満身創痍の勝ち点1 ラ・リーガ第35節 レアルマドリード vs セビージャ
こんにちは。
tadashiです。
今回は、レアルマドリードのレビューをしていきたいと思います。
リーガ優勝戦線に辛うじて残っているマドリー。
多くのけが人に悩まされながら、CLベスト4、リーガでの優勝争いを演じているジダンには頭が上がりません。
リーガでは、ライバルチームの足踏みにも助けられてはいますが、ここまで踏みとどまっているのは、選手たちのがんばり、ジダンのモチベーターとしての手腕のおかげです。
チェルシー戦のことは終ぞ語るつもりはありません。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム レアルマドリード
チャンピオンズリーグチェルシー戦で、ラモスとメンディーが再び怪我。
ルーカスバスケスとカルバハルもいないことから、サイドバックは右がオドリオソラで、左がマルセロ。
もはや選択肢はありません。
マルセロはキャプテンを務めるとともに偉大な先輩ロベルトカルロスと並びブラジル人の出場記録第一位となりました。
■アウェイ セビージャ
前半開始はオカンポス、前半の途中からパブ・ゴメスがトップの位置に。おそらく0トップ。
右サイドバックのヘスス・ナバスは35歳。怪我もなく元気です。どういうことですか。
前節、審判への抗議で退場しているロペテギ監督はイエローカードをもらい、なんと累積でベンチに入れず。
両チームの状況を整理
■2位 レアルマドリード
首位アトレティコと3位バルセロナの試合がドローで終わったことで、この試合に勝てば単独首位となるレアルマドリード。
この試合の前の段階で、複数怪我した選手もカウントして57回の怪我を数えている。
構想に入れていなかったカスティーリャの選手もベンチに入れないともはや人数もそろえられない状況。
4月のクラシコは勝利したものの、ヘタフェやベティスに引き分けるなどなかなか調子が上がらない。
■4位 セビージャ
前節ビルバオに敗戦。
いよいよ優勝戦線から離脱したかと思いきや、アトレティコバルセロナの試合がドローに終わり、レアルマドリードに勝利すればまだ可能性が残っていた。
ビルバオ敗戦前はリーグ5連勝。それどころか3月から負けていない。
シーズン通したポゼッション率はマドリーよりもセビージャの方が高い。
しかし、セビージャは枠内シュート率がエイバルに次いでリーグで下から2番目という不名誉な記録もあります。
マドリーの守備
試合はマドリーボールでキックオフ。
大方の予想通りボールをキープするのはセビージャ。
開始2分にショートカウンターでヴィニシウスがドリブル突破を見せました。
お互いのチームの入りから、マドリーには、セビージャのポゼッションを阻害して縦に速く攻めたい印象を受けました。
セビージャは両SBが高い位置を取り、WGの二人がハーフスペースに入り込むことで、相手のDFラインの前に人数を割きながら、幅を取って守備組織を広げ、フィニッシュに持っていこうという狙いが見えます。
後ろにはフェルナンド、クンデ、ジエゴカルロスと守っても運ばせてもパスを出させてもハイレベルな選手が3人いるので、ほかの選手たちは安心して前に出られるのです。
ここはマドリーも同じかもしれませんね。
ということで、マドリーの守備をクローズアップします。
以下のツイートは私が試合中に見て感じたことです。
バルベルデがWGをやるのが常に「相手のサイド攻撃を食い止める」という守備戦術的側面が大きくて、エレガントなプレーで観客を魅力していたジダンは監督としてはリアリストなんだなと思う。
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月10日
バルベルデをインサイドで起用する戦術的側面が今の起用理由を上回らないとなかなか変わらないだろうな。
この試合もバルベルデがWGで起用されています。
クラシコでもそうでしたが明らかに守備のためのWG起用です。
しかも、今日に関してはヴィニシウスに対しても守備のタスクを課していました。
ポイントとしては以下
- ベンゼマはアンカーのフェルナンドをマーク
- 両WGは、高い位置と取るセビージャのSBをマーク
- 4バックはコンパクトにラインを形成
- 残りへの対応はモドリッチとクロース(セビージャのビルドアップに対して前に出るのはモドリッチとクロース)
スパルタすぎますね。ジダン。
攻撃は奪った後のカウンター。
肝はベンゼマ。
もちろんベンゼマはその役目をまっとうしますが、得点は得られず。
22分に先制点を与えてしまいます。
それでも少ないながらもチャンスを作ったマドリー。
12分に右サイドからオドリオソラがクロスを上げ、ベンゼマのヘディングシュートがネットを揺らしましたが、オドリオソラがオフサイドで得点ならず。
29分にもヴィニシウスがドリブルで切り込んでシュート。
ヴィニシウスとマドリーらしさ
ヴィニシウスすごくいいけど、ほんとにシュートだけだな。がんばれまじで!
