ManCityを追うものは一兎を得ず

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マンチェスターシティとレアル・マドリー。時々それ以外

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エル・クラシコ ジダンが奏でたピッチと選手の協奏曲

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こんにちは。

tadashiです。

 

 

本日は世界中が注目する一戦エル・クラシコのレビューになります。

レアルマドリードのレビューは初めてです。

人生で初めて好きになったクラブチームのレビューをするのは少し心配になります。

 

久しぶりに両チームが好調な状態でぶつかる試合でしたので、非常に楽しみでした。その、期待通りの試合になったことがとても良かったです。

 

リーグテーブルでは、バルセロナが2位、レアルマドリードが3位です。首位のアトレティコを追う2チームというのは13-14シーズンのアトレティコ優勝のとき以来でしょうか。(記憶曖昧)

勝った方がアトレティコとの優勝争いを演じることができる素晴らしいタイミングでの試合。だれも手を抜くことのない試合。気を抜いたほうがやられる緊迫したゲームになりました。

 

※リーガのレビューになりますが、ピボーテ=アンカー、インテリオール=IH、ラテラル=SB,WBと表現いたします。

 

 

 

 

エル・クラシコ

エル・クラシコ

スペイン語で「伝統の一戦」を意味するこの言葉は、スペインではレアルマドリードバルセロナが戦う試合で使われる。

 

スペインの首都であるマドリードと、カタルーニャ州にあるバルセロナ

否が応でも政治的な側面を想像してしまう。このレビューでは、そういったしがらみについては書くことはしないけれど興味があれば調べてみてほしいと個人的には思います。

 

さて、この両チーム。初めての対戦はスペイン選手権(今のコパ・デル・レイ)で、1902年までさかのぼる。さすがにここでのエピソードは持ち合わせていないが、もうすでに100年以上の歴史がこのエル・クラシコにはあると思うと、時間の遠さと歴史の重みに踏みつぶされそうになる。

 

最初の対戦はバルサが3対1で勝利を収めている。

これまで公式戦では245試合を戦っており、レアルマドリードの98勝52分96敗

極端に勝ち越しているということもなく均衡していることがわかります。

 

私個人の思い出は、マドリーに在籍するフィーゴコーナーキックのときにペットボトルやらなんやらをカンプノウバルサファンから投げられている姿とロナウジーニョのプレーにベルナベウがスタンディングオベーションを見せたことですかね。

 

熱心にリーガを見ていた時代は、むしろバルサの方が目立っていて、それでもマドリーを応援していたのは、当時在籍していた選手たちに憧れに似た感情を抱いていたからだろうと思います。

 

私の中ではやはり

カシージャス

ミチェルサルガド

イバンエルゲラ

イエロ

ロベルトカルロス

マケレレ

グティベッカム

フィーゴ

ジダン

ラウール

ロナウド

の11人が史上最高でした。

 

マケレレが無情にも放出され、イエロ、ラウールといなくなっていったマドリーには、大げさではなく絶望したことを今でも覚えています。

 

 

直近5シーズンの戦績

勝利数
バルセロナ:6
レアル・マドリー:5
引き分け:4

シーズン別成績
15/16:バルセロナ1勝、レアル・マドリー1勝
16/17:バルセロナ1勝、1引き分け
17/18:バルセロナ1勝、レアル・マドリー2勝、1引き分け
18/19:バルセロナ3勝、1引き分け
19/20:レアル・マドリー1勝、1引き分け
20/21:レアル・マドリー1勝

 

15/16、16/17、17/18シーズンはレアルがCL優勝

 

 

スタメン

両チームのスタメンはこちら

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ホーム レアルマドリード 4-3-3

 セルヒオ・ラモスとカルバハルが怪我、ヴァランがコロナ陽性のため出場不可。ディフェンスラインが壊滅するかと思いきや、銀河系を陰で支えたナチョがこのマドリーの危機を救い続けています。

