1月のリーグ3連勝 ~シティのABC ブライトンなパレスをビラにしてやった~
こんちには。
tadashiです。
今日は1月のプレミアリーグ3連戦をまとめて振り返りたいと思います。
結果
マンチェスターシティ 1 - 0 ブライトン
44' フォーデン (assist by デ・ブライネ)
■第19節 クリスタルパレス WIN
26' ストーンズ (assist by デ・ブライネ)
56' ギュンドアン
68' ストーンズ
88' スターリング
■第1節 アストンビラ WIN
79' ベルナルドシルバ(assist by ロドリ)
90' ギュンドアン
ホーム3連戦は3連勝で乗り切りました!
ブライトン戦こそ1点差というスコアでしたが、残り2試合は複数得点かつ3試合連続のクリーンシート。
守備が安定し、攻撃のパターンなにより選手たちの自信がうかがえました。
相変わらずの過密日程で、選手を休ませながら、交代も使いながらやりくりをしている様子がわかります。しかし、調子のいい選手や替えのきかない選手は試合に出続けなければなりません。
この3連勝の最終戦ビラ戦では、右SBのウォーカーと攻撃の要デ・ブライネが負傷交代。
デ・ブライネへの依存が薄れ、少しずつかつてのデ・ブライネが顔を出していてこの3試合も2アシストと好調でしたが残念です。
どうやら4~6週間の離脱が予想され、リバプール戦やトッテナム戦、もしかしたら2月のCLラウンド16ボルシア戦も出場が難しいとか。
ペップシティの真価が問われます。
スタメン比較
せっかく3試合分まとめるので、スタメン比較と相手のシステムを比較してみます。
まずはフォーメンション図
マンチェスターシティのスタメン
システムは3試合ともアンカーを置いた4-3-3
セインツ戦での上向きの状況からペップはある程度のメンバーの固定をしています。
■3試合スタメンの選手
エデルソン
ルベン・ディアス
デ・ブライネ
フォーデン
ベルナルド・シルバ
ターンオーバーのことも考慮すると、
ロドリとカンセロもペップの中のスターティングメンバーに入っていると思います。
11人のうち実に9人が今のペップの固定メンバーとなります。
SBの片方をロドリと並べる3-2のビルドアップとギュンドアンがハーフスペースやゴール前に積極的に出るのは3試合共通。
ジェズスが出たパレス戦以外は、0トップを採用しています。
右WGは毎試合選手を変えています。マフレズ、ベルナルド、スターリングで、サイドに対して逆足、逆足、順足となっています。この配置に関してはそれなりに考えがあるようで、時間帯や状況に合わせてサイドを入れ替えたりしています。
ちなみにこの固定メンバーの中で唯一異なるポジションで試合に出ているのがベルナルドです。
ペップは気づいていしまいました。ベルナルドがいるだけで、デ・ブライネの負担を軽減し、ハイプレスのファーストディフェンダーを担い、ピッチ全体を網羅する運動量で、だれかのミスをカバーできる全知全能のゼウスであると。
ジンチェンコも多用されるようになり個人的にはいい傾向だと思っています。
対戦相手について
ブライトン
基本フォーメーションは3-4-2-1ですが、シティのGKからのプレス回避には4バックで前からのプレスに人数を割き、ハーフラインを越えたところで両WBが下りて5バックとなります。シティの幅を取るWGへのプレッシャーをかけるのはWBだったので4バックを相手にしていたと言ってもいいかと。
ブライトンボールになったら繋ごうとはするが、繋げずシティにボールを渡してしまう展開でした。右WBとCBのバーンが左右に幅を取り、左WBのベルナルドが中に入ります。
基本的にゴールキーパーから、幅を取った二人に中距離のパスか、空いたところに落ちるプロパーを使っていました。アンカーとして振る舞うベン・ホワイトは、ベルナルドシルバがしっかりパスコースをふさいでいました。
苦しめられた選手
■トロサール
攻撃はほとんどこの選手から始まっていたと思う。
シティDFに対しても勇敢にドリブルで仕掛け、何度もクロスを送っていた。
マカリスターがトップ下のようにふるまい、トロサールが2トップの一角のようにプレーをする可変式。特にシティ攻撃時にはあまり下がらず、カウンターとなればカンセロのいない右のスペース(ブライトンからすると左サイド)に向かって斜めに走り、素早くボールを引き出していました。
もう少し彼にフィニッシュまでのイメージやプレーの質が伴っていれば1-0のスコアではなかったと思います。
パレス
4-1-4-1でバイタルエリアにアンカーを置き、シティの崩しを潰そうと考えていたのかもしれませんが、ザハもいない状況で守備から攻撃という展開かなかなかうまく得られなかったとは思いました。
3試合のうちもっともポゼッションが高かったのがパレス戦。引かずに前からプレスをかける作戦に出たパレスでしたが、プレミア初挑戦のエゼがチームの狙いをうまくくみ取ることができず、幅を取るベルナルドシルバを起点にゲームを作りました。上の図のようにエゼが中途半端な位置にいることで、ウォーカーへのプレスはかからず、ベルナルドシルバもフリーに。なにより、エゼがどちらをマークするのかわからないため、左SBのミッチェルはマークに迷うこととなっていました。
右のタウンゼントはしっかりと外側のパスコースを切りながら中央に誘導していたのに。おそらく右サイドの動きがパレスの狙いだったと思います。
苦しめられた選手
特になし
ビラ
シンプルな4-2-3-1を採用し、グリーリッシュを左に置いています。これは昨シーズンと変わりませんが、今シーズンはチェルシーからバークリーを夏に獲得。トップ下のポジションをそのバークリーに担わせています。
左SBに入ったカンセロがロドリと共にビルドアップに関与。タイミングを見て高い位置にも進出します。ビラはカンセロロールにドウグラス・ルイスを当て、さらに前二人の片方がパスコースを切り、もう一人がロドリをマーク。パスコースを限定させるような守り方をしていたのが印象的でした。
それでもやはりシティなのでビラの陣内に入っていきますが、2枚目の図のように、ハーフスペースの選手を狙い撃ち。シティが使いたいハーフスペースをボールの狩場として設定。また、その狩場もなるべく左サイドに寄せることで、カウンターをグリーリッシュで発動することができていました。
79分まで0-0で試合を進めていたところからもビラの守備はかなり良かったと思います。失点がCBがボールの処理を誤ったこととハンドでのPKというのがもったいなかったと思います。
守備面でのビラの変化はグリーリッシュがプレスバックすることです。
元々守備の予測も高い左SBのターゲット。昨シーズンのシティ戦では、左サイドを一人でバランスを取り、数的不利でも食らいつく姿が見えましたが、今シーズンはグリーリッシュもワイドの選手や後ろに控えるシティのSB(この試合ではウォーカー)にもきちんと対応してくれるのでターゲットへの守備の負担はかなり減ったのではないかと思いました。
バークリーがトップ下にいるため、グリーリッシュがボール非保持でも中にいる必要はないというところもあるのかもしれないですね。昨シーズンまではグリーリッシュが左から中に自由に入っていくことで、攻撃を作っていましたがバークリーのいる今シーズンはボールが真ん中で収まるので安心してグリーリッシュはゴールに向かうことができるのだと思います。
ただ、この試合のバークリーは試合にあまり絡めず、ボールもうまく収まりませんでした。
苦しめられた選手
■マルティネス
枠内シュートを9本打たれ、実に7本ものシュートをセーブ。そのうち5本がエリア内からの被シュートなので素晴らしい活躍。負けたチームの中でも高い評価を得ていました。
シティはシュート数が多いので、必然的に相手GKが目立ちます。アーセナルであまり目立った活躍のできなかったマルティネス。ビラでしっかりと活躍しています。
■ターゲット
左SBの選手を選出。攻撃参加はほとんどなくグリーリッシュをどう気持ちよくプレーさせるかという視点で試合をこなす影のキーマン。怪我により75分で途中交代してしまいましたが、インターセプト4回、タックル5回、クリアが4回と守備でのスタッツは素晴らしかったです。特に読みの部分が優れていて、危険なところ、パスがでそうなところを察知するのが早い。
しかし、攻撃に関する特徴がなく、ボールロストも10回。自分の前が攻撃センスの塊であるグリーリッシュだからいいものを今のSB像を無視したナイスガイです。
スタッツ比較
3試合のスタッツをいくつか比較してみましょう。
そこからなにかパターンが見えるかもしれません。
ブライトン(B)
クリスタル・パレス(C)
アストン・ビラ(A)
(図らずもABCですね)
■得点
Average 2.3点
B:1点 C:4点 A:2点
■ポゼッション
Average 68.7%
B:65% C:72% A:69%
■パス本数(成功率)
Average 700本(89.3%)
B:726本(90.0%) C:747本(90.0%) A:628本(88.0%)
■シュート数
Average 19本
B:16本 C:13本 A:28本
■エリア内シュート/枠内シュート
Average 13.3/7
B:13/6 C:7/6 A:20/9
■ブロックされたシュート
Average 7.3本
B:6本 C:4本 A:12本
■被シュート/被ファウル
Average 6本/9.7回
B:5本/12回 C:2本/8回 A:11本/9回
全体とした傾向で言うとやはり4バックには強いということです。そこまで大きな差が出ずに似たり寄ったりなスタッツでした。
強いて言うなら、当然ではありますが、前からプレスをかけたパレスと残り2チームではシティが受けたシュートはパレスの方が少ないし、枠内にシュートが入った率は高いです。前から来てくれればシティの選手たちであれば相当高いレベルでのプレスでなければ簡単にはがせますし、シュートまでの余裕もあったのだと思います。
すべてクリーンシートというのも素晴らしいです。
ジンチェンコの出場機会
この3試合に出場したジンチェンコはすべて左SBでの出場です。
■ブライトン戦
左SBでフル出場
■パレス戦
左SBでフル出場
■ビラ戦
前半28分から左SBで出場
ビラ戦に関してはウォーカーの負傷でしたが、出場時はしっかりとプレー。ビルドアップの部分で大きくチームを助けていました。
崩しに関しては、ベルナルドシルバが1トップの時に限っては、彼が偽9番のようなふるまいをするので発揮されませんが、相変わらず中盤とDFラインの間のバイタルエリアへの斜めのパスは効果的です。高確率で受けた選手を前向きでプレーできるようにしているので、チャンスに繋がりやすいです。
メンディーやアケの調子が上がらないため、今後も左SBで出場を続けると思うので、武器をしっかり磨いてチームに貢献してほしいと思います。
まとめ
3試合をまとめると以下のようになります。
- 相手は守備時4バック
- 相手チームにはサイドにキープレーヤーがいる
- シティは3-2のビルドアップ
- 幅を取るのはWG
- ギュンドアンが高い位置
- デブライネを含めネガティブトランジションの意識が高い
- 引いた相手に攻めあぐねがち
- すべてクリーンシート
といったところでしょうか。
試合が終わってから振り返るには忘れていることも多いし、データを用いているわけではなく、なんとなく感想のような日記のようになってしまいました。
ただ、この1月の戦績というのは非常に良く、折り返し地点で首位に立てていることは好材料です。
マンチェスターシティを応援する身として、もちろん優勝を見たいですし、得点を見たい。失点しているところは見たくない。
1月のイギリスは本当に雨が多い。僕の試合中のメモには必ず「雨」と書いてありました。暗く重たい雲の下で無観客で行われる試合。コロナウイルスというのは本当に様々なものを僕らから奪っています。それでも少しでも明るいニュースがあればいいなと思って、僕はシティの試合を見続けています。
冒頭にもの書いていますが、
ビラの試合で、デブライネとウォーカーが怪我をしました。
デブライネはおそらく6週間ほどの離脱。リバプール戦、CL16のボルシア・メンヒェングラートバッハ戦もおそらく出られないとのこと。
心配ではあるけれど今ではすっかりデブライネ依存を克服したシティであれば勝利という結果を僕らに示してくれると信じています。
試合は続く。
それでは!
