シティ対策にはもう動じない 第28節 vs フラム
こんにちは。
tadashiです。
本日はアウェイフラム戦。
監督はご存知イケメン青年監督のスコットパーカーです。
スーツ姿のスコットパーカー監督です。
素敵ですね。
この10年間ではシティはフラムに負けていません。引き分けもたったの2回。
この試合を見るファンも負けるはずがないと思って試合を見ていました。
もちろん勝利をマンチェスターに持って帰ることに成功しました。
複数得点+クリーンシートでの勝利はこの後のCLとFAカップに弾みをつけたことは間違いない。
遅くなってしまいましたが、プレミアリーグフラム戦を振り返っていきましょう。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム フラム 4-5-1
前節リバプール戦に勝利したメンバーからは3人を変更。
チェルシーにいたロフタスチーク、シティにいたアダラバイヨ、PSGにいたアレオラとスカッドは魅力的なフラム。
なによりもあの昨シーズンのCLベスト16で、シティを倒したチーム(リヨン)のメンバーだった右SBのテテがいるのが非常に気になりました。
苦しめられた選手
・ハリソンリード
前半スコアレスで折り返した立役者の1人がリードだったのは異論はないと思います。
4-5-1と言いながら中盤の選手がシティへのマークに駆り出されていたため、リードはアンカーとして、DFラインと中盤のスペースを埋め、攻撃では前線へのつなぎ役として左右に走っていました。
守備スタッツでは、7回のタックルを成功させ、インターセプトが2回、クリアが1回でした。攻撃では、59回のパス成功数でチーム2位。
まだ、26歳とこれから成長も期待できる選手だと感じました。
・ロビンソン
80分から出てきた23歳のアメリカ人がシティ相手に非常に良いドリブルを見せていたので、ここに挙げたいと思います。
プリシッチやレイナなど最近のアメリカは良い若手を多く輩出しています。
プレー時間は少なかったけど、1試合を通して見ていた人たちには終盤の勝敗の決まった時間にあれだけアグレッシブなドリブルを見せてくれると楽しいですね。
■アウェイ マンチェスターシティ 3-4-2-1
この試合の数日後にチャンピオンズリーグラウンド16 2ndレグのメングラ戦が控えていたシティは大きくメンバーを変更。システムまでも変えてきた。
前節のセインツ戦からはメンバーを7人変えています。
久しぶりにメンディーとアグエロがスタメンで出場。
守備に難のあるメンディーは、このシステムなら使ってもいいかもしれないという考えなんでしょうか。
アグエロとフェラントーレスは第26節ウェストハム戦以来のスタメン。メンディーは、なんと第13節以来のスタメンです。
3-4-3と4-5-1
まずは、両チームのかみ合わせを見ていきたいと思います。
マンチェスターシティは、とても久しぶりにこのシステムを採用しました。
同じシステムは無残にも散った昨シーズンのチャンピオンズリーグベスト16でのリヨン戦。
今シーズンのプレミアリーグでは、第5節のアーセナル戦が3バックでの戦いでした。
リヨン戦では相手も同じ3バックでWBを採用したチームで、相手のWBに押し込まれる形になってしまいました。
アーセナル戦は、アルテタの裏をかくための3バック、SBのカンセロをCHで起用するやり方でペースをうまく掴みました。
それではフラム戦はどうでしょう。
パーカー監督は、下の図のようにマンマーク+アンカーを余らせて、パスの受け手を封じる作戦で、マンチェスターシティのビルドアップに立ち向かいます。
まず、ベルナルドシルバとロドリの二人のCHには、それぞれレミナとアンギサがマーク。WBのカンセロとメンディーにはそれぞれカバレイロとルックマンがマークをします。
3人のCBにはそこまでプレスにはいかず、ロフタスチークが緩くパスコースを一つ塞ぎながら寄せていきます。
後々、このCBたちのドリブルでのボール運びにフリーの選手をつくられる時間もありましたが、平均60%を超えるポゼッションで試合を進めるシティ相手に50%台で済ませた守備組織はやり方としては成功だったと言えると思います。少なくとも前半は無失点で終えていることは戦術の勝利とも言えるでしょう。
CBで、ボールは持てるが、次にパスを届けたい相手がマークされているということで、マンチェスターシティは3つの策を講じます。