この試合もナチョはスタメン。

右WGはここ最近好調だったアセンシオではなく、ヴァルベルデをチョイス。

 

アウェイ バルセロナ 3-5-2

最適解を見つけたクーマンの3-5-2。

ピケの怪我以外は考えられるベストメンバーだと感じました。注目したいのは10代ながらメッシから信頼されるペドリです。

それにしても怪我をしていないデンベレというのは違和感がとてつもないです。今までの給料分を1シーズンで返しほしいと私がバルサファンなら思います。

 

 

ジダンが見せたバルサ対策

試合の入りは予想通りボールを持つバルサとそれを受けてたつマドリーでした。

 

バルサの配置

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バルサとマドリーの配置を上の図で表しています。

バルサの狙いはメッシのライン間活用。両WBにマドリーが釣られ、そこで生まれた中央のスペースを使うことを意識。と、言いつつも前半3分でデンベレが2度マドリーDFの裏に飛び出したシーンがありました。バルサのポゼッションに食いつくならデンベレがいます、というあいさつ代わりの飛び出しでした。

この日のマドリーは前からプレスをかけていたので、中盤とDFの間が広がり、カゼミーロのいるエリアを浮かせようとしたのかもしれません。

9分のメッシからアルバへのパスは、カゼミーロの脇でかつライン間で受けたメッシが右から中央にドリブルしたことで生まれたチャンスでした。

 

後述しますが、ベンゼマの得点の前後からマドリーは守備時5-4-1となりアルバをヴァルベルデでマーク。

左CBのラングレが比較的フリーでボールを持てていましたが、メッシが右に流れ、そのエリアへのフォローにペドリもデ・ヨングも回っていたので、ラングレからのパスコースが限定されていたのが惜しかった。

バルサは選手同士の均衡の取れた距離感でボールを回し、相手を動かし、スペースを作っているので、どうしても中心選手に人が集まる傾向があります。その最適解として3バック+WBなのだろうと思いましたが、ジダンマドリーは見事に対応していきます。

 

 

バルサの強みをどこに設定するか

今回個人的にジダンに対して驚きと尊敬を抱いたのがここでした。

レアルマドリードはすべての面で世界2位というのが最大の強みです。ポゼッションもカウンターもハイプレスもリトリートもあらゆる必要な能力を一位ではないが、かなり高い次元で再現可能。

 

例えば、アトレティコリバプールと戦ったときに相手にボールを持たせたのは有名な話。

 

バルサ相手にどういった世界2位のプレーを見せてくれるのかと期待していましたが、予想は良い意味で裏切られました。

 

バルサと言えば、その華麗なパスワークやメッシの個人技とそれに呼応する周囲の連携だと思います。今のこの好調なバルサでは、デンベレの「前に矢印の向いたプレー」も驚異的かもしれません。

3バックの採用で大きく幅を取るWBによりピッチを広く使い、CBやブスケツからの縦パスも十分考えられます。

 

しかし、ジダンにとって「潰すべきバルサの強み」は、左サイドのジョルディアルバでした。

 

4バックだったのはスタートの時だけ、今日アセンシオにかわりWGに入ったヴァルベルデは、アルバの上がるスペースを消すために、最終ラインの位置まで下がり、5バックを形成しました。

5バックとすることで、アルバだけでなく逆サイドのデストに対してもメンディーをつけることができ、ピッチを広く使って中央のスペースを空けたいバルサはサイドも中央も固められてしまう展開になりました。

 

WGが下がっているので後ろに重くなったはずのマドリーですが前半はまったくそんな印象もなく。それはヴァルベルデの機動力のおかげでしかないのですが、守っては最終ライン、攻めてはゴール前とたしかにこの戦い方をするならアセンシオではなく、ヴァルベルデだな、と。

 

バルサもマドリーと同様に前からプレスをかけてきます。しかし、今このリーガにおいて相手のプレスをいなすことにかけては一番のマドリーは、おそらくバルサの前プレを待っていたのではないかと思います。

