プレミアリーグ第35節 vs Brighton ~ブライトンになにがあった?~
こんにちは。
tadashiです。
目次
はじまり
Jリーグも始まり、Jの試合のレビューが増えるなか、私はひたすらマンシティの試合を書いていきます。
タブレットのなかには非現実な世界がある。それはどこか遠く懐かしい気持ちになり、体験のできない高揚感を生む。
僕はとびきりのウイスキーをロックで用意して、深呼吸をひとつ。
時間は日本時間で4時。周りは一人だけみたいな、朝でも夜でもない不思議な時間。
画面の向こうで写し出される色、光。読み上げられる声。
ホイッスルが鳴ったら僕は夢の世界に入っていく。
起きたら10時でした。
DAZNのこの見逃し配信機能は本当に素晴らしい。
試合を見終わったのはついさっきです。
今日はブライトンとのアウェイのレビューです。
前回の対戦では4点取ってクリーンシートで勝利。昨シーズンは最終節に戦って、勝利を飾りリーグ2連覇を決めた相手。
正式にはブライトン&ホーブアルビオンです。
前節対戦記事[第4節]
PL 第4節 ホーム vs Brighton - tadashicityのブログ
ブライトンは5-2-3でセットし、前線3枚でロドリを囲むような守り方。攻撃時には、左WBが一つポジションを上げて4-2-3-1というフォーメーションでシティ相手にも果敢にビルドアップを深い位置から行うチームでした。
結果
Manchestercity ⚽⚽⚽⚽⚽
Brighton
■得点
21' スターリング (assist by ジェズス)
44' ジェズス (assist by ロドリ)
53' スターリング (assist by マフレズ)
56' ベルナルドシルバ
81' スターリング
■MOM
■ハイライト
フォーメーション
ホームのブライトンは4-4-2もしくは4-4-1-1でセット。前回の5-2-3とは大きく変えてきました。
ビスマ、プレパー二人のボランチが鍵を握ります。
アウェイのマンシティは、左IHにベルナルドシルバ以外は基本のメンバーです。ジンチェンコとメンディーでは今のところメンディーが一歩リードしてるのでしょうか。
ブライトン
前回左CBをつとめていたバーンや、アーセナル戦で決勝ゴールを決めたモペイが控えにいます。
マンシティ
前節MVPの活躍をしたダビド・シルバは控え。今日はブラボではなくスコットカーソンがGKの控えになっています。ギュンドガンはベンチ外です。
前半 人が変わったブライトン
ブライトンの狙い
試合開始
ホームのブライトンを確認
前回対戦では、後ろから臆せずパスを繋いでゆっくり前進しようというゲームプランでしたがこの試合は違うチームとなっていました。
繋げるところは繋ぐけど、なるべく早く前線にボールを渡し、左サイドのベルナルドやビスマのフィジカル、右サイドのモントーヤやモーイの経験とテクニックを使い分けながら攻めようという意志が感じられました。
ブライトンはCBがボールを持つと中盤のビスマとプレパーは、CBのパスコースを作ろうと動きます。両SBもパスを受けられる位置をキープしますが、上の図の両チームの配置を見るとブライトンのビルドアップがあまりうまくいかなかった理由がわかります。
それはシティの守備のせいです。
CBがボールを受けるとシティのWGがSBへのパスコースを切りながらプレスをかけ、ワントップのジェズスは下がりながらボランチを消します。仮にボランチにパスが出てもシティのIHがついてきているので、そこで潰すことができます。
さらにその後ろはシティのアンカーとSBにマークされるので、CBとしてはパスコースがほぼ見えないことになります。
まあ、ブライトンとしては最初からそこまで後ろから繋ぐつもりもなかったように思えたので、そこまで気にしてなかったのかもしれません。
ビルドアップに明確な狙いがなかったブライトンの最大の狙いは「FWを残して、攻撃後の相手チームの背後を使う」ということです。
なので、どちらかというとシティの攻撃後が、ブライトンの攻撃のスタートとなっていたようです。
攻め込まれているときも、コーナーキックのときもFWのコノリーが一人最前線に立ちます。
ボール支配率が70%を越えていたシティ。さらに相手陣内に攻めている時間の多かったシティ。
コノリーは、この試合でもっともテレビに映らなかった選手だろうと思います。
ちなみにこれがブライトンのFWコノリーのプレーエリアです。
攻められていたなかでも高い位置をキープ。何度かシティディフェンスラインの背後を狙っていた姿勢も伺えます。