ブレイズペンタゴンの魔の手 第21節 vs シェフィールド・ユナイテッド
こんにちは。
tadashiです。
怒涛の1月最後の試合。9連勝という最高の形で2月へ。1試合少ないながら2位との勝ち点差も開いており、2月の結果次第ではいよいよ優勝もあり得るか!と期待してしまいます。
では、さっそくシェフィールドユナイテッド、通称ブレイズ戦を振り返っていきましょう。
結果
マンチェスターシティ 1 - 0 シェフィールドユナイテッド
9’ ジェズス(asisst by フェラン・トーレス)
HIGHLIGHTS | MAN CITY 1-0 SHEFFIELD UNITED | JESUS GOAL & TORRES ASSIST
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■マンチェスターシティ ホーム 4-3-3
ジェズスがスタメン復帰。そして決勝ゴールの活躍。
前節からは5人を入れ替え。
カンセロ、ロドリ、ストーンズ、スターリング、マフレズを代え、それぞれウォーカー、フェルナンジーニョ、フェラントーレス、ジェズスを起用。
CBラポルトは久しぶりの出場。ルベンディアスストーンズのコンビになってからチームも負けなくなったこともあり、最近のファーストチョイスではなくなっています。
デ・ブライネは怪我。2月末に復帰できるか、というところ。
■シェフィールドユナイテッド アウェイ 5-3-2
前節からは4人を入れ替え。
CB、WB、2トップの4人です。
WBで出場していたブライアンはシティの下部組織出身だとか。シティの下部組織出身イレブンなんて企画も面白そうです。
今日はベルゲが怪我で離脱中。ぬるぬるとサイドをドリブルで運んでクロスを上げてたのはかなり厄介だったのでいないのでホッとしました。
苦しめられた選手
■マクバーニー
マンチェスターシティの弱点をしっかりとついて、危ないシーンを作り出したマクバーニーを選びたいと思います。
体を預けてポストプレー。落とした先でシュートを打たれた終盤のプレーはヒヤヒヤしました。
それにしても競り合いが強かった。
80分までシュート2本だったブレイズでしたが、彼が投入されて15分間で2本ですから、効果は絶大でした。
ペンタゴンに囚われたフェルナンジーニョ
試合は1-0の僅差での勝利。ポゼッションは75%がシティ。
こういった試合は、えてして「点差以上に実力差の出た試合だった」という評価がお決まりですが、今日の試合に限っては違います。
ほとんどの人が「シティがなんとか勝てた」ではないでしょうか。
たしかに、一方的な展開で、ブレイズのカウンターはほぼなし。ひたすら中盤の3枚がフル稼働で動き回る試合でしたが、打ったシュート10本のうち4本はブロックされ、4本はセーブされています。
9分の先制点がなければ、引き分けていた可能性が十分にありました。
そこで今日はブレイズの守備とそれを崩そうとしたシティの攻防をピックアップしたいと思います。
まず、見ていただきたいのは以下の図。
章のタイトルの通り、ペンタゴン(五角形)を利用して中央からの展開を排除する戦術をブレイズは実行します。
2トップと3センターが縦にコンパクトに五角形を作り、アンカーのフェルナンジーニョを包囲していました。
ルベンディアスに無理にプレッシャーはかけません。ゆったりとそれでいて効率的に
2トップは距離を近づけ、フェルナンジーニョへのパスコースを遮断。
当然、パスコースは両サイドのラポルトとウォーカーとなるので、出そうとしますが、3センターの両サイドのフレックとランドストラムがそれも虎視眈々と狙っていました。
続いての図です。
それでも百戦錬磨のシティです。ルベンディアスがうまくタイミングを外してラポルトやウォーカーにパスを出します。
この試合再三見られた光景ですが、両サイドのラポルトとウォーカーは上の図の円で記された3センターの脇をドリブルで仕掛けます。これは、パスコースが限定されていることから、マークのずれを生むためのビルドアップのためのドリブルです。
ここで素晴らしかったのが、ブレイズの3センター。ものの見事にスライドします。
例えばラポルトがボールを運んだ時は、ランドストラムとノーウッドがシティの左サイドをケア。CBとWBを合わせると、シティがラポルト、ジンチェンコ、フォーデンの3人に対して4人いるので局所的に数的優位です。
一方シティは、ブレイズの3センターの背後を見てみると6人いるので、一度でも中に入れば逆に数的優位となり、仕掛けられるはずでした。
しかし、サイドに追いやられ、局所的に過密状態にされ、これまたパスコースがありません。後ろに下げるしかなくなり、またルベンディアスにボールが渡るというシーンが何度もありました。
33分に見られたフォーデンのドリブルは、この状況を打ち破る一つの手段ではありましたが、得点につながるようなシーンはなかったです。たしかにフォーデンはうまかったですが。
縦のパスコースもなく、そもそも中央のスペースがなさすぎるので、シティの選手たちは少しずつブレイズのペンタゴンから離れていきます。
特に前半に見られたシーンが上の図です。
左から下げられたボールに対して、ギュンドアンがロドリの横まで下りてきます。そのギュンドアンは、ボールを受けると相手ゴールに背を向けたまま、右サイドへ展開。同じくペンタゴンから外れたベルナルドやその先のフェラン・トーレスへ一発で通すことを試みていました。
しかし、今日のブレイズのスライドは一級品でした。どんなサイドチェンジでもフレックスとバルコックは間に合うんです。フェラン・トーレスかベルナルドに通った時に2対1となっているのが理想だったはずのシティが、サイドチェンジ後もつまってしまいます。
その高速スライドの答えが上の図です。
本来は、左に寄せてフェルナンジーニョに預けて、そこからサイドチェンジを狙いたかったのですが、2トップまでも下りてきて中央からの展開を阻害してきたのです。最終ラインまで下げて展開ということになれば内に絞っていてもなんとか間に合うことができるのです。
恐ろしいのは負けている状態で80分以上戦っていたにもかかわらず、このスライドをさぼる選手がいなかったことです。
マクバーニーが投入され、点を取るために4バックとなって崩れてしまいましたが、そこまでのブレイズは先制点さえ取られていなかったら間違いなく勝ち点1以上は得られていたと感じました。
シティは攻めあぐねた90分間だったと思います。
ほんとうに窮屈で、後方からミドルシュートを打つ余裕もない。
前半に一本だけありましたが、ラポルトがロングボールで展開したときはさすがにスライドが間に合っていませんでしたね。シティはこの展開をもっと増やしたかった。
だからこその右利きの右WG起用であり、縦突破からの右足クロスでゴール前触るだけを再現したかったと思っています。
勝ったからよかったですが。
72分のジンチェンコのシュートだけ素晴らを言わせてください。
ベルナルド、ギュンドアン、フォーデン、ジンチェンコが美しいカルテットを奏でてシュートまでいったシーン。
ペナルティエリア付近で斜めにワンツーをするベルナルドとギュンドアンがまずセクシー。その後のサイドチェンジ、フォーデンのシルキーパスはマーベラス。最後のジンチェンコのシュートもファビュラスマックスでした。ゴールキーパーのセービングも含めて観客がいたらどれだけ沸き上がり盛り上がっただろうと思うほどのプレー。今のこの世界の惨劇が本当に悔しくて悲しいですね。より一層そのネガティブな部分が際立つ瞬間でした。
久しぶりにつながったボールを追いながら立ち上がっていました。決まらなかったけど声をあげてしまいました。
明確な弱点と自信
ヒヤヒヤした10分間でしたね。
カウンターで裏を取られた時よりもよっぽど嫌な予感のする時間だったと思います。
長身のマクバーニーが投入され、ロングボールが放り込まれてから
あー、やっぱりここは変わらない。
と思ったファンも多いでしょう。
プレミアは元来屈強な男たちがゴール前で自分のポジションを奪い合うんです。
WBAとの1回目の対戦でもルベンディアスがしっかり負けてましたし、力勝負になると分が悪いのはもしかしたら昨シーズンと変わっていないのかもしれません。
ですが。
勝っているときは運も味方にするんですよ。
終わってみればクリーンシート。リーグ戦は実に5試合連続。
こういったゲームもしっかり勝ちに繋げる確固たる自信がようやくこのチームにも出てきたと言えるでしょう。それが新加入のポルトガル人CBからもたらされるとはフロントも優秀と言わざるを得ないですね。
ジンチェンコ評
試合中のDAZN中継の中で、ペップのジンチェンコ評の話がありました。
ビルドアップでは欠かせない存在。だが、ゴール前やフィニッシュの面ではもう少しなんだ。
ウクライナだとセントラルミッドフィルダーだし、トップ下なんだぞ。
それだけシティのレベルが高いのと同時に、ジンチェンコがシティで生き残っていくための道筋が示されたとも言えます。
彼はすでにそんなことわかっているだろうし、だからこそ今左SBというポジションを受け入れ、スタメンとして起用されている。
ここ数試合は、スタメンで試合に出ていたので様々な役割をこなしたジンチェンコを見ることができました。
スタートのポジションはSBでありながら、時としてビルドアップの最後尾(偽CB)やロドリと並ぶアンカー(一時的アンカー)、ワイドに位置するWB(幅取り役)、今日の攻撃的MF(疑似IH)です。
※かっこ内は勝手に僕が名前つけました。なんか名称あるなら教えてください。
この4つの役割でプレーするジンチェンコを見て、僕の個人的な感想を書きたいと思います。
ずばりこれです。
マンチェスターシティでのIHはやめておこう
です。
おそらく今後もこの4つの役割を与えられると思います。それだけ柔軟なプレイヤーであり、これだけの役割がこなせれば試合に出られる機会は当然増えます。ワイドレーンで爆速する予定だったメンディーが怪我の影響で消極的なプレーになってしまい試合に出られなくなっていることからも、ペップは今後もジンチェンコを使うと思います。少なくとも今シーズンは。
本当は、この4つの役割を一つずつ解説したいのですが、時間も自分の体力もないので、一つだけ言うと、ジンチェンコがもっともシティで活きる役割は幅取り役です。
その理由は以下の3つ
1.本職SBではない
2.アウトサイドからペナルティーエリア前の相手DFと中盤の間に送る斜めのパスが絶妙
3.今のシティでは左に寄せて右で仕掛ける
詳しくは、時間があれば書きたいと思います笑
とにかくこの3つの理由からIHでのプレーをシティで目指すべきではなく、幅取り役がいいのではないかと。
総括ジンチェンコ編でいろいろと書きたいと思います。
今日は以上です。
なんだか今日はシティの話が少なかった…。それだけブレイズが良かったんですね。
これでリーグ戦8連勝うちクリーンシートが7試合です。
公式戦はこれで12連勝、1月だけでいえば公式戦9戦9勝。
破竹の勢いです。
初めて使いました。破竹の勢い。
デブライネの怪我の状態が気になるところですが、アグエロも戻ってきたというニュースもありました。
2月はバーンリー戦から始まり、リバプール、トッテナム、アーセナル、CLと厳しい日程でかつ厳しい相手です。ここを乗り切ったらいよいよ優勝の2文字が見えてくるかなと思います。
これからも応援していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは!
帰ってきた戻るべき場所 第20節 vs ウェストブロムウィッチアルビオン
こんにちは。
tadashiです。
戻ってまいりました。
1月チェルシー戦以降の3連戦はのちのちまとめて書いていくとして、水曜日のゲームを振り返っていきたいと思います。
ウェストブロムウィッチアルビオン。WBAとの試合です。
前回対戦は第13節。痛恨のドローゲーム。
僕もここで大層な愚痴を吐いてしまいました。
この直後WBAのビリッチ監督が解任し、今のアラダイスにかわっています。
監督交代から流れがよくなっているわけでもなく、
失点が失点を呼んで、新監督就任後すでに22失点しているようです。
まだ7試合しかしていないので毎試合3点取られている計算です。
すごいですね。
今日の試合は実に素晴らしい結果でした。
これでついに単独首位。
結果
WBA 0 - 5 マンシティ
6' ギュンドアン(asisst by カンセロ)
20' カンセロ(asisst by ベルナルド)
30’ ギュンドアン
45’+2 マフレズ(asisst by スターリング)
57’ スターリング(asisst by マフレズ)
ハイライト
HIGHLIGHTS | WEST BROM 0-5 CITY | CANCELO, GUNDOGAN, MAHREZ & STERLING GOALS
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム WBA 4-4-1-1
チェルシー戦からというもの4バックのチームとの試合が続きます。
GKはプレミアセーブ数現在No.1のジョンストン。まあ、失点の多いチームですから、シュートを打たれる本数も当然多くて、この試合の前にすでに78本のセーブ数でした。彼がいなかったらいったいこのチームは何失点していたのでしょうか。