13分のベンゼマの得点は、ボール回収後に中央でバルサのプレスをはがしての速攻でした。

アルバに対して内側にドリブルをしたヴァルベルデのプレーもほめたいプレーの1つ。これによりアルバの視界からルーカスバスケスが消え、ヴァルベルデにいくか、ルーカスバスケスを見るかの迷いが生まれました。

結果的には一歩飛び出し、足の長いヴァルベルデにかわされてしまいました。

 

 

ヴィニシウスという若き才能

ジダンもう一つの策は、ヴィニシウスでした。

右WGのヴァルベルデと違い、下がりすぎず、バルサCBのビルドアップには前から狙いにいきます。ベンゼマブスケツを見ていたので、ファーストプレッシャーとしての機能をヴィニシウスは担っていたと思います。

 

ボールを持てば中途半端なプレーはせずにバルサ守備陣に果敢にドリブルを仕掛けていました。ドリブルだけでなく、20分のクルトワのロングボールに反応するなど、前線でベンゼマとは違った驚異を与えていたと思います。

 

26分のFK獲得の場面は、ヴィニシウスの良さがもっとも活きた場面でした。デストを裏街道でかわし、2枚のDFに囲まれながらも前への意識を失わずにドリブル。

それにより得られたFKをクロースが決めて2点差です。

 

ヴィニシウスは、決定力に問題があるとずっと言われていたんですが、ここまでドリブルで攻め込んでくれるなら決定力のなさはマイナスにはならないはずです。

この試合もドリブル4回、キーパス3回と一定の結果を示しています。

 

 

クーマンの意地

グリーズマン投入の意図

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前半で2点を先制されたバルセロナ

前半で2点差がついたのは2008年までさかのぼるようです。

さて、このまま黙ってやられるわけにいかないクーマンは、後半頭から動きます。

メンディーに封じられていた右WBのデストをグリーズマンに代え、4-3-3にシステムを変更しました。

 

トップにいたデンベレを右へ、グリーズマンを左へ。そしてメッシを真ん中に配置します。

メッシ真ん中の時点でだれもが思ったと思いますが、そうです、0トップです。

メッシは後半ブスケツと同じ位置にまで下がりボールをもって前を向いたプレーを頻発させました。

 

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後半の配置としては上の図のような形。

IHのペドリとデ・ヨングもメッシを追い越し、高い位置をキープ。この二人が敵陣ハーフスペースを狙うことで、左右バランスのよい攻撃が可能となります。

 

もっとも変わったのがアルバの位置です。前半はWBとして大外にいましたが、後半はその役目をグリーズマンに託し、アルバはインナーラップを狙うようになります。

5バックの一角として動いていたヴァルベルデがどう動くかを見るためのものだろうと思います。

 

途中から強い激しい雨が振り出し、それにあわせてオープンな展開となります。

 

55分のデンベレデ・ヨンググリーズマンと作り出したチャンス、そして60分の両サイドからクロスを放ち左右に揺さぶりをかけた結果のミンゲサのゴールによりバルサの流れになっていきました。

 

ヴァルベルデは結局、アルバを見ることになったので、そうするとペドリをだれが見るのかという問題も出てきて、よりバルサのペースが加速。

バルサか同点にするのか、マドリーが耐えるのか、もしくは追加点を取り、引き離すのかという一進一退の攻防が予想されました。

 

 

モチベーターとしてのジダン

ジダンは人の心をつかむのがとんでもなく上手い。

クラシコというこの世紀の一戦ですらジダンにとっては、このクラック揃いのメンバーをチームとして強固にするための試合の一つとして捉えていたと思います。

 

後半投入された選手は以下の3人

 

イスコ、マルセロ、マリアーノです。

しかもそれぞれクロース、ヴィニシウス、ベンゼマとこの試合で輝いた3人を同時に交代したのです。

 

相手はバルセロナ

負けたら優勝戦線から離脱

スコアは一点差

 