センターサークルが濃く赤くなっているのは、攻められ続け、シティの最終ラインが高かったからだということもわかってしまいますね。
ベルナルドシルバの適応力
一方、アウェイシティのビルドアップは、いつもの形です。
黒がマンシティ
ブライトンは、コノリーとグロスの2枚で、ロドリを挟み、シティのビルドアップ対策を敢行。ベルナルドやデ・ブライネの動きに対してもある程度はついてくるようです。
後ろはパスの受け手をマークするというのも定石のような形です。シティとすればいつもと変わらない相手の守備とも言えます。
個人的に驚いたのはこのブライトンの守りに対するベルナルドシルバの動きです。
ベルナルドシルバは、CBラポルトの脇に下り、ボールを受けます。SBが本来いるべきポジションでゲームを作ろうとする姿をあまり見たことがなかったので、いつの間にかIHとしても完全に順応している!と思いました。
これまではもう少し中継ポジションにいて、ジンチェンコが内に絞るときのような位置でプレーしていたような気がしましたが、まるでマドリーのモドリッチのようにSBを高い位置に押し上げるためのポジショニングを取っていました。
さすがにここまでついていくと中央ががら空きになるので、プレパーはついていけません。マークが曖昧になったブライトンはスペースをシティに譲るような形になりました。
両チームの狙いがわかったところで、時系列で振り返りましょう。
3分のブライトン。
シティの右サイドから左に展開。モーイとモントーヤのコンビネーションでクロスまで。
5分
メンディーのクロスからジェズスのヘディング。
ここで出ました粕谷さんの辛口コメント。
14分にはモーイの飛び出しもありました。
先制点は21分のスターリング。
右サイドでボールを繋ぎ、マフレズがルックアップ。人に対してマークしていたブライトン。マフレズが前線へパスを出したときには、後ろにはCB2枚しか残っていなかった。一方、シティはジェズスとスターリングの2枚。質的には圧倒的にシティが上回りたった二人でフィニッシュまでいきました。
22分には、右サイドのスローインからマフレズが中央突破。左サイドを猛烈にかけあがるメンディーへ。
メンディーがそのままシュート。これが彼の魅力ですね。
この間ブライトンも黙っているわけではなく、アンカーを一枚にしたり、前線のセットを変えたり、工夫を施します。
25分のトロサールのシュートや、39分のシュート。
しかし、44分のコーナーキック。
ロドリがヘッドでそらして、ジェズスがプッシュ。
久しぶりにコーナーキックからの得点を見ました。
ちなみにジェズスはこれまでプレミアで32点取っており、そのうち30勝をしているようです。すごい勝率。
すかさず粕谷さんも「このデータを糧にもっと頑張ってもらいたい」とのこと。この人ジェズス嫌いなのか笑
後半 アグエロがいなくても…?
技術の重要性
後半開始
後半は47分のメンディーのドリブル突破からスタート。
その後立て続けに、FKからデ・ブライネがポストにあて、53分にスターリングの2点目。
さらには56分のベルナルドシルバのゴール。
これによってほぼゲームは決まってしまいましたので、両チームとも残りは消化試合のような雰囲気に。
後半のポイントは「ブライトンのミス」です。
ビスマはボール奪取能力が高いけど、取られる回数も多い。
ベルナルドは、前ばかり見ていて視野が狭い。
ライアンはベルのど真ん中へのシュートをファンブル。
せっかくいい位置でボールを繋ごうとしても
横パス、ポジショニング、ビルドアップとことごとく狙っているプレーを技術的なところでミスをし、シティにチャンスを与えていました。
前半から32分、35分、54分など中盤でのミスを連発。ミスを真剣な数えたら10は越えていたような気がします。
ブライトンは後半シュート「0」でした。
後半、メンバー交代をしたブライトンは、スティーブンズをアンカーに、ビスマやベルナルドが高い位置に。バーンが左SBなのかどうなのか、ベルナルドは非常に中途半端な位置が気になりました。
もし、前回対戦のときのように5バックから可変的に4バックへ移行させるつもりだったら、シティに攻めこまれすぎて、ベルナルドが戻れもせず攻めれもせずになっていたのでなんとなく事象に対する納得ができます。
きっとそうなんだろうなぁ。
スターリングハットトリック
63分にジェズスが交代したあとは、スターリングが1トップとなります。