前節ダイナミックなボレーを決めたグラントは左SH。
前節出場していた若いギャラガーは今回は出場せず。
■アウェイ マンチェスターシティ 4-3-3
前回対戦では繰り返される4-2-3-1に怒りを感じていたことが遠い昔のように感じます。
そんな気持ちを払しょくする見慣れた4-3-3は、デブライネの怪我により、ベルナルドシルバがその位置に入ります。
アグエロはいまだに復帰せず、ジェズスもファーストチョイスにならない現段階でペップが選んだ1トップはマフレズでした。
WGはチーム内得点王のフォーデンと突然髪形を戻したスターリングです。よほど不評だったのか、あの髪形じゃ点が取れないのか、早かったですね。
そしてSBには我らがジンチェンコが名を連ねています。今日は後半IHにもポジションを移していたので後半はそこを書いていきたいと思っています。
前半 WBAが狙ったもの
前半開始。
大方の予想を裏切り、開始から攻勢に出たのはWBAでした。
試合の開始から最終ラインを押し上げ、シティのパスにも臆せず前からハイプレスをかけてきます。おそらくシティ側もここまでのハイプレスは予想しておらず、少し受けてしまった印象でした。
ファーストシュートは2分。WBAです。左サイドのロングスローからチャンスを作られました。混戦になりボールがこぼれ、前に残っていたアジャイがシュート。エデルソンのセーブで難を逃れます。
シティがクリアしても即時奪回を狙う。セカンドボールへの反応が早かったです。
負けじと3分にはスローインからのクロスを跳ね返し、ベルナルドが中央をドリブル。左を走っていたフォーデンが受け、切り込んでシュート。これはジョンストンの素晴らしいセーブ。
展開が早く、さっそく両チーム1本ずつシュートを打った5分間。まだ、お互いのゲームの運び方も見えてないところで、先制点が入ります。
6分 カンセロから、前方へ飛びだしたギュンドアンへ浮き球のスルーパス。後方からのボールを左足でトラップしてすぐさまミドルシュート!これでギュンドアンはリーグ戦3試合連続ゴールです。
WBAは流動的に動くシティの前線につられて、ラインがぐちゃぐちゃでした。
一応ゾーンで守っているように見えたけど、サイドバックがスターリングの位置により、下げさせられて、ギュンドアンがオフサイドにならずにボールを受けることができました。
ここでようやくボールが落ち着いたので両チームのシステムを確認。
■マンチェスターシティ ボール保持
基本はジンチェンコが下がった3-2の形でビルドアップ。
ここまではいつもと変わりませんが、今日の試合はマフレズの0トップを採用します。
マフレズは前線にポジションを取り続けるのではなく、ロドリの近くまでボールを受けに引いてきます。
前半5分のハイプレスから落ちついてしまったWBAは、引いてブロックを作ります。マフレズは密集した中央を避け、そこから離れるようにフリーでボールを持つようになりました。当然、常にフリーでボールを動かさせるわけにはいかないので、だれかしらケアしにいかなくてはならず、4-4のブロックは少しだけ間延びしてきます。3分のフォーデンのシュートからもわかるように、WBAのブロックは非常にコンパクト。おそらくサイドチェンジへは対応ができないほどだと思いました。
マフレズの0トップによりマークにあいまいさが生まれたWBAに対して、シティはさらにマークのずれを生み出させる動きを見せます。
それが上の図になります。点線は人の動きを表していますが、矢印が多すぎて戸惑いますね。
これこそがシティがWBAディフェンスに仕掛けたものでもあります。
まず、左サイド。
元々マフレズのいた位置にはギュンドアンが入り、その空いたハーフスペースにはフォーデンが、さらにフォーデンが動いたことで出てくるワイドのスペースにはジンチェンコが動きます。
続いて、右サイド。
コンパクトなWBAディフェンスは、左サイドの動きにより混乱が生じます。ゾーンでありながら、選手の距離が近いため、マークの受け渡しは曖昧になり、管轄のエリアから飛び出した選手がフリーになることもしばしば。
そんな状況を利用して、スターリングは斜めの動きでDFラインと中盤の間やDFの背後を狙って動いていました。その空いたエリアにはベルナルドが入り、下りてボールを受けたマフレズへのスペース確保も忘れません。
そしてなんといってもこの試合最大の特徴は、ここ最近のカンセロロールです。
崩しの局面では、ロドリの前にカンセロを置き、その攻撃センスをいかんなく発揮させていました。サイドチェンジ、ラストパス、くさびと攻撃に関するほとんどタームで絡んでいたカンセロ。特に今日のWBAはなるべくペナルティーエリアに侵入させないことを第一に守備ブロックを敷いていました。
そのコンパクトな中央のブロックを動かすために、左右それぞれのサイドでオーバーロード(攻める側で人数をかけ、相手守備を寄せる)して、カンセロやギュンドアン経由でサイドチェンジ。そこからの素早いフィニッシュ、というのがうまく機能していたと思います。カンセロが真ん中にいてただでさえ守備に不安のあるカンセロがいる右サイドは大丈夫か?と思うかもしれません。
でも、安心してください。
ストーンズが大きく開いた状態で攻撃をしているので、カウンター時はストーンズが右サイドにいるんですね。なんにも心配いりません。
■マンチェスターシティ非保持
続いてシティの守備、WBAのプレス回避→ビルドアップです。
結論から言うと90分を通してWBAのビルドアップ以降の展開はありませんでした。試合のほとんどをシティが支配し、得点を重ねようが手を抜くことはありませんでした。
さて、上の図はWBAのゴールキックの場面です。マフレズが最前線。スターリングが気持ち前に位置し、フォーデンが後ろに下がる形。ベルナルドも右にずれるようになり4-4-2となります。
WBAも4バックなのでゴールキックではCBが開いて、つなぐ意思は見られました。しかし、5分間のWBAのようにシティもハイプレスを仕掛け、パスコースは失われます。CBが開いた中央にDHのだれかが下りようものなら、シティのIHがついていく。
プレス回避は結局SHへのロングボール一辺倒となってしまいました。
15分を過ぎてから、もう前からいけなくなってしまったWBA。
仮にWBAがボールを回収しても前から2枚プレスに行くようにしているシティ。ギュンやベルナルドでボランチへのパスコースもふさぎ、CBやGKは中途半端に蹴るしかない。それを回収し、また攻撃を再開します。
そんな展開が続いた21分。シティに待望の追加点が入ります。
これは仕方ないというルールの穴というかなんとも言えない得点。カンセロがプレミア初ゴール。変なタイミングのオフサイドフラッグの旗。笛を吹かない主審。決まったゴールに対するVARはオンサイドでした。
前半はまったく展開が変わらず。
30分にはギュンドアンが2ゴール目。
裏へのスルーパスをWBAがクリアしたが、ルーズになったところをハイプレス。ベルナルド、ギュンドアンと連動したプレスはWBAのミスを誘い、ギュンドアンがボールをカット。そのままペナルティーエリア内で切り返して左足で流し込みました。直近8試合で7ゴール。ストライカーかよ。
3点目で試合は決まりましたがとどめのゴールがロスタイムにも決まります。
右でキープして中央ワンツーからのギュンドアンにフライスルーパス。そのクリアをキープし、左でDFを寄せてまた右へ展開。マフレズが受け、シルキーなトラップからカットインでシュート。
これでほぼ負けが確定したWBA。ホーム連続3失点以上の記録が連続4試合になるという不名誉な記録がつくことがわかり、前半が終わります。
後半 ジンチェンコのIH振り返り
後半開始
カラム・ロビンソンがバートリーにチェンジ。最終ラインの真ん中に入ります。
これでWBAは5-4-1となりグラントを最前線に。勝利をあきらめ、これ以上の失点をしないようになシステムに変更したアラダイス監督。いいのか、それで。
と、前回対戦時にシティに言った言葉をアラダイスに捧げます。
ところで途中出場したバートリー。実はアーセナルのU23にもいたらしいです。その後レンジャース、スウォンジー、バーミンガム、リーズを経て、WBA。転々としている29歳。なんと身長194㎝。前半4失点に対して、後半1失点。バートリー投入の効果は多少出ていたかもしれませんね。
後半はスターリングがほぼ1トップの位置にいます。変わらず優勢に試合を進め、4点差で勝っているにも関わらず、およそ手を抜く様子はありません。
まず51分のロドリのミドル。バーをかすめる見事なシュート。左右に振られすぎて、WBAはペナルティエリアの前でプレスがかけられません。
52分ほとんど勝ちが決まっているシティが動きます。
ギュンドアンとフォーデンがアウト。
そうです。ジンチェンコがIHです。
WBAは5-4ラインをコンパクトに保ちます。ブロックを深く作り、カウンターで一矢報いる。そんな作戦を感じます。
それに対してロドリの前にジンチェンコ、ベルナルド、カンセロを並べる。3-1-3-3の布陣で殴り続けるシティ。
そして57分。スターリングがシティ5点目を決め、完全に試合は終了しました。
左からジンチェンコがラポルトの縦パスを受けてフェラントーレスへスルーパス。中央のスターリングにパスをし、トラップしてシュート。跳ね返りをロドリが広い、右マフレズに浮き球。そのマフレズはダイレクトで中央スターリング。見事な得点でした。
残りはジンチェンコIH
さて、残りの時間はひたすらにジンチェンコのIHでのプレーの記録を残していきます。
フォーデンよりもオフザボールの動き出しが良いフェランとの縦関係を作ります。
70分 ジンチェンコがコーナーキックのキッカー。
中央にいるディアスを狙ったいいキックです。
IHに入ってはいるものの、だいぶバランスを気にして、最前線に行かないようにしていると感じました。狭いところで背負って受けるのが苦手なのかもしれません。
73分 またもコーナーキックはジンチェンコ。ラポルトを狙う。ヘディングシュートを演出。
74分 右サイドでボールをもっているときに、左から斜めに中央へランニングを見せました。
ダイレクトプレーがほかの選手よりも多い。ドリブルもキープしてルックアップもほとんどなし。
76分 ペナルティーエリア手前中央で縦パスを受けて最高のターンから左へ展開。
77分 コーナー3回目。今回は合わず。
78分 コーナー4回目 次は大外へ。密集の裏にいるジェズスを狙った。4回とも左からアウトスイングになるコーナー。
85分スターリングとのワンツーを狙う。浮かしたけど相手の足を越えず。
88分 中央でペナルティーエリア内へスルーパス。惜しくもシュートまで行かず。
90+1分 ジンチェンコペナルティーエリア内を走る。カンセロが中央でボールを持ち、右足で切り返したときに抜けたがパスは出なかった。
ここで試合終了。
感想は以下
ビルドアップ:WBA中盤の4枚の背後から顔を出し、はたいたら左にずれ、ラポルトを上げる。
崩し:ペナルティーエリアに入っていく姿勢も見せ、サイドのエリアを空けておくためなるべく中央に位置していました。
4点差の状態でのポジションチェンジ。
シュートチャンスもなく、攻撃の活性化でジンチェンコをIHにしているわけではないのかもしれないと感じました。前半からぐいぐい前に行き、攻撃性を発揮していたカンセロとは役割が全く違っていました。
気になるのはハーフスペースへのポジションが少なかったこと。
もっとゴール前に飛び込んでもいいと思います。点差が離れているってのもあると思うけど、
安定感だけじゃIHで試合に出るのは難しいのかなと思いました。まあ、シティにおけるジンチェンコの魅力はワイドから繰り出される味方を前向きでペナルティーエリア手前でプレーさせられる斜めのパスですからね。あとはテンション。
シティ好調の分岐点
さて、プレミアリーグは半分の19節が終わり、折り返しの20節に突入しました。
マンチェスターシティはコロナの関係でエバートン戦が延期になっていますが、12勝5分2敗という成績で単独首位。13失点はリーグ最小です。
序盤は特に毎試合課題が露になり、失点はするが得点が取れない。引いてカウンターを狙うチームに攻めあぐね素直にカウンターを受けて失点。
そんな負の連鎖がたち消えた瞬間というのが14節のセインツ戦でした。
スコアは1-0の勝利ではありましたが、これまでのデブライネ依存が解消されました。
その要因が、ベルナルドの起用と、SBのIH化でした。
これにより起きた現象は、デブライネをあらゆるタスクから解放したことにあります。
細かい戦術的なことを言えばたくさんあるのですが、マンチェスターシティにとってのデブライネは絶対的な選手でありながら替えもきく選手でなければなりません。
その光がこの試合で見えたと僕は思っています。
ということで今日は以上になります。
この試合の勝利の後、単独首位となったわけですが、それはブレイズ(シェフィールドユナイテッド)がマンチェスターユナイテッドに勝利したからです。
次節はそのブレイズとの試合です。デブライネとウォーカーはおそらく引き続き欠場となる可能性が高いですが、今のシティであればだれがでても絶対に勝てると信じています。(できればジンチェンコをスタメン起用してください。)
それでは!