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月10日
これも私が試合中にツイートしました。
彼に決定力が備わったらすぐにでも世界最高のプレーヤーになれます。
22分の得点後、引き始めたセビージャ。
ブロックを作ってトップの選手からパスコースを切る守備を見せるセビージャでしたが、むしろそういうドン引きしすぎない守備ブロックの相手の方が力を見せるマドリー。
37~38分のシーンです。
クロース+CBでセビージャの選手を3枚つり出し、ビルドアップに関与しないカゼミーロがベンゼマと縦関係になったところを狙って、崩しの縦パスを入れます。
レアルマドリードのビルドアップから崩しの中でよく見られるのがその縦関係です。
あえてパスコースに入るように立つことで相手の注意を”本当にパスを出したい相手”から引き離すことができ、間に立つ選手がスルーをしてパスを繋いでいくやり方です。
ビルドアップにも、崩しの局面にもマドリーは多用します。
このシーンもまさにカゼミーロがスルーをしてベンゼマにボールが入り、そこから左ハーフスペースのヴィニシウス、右のモドリッチとセビージャの視線を大きく動かし、大外右のオドリオソラにパスを出しました。
このシーンは、バルベルデとオドリオソラが一瞬被ってしまい、アクーニャにカットされましたが、マドリーらしさの出た良いプレーだったと思います。
引いたセビージャにオドリオソラ
前半追いつくことができなかったレアルマドリードは、攻める必要が当然あります。
一方のセビージャは後半開始から引いてブロックを形成。
試合はマドリーがボールを保持しながら、セビージャがカウンターを狙うという前半とは逆の展開となりました。
ここで意外にも効いていたのがオドリオソラでしたね。
オドリオソラは足が速い。どうやら速いようです。
攻めに転じるマドリーはマルセロもオドリオソラも高い位置を取ります。
足の速いオドリオソラを止めるために、アクーニャやオカンポスが下がってきて、オドリオソラの後方をCBやモドリッチが比較的プレッシャーのかからない状況でボールを持つことができました。
円の箇所がプレッシャーのかからない位置。
モドリッチは積極的にこの位置でボールを受けていましたし、ナチョやミリトンもこのスペースにドリブルでボールを運んでいました。
面白いことに形としては、前半セビージャが攻めていた様子とほぼ同じです。
違うのは、マドリーの場合アンカーのカゼミーロがトップ下のような位置に行くことです。
これにより今シーズンはいくつか得点をあげているので、重要な配置でした。
52分、59分、60分とマドリーは立て続けにシュートを放ち、少しずつ得点の可能性も感じ始めます。
そして、67分にようやく同点ゴール。
モドリッチと交代で入ったアセンシオがファーストプレーでゴール。
セビージャのビルドアップをカットしてからのショートカウンター。
これもハイライトを見てもらうとわかりますが、クロースがペナルティーエリア手前で持った時にカゼミーロがクロースを追い越し前線に走っていったことで、スペースが生まれアセンシオへのラストパスに繋がりました。
これで状況はイーブン。振り出しに戻ります。
ここで、この試合珍しいことが起こりました。
珍しいこともあるもんだなぁ。
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月10日
ベンゼマが倒されてPKか?
→うーん、ブヌの手が当たってると言えば当たっている
→その前のコーナーでミリトンがハンドしてる
→セビージャにPK
75分 セビージャのコーナーからカウンターを仕掛け、ベンゼマの飛び出しにセビージャGKブヌがファウルを犯したシーンで、最終的にその前のコーナーでミリトンがハンドをしていた、というVARの判定。
これにより獲得したPKで勝ち越したセビージャ。
勝てば優勝の可能性がまだ残ります。残るはずでしたが。
満身創痍でも勝ち点1
満身創痍です。
今日のジダンの采配は、ずばり的中という感じでしたが、ここにきてようやくアザールが試合に出られるようになったところで、けが人が多すぎてもうどうすればいいのかわからないといったように見られます。
そもそも戦術家ではないジダンは、限りのある戦力で相手チームを分析し、「少ない力で最高の効果を」という監督でなないので、能力のある選手が軒並み試合に出られないのであればそれは難しいことでしょう。
それでも、依然としてリーガのタイトルの可能性を残しているのはさすがジダンというべきか、なんとまあジダンというべきか。
個人的にはジダンの元に、戦術家タイプのアシスタントコーチか、若手育成に定評のあるアシスタントコーチを置いてほしいと思います。
この試合のあと、気づけば62回目の怪我人が出ました。メンディーは今シーズン終了、ラモスも不透明。オドリオソラも怪我のようです。
グラナダ戦はだれが守るのでしょうか。
しかし、それでもまだ可能性を残しているジダンマドリー。
敗戦濃厚だったこの試合もロスタイムに同点。しかもアザール。
しぶとすぎます。
結果
レアルマドリード 2 - 2 セビージャ
22' フェルナンド(assist by ラキティッチ)
67' アセンシオ(assist by クロース)
78' ラキティッチ(PK)
90’+4 アザール(assist by クロース)
それにしてもここまでどのチームも頭一つ抜けないのはなんとも情けない、とは思います。
下のチームと差が広がってきたというわけではないですよね。
マドリーも同様ですね。
しかし!勝利の女神はまだレアルマドリードを見捨ててはいない!
というこで、金曜日のグラナダ戦に文字通りすべてをかけて、勝利をもぎ取ってほしいと思います。
それでは!