対策1 中盤に+1
1つ目がジェズスの中盤へのフォローです。
3枚のCBの前にいる4人の中盤は、同じくフラムの4人の中盤がそれぞれマークをしているので、ジェズスが下がれば数的優位になるはずです。
しかし、パーカー監督は、それに対してもしっかりと対策。
アンカーとしてマーカーを持たないハリソンリードは、下がっていくジェズスをマークする役目となっていました。
ジェズスだけでなく、アグエロやフェラントーレスが中盤へサポートにいった場合も ついていき、プレッシャーをかけつづけていました。
仮に中盤省略で前線にボールが入っても後ろには4人DFが待っているので、そこまで2対4と数的優位な状態で守ることができました。
7分に見られたシーンは、GKからのビルドアップでしたが、ロドリをマークするアンギサがロドリのマークを捨て、メンディーへプレスして奪ったプレーでした。そのときには背後のロドリを別の人が見ているなど、だれがどこでいく、受け渡しはだれにするかというところが明確になっていたと思います。
なので、シティにとってはこれはあまり効果的とはなりませんでした。
対策2 運ぶドリブル
シティの策の2つ目は、CBの運ぶドリブルです。
今シーズン頻繁に見られ非常に効果的に機能しているプレーです。
ロフタスチークだけがCBへプレスをかける3対1の状況であるため、上の図のように左CBからルベンディアスへボールを出せば、ルベンディアスはフリーでボールを持つことができ、ドリブルを開始することもできます。
また、ロドリやベルナルドシルバは自分がマークにつかれていることを利用して、ボールから離れる動きを見せました。そうすることでより簡単にCBがドリブルでボールを運ぶことを促しました。
このドリブルにより、フラムのマークを自分に引きつけそこからフリーな選手を入れ替わり使っていくビルドアップが前半の15分間に見られました。
45分にストーンズが3人を引きつけてカンセロにパス。そこからアグエロのシュートまでつながったシーンがありましたが、まさにCBの運ぶドリブルでマークを外す動きでした。
対策3 レーン移動
そして3つ目が、カンセロのレーン移動です。
マンマークされていることを逆手に取り、大きくポジションチェンジを行い、フラムの選手に決断をゆだねる作戦です。
カンセロがハーフスペースに、ベルナルドシルバが大外のレーンに移動。それに合わせてフェラントーレスがトップの位置に動くことで、もともとついていたマークが大きくずれ、フラム守備組織を左右非対称にさせることができていました。
カンセロにカバレイロがどこまでもついていくわけでもなかったフラムの守備は、そのカンセロの動きをつききれず、前半20分間の間にカンセロからラストパスを3本も出しています。
得点にはなりませんでしたが、効果的だったことは間違いなかったです。
そのほかにもロドリとベルナルドシルバが縦関係(DFラインに一人入り、ストーンズとラポルトをSB的に振る舞わせる)になったり、右大外にポジションを移したベルナルドシルバが個人技でペナルティーエリアに侵入するなど、様々なアクションでフラムゴールを脅かしていました。
しかし、GKのアレオラが枠内シュート3本すべてをしっかりとセーブしています。
アレオラは3失点しましたが、十分に能力の高いGKであることを証明したと思います。
フラムのビルドアップにも言及します。
フラムの上背のあるロフタスチークに簡単に放り込むのではなく、しっかりとGKからつなぐことを選択します。
下の図は、GKからのゴールキックでの1シーンです。
CBがペナルティーエリア幅に広がり、大外にSB、空いたセンターにはハリソンリードが入りますが、シティの方も前からマンマーク。
シティのWGがCBに、アグエロがハリソンリードに、そしてSBにはWBを寄せていきます。
レミナとアンギサにも同じようにベルナルドシルバとロドリがマークをつき、GKからCBにボールが出されたとしても思うように前に運べず、どちらかのサイドで必ずつまっていました。
41分には、カンセロがフラムのミドルパスの目測を誤り、オーバーしてしまったことで、プレス回避となっていましたが、戦術的にはシティの守備も、フラムの守備と同様にうまくはまっていたと思います。
前半は両者譲らずのスコアレスで後半へと向かいます。
3得点は成功?