ジンチェンコフル出場の喜び 第16節 vs チェルシー
こんにちは
tadashiです
昨シーズンは、1勝1敗でしたが直近では敗戦。このときは1トップにジルー、左にウィリアンがいて、無理に繋がずジルーを起点にフィジカルな戦い方をしてきました。
プレミアリーグ第31節 vs チェルシー ~やり返されたチェルシーの罠~ - tadashicityのブログ
一転、今日のチェルシーはシティと同じように後方からパスを繋ぎ、シティに対してはアグレッシブに前からプレスをかけてきました。ランパードが思い描いていたシティ対策は何だったのかは前半のシティの猛攻により見えにくくなり、結果としてボールは持てたが敗戦。
マンチェスターシティは、スタンフォードブリッジで快勝。コロナ感染により多くの主力が試合に出られない中でペップは勝利を掴みとりました。混戦のプレミアにて、トップを目指します。
それでは、マンチェスターシティにとって何度でも振り返りたい試合を振り返りたいと思います。
※ジンチェンコの最後の章だけでも読んでください。ここが一番のところです。
結果
HIGHLIGHTS | CHELSEA 1-3 MAN CITY, GÜNDOGAN, FODEN and DE BRUYNE | 2020/21 - YouTube
スタメン
両チームのスタメンはこちら
64' カンテ→ギルモア
シエシュ→ハドソンオドイ
77' コバチッチ→ハヴァーツ
86' フォーデン→マフレズ
デ・ブライネ→アグエロ
■ホーム チェルシー 4-3-3
今シーズン大型補強を行ったチェルシー。
左SBのチルウェル、CBのチアゴ・シウバ、右WGのシエシュ、1トップのヴェルナーを起用します。アンカー カンテの脇を固めるのがマウントとコバチッチ。この布陣からもフィジカルな戦い方ではなく、ポゼッションを高めてゲームを支配する戦い方であるとある程度予測できます。また、トップがエイブラハムでもジルーでもないのは、シティ4バックの戦術的な穴であるSBの裏のスペースを快速のヴェルナーで攻略するつもりだったのだと思います。
控えにはアカデミー出身のギルモア、ハドソンオドイ、レバークーゼンから獲得したハヴァーツ。もちろんジルーもいました。
苦しめられた選手
・
■アウェイ マンチェスターシティ 4-3-3
チェルシーと同じシステムとなりました。
ジェズス、フェラントーレス、エデルソン、ウォーカーが新型コロナに感染し、出場は不可。さらに、アグエロが怪我明けで先発スタートのコンディションではないことからペップはデ・ブライネを1トップの位置に配置しました。0トップとは言い切れないデ・ブライネの新しい形が見えたシステムでした。
GKはステフェン。抜群のキック精度を誇るエデルソンではなく、セーブに特化したシンプルなキーパーであるステフェンが起用されたことで、チェルシーのアグレッシブなプレスを想定しながら試合を進めることができたと僕は思っています。
また、久しぶりの4-3-3スタートで左SBにジンチェンコがラインナップ。それだけで試合を見る価値があるというものです。
好調のギュンドアンとベルナルドは今日も出場。この二人はプレーが洗練されていて一段階上のギアが入っているようでした。
前半 流れを変える前半15分
前半開始
ポイント
・前からはめるチェルシー
・デ・ブライネでキープできない
・カンテを動かせ
・左右の配置の違い
前からはめるチェルシー
マンチェスターシティキックオフで始まりました。
キーパーまで下げたシティにヴェルナーが猛追。さらに両WGも連動し、前3枚でハイプレスを実行してきました。
シティのGKがエデルソンではないことも影響したと思いますが、チェルシーとしては「前からプレスをかければボールを奪えるなにか」を今日のシティのスタメンから感じ取ったのだと思います。
キックの質でエデルソンに劣るステフェンにはかなり激しくプレスに行き、ロングボールを蹴らせるかロドリにパスを出させるように誘導。
ロドリにパスが出たらまず、パスコースを消してから中盤の選手でロドリにプレス。12分のロドリがロストしたシーンはまさにこの守りかたがはまった瞬間でした。
シティのSBはフリーにさせ、ボールがきたら近づく。その他の選手にはマンマーク。そしてチアゴ・シウバが一人余る形でセットしていました。
序盤はこれが大いに有効でした。ステフェンが中距離のボールを蹴るしかない場面もあり、ストーンズやディアスにしても自陣深いところに追いやられ、最終的には遠くに蹴ることになっていました。
マンチェスターシティにとっては嫌な展開となります。
チェルシー ランパードからしたらうきうきですよね。この展開で早めに点が取れたらそのまま勝ちゲームにできるほどの勢いでした。
一応、チェルシーのプレス回避~ビルドアップも言及しておきます。
今日のマンチェスターシティは、1トップのデ・ブライネがチェルシーのカンテを消し、WGの二人が大きく開くチェルシーのCBを気にします。さらにカンセロは、開いたチルウェルへプレスをかけます。
プレス回避ですが、チェルシーはこの4-3-3のプレスにチェルシーは怯まず繋ごうとしますが、最終的な終着点はSBにボールを預けることになっていました。
GKのメンディーからSBへ。IHが下りてきてボールを受けたらSBへ。という形。
また、ビルドアップの場面では、マウントが中央によりすぎており、チルウェルも中に入っていたので、カンテからサイドに開くプリシッチへのパスコースが消えていることが多かったです。コバチッチもボール欲しさに近づいてくることが多く、マンチェスターシティ守備陣を脅かすほどのプレーにはなっていなかったと思います。
一本、チアゴ・シウバからロドリの脇に立つマウントに縦パスが入りましたが、何度と再現されたものでもなく、攻撃は繋がっていなかったと感じました。
後半ロスタイムにハヴァーツが飛び出した動きぐらいしかめだったものはなかったというのが正直な感想です。
ヴェルナーのスピードで、SBが上がった裏を狙っていこうというのは、わかりますが、昨シーズンシティが負けたジルー1トップではなくて良かったなと思っているところです。
デ・ブライネでキープできない
さて、一方のマンチェスターシティはというと、チェルシーの人を基準としたアグレッシブな前からのプレスになかなか流れをつかめませんでした。
ロドリを狙われていることもあり、中央を経由した左右への展開ができず、手を焼いていたように見えました。
そうなると狙うのはロドリのその先1トップのデ・ブライネとなりますが、普段トップ下の位置でプレーしているデ・ブライネは屈強なCBを背負ってプレーするのがあまりうまくありません。特に今日の相手はズマとチアゴ・シウバ。前を向いてボールを持つことに注力しているデ・ブライネでは背負う前提のスタートポジションでは輝けないということです。
例えばユベントスのディバラは、ファンタジスタタイプの選手ですが、うまく腕を使って半身の状態でボールを受けるのに長けていますが、どうやらデ・ブライネは得意ではないようでした。それを知れたことも少しだけデ・ブライネ1トップで良かったなと思うところでした。そういえばダビド・シルバもうまかったような覚えがありますが、ダビド・シルバは狭いところでまるでフリーでボールを持っているようなプレーをするので参考になりません笑
他でいうとPSGのネイマール、レアルマドリードのアザール、うーん、もっと良い例を出したかったのですが出てきません。
マンチェスターシティは、しかしこのあとすぐに先制します。
ロドリがだめ、デ・ブライネがだめ、となったマンチェスターシティは、サイドからの攻略を試みます。サイドから前進していくとマンチェスターシティにとって都合の良いことが起きます。
カンテを動かせ
ンゴロ・カンテ。フランス代表のミッドフィルダーは、ボール奪取能力がとんでもなく高く、マケレレの後継者とも言われている選手。彼のすごいところは、読みの鋭さと豊富な運動量、そして想像以上のカバーエリアの広さです。
チェルシーはマウントが前に出て中央よりにプレーし、コバチッチもボールを受けに散らばってしまうので、守備になった際のフィルター機能としてランパードは、カンテをどうしてもはずせませんでした。ジョルジーニョの展開力を使えなくなったとしてもカンテは必要な選手です。
ということで本題です。
マンチェスターシティはカンテを中央もしくはDFの前から動かすことにしました。
それがさっそく18分の先制点として形となりました。
ボールは左SBのジンチェンコ。人に対していくこにしているチェルシーは、WGとIHがずれ、真ん中には大きなスペースが生まれます。そのスペースをカンテは守るべく気持ち少しだけ前にポジションを取っていました。
先制点はジンチェンコがそのカンテの背後をついたパスをフォーデンに送ったことで生まれたゴールです。
もちろんギュンドアンのストライカーのような反転から右に流し込んだ一連のプレーはワールドクラスでした。ゴラッソ。ファビュラス、マーベラス!です。
16分のデ・ブライネがカンセロからスルーパスを受けた決定機や21分の追加点。44分のギュンドアンのおしゃれヒールキューの場面もすべてカンテを動かしてそのカンテが届かないところを突いた見事な仕掛けだったのです。
※流れが変わったのは明らかにカンセロがハーフスペースに位置を変えた直後の16分のデ・ブライネの決定機でしたが、そこは多めに見てください。今、ここで言いました。
左右の配置の違い
前半は面白いように得点が生まれましたが、前半15分までは確実にチェルシーのペースでした。
流れを変えたのはなんだったのか。
チェルシーはロドリにマンマークをつけるのではなく、ロドリへのパスコースをシャットアウトする守備を行っていました。
マンチェスターシティは、単純にロドリへのパスコースを増やしたことでこのチェルシーのハードなプレスをかいくぐったのです。
そのからくりには左右の配置の違いが考えられます。
■右サイド
右サイドはとてもシンプルです。カンセロがハーフスペースの高い位置へ移動しました。あの噂のカンセロロールですね。
16分のデ・ブライネの決定機。あれが試合の流れを手繰りよせたと言っても良いと思いますが、カンセロはワイドに張ったスターリングの内側に動きだし、パスを受け、デ・ブライネにパスを送っています。
また、カンセロロールだけでなく、ベルナルド、スターリングの3人で三角形を形成。この三角形が崩れないように人が入れ替わるようにボールを前進させていました。
右でボールをキープしていたので、チェルシーのディフェンスも右に寄ってきます。そこから左に展開して、クロスもしくはフィニッシュというのが今日の形となりました。
スターリングも良いタイミングで中央にドリブルする場面もあり、効果的にカンテも引き出せていました。
■左サイド
左サイドはもう少し複雑で、デ・ブライネが絡んできます。前半15分で、背負ってボールキープができないことがわかったデ・ブライネ。左サイドに顔を出すようになります。
ここで考えられていたのがギュンドアンとの連動でした。
ギュンドアンは数試合前からかつてダビド・シルバがいたときのような高い位置を取るようになりましたが、今日の試合も例に漏れず継続中。ロドリへのパスコース確保、またはジンチェンコやCBからのパスを受けるために高い位置から下りてきます。これによって空いたスペースにデ・ブライネが顔を出します。下りたギュンドアンはそのまま中央に移動し、トップ下の位置まで上がります。パスがでなかったら、次はデ・ブライネが下りて、ギュンドアンが左に…。
ジンチェンコとフォーデンは同じレーンをスタートポジションに、ジンチェンコはデ・ブライネやギュンドアンへチェルシーDFラインとカンテの間のスペースへ配球、フォーデンはワイドの位置から斜めに走り込むもしくは周囲との連携で縦突破からクロスを狙っていました。
前半15分の形を再掲。これだけでも選手たちの配置の違いがよくわかると思います。
うまくいかなかった時期は前線に人を置きすぎて、自分たちでスペースを消していましたが、その反省を活かして人が集まりすぎないような配置と動きの工夫が見られました。
個人的に面白いなと思ったのは、圧倒的に強かったシーズンではジンチェンコ、ダビド・シルバ、スターリングが三角形を崩さずにボールを運び、ペナルティエリア深くか逆サイトのマフレズを狙っていましたが、ここ最近では右サイドで前進し、左に展開しているというところです。
そのキーマンとなっているのがSBのカンセロというところが特に面白いですね。
後半 カウンターは苦手?
後半開始
前半で3点のリードを奪ったマンチェスターシティは自ら攻める必要はありません。しっかりブロックをつくってカウンター、もしくはキープをして相手が出てくるのを待ちます。前半同様カンテをデ・ブライネでマークします。
チェルシーは、48分にベルナルドがチェルシーのビルドアップをカットしたあとからコバチッチがCB間に下りました。
カンテへのパスコースはデ・ブライネが消し、CBはフォーデンとスターリングが見ているので、一見すると良さそうでしたが、ビルドアップの中の枚数が減っただけで、余計に攻められなくなりました。(すぐにやめていました)
ランパードはギルモアとハドソンオドイを投入し、流れを変えようとします。ギルモアが細かくポジションを変え、ボールを動かしながらジンチェンコのいる左サイドをハドソンオドイで仕掛けました。最後の交代枠はハヴァーツで、そのハヴァーツとハドソンオドイが唯一のチェルシーの得点を生み出したことがランパードの唯一の救いでしたね。
一方のマンチェスターシティは、右サイドでボールをキープ。ストーンズやロドリも絡んで、出して、引いて、受けて、はたいて、入れ替わり立ち代わり人が出てくるのでチェルシーはマークが追いつきません。スターリングも調子がよくカンセロとベルナルドでプレス回避したボールをドリブルで持ち上がりカンテを振りきるシーンも。今日のマンチェスターシティは何をしてもうまくいくモードになっていたような気がします。心の余裕もありましたからね。
それにしてもカンセロとベルナルドはすごいですね。浮き球を使わずに二人だけでチェルシーのプレスをいなすテクニックの高さには脱帽です。
また、今日のマンチェスターシティは、4-3-3のプレスが非常によくはまっていました。最終ラインとFWの縦の距離をコンパクトにしつつ、連動したプレスができていました。攻めこまれれば両WGが最終ラインに入り6バックにもなったり、ネガティブトランジションの際にはIHが蓋をして、すぐにSBやWGで挟みにいくという形が徹底されていました。
ところで、マンチェスターシティは相変わらずカウンターで得点が取れませんね。わざと外しているわけではないですよね…?
心なしかデ・ブライネは1トップの方がいきいきとしてました。余計なタスクがなくて、頭も体も負荷が少ないのかもしれません。普段よりも球離れも早かったようにも思います。
そんなこんなでロスタイムに失点をしてしまいましたがルベンディアスとストーンズのコンビは素晴らしいことこの上ないです。
シティの最終ラインを引き締め、守備に不安のあるSBをコントロールし、何度も相手の攻撃を跳ね返すだけでなく後方からのボール運びにも関与。
特に、マンチェスターシティファンならば、このストーンズの復調は涙なしでは語れないものではないかと思います。
ここで、焦ってくるのはラポルトです。現状のチーム状態、調子の良さを考えるとCBコンビをペップが変えるとは思えません。腐らずに出場機会を待ってほしいし、ラポルトのロングフィードは必ず必要な場面が出てきますからね。
雑感
ジンチェンコスタメン
さて、今日のジンチェンコについて語らねばならない。
最高のプレーの数々を振り返ってみましょう。
今回ご紹介したいのは4つ。
・18分の先制点に繋がったフォーデンへのペナルティエリア前へのパス
・21分の追加点に繋がったデ・ブライネへの斜めのパス
最初の二つは同じようなプレーにして、ジンチェンコの最も得意なプレーです。カンセロにもメンディーにもできない「左SBジンチェンコ」ならではのプレーです。
ライン際で左足でボールを持ち、体を真正面に向けながら中央へパス。サイドの選手からしたら勇気がいるプレーです。
サイドのタッチライン際であの体の向きにしてしまうとプレッシャーがかかったときに逃げ道がないです。例えばカンセロや内田篤人、ラームなど見てみるとボールをトラップしたときは縦にも中にもいける向きを作りますが、ジンチェンコが相手陣内でボールを受けたときは例外なくタッチラインに対して平行な体の向きでボールをキープ。それはパスの向きを悟らせないこととボールを隠すことが目的だと思います。常に本人も中央への斜めのパスを狙っているし、チームメイトもジンチェンコならここに出してくれることをわかってるんですよね。
ちなみにネイマールも同じ体の向きで左サイドでボール持ちますよね。ただ、彼は右足で持っているので逃げ道はたくさんあります。
いやー、それにしてもジンチェンコはタッチライン際から中央のDFラインの手前に通す斜めのパスがうまいです。最高です。
・27分のフリックからのチャンスメイク
これは最終的にカンセロが胸トラップしてシュートしたシーンです。
フォーデンの突破からクロスなんですが、これはジンチェンコが起点になっています。
アウトサイドでパスをしてインナーラップしたジンチェンコが、戻ってきてボールを受けたところをフォーデンへフリックしています。ここら辺のボールタッチはやはり本職が中盤の選手なので柔らかいです。
・31分の自分のマークを捨てた判断
今回ここが!一番伝えたいところ!
