リーグ最小失点で首位をキープしているマンシティの守備を数字で見てみよう
こんにちは。
tadashiです。
さあ、今宵も始まりました。tadashiの企画シリーズ。
今日のお題はマンチェスターシティの守備
現在、プレミアリーグ25節終了時点で最少失点の15失点。堂々の首位をキープ。
このマンチェスターシティの守備については、ルベンディアスの存在の大きさ、ストーンズとのコンビ、偽SBによる被カウンター対策などポジティブな側面が取り上げられている。
もちろんそれは良いことで、怪我などでストライカーが十分にそろっていないマンチェスターシティにおいて守備がしっかりしているというのは何よりも大切なこと。今でこそギュンドアンが年明けからハイペースで得点をあげているが、それまではこの守備の硬さに救われていたと言ってもいい。
でも、待てよ。
15失点しているという事実が数字として存在している以上、そこを分析され、弱点をつかれたら、今シーズンではないにしろ、いずれどこかで、足元をすくわれるのではないかと勝手に一人で危機感を持っている。
毎日毎晩毎朝マンチェスターシティの失点にはどういった特徴があるのかを脳内に巡らせ、そこそこの睡眠とそこそこの食事しかとれていない。健康になってしまう。
今回は2部構成にし、まずは、腰をすえてマンチェスターシティの15失点を数字で表現し、何か特徴がないかを検証してみよう。
前段はこれくらいにして。
それではどうぞ。
※今回は第1部です。第2部を想像しながら読んでみてください。
第一部 失点にまつわる数字たち
失点の推移
まずは、今シーズン(25節時点)の失点の推移を順延なども考慮した時間の経過ごとに見てみよう。
第25節を終えた時点で15失点。リーグ最少失点。
第3節のレスター戦以降複数失点はたったの1回。第4節からルベンディアスが初出場して、失点が激減。
第10節にストーンズが復帰してからは、4点しか取られていない。クリーンシートは15回。
CBの組み合わせでの失点を見てみると以下の表になる。
ストディアス | ストラポ | ディアスラポ |
ディアスガルシア |
ストアケ |
ディアスアケ | アケガルシア |
13 | 1 | 6 | 1 | 1 | 2 | 1 |
2 | 0 | 5 | 1 | 1 | 1 | 5 |
そのうち最多失点がディアスラポルトとアケガルシアのペア。
第25節までにペップが採用したCBの組み合わせは表の7組。
最多失点は5失点。
ディアスラポルトは0.83失点/試合に対してアケガルシアは5失点/試合と悲惨な結果に。それもそのはず。このアケとエリガルくんがコンビを組んだ試合は大敗したレスター戦。
レスター戦はデータから除外した方がいいのかと思いながらもこのまま進めていく。
もっともコンビを組んでいるストーンズディアスは0.15失点/試合と驚異的な数字。点を取られる心配はほぼない。
1試合しかペアを組んでいないが、ストーンズラポルトのペアは失点をしていない。この二人のシティへの愛の力か、それとも二人の友情か。(そんなはずはない)
意味があるのか不明だが、個人で見るとルベンディアスが9失点、アケとエリガルくんが6失点、ラポルトが5失点、ストーンズが3失点です。
ストーンズさすがですね。復帰から好調をキープ。ルベンディアスという最高の相棒ができてからですね。
ストーンズはきっとディフェンスラインで先頭にたって引き締めたり、中心になったりするのが苦手なんだろうなと思います。
ちなみに1試合あたりの失点数はストーンズが0.21失点/試合と圧倒的に失点していない。
ただ、エリガルくんを除くCBは1失点/試合を超えていないのが今年のシティの守備の固さを物語っている。
強引に結論付けるとイングランド人CB最強!