スターリングは、IHの位置まで下りてくることも多かったのですが、その切り替えも素晴らしく、次の瞬間には前線に飛び出します。ポストプレーも可能で、万能さも感じます。
77分のシーンはまさにスターリングのポストプレーから、マフレズの飛び出しのスペースと時間を作り出しました。
さらに81分のスターリング3点目は、まさにその飛び出しからのゴールです。まあ、頭にあたっただけなんですけど、あれがそのまま入ってハットトリックとは珍しいゴールでしたね。
みんな落ち着いてこの不思議なハットトリックを見て。 pic.twitter.com/dgwPLf23Mh
— ただし (@tadashi0716) 2020年7月13日
スターリングのヒートマップです。中央でのプレーはおそらく1トップになったあとでしょう。左寄りではありますが、アグエロがいなくなったあとでも1トップの問題はスターリングでも計算できるんじゃないかと思います。
得点力、プレーエリア、スタミナ、だれをとってもアグエロやジェズスと同程度のクオリティだと言えます。
今日のハットトリックで、プレミア19ゴールとなり、アグエロを抜いてチーム内得点王となっています。
まとめ
マンシティのプレーエリアを振り返り。
スターティングイレブンのプレーエリア。プレーエリアは試合を通した平均の位置なので、右サイドのようにデ・ブライネとマフレズが重なってるように見えますが、これはお互いがお互いの位置を意識しながらレーンの移動を頻繁に行っていたことの結果です。
特筆すべきは20番のベルナルドシルバです。左IHでの出場のはずなのに、プレーエリアがアンカーのロドリとほぼ同じです。それだけピッチを広くカバーしていたということでしょう。途中から右IHに移ったことも理由かもしれません。
交代選手も含んだプレーエリアです。
中央から人がいなくなりました笑
特に、左サイドは、ジンチェンコ、ダビド・シルバ、フォーデンがかなり近い位置でプレーしています。
メンディー、スターリング、ベルナルドシルバの組み合わせよりもそれぞれの距離感を大切にしているようにも思えました。
プレーエリアを見るだけでもマンシティの左右での考え方は大きく違うことがわかります。
SBの位置、IHとWGの位置にここまで差が出るのかという感じです。
少しだけSBにも言及
22番のメンディー、11番のジンチェンコ、2番のウォーカーのプレーエリアを見てください。
まず左SB同士の比較。
メンディーとジンチェンコのプレーエリアを見ると左SBの周囲にいる味方の距離が違います。
ここからわかることは、メンディーが独力での攻めることを計算し、ジンチェンコが周囲との連携で攻めることを計算しているということかな、と。
次に両SBの比較です。
ウォーカーの位置が左SBよりも低い位置です。
ウォーカーのスプリント力は攻守両面で活かしたい。今日の試合でも43分にあったような後ろからの持ち上がりで一気にかけ上がることもできる。カウンターのときもだれよりも早く戻り、失点を防ぐ。
さらには、マフレズとデ・ブライネの攻撃性を最大限き引き出せる。(守備の負担を減らすということ)
指揮官としてこれほどまでに有能なサイドバックはいないでしょう。
最後に
最終的には、個人の力もチームとしての力も差があって押しきられたブライトン。なによりも中盤でのボールロストが多すぎました。シティだけではありませんが、強豪チームが相手のミスを見逃すわけがありません。
パスミス、トラップミスは、特に自陣でのミスはそのままゴールになる可能性も高い。繋ぐ意識が、リーグ終盤になって低くなっているとは言え、ブライトンはゴールキックでCBに繋ぐ場面も何度か見られ、その度にと言っていいほど、プレパー、ビスマのところで引っかかっていたのでここは改善が必要です。
というのは、前回対戦のレビューでも書いていました。そこが改善されずビルドアップへの固執をやめたのかもしれません。
プレミアリーグも残りあと4試合。
今節の勝利で2位が確定しました。9敗したけど、なんとか2位。リバプールは置いといてプレミアリーグ全体のレベルが上がったんだろうと思います。
カップ戦3冠目指してシティは勝ち続けますし、来シーズンのチームをつくる期間でもあるので、大事にしてもらいたい!
※FFP違反のCAS結論が出ました。
シティはCLに出場できるし、罰金も30万ユーロから10万ユーロに減額。
FFPっていったいなんなんでしょうね。と思ってしまう判決です。
ファンとしてもなんとも複雑な気持ちになりました。
次の試合も応援しましょう!
それでは!