2点を先制したあとの時間帯としては非常に重要な場面でした。
外にアスピリクエタが大きく開いており、カンテから右に戻されたボールは中盤のコバチッチからシエシュ、マウントとロドリの脇で受けられてマウントは前を向いてドリブルを開始しました。
あの瞬間にマウントにいける選手は、ジンチェンコだけでした。しかし、外に張るアスピリクエタのマークもジンチェンコしかできない位置関係でした。
そんな中でおそらく一瞬の判断だとは思いますが、マウントが持ち出したときに距離を詰め、ボールをカットしたジンチェンコの決断は素晴らしかったと思います。
なかなかSBやってて、あの場面になると「中の選手プレスお願い!こっちは外を見るから」という思考になりがちですから。
ここ何回も見てください。細かいけどあれ通されてたら決定機作られていたかなと思います。
フル出場のジンチェンコ。
アシストではないが、3点のうち2点に絡む活躍。守備でもミスはあまりなく、むしろカンセロが大胆にハーフスペースに飛び出していってからは、攻め上がりすぎず、2CBとも距離をはかってプレーしていました。
SBは前に出るタイミングがものすごく重要です。時々、オーバーラップしたのにパスが出ず、カウンターを仕掛けられて必死に戻るSBの選手がいます。これは状況が読めてないんです。オーバーラップするタイミング、インナーラップするタイミング、カウンターに備えるタイミング。DFでありながらサイド攻撃を託されるSBはその位置取りと瞬間の判断が命取りとなるのです。
今日のジンチェンコそういった意味で個人的には良かったと思いました。
メンディーのパーティーとウォーカーのコロナ感染で巡ってきたチャンスにしっかりと応えられたと強く思います。いったいペップにはどう映ったでしょうか。
チェルシーとの試合にきっちり勝ち、順位を5位に上げたマンチェスターシティ。今シーズンは接戦を繰り広げるプレミアリーグ。まだ頭一つ抜け出しているチームはありません。
試合数の少ないマンチェスターシティは、延期分の試合も落とすことなく勝ち点を積み重ねてほしいと思います。
あと、ジンチェンコをもっと試合に出してもらえるとすごくうれしいです。
今週はカップ戦が続きます。プレミアだけでなくすべてに勝利をめざしましょう。
それでは!
そのポジショニングはだれのため? 第15節 vs ニューカッスル
こんにちは。
tadashiです。
カラバオカップ準々決勝アーセナル戦を4-1で勝利したマンチェスターシティ。4連覇まであと2つ。
調子の良いカップ戦の波に乗りたいのがプレミアリーグです。前節セインツに競り勝ち、今日は昨シーズン負けてしまったニューカッスルとの試合です。
ウォーカーとジェズスがコロナ感染が発覚し、この試合を含めておそらく3試合出られないことになります。
おそらくシティファンも含めて「ウォーカーがいない」なんてことをだれも想定していなかったでしょう。SBのローテーションはどうするの?とだれもが不安に思ったことでしょう。
しかし、今日の試合でシティファンはとても贅沢な悩みを抱えることになるとは、日本時間5時の時点ではだれも思っていない。
結果
55' フェラントーレス
スターリングでした!
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム マンチェスターシティ 4-2-3-1?
今シーズンのお決まりフォーメーション4-2-3-1です。「?」と書いたのは可変が過ぎるからです。
ウォーカー以外はセインツ戦と同じスタメンとなります。右SBにカンセロ、左SBにアケが入りました。CBコンビはストーンズとルベンディアスの二人。ストーンズの復調により安定感が増した最終ライン。どれだけのクリーンシートを積み重ねてくれるんでしょうね。
フェラントーレスは今日も1トップです。本人はどんな気持ちなんでしょうかね。バレンシアでの使われ方と明らかに違いますが。
後半にはフェルナンジーニョ、アグエロ、フォーデンが出場し、交代枠を使いきったペップでした。
■アウェイ ニューカッスル 5-4-1
ニューカッスルにとって痛手なのは、これまで調子の良いレギュラーの選手たちを使えないことです。ここまで8ゴールのカラムウィルソンはようやくベンチ入りし、サンマクシマンはコロナからまだ回復してないようです。
昨シーズン2-2のドローで終わった試合で見事なミドルを決めたシェルビーもベンチ外です。GKのドゥブラフカも怪我で出られず、ブルース監督は頭を悩ませていることでしょう。
前節のフルハム戦からは5人入れ替えています。ロングスタッフは、兄弟でニューカッスルに所属しているんですね。今日は20歳の弟が出場です。リッチーは前節、右SHで出場していて、今日は左WBで出場。これだけで魅力的ですね。
苦しめられた選手
今日はいましたか?
ジョエリントンもボールキープはほとんどできず、腰を痛めて交代。アルミロンもカンセロに苦戦し、攻撃では違いを生み出せず。
今日のポイント
今日みなさまにお伝えしたいことはたった2つです。
・戦術カンセロ
・後半のポジション変更
戦術カンセロ
試合の展開は見ているだれもが予想していた展開でした。
マンチェスターシティがボールを持ち、ニューカッスルが守る。しかし、マンチェスターシティの配置を見るとふと思ったことでしょう。
「カンセロはどこだ?」
今日のマンチェスターシティは3-1-6。前線に6枚配置したとんでもないフォーメーション!というわけではなく、カンセロの能力を最大限に活かした戦術カンセロでした。
4-2-3-1からの選手の動きを上図に示します。カンセロどこに移動してるんだよ、って思いますね。
アケ、ルベンディアス、ストーンズが後ろで3枚ならび、その前にロドリ。この4人がひし形の陣形でビルドアップを行います。ニューカッスルの1トップ ジョエリントンもプレッシャーには来ないので、人数が多すぎるぐらいでした。
さて、カンセロのポジションに注目してください。ギュンドアンと同じくハーフスペースにポジションを取り、デ・ブライネに並んだ位置にいることがわかります。
このカンセロの位置が今日の試合のポイントとなりました。マンチェスターシティは前線が6枚となり、より攻撃的にいくことができ、前から来るニューカッスルを押し込むことにも成功しました。それだけではなく前節から続いている「デ・ブライネの負担軽減」にももちろん役立っていました。
守備では4バックの右SBに入り、今日の試合左に動きがちだったデ・ブライネがいないときはトップ下を、ロドリのフォローでアンカーも。後述しますが後半にはWGもこなしていたので、カンセロは一人でSB、DH、IH、WG、CAMと5役もやっていたことがわかりました。まさにカンセロロール。
このポジションがこなせるのは現代フットボールではユベントスのダニーロぐらいではないかなと思います。
ニューカッスルは次第に押し込まれます。前半の途中からSHも前に出ることができなくなりました。
シニューカッスル中盤4枚の後ろからビルドアップでつまったときだけ顔を出しながらボールキープ。ビルドアップ時は右にずれているストーンズが自由にボールを運ぶことができるので、ストーンズは好きなタイミングでパスを入れることができました。アグエロが出てきた後半にもストーンズは素晴らしいスルーパスを最終ラインから出していました。
前半のマンチェスターシティは、主に左で作り右で仕留める形を意識。デ・ブライネとギュンドアンは時折位置を入れ替えながら左サイドでベルナルドと3人でニューカッスル守備陣を左に寄せます。左に引き寄せて右に展開。カンセロとスターリングでフィニッシュを演出していました。
この狙いが実を結んだのが16分の先制点のシーンです。
左サイドライン際でボールを持ったベルナルドは斜め後ろにフォローに来たデ・ブライネへ落とします。
その瞬間が上の図です。
波線の矢印は人の移動、ただの直線は守備のブロックを表していますが、この段階ではニューカッスルの5-4のブロックは崩れておらずしっかりと並んでいます。カンセロもアルミロンとクラークに挟まれています。大外にスターリング。
デ・ブライネはボールを受けて内側にドリブルをします。ほんの2タッチぐらいですが。
デ・ブライネが内側にボールを持ったときが上の図です。
アルミロンが最終ラインに吸収され、守備ブロックは分断されました。このあとはみなさんご存知の通りゴールに繋がります。
デ・ブライネがカットインしたときに、ギュンドアンがDFラインの裏へ、カンセロはペナルティエリアから外にそれぞれ動いたことで、マークをずらし、ラインを動かし、カンセロはペナルティエリアの前でフリーになることができました。
カンセロのスルーパス、スターリングの飛び出し。本当に素晴らしかったのですが、この得点シーンでもっとも素晴らしかったのは個人的見解ですが、ギュンドアンの動きです。
デ・ブライネが受けたときはまだペナルティエリアの真ん前にいましたが、デ・ブライネが右足でボールを一度ずらしたときにはだれよりも早くDFラインの背後に走っていました。マークをしていたロングスタッフは間に合わず、シェアーに受け渡し、そのシェアーはフェラントーレスを見ていたので、クラークに受け渡し。クラークのスペースには本来WBがスライドしますが、スターリングがいるのでアルミロンが下がらざるを得ず、その瞬間気下りてきたカンセロがフリーになったのです。
後半のポジション変更
後半はこれだけ話させてください。
メンバーチェンジはなかったが、選手の配置が入れ替わっていたことです。
後半のマンチェスターシティは、スターリングとベルナルドを左右入れ替え、さらにベルナルドがインサイドで、カンセロが大外に配置されました。
この配置変更の意図はなんだったのでしょうか。
その答えが以下です。
①前半は左で作って右で仕留める形だったが、ラストパスを出したところでスターリングが利き脚でシュートを打つスペースはほとんどなかった。(一本は得点になりました)
②スターリングをフィニッシャーとするためにスターリングを左に配置する。
本来であればベルナルドとの入れ替えで終わりです。しかし、ペップは③を施しました。
③カンセロとベルナルドを入れ替え。カンセロが大外へ。
なぜか。
ここでスターリングとベルナルドを単純に入れ替えると右サイドのクロッサーがいなくなり、攻撃が停滞する恐れがありました。
その理由は、左からスターリング、ギュンドアン、デ・ブライネ、カンセロ、ベルナルドとなる場合、カンセロがペナルティエリア深くまで侵入しない(ベルナルドはペナルティエリア深くを狙う)し、ベルナルドは縦に突破してクロスを上げるタイプではない(カンセロはSBなので当然クロスをあげる)から、仕留めるはずのスターリングまでボールが届かない可能性が高いのです。
前半のカンセロが行ったようにギュンドアンからスターリングへの展開というのも考えるが、ギュンドアンは右利きなので前半16分のカンセロからスターリングに出したスルーパスのような体の向きは難しい。(ギュンドアンはゴール方向に体を向け、ボールを受けたら右足の裏で左に向きを変えるため)
ということで、
後半のシティは、右からのクロスをアグエロとスターリングで狙い、こぼれ球はIHのベルナルドがつめる。という形にするため、カンセロをワイドに配置したということです。
ペップが始めから後半の配置変更を考えていたのかはわかりませんが、考えていたとしたら純粋に怖いです。
この展開により、55分にフェラントーレスのゴールが生まれました。
59分にも左でキープして、フェルナンジーニョ経由で右へ。ライン際カンセロが抜け出してクロス。抜けたさきにスターリング打てず、こぼれをベルナルド。ポストに当たりゴールにはなりませんでしたが後半の狙い通りの形でした。
雑感
試合のまとめ
時系順に起きたことで気になったところを適当に書きます。
34分 ロドリがイエローをもらったシーン
ここの読みや判断の遅さはロドリの弱点でもあります。フェルナンジーニョを見習って克服してほしいところ。
35分 デ・ブライネ決定機。カウンター。完全にフリーで抜け出して大外のベルナルドにパスが出せるかとうかがいながら結局シュートを選択。こういうのは決めないといけない。
36分 カンセロがまたもハーフスペースからチャンスメイク。スターリングへのスルーパスが2本目。ニューカッスルはアルミロンにカンセロを見させていましたが、これは逆効果だったと思います。カウンターの機械すら前半はありませんでした。
全然どうでもいい話ですが、アルミロンは俳優の村上虹郎くんに見えて仕方ないです。
44分 デ・ブライネ左カットインから抜け出したスターリングへ。左足で切り返してさらに右足で切り返してディフェンスに当たる。なぜ最近はシュートを打たないのでしょうか。読まれているのでしょうか。
45分 カンセロが中央から飛び出し。スターリングからのパス。きれいに抜けたがトラップミス。おそらく飛び出しはこの一回切り。
46分 アケが左で中にトラップして近くに出したシーン。左足で大外レーンの選手にダイレクトで出せたら展開がもっと良くなると感じている。ジンチェンコならできる気がするけどアケはそこは期待されていないか。
65分 相手の5-4ブロックの前で右→フェルナンジーニョ→左→フェルナンジーニョと繋ぎ、カンセロにロングボール。カンセロはクロスまでいきましたがニューカッスルがクリア。後半は右で崩せていたからゴール前で決めたかった。
74分のストーンズの縦パス。この一回だったけど、アンカー的な位置で体を開いてDFの視線を外に向けさせて縦に出す技術。元々の能力なのかまるでバルサのブスケツを彷彿とさせる。
76分のデ・ブライネ抜け出したシーン。アケは出せず。前半アディショナルタイムでも言えるけどアケは前への意識が低い。デ・ブライネが完全に抜けていたのでトラップの位置が良ければ出せたと思いました。
81分 カンセロのクロスからアグエロの決定機。決まらず。
これも右で崩したシーン。ベルナルドが大外でWBを釣りだしてインサイドのカンセロが前へ。顔を出したデ・ブライネにベルナルドが出して、ダイレクトでカンセロへ。カンセロはクロスの質も高い。逆のアグエロにグラウンダーのピンポイントクロス。
85分のさすがアグエロのシーン。ウェーブを使った素晴らしい飛び出しからストーンズのスルーパス。ストーンズは「作り」のパスだけでなく「仕掛け」のパスもできる存在になりつつある。
試合終了。
感想
カンセロが躍進。試合を通してカンセロの攻撃センスが現れていました。
SBとして出場しながら、IH、WG、アンカー、トップ下と様々な役割をこなしていた姿はマケレレロールならぬカンセロロールという言葉が生み出されそうなプレーでした。
守備の弱点は左SBをアケにしてカバーするぐらいカンセロの攻撃に期待する戦術は少しだけバルサ時代のダニエウ・アウベスを活かしたペップが思い出されました。
このSBを守備の選手ではなく、攻撃の1ピースとして考えるのはCBが優秀だからこそ。ストーンズが怪我をせず、ルベンディアスが1年目のジンクスにやられなければもしかしたらもしかするとリーグとCLも?と期待してしまいます。
間髪入れずエバートン戦が。
ボクシングデーの試合というのはなぜこうも頑なに守らなければならないのか。と思わずにはいられない。なんと48時間後に試合。
ぜひとも選手達に休息を。
それでは!