です。
失点の時間帯
失点をしている時期がわかったところで、次は90分の試合の中での失点が多い時間帯を見てみよう。
ここでは昨シーズンの同じ分析結果と並べてみる。
昨シーズンは、序盤と終盤での失点が多かったが、今シーズンは序盤と終盤の失点が減少。後半開始直後の15分間での失点が33%で最多という結果になっている。
前半と後半での失点を比較すると、前半の失点が減少。
この33%というのは数字で表すと5失点。45~60分の間に25試合で5失点している。
内訳を示すと、
レスター 2点
リーズ 1点
トッテナム 1点
リバプール 1点
となる。
この4試合の戦績は2分2敗。
実はこの後半開始直後に失点した4試合で勝っていないことがわかった。
なんとも極端な数字だ。
そもそも25試合で5分2敗しかしてないのにその4/7をこの時間での失点の試合になるとは驚きだ。
後半開始直後の失点は、先制点であれ、同点弾であれ、追加点であれ、十分に相手チームのメンタルを消耗させることのできるプレーだ。
数字的には全然根拠もないけれど、そういった効果もありそうだ。
ちなみに上の4チームを率いる監督は、ロジャース、ビエルサ、モウリーニョ、クロップ。良い意味でペップシティを知る名将ということも何か関係があるのだろうか。
データから得られる結論を強引に言うとするならば、シティは後半開始直後に攻め込まれると弱く、失点すると勝てない。
失点の発生位置
続いては失点が発生した位置を整理する。
昨シーズンにシティのデータを分析した記事を書いたがそこでも使ったデータ分析。
今回はさらに細かくピッチを分割し、11分割で失点の発生位置を表してみた。
また、得点のパターンを2種類仮定してみた。
1つが得点者の判断、技術から生まれるもの。これはミドルシュートやドリブルからの単独突破によるゴール。複数の選択肢がある中で得点者がゴールを選択したもの。これを分類aとする。
もう1つは、得点者の判断に関わらず、シュートを打つだけのラストパスによりゴールが生まれるもの。マンチェスターシティでよく見られるグラウンダーの高速クロスからの得点はこのパターンに分類される。これを分類bとする。
今回は分類aのゴールにおいてはシュートを打った位置を発生位置とし、分類bのゴールはラストパスの位置を発生位置として、全15失点のデータを抽出した。
その結果が以下である。
まずは、失点の位置。
PK多すぎ問題
失点が少なく、傾向が出ないと思っていたが思わぬところに伏兵が潜んでいた。
15失点中5失点がPKである。
3分の1がPKなのはいかがなものかとも思う。
データ関係なくペナルティエリア内での守り方に問題があるとしか言えない。
PKの内訳を紹介するとレスターに3点、 リバプールに2点だ。
続いて、失点が多いサイドを見てみるとシティ側の右サイドが一番多く4失点(①、②、⑦)。意外だ。
ウォーカー2試合、カンセロ2試合だった。
ちなみに分類aとbは、aが3点、bが6点という結果になっている。
パスからの失点の方が個人での打開よりも2倍多い。
踏み込んでいくと、④bと⑧bが最多の2点ずつ。
つまりシティ側の左のペナルティーエリア深い位置とペナルティーエリア手前のスペースからのラストパスで失点していることが多いということがわかる。
偽SBやロドリの守備になにか因果関係があるのだろうか。
SB-CB間を取られたときにシティはCBがカバーするから?
ロドリが最終ラインに吸収されることでボールホルダーへのプレスがかからなくなるから?
答えは「わからない」だ。それこそ走った方向と距離を細かに見ていかないといけない。一人では無理だ。
またまた強引に結論付けるとPKをとられやすく、両サイドの深い位置からのクロスに失点しやすい。
得点者と部位
マンチェスターシティの失点はどの位置で多く生まれているかがわかったら、次は得点者がだれで、どの体の部位で失点が発生しているかを知りたくなるのが人だ。
ここでは、得点者とその選手の特徴、そしてどの部位でシティから得点をあげたかを抽出した。
1位はレスターのヴァーディ。
第3節の大敗は今シーズンのスタートを物語るうえで象徴的な試合だった。引いて守ってカウンターというわけでもなく、運ばれてサイドで数的優位を作られて、ここぞというときに走り出すヴァーディに誰もついていけなかった。
2位は2試合して2点取られたサラー。
この二人はどちらもPKでしかシティから点を取っていないので、ノーカウントにしてもいいが、そこに運ばれるまでの形は良くなかった。しっかりと失点という現実を書き留めておきたい。
PKを足にカウントしないこととして、もっとも決められている部位は足で7失点。
サッカーというのは主に足でボールを扱うのだから当然といえば当然だ。
しかし、ヘディングでの失点が2点しかなかったことに驚いている。
それだけクロスへの対応が良かったのかもしれない。たしかにペナルティーエリア内での競り合いに負けている姿を今シーズンあまり見ていない。ルベンディアスが入っただけなのに。
考えられるのは、良い形でクロスをあげられていないのか、守備の基本である体をしっかり当てているからなのか。それはちょっとデータからはわからない。
シティ相手に得点を決めた選手たちの特徴は、スピードのある選手が多い。
ヴァーディ、サラーはもちろんのこと、ソンフンミンやハドソンオドイが該当する。