後半を語る前に試合を通したスタッツを紹介します。
xGはほぼ点差通りの結果でした。
ポゼッションもそこまでシティが圧倒しているわけでもなく、パス数も普段のシティよりもかなり少ない(平均606本)です。それだけフラムの統率の取れた守備の効果が出ています。
クリアの数がシティはフラムの倍の数字にもなっており、よりフラムがシティの陣内にも入っているとも言えます。
この試合のアクションゾーンを示したものです。
左から右がホームのフラム。右から左がシティです。
中央のミドルサードでの試合展開が多く、お互いのゾーンではほぼ同じ割合となりました。
ここからもシティに対して、うまく戦術的アプローチがはまっていた証拠だと言えます。
今日のポイントは後半の部分にありますが、
マンチェスターシティは、フラムのミスに救われた
ということです。
得点を振り返ってみましょう。
1点目のストーンズのゴールは、フラムが自陣でファウルを犯してしまい、そのFKをカンセロがストーンズに合わせたものです。
47分の失点で、ファウルを犯してしまったのは後半開始直後ということになります。前半が良かっただけに、この判断は非常に惜しかったフラム。
2点目は56分。
フラムの自陣でのビルドアップミスからジェズスがボールを奪い、そのまま一人かわしてゴールを決めています。外から中央に誘導するハイプレスがうまくはまりフラムの連係を阻害することに成功しました。
お母さんに電話するいつものゴールパフォーマンスも披露され、フラムを突き放します。
最後の3点目は、60分のアグエロのゴールという最高の形でしたが、このPKもフラムのビルドアップミス。
フェラントーレスがアダラバイヨからボールを奪い、そのままペナルティエリアに侵入した際にアダラバイヨに倒されたものでした。
シーズン中盤になってから引いて固めて守ってカウンター一辺倒ではなく、前からプレスをかけてきたり、ミドルサードでパスの矢印方向を狙ってきたり、中位以下のチームもアグレッシブに、シティに対して挑んでくることが多く見られています。
前半守られてしまったことを嘆いているわけではなく、今シーズンは苦しいときの得点が多いことが非常にポジティブな部分です。
この試合も後半開始直後のFKのチャンスをしっかりとものにしています。
相手のミスもついて追加点もあげています。
得点後、フェルナンジーニョを投入すると、
ロドリがラポルトとディアスの間に入り、ラポルトとストーンズをSB的に開かせ、フェルナンジーニョを中央右寄りに配置。アグエロがロドリのいたスペースに入ってきていました。
83分には、フラムが決定機を作りましたが、ゴールならず。
ミトロビッチのキープからアンギサのシュート。完全にシティDFの裏を取り、シュートさえ、良ければというシーンでした。
フラムはよくがんばったと思いますが、最終的にはクリーンシートでゲームを占め、最高の結果と言えるでしょう。
結果
フラム 0 - 3 マンチェスターシティ
47' ストーンズ(assist by カンセロ)
56’ ジェズス
60’ アグエロ(PK)
HIGHLIGHTS | FULHAM 0-3 MAN CITY
まとめ(今日のジンチェンコ)
出場はなし。
しかし、いつでも出場可能なように準備は怠っていなかった…はず。
次回のジンチェンコは、4月3日レスター戦です。
しっかりと準備しましょう。
本日はメンディーとアグエロが久しぶりにスタメンで出場しました。
アグエロも本調子ではないですし、メンディーも普通のプレーに終始。
特にメンディーですが、モナコのときの勢いはシティで追った怪我により影を潜めています。きっと偽SBではない本来のSBとしてメンディーを活躍し、大外レーンをメンディーに任せ、スターリングをよりゴールの近くでプレーさせようという思惑があったはずです。
しかし、現在のメンディーのままでは、今日の試合のように無難にプレーできるWBを置けるシステムにわざわざ変更せざるを得ないという印象でした。
シーズンの途中からジンチェンコやカンセロが左SBでプレーするようになり、レーンを巧みに移動する偽SBがはまったことで、メンディーの立場は危うくなっています。
もしかしたら、もっとシンプルなSBとしてのプレーを求めてくれるチームに移籍した方が本人の幸せにもなるかもしれません…。
本日は以上です。
クリーンシートで、完勝。
何よりもうまく守られて、前半で得点ができない嫌な流れのある中で修正してしっかりと勝利したことはプラスだと感じます。
あとは先制されたあとでも勝利できるかどうかということですね。
この試合のあとにCLラウンド16メングラ戦、FAカップエバートン戦を勝利。
マンチェスターダービーで完敗しながらも崩れない今シーズンのシティの堅さを感じます。
現在代表ウィーク。
代表に召集されたシティの選手たちが怪我をせずに戻ってきてくれることを心から祈るばかりです。
4月のリーグ戦までしばしの休息。
それでは!