性がなくなっています。
人が動いてボールが動いているのではなく、ボールが動いているだけに見えるのは、私が見慣れてしまったのか、本当にそうなのか…。
CLは勝利し、なんとなくグループリーグ突破。しかも、デ・ブライネとウォーカーを帯同させず休ませることもできた。
ペップも契約延長したことですし、本腰を入れて最強を目指し、CLを狙えるチームを見たいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
それでは!