デ・ブライネを救うたった一つの方法 第14節 vs サウサンプトン
こんにちは。
tadashiです。
好調セインツことサウサンプトンとの対戦。ここで踏みとどまれるかが今後のプレミアでの行方を左右する気がします。
フリーキックで3ゴールのウォードプラウズ。シーズン記録はあのベッカムのもつ5ゴール。いかに。
最後のデ・ブライネの話だけ読んでもらえるだけでいいぐらいです。
この試合のポイント
レビューを読んでいただく前に、今日のポイントだけ押さえておきましょう。これ以降は主にこのポイントについて話していきます。
・変貌したウォルコット
・セインツの狙い
・ベルナルドシルバの役割
この3つがポイントだったと思います。
結果
16' スターリング (assist by デ・ブライネ)
デ・ブライネは7アシスト目!
スタメン
両チームのスタメンはこちら。
■ホーム サウサンプトン 4-4-2
中盤がフラットな4-4-2です。ジェネポ以外は前節のアーセナル戦と同じです。
やはり注目はウォードプラウズです。その精度の高いキックをぜひ活かしたいところ。2トップのイングスとアダムスはゴール前でファウルをもらうなどFKを狙いたい。
苦しめられた選手
■ヴェスターゴーア
ロングキックの精度。強いフィジカル。
この2点だけでこのCBを試合に出場させる価値があります。マンチェスターシティは、セインツ陣内後方でのビルドアップにはプレッシャーをかけますが、ある程度運ばれるとブロックを作ります。ヴェスターゴーアは、高確率でフリーでボールを持つことができ、ウォルコットとウォーカーピータースのいる右サイドにピンポイントのロングボールを配球。あれだけスピードがあり、精度の高いボールを対角線に出せる選手がプレミアに、ファンダイクとラポルト以外にいたのかと自分がどれだけマンチェスターシティしか見ていなかったのかと悔やむほどでした。
この試合ロングパスは10本成功。すごいです。
インターセプト2回、タックル4回と守備でも貢献しています。
試合を見て驚きました。
「これは僕の知っているウォルコットか!?」
試合を通してポジショニングに意識をして、マンチェスターシティの意識を自分に集中させながら絶妙なタイミングでウォードプラウズからボールを引き出します。また、このポジションにより右SBのウォーカーピータースがオーバーラップしやすいよう状況となりました。
カンセロは、戸惑い、今日のマンチェスターシティの左サイドは防戦一方になっていました。
アーセナルで見たウォルコットとはまったく違う姿。同じくアーセナルに所属し、その後怪我により思うようにプレーできなかった宮市もこんな未来があったのかもしれない、と少しだけ思ってしまいました。
それにしてもセインツのようなSBがクロッサーとして組み込まれる戦術と対峙すると、SB出身の僕からすると面白いと思い、うらやましくも思います。
バートランドだって、ジェネポが大外、ハーフスペースを行き来するからそれに合わせて巧みにフォローしていたので、どんな選手かと思ったらほらやっぱり、31歳のベテラン。若い選手にはこれはできない素晴らしいSBだなと思っています。数字として他の選手と比較して優れているものが出ているわけではないですが、バランスも含めてセインツを支えている一人としてカウントできるんじゃないかと思いました。
■アウェイ マンチェスターシティ 4-2-3-1
メンディー、フォーデン、ジェズスが前節から変わっています。今シーズンは4-2-3-1がベースなんだろうなと思います。まずは、守備からというペップの意識改革か。たしかに今、リーグで最小失点ですからね。
久しぶりのベルナルドシルバが、期待だし、今日のポイントとなる選手でした。
前半 シティの変化とセインツの自信
前半開始
この試合は試合開始早々から両チームの狙いが見えました。
セインツは4-4-2。守備時には中盤フラットな4-4-2。攻撃時にはSHがハーフスペースに移動し、4-2-2-2の形になります。
ハーゼンヒュッテル監督は、マンチェスターシティ相手にも臆することなく、守備からアグレッシブに仕掛けます。エデルソンにもプレスをかけるほどハイラインに設定。他のチームのようにロドリをマークしてパスコースを徹底的に消すわけではなく、2トップと2センターで挟みます。
ポイントとしては
・ロドリで奪う
・ロドリの次のプレーヤーで奪う
の2点です。
6分、9分と立て続けにマンチェスターシティのビルドアップを阻害し、攻撃の芽を摘んでいたので一定の効果はあったと思います。
6分のシーンは連動したセインツのプレーにカンセロがパスミス。その直後はファウルになったけどロドリに2枚が瞬時にプレスしてボールを狩りにいきました。
9分もウォードプラウズがロドリのボールを奪ったシーンです。
前半10分過ぎまでは明らかにセインツの勢いが強くペースはセインツが握っていました。
一方、今日はいつもより繋ぐ意識の強いシティ。セインツが前から来るのでパスで外せれば一気にチャンスになります。ペナルティエリア前まで引かれて固められるよりはよっぽどやりやすい相手です。
ビルドアップは3-2の形。カンセロがロドリの横に並びます。守備のときは4-4-2となり、ギュンドアンがロドリと並びますが、攻撃ではギュンドアンは4-3-3のIHのような高いポジションを取り、デ・ブライネは右に流れます。
左右それぞれのユニットを使って攻撃を組み立て、ギュンドアンとスターリング、デ・ブライネとベルナルドシルバ、そこにフェラントーレスとSBが絡んでいくのが理想でした。(結局、フェラントーレスは孤立してしまった前半です)
その理想が実現する前にシティは先制点を奪います。
17分のスターリングのゴールです。
セインツに攻められたあとのエデルソンからのロングキックがきっかけとなりました。
エデルソンからのボールはクリアされますが、そのこぼれを回収してベルナルドがキープ。その横をデ・ブライネが駆け上がり、ペナルティエリア深くに侵入。クロスの折り返しをスターリングが冷静に流し込みました。
このシーンは前からハメにくるセインツを利用したプレーでもあります。エデルソンのキックの瞬間は後ろにいるセインツの人数が少なかったというのもあり、クリアを拾った時点で数的優位になっていました。
このシーンから思ったのは、最後にも書きますがベルナルドシルバがデ・ブライネのプレーを限定し、アシストを生み出しました。(詳しくは最後の章)
それでは、先制されたセインツのビルドアップ及び攻撃の狙いを見てみましょう。
20分の攻撃が今日のセインツの狙いです。
ずばりカンセロのサイドを狙えということです。もはや、マンチェスターシティからしたら「あー、はいはい。いつものね。」というレベルのこと。カンセロだろうがメンディーだろうが関係ない!うちにはルベンディアスがいる!ということで、最終的にはクリーンシートで勝利しましたが、個人的には驚きのあった狙いだったので印象的でした。
セインツは守備時は4-4-2でジェネポとウォルコットがサイドの守備を担当しますが、攻撃となると二人はハーフスペースにポジションを移します。システムで表すならば4-2-2-2でしょう。
ビルドアップは、ウォーカーピータースが一列前に上がり、ウォードプラウズがSB落ち。ロメウは中央を担当。左SBのバートランドはジェネポをサポートする立ち位置でバランスを取ります。
前半はウォーカーピータースの方がオーバーラップをしていましたが、試合を通して見るとバートランドもだいぶ高い位置でプレーしていました。
攻撃のパターンとしては、ヴェスターゴーアのサイドチェンジ、ジェネポがカットインしてサイドチェンジです。つまり、左から右へ、そして中央でフィニッシュというのが狙いです。
ウォルコットの立つ位置が絶妙で、そこにウォーカーピータースが絡んでくるとカンセロ一人ではどうにもならないし、セインツは2トップなのでルベンディアスがカンセロのフォローに行くのは優先順位としては後ろになります。
前半だけで5回ぐらいは左から右に展開されていて、対策も特にしなかったペップです。
僕がもっとも驚いたのがキーマンとなる右SHがウォルコットだということです。アーセナルでのスピードを活かしたドリブラーのイメージが強すぎて、同一人物か疑うほどでした。
試合に戻りましょう。20分のあとは動きもなく、29分にセインツの前プレをシティが回避し、一気にクロスまでいったシーンがハイライトです。ウォーカーのオーバーラップ。ウォーカー対決の名に恥じぬ素晴らしい戦いですね。
この直後、フェラントーレスが右に、ベルナルドシルバがトップに変わります。右から の攻撃がベルナルドとデ・ブライネのコンビでかなり良かったので、いまいち理解はできません。試合が終わってもわかりませんでした。流れが完全にセインツになってしまったからです。
デ・ブライネの疲労も見えてるということで、ベルナルド0トップでおりてきてもらってデ・ブライネのフィジカル的な負担を軽減させる考えだったのでしょうか。
いや、僕は単純にこの日のフェラントーレスが封じられていただけだと思います。ボールも受けられない、深さも取れなかった。さらに早々と先制したのでベルナルドを前にしてボールキープしてやろうと思ったんでしょう。
さい先よく先制したマンチェスターシティでしたが、セインツの積極的なアプローチ(ヴェスターゴーアのロングボール、ウォルコットのハーフスペース、インテンシティ高いプレス、ウォードプラウズのパス)によりじわじわと押し込まれました。
追加点が望まれる展開です。
後半 試合を決めるのは
後半開始
後半は前半と一転してカウンター合戦です。お互いがマイボールになると相手の陣形が整う前に早く攻めます。セインツにボールを持たせ、得点がほしいセインツの攻撃を受けて、チャンスを多く作り出しました。4-4-2をコンパクトにしてカウンター狙いができるほど、守備にある程度の計算ができるようになったということと思いたい。
セインツは相変わらずウォルコットの立ち位置が抜群。前半よりも洗練されています。ハーフスペースにいるのは変わらないけど、顔を出すタイミングは良くなっているので、カンセロもスターリングもギュンドアンもつききれないシーンが多かったです。
セインツは後半から入ったレドモンドが、試合に入れません。一方、マンチェスターシティは1トップのベルナルドもトップ下のデ・ブライネも中盤に落ちてきます。そのときは前に人はいないし、セインツDFはみんな揃っているので、崩すことはできないけど、勝ってるので、ボール欲しさに相手が前に出てくれば逆サイドに展開して速い攻めを仕掛けることができます。
決定機は圧倒的にマンチェスターシティが多かったです。
まず53分。
エデルソンから始まった攻撃は相手の中盤の裏をついたポジショニングを取ったデ・ブライネが中央スターリングとのワンツーで、左サイドを突破し、ペナルティエリア内のベルナルドに通しましたが、シュートはミートせず。
続いて70分。
セインツのビルドアップでのミスをフェラントーレスがカット。ここでもベルナルドが現れて左を走るデ・ブライネへラストパス。デ・ブライネはダイレクトでシュート。
すぐさまセインツもカウンター。
忙しい展開が続きます。
78分にはギュンドアンのミドルをキーパーがナイスセーブ。
これさセインツを前に引き出して空いたところからフィニッシュまでいきました。左から右へ。そして中央と流れるように攻める。
最後は92分。
シティのカウンター。デ・ブライネが持ち出し、スターリング、ベルナルドシルバと繋いでペナルティエリアに入ったところで、逆にいたマフレズへ。シュートは枠外へ。
その後、マンチェスターシティは冷静に時間稼ぎをし、無事に1対0で勝利しました。
勝利しましたが、カウンターであれだけチャンスを作りながら点が取れなかったのは、選手たちに問題があります。決定機はそんなに数多くあるわけではない。それをどれだけの確率で決められるかは、CLやリーグの優勝争いで絶対に響いてくることです。
まとめ
良かった点
「好調のセインツにクリーンシートで勝利した」という事実がなによりも大事。
内容は数シーズン前のシティを見ていた人たちからすると物足りないと思うかもしれない。ただ、悪かったわけではない。
スターリングが点を取れたし、ギュンドアンも高い位置で素晴らしいプレーができた。デ・ブライネもアシストし、パスでもセインツの守備を慌てさせた。
守備陣は点を取られていない。かつてないほどの失点の低さ。カンセロは攻撃の方でチームに貢献し、ウォーカーは世界最高レベルのプレー。ストーンズは完全に復調し、パスが出せなければ運べるクレバーさもあり、ルベンディアスはリーダーとしての素質があり、負けない。
書いていて良いことだらけですね。なにをみんなそんなに文句を言うのでしょうか。
そりゃあれだよ。
得点が量産できない。
ポゼッションがゴールに繋がらない。
連動した守備ができていない。
デ・ブライネへの負荷が大きい。
とか色々あるよ。
でも、今は明るい話題をたくさん出して、未来を見ていきたいとも思います。
デ・ブライネを救うたった一つの方法
今日もっとも言いたかったことはここです。
明るい話題のもっともなところです。
それがベルナルドシルバという存在です。
試合の翌日こんなつぶやきをしました。
今日の試合ベルナルドは、他の選手たちと明確に違うところがあった
— ただし (@tadashi0716) 2020年12月20日
それはデ・ブライネに望むプレー
他の選手「ケビンに預けて、前向いたら走るからパスをくれ」
ベルナルド「おれがボール持つからケビンは走れ。ラストパスだけに専念してくれ」
この試合デ・ブライネの負担は相当軽減したはず
意外と反応があって嬉しかったのですが、もう少し詳しく言葉にしてみたいと思います。
今のマンチェスターシティはしばしば攻撃が停滞することがあります。
幅をうまく取れていないことや、シュートが決まらないと、いくつかありますが最大の要因はデ・ブライネの個人能力に依存していることです。
負けている、引き分けている、なかなか追加点が取れない、どんな場面においてもマンチェスターシティの選手たちはデ・ブライネを探し、デ・ブライネにボールを預け、デ・ブライネからのパスをピンポイントの位置で要求します。
デ・ブライネは、チームとして本来狙っているペナルティエリア深くを自らが走ることはできず、中央に密集しているチームメイトからのフォローが得られず、高精度であろうアーリークロスをひたすらあげることになってしまいます。
試合の序盤、中盤でもデ・ブライネへの依存度は高く、デ・ブライネが右に流れるとボールは右に、デ・ブライネが左に流れるとボールは左に。それだけ彼が信頼されていることは素晴らしいことですが、チームとしてボールを前に運ぶために、デ・ブライネはボールを受けることだけを行っているわけではありません。
自分が囮となりスペースを作り出すこともできる、味方が作ったスペースに走り込むことができる。デ・ブライネは自らの能力はもちろん高いが、だれかの動きの意図を読む能力も長けている。
昨シーズンまではダビド・シルバがいて、デ・ブライネが敵を引き寄せて、狭いスペースでフリーとなったダビド・シルバがSBからボールを引き出しているシーンが何度も見られました。
今シーズンはそれが何度あったでしょう。僕はほとんど見られなかったと思います。デ・ブライネがボールを持って、デ・ブライネがパスを出して走って、ボールをもらってというシーンばかり、それでもこれだけチャンスが作れているのはやはりそのパス精度の高さと、ペップシティ5年目の遺産故です。しかし、得点が入らないのはなにかその先のデ・ブライネ以外の決定的なものがないと難しいと感じています。
また、デ・ブライネは疲労にたいして人一倍敏感です。気合いでどうにかするタイプではなく、疲労がプレー精度に直結していると昨シーズン終盤から感じています。集中力も顕著に欠けます。常に試合に出てほしいデ・ブライネのゲームのなかでの負担を少しでも軽減させることが必要なのです。
そこで今日のベルナルドシルバ。
前半30分までは右WGでプレー。幅を取りながら状況を見て中に入りボールを引き出したりキープしたり、攻撃のアクセントになっていましたが、もっとも良かったのはこれまでデ・ブライネがやっていたことを引き受け、その先をデ・ブライネにやらせた、という点です。
特に先制点のシーン。
ペップシティを見てきた人たちはこう言うでしょう。
「久しぶりに見たマンチェスターシティらしいゴールだ」
久しぶりのマンチェスターシティらしさとはなにか。
簡潔に言うと2つ
・ペナルティエリア深くに侵入し、グラウンダーのクロス(マンチェスターシティらしさ)
・クロスを上げたのがデ・ブライネ(久しぶり)
このマンチェスターシティらしいゴールを久しぶりに生み出したのはベルナルドシルバなんです。
エデルソンのロングキックのこぼれを回収した時点で数的優位。チャンスは必ず作れそうな場面で、ベルナルドシルバの選択は自分がキープしてデ・ブライネを走らせました。
あー、これだ。懐かしい。
と思わず声に出すほどの懐かしさ。
今シーズンのマンチェスターシティに欠けているマインドと言ってもいい。
それは、デ・ブライネはアシストができる選手で、組み立てよりもラストパスで真価を発揮する選手。そのためにはその前のプレーまではだれかが運んでやるべきだ。ということです。
右サイドに入ったベルナルドシルバはその意識をもった動きを見せていました。これまで今シーズンデ・ブライネがやっていたどこにでも顔を出してボールを受けようとするのをベルナルドが引き受け、デ・ブライネはアシストの可能な高いポジションを取ることが可能に。結果的に1点しか取れず、相変わらず決定力という部分には課題がありましたが、このベルナルドの起用は今シーズンの今後のシティに大きく影響しそうな気がします。
「なぜデ・ブライネがアシストを量産できたのか」、ということを逆算すると自ずと見えてくることですね。
この試合ギュンドアンもそれが意識されているのか高いポジションでデ・ブライネのプレーエリアと受けるプレッシャーを分散していましたが、守備時の負担を考るとWGにはベルナルドのような選手を置きたいです。今のシティには。
以上です。
最近はレビューというより、感想になってしまっていて、マンチェスターシティ好きなんだなと自分で思います。
シーズンは長いので、最終的な順位を期待して応援を続けていきましょう!CLも!