 

この状況で送り出される選手が必要とされていないはずがない。

 

前線から二度追い三度追いを見せたマリアーノ、後半終盤にロングボールが抜けだしたが、シュートを打てず猛然と走って戻ったマルセロ、雨のなかボールをキープして、体を張ったイスコと最後1点差で勝利した最大の要因は間違いなくこの3人のチームへの貢献があったからだと思います。

根拠のないことはあまり言いたくはないけれど、ラストプレーでバルサのシュートがポストに当たったのはそういった良い流れの積み重ねが起こした現実なんだろうと思いました。

 

オドリオソラも含めて、途中交代した選手がしっかりとふんばるのを見るととんでもないモチベーターだなと感心します。

 

試合はマドリーが途中交代のあとに5バックに変更し、守りきりました。

カゼミーロが数分間でイエローカード2枚で退場になったのは予想外だったとは思いますが、価値ある勝ち点3となりました。

 

 

未来が明るいのはどっちだ

クラシコに見事に勝利したレアルマドリード。公式戦ではクラシコ3連勝となりました。

しかし、その代償は大きく、カゼミーロのレッドカード、ナチョの累積により出場停止。ルーカスバスケスとヴァルベルデの怪我。

継続してセルヒオ・ラモスとヴァラン、カルバハルは出場できませんからね…。

 

それよりもなによりもバルセロナにはたくさんの希望が詰まっていましたね。

 

スタメン出場したペドリとデスト、ミンゲサとアラウーホ。

18歳のペドリは先日A代表デビューも果たし、混沌としたバルセロナにおいてメッシとの連携を深めた非常に貴重な存在。デストは20歳でアメリカ代表。ミンゲサとアラウーホは21歳と22歳です。

 

途中交代のトリンコンが21歳、最後アンカーに入ったモリバも18歳と、世代交代がうまくいかずいつまでもCL3連覇のメンバーでセンターラインを構成するレアルマドリードとは大きく構成が異なっていました

バルサの方が早く世代交代の必要性が出てきたのかもしれませんが、この差はなんだろうかと思います。

ほんの近い未来を見るとバルサの方が光輝いているのは間違いない

 

シャビ、イニエスタが抜け、カンテラの存在が薄まりつつあるバルサ

育成組織の存在は置いておいたとしても、若き才能が集まるバルセロナには2、3年後を期待せざるを得ませんでした。

今回はマドリーが勝つことができましたが、モドリッチとクロースとカゼミーロ、そしてベンゼマがいなくなったら果たして勝てるでしょうか

 

 

結果

レアルマドリード 2 - 1 バルセロナ

 

13' ベンゼマ(assist ルーカス・バスケス

28' クロース(FK)

60' ミンゲサ(assist ジョルディ・アルバ

 

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このスタッツの中個人に目を向けるとクロースのパス成功率は93.3%、カゼミーロのインターセプトは5回です。圧倒的ですね笑

 

 


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翌日にアトレティコが引き分けたため、勝ち点1差まで迫ったことで、マドリーはより追い詰められる展開に。休めません。

リーガもCLも可能性が残ったシーズン終盤戦。

文字通り総力戦

 

 

リバプール戦展望

明日の早朝は、CLリバプール戦。

1点差でのリバプールは非常に怖い。

カゼミーロ、モドリッチ、クロースがいるならばリバプールに前からプレスをかけてもらった方がより試合を進めやすくなるかもしれません。

 

ポイントは以下

・ナチョ、ミリトンのCBコンビがどこまでリバプール攻撃陣をシャットアウトできるか

・ルーカスバスケスもカルバハルもいない右SBはだれが務めるのか

・ヴィニシウスはまたも輝けるのか

リバプールにボールを持たせるのか

リバプールのSBに対してバルサ戦と同じ戦術を使うのか

 

 

まだ、結果は見ていません。

心熱く、静かに応援していくしかないです。

 

 

それでは!