次に多いのが中盤のダイナモでありゲームメイカーである選手の得点。ティーレマンスやロチェルソ、そしてマディソンが該当する。
私が予想していたのはフィジカルの強い選手にド派手に点を取られてしまうのがシティの弱点だと思っていたが、どうやらそれは克服したようだ。
アントニオ、ヒメネスといった屈強なフィジカルでおしてくる相手にいつまでもやられていては優勝なんてできない。
しかし、CLに目を向けると、リーグで多く点を取られているスピードタイプやテクニックタイプと対戦することの方が多いのではないかと心配になってきた。
得点者のチームとポジション
次のデータ抽出は得点者の所属チームとポジションだ。当然、この流れであればこの二つの指標も気になるだろう。
ぜひ、以下の結果を見て「えー、そうなんだぁ」と言ってほしい。
レスター | 5 |
リバプール | 2 |
トッテナム | 2 |
リーズ | 1 |
チェルシー | 1 |
エバートン | 1 |
ウルヴス | 1 |
ウェストハム | 1 |
WBA | 1 |
上の表と図が結果である。25節までのシティから得点をあげたチームは全部で9チーム。
19チームいるので半分のチームからは失点をしていない。まずまずの成績だと思う。
また、得点したポジション別に見るとFWが最多で11点。なんとも普通の結果だ。
CBによる得点がないのは先ほども書いていた通りセットプレーやヘディングでの失点が少ないことに関係する。
プレミアリーグのCBがゴール前で足技で相手をかわしてシュートを決めるなんて想像もできない。
得点者の国籍と大陸
そろそろ気になってくるポイントがわかったところで最後がこれだ。
マンチェスターシティから得点をあげているのはどの国が多いのか、そしてどの大陸が多いのかをここでは表している。
メキシコ | 1 |
イングランド | 6 |
ベルギー | 1 |
ブラジル | 2 |
エジプト | 2 |
韓国 | 1 |
アルゼンチン | 1 |
フリー素材を取ったのだが、私の母国日本とプレミアリーグのイングランドがない笑
大陸ごとに見るとまあ当然のようにヨーロッパがダントツ。イングランドプレミアリーグなので、当然だ。
次いで多いのが南米。アルゼンチンとブラジルだ。
サッカーの強い国にシティは得点をとられる(適当)
分析結果
とういうことでまとめ。
シティの失点を分析した結果、一つの回答が得られた。
あくまでデータをもとに導き出したことであってこれを真に受けてクレームなどは入れないようにしていただきたい。
しかし、私は心の広い人間なので、もしクレームがあるのであればDMも受け入れるし、インスタでのやりとりも問題ない。望むのであればLINEさえ教えよう。
どんなにクレームを言われても私は通報などはしない。
ただ一つだけ言ってやる。
異論はことごとく却下だ。
回答はずばりこれだ。
後半開始から60分の間に、ヨーロッパ大陸の足の速いFWにPKを取られる
え? 暴論過ぎないかって?
仕方ないじゃないか。こんなにPKを取られるなんて思っていなかった。
全部マンチェスターシティが悪い。
ここで終えてしまうのも非常に後味が悪いので、冷静に結論を導き出すと以下のようになる。
後半開始から60分の15分間に、左サイドをえぐられてラストパスを中央のイングランド人FWに送られるか、右サイドからイングランド人MFに直接ゴールを奪われる
ということになる。
みなさんはどういう印象を持っただろうか。
第一部まとめ
今回は、マンチェスターシティの失点をデータからいろんな角度で見てきた。
結論を整理すると以下のようになる。
■第25節を終えた時点で15失点
■1試合あたりの失点数はストーンズが0.25失点/試合で最も少ない
■ストーンズディアスは0.23失点/試合で最も少ない
■後半開始直後の15分間での失点が33%で最多
■シティは後半開始直後に攻め込まれると弱く、失点すると勝てない
■PKをとられやすく、両サイドの深い位置からのクロスに失点しやすい
■シティ相手に得点を決めた選手たちの特徴は、スピードのある選手が一番多い
■シティから得点をあげたチームは全部で9チーム
■ポジション別に見るとFWが最多で11点(73%)
■ヨーロッパ大陸の選手に得点を取られる
個人的に一番驚いたのは後半開始15分間の失点が多かったことと、CBに得点をあげられることがなかったこと。
それだけでも昨シーズンと変わったと思えた。
あとは数字的にもストーンズが結果を出していることがシティファンからするとうれしい。
今回は、CBの結果だけに着目したが、ロドリ、カンセロ、ジンチェンコがチーム内のインターセプト数のトップ3だったり、ベルナルドシルバの運動量やジェズスの前線からのチェイシングなど、リーグ最少失点にはいろいろな要素があるのはみなさま承知の井実。
昨シーズンまで失点よりも得点というイメージの強かったシティが引いて腰をすえて守れるようになったのも喜ばしく思える。
ファン冥利に尽きる。
今日のお話は以上です。
長々と駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
少しでも目を通してもらえて本当にうれしいです。
次回は、このデータをもとにマンチェスターシティから得点を奪ってみたいと思うので、次もこんなくだらないことにお付き合いいただけるとうれしいです。
それでは!