それでは!
CLラウンド16 雑プレビュー
こんにちは。
tadashiです。
日本時時間2020年12月14日20時
街も心もクリスマスムードに染まっていく中チャンピオンズリーグ ラウンド16のドローがありました。
僕は家に帰るまで覚えていましたが、家に着いたらすっかり忘れていて、気づいた頃には組み合わせが決まっていました。
さっそくですが組み合わせです。
ボルシアメンヘングラッドバッハ vs マンチェスターシティ
バルセロナ vs パリ
セビージャ vs ドルトムント
どうでしたか。応援しているチームの相手はどのチームですか?勝てそうですか?負けそうですか?
苦戦しそうですか?
今日はせっかくUEFAの方でドローをやってくれたので、超簡単に極めて合理的に、そこはかとなく雑にプレビューをしていきたいと思います。
多くの方々がそのチームの戦術から両チームの展望を語ってくれるような気がするのでもういっそのことプレーの話はしなくていいんじゃないかなと思っています。
※これ以降書かれる話はすべて主観によるものです。気にしないでください。
好きなところから、いや、気になるところだけ読んでください。プレビューに繋がりはないとも言えないですが、読みたいところを読むのが一番いい。
- ボルシアメンヘングラッドバッハ(ドイツ) vs マンチェスターシティ(イングランド)
- ラツィオ (イタリア)vs バイエルン(ドイツ)
- アトレティコ(スペイン) vs チェルシー(イングランド)
- ライプツィヒ(ドイツ) vs リバプール(イングランド)
- ポルト(ポルトガル) vs ユベントス(イタリア)
- バルセロナ(スペイン) vs パリ(フランス)
- セビージャ(スペイン) vs ドルトムント(ドイツ)
- アタランタ(イタリア) vs レアルマドリー(スペイン)
- 勝ち抜け予想
ボルシアメンヘングラッドバッハ(ドイツ) vs マンチェスターシティ(イングランド)
■3度目もやっぱり対決
ボルシアメンヘングラッドバッハ。
今回ラウンド16に進出したチームの中でもっとも声に出して読みたいチーム名であることは間違いない。
ボルシアメンヘングラッドバッハ。
「ボルシアMG」と書かれることも多いが、僕は略したりはしない。
ボルシアメンヘングラッドバッハだ。
ボルシアメンヘングラッドバッハは、これまでCLに3度出場している。
15-16シーズン、16-17シーズン、そして今回の20-21シーズンである。
成績はそれぞれグループリーグ敗退、グループリーグ敗退、ラウンド16進出となる。
実はこれまでの2回ともこのマンチェスターシティと同組になり、はかなくも散っている。
今回初めてマンチェスターシティをかわし、見事グループリーグを突破したと思ったら、ラウンド16で当たることになるとは…。と、思っているボルシアメンヘングラッドバッハファンも多いのではないだろうか。
ちなみにマルクステュラムは、あのフランス代表DFリリアンテュラムの息子。お父さんは今何をしているかと思い、気になって調べてみたら特になにもしていないようだった。2008年にフランス大統領から内閣入りを打診され会談まで行ったが、断ったという実話があるようだ。
一方、僕みたいなマンチェスターシティファンはそんなこと思い出しもせず「ボルシアメンヘングラッドバッハかー、ザカリアがいたなそういえば。来シーズン取らないかな」とか腑抜けたことを言っている。
ドイツ勢との戦いではもっともCL制覇に近づいたであろう18-19シーズンのシャルケとの試合だ。あのザネの強烈なフリーキックは忘れられない。
ちなみに、ボルシアメンヘングラッドバッハの監督マルコローゼは、あのラングニック派の監督である。だからなんだと言われたらどうしようもないが、心なしかラングニック派とは相性が悪いような気がする。ペップは。シティは。
シティのアカデミーのドイルくん。
父親も祖父もシティの選手というサラブレッド。シティの血を色濃く受け継いでいる彼がマンチェスターシティの未来を背負ってくれるかはマンチェスターシティのフロント次第だ。若手を安く買って、買った金額より高い移籍金で売るという地道な移籍金収入を得るやり方が変わってくれることを祈るばかりである。
リーグでもペップ史上もっとも調子の悪いシーズン。CLでは調子が良さそうだけど案外良い試合をしそうだ。
ラツィオ (イタリア)vs バイエルン(ドイツ)
■国産対決
イタリアで生まれイタリアで育ちイタリアのクラブでプレーし、イタリアのクラブを監督したシモーネインザーギと、ドイツで生まれドイツで育ちドイツのクラブでプレーし、ドイツのクラブを監督したハンジフリック。
両チームの監督は国を愛し、国のサッカーを信じ、その国のクラブを率いてCLの舞台にやってきた。
ハンジフリックは一足先に優勝を経験した先輩ではあるが、シモーネインザーギもラツィオでしっかりとした基盤を築き上げた。
両チームの共通点はほとんどない。
語るのも難しい対戦である。
ストライカーのインモービレとレヴァンドフスキ。ゲームメイカーのルイスアルベルトとミュラー。
この4人が輝くかどうかがこの試合の鍵になりそうだ。
シモーネインザーギは、偉大なる兄を持っている。ACミランで活躍したフィリポインザーギだ。
兄は本当にオフサイドが多く、オフサイドの数で言えば世界一だったかもしれないが弟はそうでもなかった。選手として大きな名声を得たわけではないが、その後のキャリアもしっかり考え、今ではラツィオになくてはならない指揮官だ。
ローマ地方からこんなに強いチームが2チームもいるなんてすごい。常にダービーは盛り上がる。ローマと聞くとやはり北川さんが頭に思い浮かぶ。しかし、こっちはラツィオ。ライバルチームだ。
バイエルンですぐ思いつくのはバラック、カーン、そしてラーム。
ラームは2006年のドイツワールドカップ開幕戦のコスタリカ戦で、芸術的なミドルシュートを先制点としてあげたことを今でも覚えている。
ラームの万能具合は今はキミッヒが受け継ぎ、CLの決勝点をあげている。
ペップがバルサの次に率いたチームとしても個人的にはなんだか気になるチームではあったがブンデスリーガでいうと僕はドルトムントが好きなのでいつまでもいつまでもブンデスリーガ優勝し続けるなよ、と文句を言いたくなる。それもこれもドルトムントが毎年途中から調子を落とすのが悪いのだ。
話がそれた。
これまでラツィオに所属した選手はけっこう面白い選手が多い。まず、監督としてもっとも年俸の高いディエゴシメオネ。ネスタもクレスポもヴィエリも所属していた。ユーベに移籍したキエーザのおとうさんもラツィオにいたらしい。
どこかでだれかの思いは回っている。
この両チームの歴史もまたどこかでだれかの思いに繋がっている。
アトレティコ(スペイン) vs チェルシー(イングランド)
■心機一転対決
心機一転。アトレティコもチェルシーも今シーズン大きな方向転換を実施。
しかし、両チームが向いている方向はまったく違う。
アトレティコは自慢の守備を残しつつ、攻撃型への転換を図るという戦術へのアプローチ。
まず、チームのゴタゴタで戦力外となったスアレスをバルセロナから獲得。さらには中国からカラスコを引き続きキープ。前線に厚みを持たせ、ジョアンフェリックスを自由にさせることで爆発、絶好調。
移籍最終日にパーティが移籍。昨シーズンに引き続き真ん中の選手を取られてしまったので、もはやコケと心中するしかないのでは。
10年目のシメオネ体制でも新しい勝利への糸口を手繰り寄せようとするシメオネのメンタリティには驚く。
ずっとシメオネの話ばかりで申し訳ないけどヨーロッパの監督で一番サラリーをもらっているようです。約2200万ユーロ。もはやどれぐらいかわかりません。
うーん、と、およそ26億円だそうです。休日の味の素スタジアムを5200回も借りられます。毎日借りても14年借りられるので気になる方はシメオネ監督に頼んでみてはどうでしょう。
一方のチェルシーは大型補強を敢行。およそ190億円を移籍市場に投入し、ヴェルナーを始め、アヤックスのシエシュ、レスターのチルウェル、PSGのチアゴ・シウバなど次々と移籍を成立させた。ちなみに190億円なので、休日の味の素スタジアムを3万8千回借りられます。
方向転換というよりアブラモビッチがオーナーになった直後に戻ったかのようだ。
チェルシーの監督ランパードは、ダービーカウンティで惜しくも昇格を逃しながらも、お金のないチェルシーに半ば強引にチームを託されながら昨シーズンはCL圏内を死守。素晴らしいの一言であるが、新しい選手を獲得しすぎた感じもする。散々若手を起用して若手主体のいいチームと言われながらも、若手の意欲を煽る即戦力級の選手たちの獲得。シメオネと同じようにモチベーターとしての役割も持っているのかも。
どうでもいいけれど、カンテを見るといつもマケレレを思い出して、カンテは動きすぎなんだよなぁと知ってる風な口を叩くのが僕の得意技です。
個人的に気になっているのはジョルジーニョです。一説では審判よりも足が遅いと言われ、サッリと一緒にチェルシーにやってきたのにサッリは一年でいなくなるという事態。ランパードになってからはどうなんでしょうね。ここ数試合は使われてないようですが、ハヴァーツ、コバチッチ、カンテ、マウントとタレントが揃うなかで守備に不安のあるジョルジーニョを使うのは少し心配ですよね。
戦術へのアプローチと選手の補強。
勝つのはどっちだ!
ライプツィヒ(ドイツ) vs リバプール(イングランド)
■すごく走る対決
新旧ストーミング対決とも言っていいかもしれない両チームは同じタイミングでポゼッションを取り入れることに着手。
ブンデスリーガとプレミアリーグという場所は違えど、今のサッカー界の中心にあるストーミングの最高峰の戦いが見られるとはサッカーファンはよだれもの。
ライプツィヒは新興勢力だ。元々存在していたクラブを2009年レッドブルが買収したことで発足した。
RBライプツィヒのRBは決して"RedBull"ではない。ブンデスリーガの規定により親会社の名前が使えない。なので、造語"RasenBallsport"をチーム名に取り入れ、略語をRBとすることでレッドブルの名前を使わずに印象づけることにした。
なんだよ、金で強くなったのかよ。
と、文句を言う方々もいると思いますが、強いチームは例外なく選手獲得に大金を使っている。
また、選手たちもより高い年棒を払ってくれるチームに移籍したいと思っている。スポーツ選手は職業なんだからお金が稼げなければ意味がない。それに見合ったモチベーションで仕事をするのはだれもがそうなのではないか。
夢を売る職業などとくだらない価値観を持つのはおおいにけっこうだが、大金を稼げるという夢を見せていると言い換えることができると僕は思う。
まあ、しかしここ最近の移籍金の高等には首をかしげてしまう。エンバペやネイマールはいったいいくらかかるんだ。
味の素スタジアムの1日貸し切りで比較したいぐらいだ。
ちなみにリバプールは、たくさんのファンがいてファンに愛されているが、大金をはたいてアリソンとファンダイクを獲得している。
ファンは口を揃えて言う。手当たり次第金を出してるわけではなく必要な投資だ、と。
成功した例には目をつむる人間の悪い部分が全面に出ている。注意だ。
もちろんマンチェスターシティにも言えることだが。
なにが言いたいかよくわからなくなった2チームのプレビューだが、歴史も成績もリバプールが圧倒的上位。
ただ、ライプツィヒにはアンヘリーニョがいる。マンチェスターシティからPSVにローンされ、活躍したのち戻されたもののペップにはなかなか使ってもらえず、ライプツィヒにレンタルしているアンヘリーニョがいる。CLでも大活躍。今シーズンも圧倒的に期待している。できれば来シーズンには戻ってきてほしいが、買い取りオプションでライプツィヒに残り、彼が幸せになるならなにも問題はない。
リバプールには南野がいるので、少しでもいいから試合に出てほしい。
そんな2チームの試合は90分間見る方も疲れそうな展開の早い試合になりそうだ。
ぜひともチアゴアルカンタラに出ていただいて試合の展開をコントロールしてほしい。
ポルト(ポルトガル) vs ユベントス(イタリア)
■CL制覇は過去の栄光対決
この2チームはどちらもCLの優勝経験のあるチームだ。
モウリーニョが率いたこのチームはマニシェ、デコ、パウロフェレイラ、リカルドカルヴァーリョなど渋い選手たちが揃い、モウリーニョが負けないチームを作り上げた。このあと、マニシェはチェルシー、デコはバルセロナと、当時の優勝メンバーは次々とステップアップした。モウリーニョは実績と名声を手にいれ優勝請負人の監督として成り上がっていく。
あれから18年。ポルトの監督はセルジオコンセイソン。懐かしい。
セルジオコンセイソン。これまた声に出したくなる名前だ。
セリエAで選手として実績を積み、ギリシャで引退。監督としてはフランスリーグ1ナントを指揮した後、17-18シーズンからポルトを率いている。CLは常連。しかしここ最近はなかなか結果は出ない。きっとモウリーニョのポルトが特別だったのだ。そう言われても仕方ない。なぜならポルトは、育成して売却するクラブ経営が主体だからだ。
ミリトンをマドリーに、ファビオシルバをウルヴスに二人で9000万ユーロを稼いだ。
ポルトには日本人の中島もいる。コロナが影響で練習にも参加しなかったが、つい最近復帰。南野と同じく活躍を期待したい。
ユベントスの優勝は時代を遡る。95-96シーズンのリッピ時代のことである。
セリエAで9連覇を果たしたイタリアの強豪もビッグイヤーを掲げたのは遥か昔。
当時のメンバーにはデル・ピエロや現在インテルの監督であるコンテ、フランス代表のデシャンが在籍していた時代。ジダンがいたときですらCLは優勝できなかった。
内弁慶と言えば悪口になってしまうだろう。しかし、そう言われても仕方がないぐらいCLでの結果はいまいち。16-17シーズンの準優勝以外はベスト8が限界。今シーズンこそはと思っているユベンティーノも多いはずだ。
そんなユベントスは、サッカー界だけでなくさまざまなところに進出しようと、伝統のエンブレムをなくし、ロゴマークをデザイン。NY(ニューヨークヤンキース)のようなアパレルブランド同然のブランディング戦略を始めた。これによりイタリアのクラブで唯一収益トップ10にランクイン。(味の素スタジアム1日k…)
ロナウドを獲得して、今シーズンからはピルロが監督に。開幕前にはバルサと闇のトレードがあったが、フィオレンティーナのキエーザ、アトレティコのモラタ、パルマのクルセフスキ、シャルケのマッケニーと補強は十分。監督としては言い訳のできない立場である。つらい。
僕の友人でユベンティーノがいる。建設業で働いていてなかなか試合が見られないが結果だけはしっかりと追っている。
当時スキャンダルでユベントスがセリエBに降格した際も即答で「ユベントスはすぐ戻ってくる。応援し続ける」と返ってきた。イタリアサッカーファンにはこういった熱い男たちが多い。最高だ。
またもなんの話かわからなくなったが、CL優勝クラブ同士の対決だが、実力は圧倒的にユベントス。CL大好きロナウドの活躍で勝ち進み、レアルマドリーとの対決を僕は望んでいる。
バルセロナ(スペイン) vs パリ(フランス)
■大逆転劇の再来 対決
僕が望むのはまさにこれ。
16-17シーズンのパリに対して大逆転劇を演じた渦中にいたネイマールはいまやPSGの替えのきかない選手。
正直、フランスリーグ1での優勝は当たり前のものとなっているPSGにとってCL制覇だけが唯一の目標。昨シーズン決勝に進み、あと一歩まで迫ったが、その一歩は何万歩よりも遠いものだと見ている側も思ったし、もしかしたらプレーしていた選手たちも思ったかもしれない。
ネイマール、エンバペ、ディ・マリア、イカルディという魅力的なアタッキングサッカーを、ゲイエやマルキーニョスが支える。彼らを自由にさせるために、後ろの選手たちはたくさんのものを背負うことになる。
しかし、ネイマールを筆頭に、CLではしっかりテイクバックしてディフェンスにも戻る姿がファンの目にはよく映る。
PSGの選手にとっては、CLこそが本番なのだ。
それにしてもCLは勝ち続けても10試合ぐらいしかないので、そこにピンポイントで心も体も最高の状態に持っていくのは難しい。PSGの選手たちはそういった自分のコントロールも習得できるクラブのなにかがあるのだろうか。マドリー好きから言わせるとエンバペはPSGのラストシーズンになる可能性が高いのだから最高の結果を目指すべきだ。
エンバペはいただきます。
PSGの話だけでは、プレビューにはならいのでバルセロナについても少しだけ。
クーマンが就任してバルセロナは混沌としてしまった。メッシが「バルセロナというプロジェクト」に絶望し、退団を希望したのだ。
一時期ペップのもとに来るのかと言われていたが契約解除金7億ユーロ約880億円はだれも払えなかった。当たり前だ。
スアレスとラキティッチは去り、リーグでは勝ち星がうまく積み上げられず、CBは軒並み怪我人が続出と最適解の得られないバルセロナ。
一筋の光はカンテラ出身ペドリと純粋な9番タイプのブライスワイト。
サッカー好きであってもあんまり知らないのではないかと思う。僕も詳しくは知らない。
もっとも印象に残ったCL優勝はペップが率いて史上最高のチームと言われた08-09シーズン。ブスケツ、イニエスタ、シャビにおける華麗なパスサッカーはとても魅力的でかつ圧倒的な強さだった。
最後は14-15シーズンと翌年から始まるマドリー3連覇の影に隠れている。CL優勝が現実的かはわからないが、クレに対してポジティブなところを見せてほしい。
ちなみについ先日髪型を変えたグリーズマン。個人的には2002年日韓ワールドカップ決勝で大五郎カットにしたロナウド以来の衝撃。
死ぬほど似合っていない。
CL制覇に向けて心をひとつにしているPSGとチーム内部から一度崩れかけ、建て直しを図っているバルセロナ。
もしかしたら世紀の大逆転劇にすらならない結果が待っているかもしれない。
セビージャ(スペイン) vs ドルトムント(ドイツ)
■洗練された4バックとしたくてもできない妬み対決
ドルトムントはここ数年何度も4バックに挑戦した。その度に守備は崩れ、大事なところで勝ち点を落とす。昨シーズンも途中まではバイエルンを上回る結果を残していたのにいつの間にかバイエルンは遥か先へ行ってしまったようだ。
クロップ、香川、レバのいた黄金時代はどこに。
そんなドルトムントを煽るかのように整然とした4バックで昨シーズンELを制覇し、今シーズンはCLでグループリーグを突破したセビージャ。
レギロンのいた左SBにスポルティングからアクーニャを獲得。
ヘススナバス、クンデ、ディエゴカルロス、アクーニャの4バックはラリーガでも随一。
ドルトムントの妬みの力はどこまでのものなのか気になるところ。
ちなみにドルトムントは、若い選手をうまく使うことで有名。かつての香川真司も21歳でブンデスリーガで輝いていた。
ホーランを筆頭にサンチョ、レイナ、ベリンガム。そして16歳ムココ。一体平均年齢何歳になるんだ。
セビージャはもちろんプレイヤーも素晴らしいが、監督のロペテギとスポーツディレクターのモンチがあまりにも有名。
前回のワールドカップでスペイン代表の監督でありながら大会後にレアルマドリーを率いることがすでに決まっていることが報道され、スペイン代表監督を解任。それだけでなくマドリーでも成績が振るわず即解任。セビージャで成功して一番ホッとしてるのは本人だろう。
モンチはローマのスポーツディレクターのイメージが強いが、元々セビージャでスポーツディレクターをしていた。10代のセルヒオ・ラモスを2700万ユーロでマドリーに売却したのはモンチの手腕だからこそなし得たこと。ローマでの契約期間を終え数シーズン前にセビージャに渡ってきた。さらなる手腕に期待だが、経営と成績どちらを取りに行くのかが気になるところ。
書いていて思ったが、両方とも育った選手をピーク前で売って、健全経営を保つ商売上手対決だ。
アタランタ(イタリア) vs レアルマドリー(スペイン)
■育成と獲得対決
この両チームの共通点は同一監督による長期政権と柱となる絶対的選手の存在だ。
監督は
絶対的な支柱は
アタランタのアレハンドロゴメス
逆に言えば共通点はそれだけ。
他は真逆のチームだと言える。
CBの能力で守るマドリーと組織的なマンツーマンで守るアタランタ
選手個々の高いプレー精度で押し込むレアルマドリードとアレハンドロゴメスを軸とした計算されたポジショナルプレーを披露するアタランタ
そして、優秀な選手を移籍金をはたいて獲得するレアルマドリードと自前のタレントを高値で売却して新たな若手を育成するアタランタ
これらを並べただけでこの二つのチームの対戦は非常に興味深い。睡眠時間を削ってもいいぐらいだ。
イリチッチのバレンシア戦の4ゴールは記憶に新しい。
マドリーが僕の愛するマンチェスターシティに敗北したこともしっかりと思い出してもらいたい。
CLでは初対戦だと思う。監督として経験をつんだガスペリーニが、まだまだ若手のジダンに何を教えるのかも気になるところだし、そんな指導を受けつつ圧倒的なジダンが、なんだかよくわからないけど90分後には勝っているマドリーをCLの舞台で見せつけるのも楽しみである。
ちなみに銀河系軍団とし大活躍したジダン。現役時代は華麗なプレーで観客を魅了したのだが、監督としては「走らないやつは使わん。みんなで走って勝つんだ!」という考え。(自分はマケレレやグティ、がんばり屋さんのベッカムに救われてきたのに) それによりハメスとイスコが構想外に等しい扱い。
ロナウド、ラウール、ジダン、フィーゴ、ベッカム、グティ、マケレレ、イバンエルゲラ、カシージャス、ロベカル、ミチェルサルガドなどなど本当にビッグな選手ばかりが顔を揃えていた時代を知っているので、今のスカッドは少し物足りない。ぺレス会長の本気に期待。
エンバペ、ホーラン、ケイン、アラバなど、第二期銀河系軍団をぜひ。
勝ち抜け予想
最後にベスト8に進むチームを予想して終わりたい。ホームアンドアウェイの合計スコアまで予想しておく。
一つでも当たったら鰻をだれかごちそうしてください。
■ボルシアメンヘングラッドバッハ vs マンチェスターシティ
トータルスコア 1 - 3 シティWIN
1st 0 - 2
2nd 1 - 1
トータルスコア 0 - 5 バイエルンWIN
1st 0 - 3
2nd 0 - 2
トータルスコア 1 - 0 アトレティコWIN
1st 1 - 0
2nd 0 - 0
トータルスコア 4 - 4 アウェイゴールでリバプールWIN
1st 3 - 3
2nd 1 - 1
■ポルト vs ユベントス
トータルスコア 2 - 5 ユベントスWIN
1st 1 - 3
2nd 1 - 2
■バルセロナ vs パリ
トータルスコア 5 - 6 パリWIN
1st 3 - 2
2nd 2 - 4
■セビージャ vs ドルトムント
トータルスコア 3 - 3 PKでセビージャWIN
1st 2 - 1
2nd 1 - 2
トータルスコア 2 - 3 レアルマドリーWIN
1st 2 - 1
2nd 0 - 2
ものすごく長くなってしまった。
もし、少しでも共感するところがあればそれを伝えてもらいたいし、気に食わなければそれも伝えてもらいたい。
サッカーが好きな気持ちはみな同じである。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは!