満身創痍の勝ち点1 ラ・リーガ第35節 レアルマドリード vs セビージャ
こんにちは。
tadashiです。
今回は、レアルマドリードのレビューをしていきたいと思います。
リーガ優勝戦線に辛うじて残っているマドリー。
多くのけが人に悩まされながら、CLベスト4、リーガでの優勝争いを演じているジダンには頭が上がりません。
リーガでは、ライバルチームの足踏みにも助けられてはいますが、ここまで踏みとどまっているのは、選手たちのがんばり、ジダンのモチベーターとしての手腕のおかげです。
チェルシー戦のことは終ぞ語るつもりはありません。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム レアルマドリード
チャンピオンズリーグチェルシー戦で、ラモスとメンディーが再び怪我。
ルーカスバスケスとカルバハルもいないことから、サイドバックは右がオドリオソラで、左がマルセロ。
もはや選択肢はありません。
マルセロはキャプテンを務めるとともに偉大な先輩ロベルトカルロスと並びブラジル人の出場記録第一位となりました。
■アウェイ セビージャ
前半開始はオカンポス、前半の途中からパブ・ゴメスがトップの位置に。おそらく0トップ。
右サイドバックのヘスス・ナバスは35歳。怪我もなく元気です。どういうことですか。
前節、審判への抗議で退場しているロペテギ監督はイエローカードをもらい、なんと累積でベンチに入れず。
両チームの状況を整理
■2位 レアルマドリード
首位アトレティコと3位バルセロナの試合がドローで終わったことで、この試合に勝てば単独首位となるレアルマドリード。
この試合の前の段階で、複数怪我した選手もカウントして57回の怪我を数えている。
構想に入れていなかったカスティーリャの選手もベンチに入れないともはや人数もそろえられない状況。
4月のクラシコは勝利したものの、ヘタフェやベティスに引き分けるなどなかなか調子が上がらない。
■4位 セビージャ
前節ビルバオに敗戦。
いよいよ優勝戦線から離脱したかと思いきや、アトレティコバルセロナの試合がドローに終わり、レアルマドリードに勝利すればまだ可能性が残っていた。
ビルバオ敗戦前はリーグ5連勝。それどころか3月から負けていない。
シーズン通したポゼッション率はマドリーよりもセビージャの方が高い。
しかし、セビージャは枠内シュート率がエイバルに次いでリーグで下から2番目という不名誉な記録もあります。
マドリーの守備
試合はマドリーボールでキックオフ。
大方の予想通りボールをキープするのはセビージャ。
開始2分にショートカウンターでヴィニシウスがドリブル突破を見せました。
お互いのチームの入りから、マドリーには、セビージャのポゼッションを阻害して縦に速く攻めたい印象を受けました。
セビージャは両SBが高い位置を取り、WGの二人がハーフスペースに入り込むことで、相手のDFラインの前に人数を割きながら、幅を取って守備組織を広げ、フィニッシュに持っていこうという狙いが見えます。
後ろにはフェルナンド、クンデ、ジエゴカルロスと守っても運ばせてもパスを出させてもハイレベルな選手が3人いるので、ほかの選手たちは安心して前に出られるのです。
ここはマドリーも同じかもしれませんね。
ということで、マドリーの守備をクローズアップします。
以下のツイートは私が試合中に見て感じたことです。
バルベルデがWGをやるのが常に「相手のサイド攻撃を食い止める」という守備戦術的側面が大きくて、エレガントなプレーで観客を魅力していたジダンは監督としてはリアリストなんだなと思う。
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月10日
バルベルデをインサイドで起用する戦術的側面が今の起用理由を上回らないとなかなか変わらないだろうな。
この試合もバルベルデがWGで起用されています。
クラシコでもそうでしたが明らかに守備のためのWG起用です。
しかも、今日に関してはヴィニシウスに対しても守備のタスクを課していました。
ポイントとしては以下
- ベンゼマはアンカーのフェルナンドをマーク
- 両WGは、高い位置と取るセビージャのSBをマーク
- 4バックはコンパクトにラインを形成
- 残りへの対応はモドリッチとクロース(セビージャのビルドアップに対して前に出るのはモドリッチとクロース)
スパルタすぎますね。ジダン。
攻撃は奪った後のカウンター。
肝はベンゼマ。
もちろんベンゼマはその役目をまっとうしますが、得点は得られず。
22分に先制点を与えてしまいます。
それでも少ないながらもチャンスを作ったマドリー。
12分に右サイドからオドリオソラがクロスを上げ、ベンゼマのヘディングシュートがネットを揺らしましたが、オドリオソラがオフサイドで得点ならず。
29分にもヴィニシウスがドリブルで切り込んでシュート。
ヴィニシウスとマドリーらしさ
ヴィニシウスすごくいいけど、ほんとにシュートだけだな。がんばれまじで!
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月10日
これも私が試合中にツイートしました。
彼に決定力が備わったらすぐにでも世界最高のプレーヤーになれます。
22分の得点後、引き始めたセビージャ。
ブロックを作ってトップの選手からパスコースを切る守備を見せるセビージャでしたが、むしろそういうドン引きしすぎない守備ブロックの相手の方が力を見せるマドリー。
37~38分のシーンです。
クロース+CBでセビージャの選手を3枚つり出し、ビルドアップに関与しないカゼミーロがベンゼマと縦関係になったところを狙って、崩しの縦パスを入れます。
レアルマドリードのビルドアップから崩しの中でよく見られるのがその縦関係です。
あえてパスコースに入るように立つことで相手の注意を”本当にパスを出したい相手”から引き離すことができ、間に立つ選手がスルーをしてパスを繋いでいくやり方です。
ビルドアップにも、崩しの局面にもマドリーは多用します。
このシーンもまさにカゼミーロがスルーをしてベンゼマにボールが入り、そこから左ハーフスペースのヴィニシウス、右のモドリッチとセビージャの視線を大きく動かし、大外右のオドリオソラにパスを出しました。
このシーンは、バルベルデとオドリオソラが一瞬被ってしまい、アクーニャにカットされましたが、マドリーらしさの出た良いプレーだったと思います。
引いたセビージャにオドリオソラ
前半追いつくことができなかったレアルマドリードは、攻める必要が当然あります。
一方のセビージャは後半開始から引いてブロックを形成。
試合はマドリーがボールを保持しながら、セビージャがカウンターを狙うという前半とは逆の展開となりました。
ここで意外にも効いていたのがオドリオソラでしたね。
オドリオソラは足が速い。どうやら速いようです。
攻めに転じるマドリーはマルセロもオドリオソラも高い位置を取ります。
足の速いオドリオソラを止めるために、アクーニャやオカンポスが下がってきて、オドリオソラの後方をCBやモドリッチが比較的プレッシャーのかからない状況でボールを持つことができました。
円の箇所がプレッシャーのかからない位置。
モドリッチは積極的にこの位置でボールを受けていましたし、ナチョやミリトンもこのスペースにドリブルでボールを運んでいました。
面白いことに形としては、前半セビージャが攻めていた様子とほぼ同じです。
違うのは、マドリーの場合アンカーのカゼミーロがトップ下のような位置に行くことです。
これにより今シーズンはいくつか得点をあげているので、重要な配置でした。
52分、59分、60分とマドリーは立て続けにシュートを放ち、少しずつ得点の可能性も感じ始めます。
そして、67分にようやく同点ゴール。
モドリッチと交代で入ったアセンシオがファーストプレーでゴール。
セビージャのビルドアップをカットしてからのショートカウンター。
これもハイライトを見てもらうとわかりますが、クロースがペナルティーエリア手前で持った時にカゼミーロがクロースを追い越し前線に走っていったことで、スペースが生まれアセンシオへのラストパスに繋がりました。
これで状況はイーブン。振り出しに戻ります。
ここで、この試合珍しいことが起こりました。
珍しいこともあるもんだなぁ。
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月10日
ベンゼマが倒されてPKか?
→うーん、ブヌの手が当たってると言えば当たっている
→その前のコーナーでミリトンがハンドしてる
→セビージャにPK
75分 セビージャのコーナーからカウンターを仕掛け、ベンゼマの飛び出しにセビージャGKブヌがファウルを犯したシーンで、最終的にその前のコーナーでミリトンがハンドをしていた、というVARの判定。
これにより獲得したPKで勝ち越したセビージャ。
勝てば優勝の可能性がまだ残ります。残るはずでしたが。
満身創痍でも勝ち点1
満身創痍です。
今日のジダンの采配は、ずばり的中という感じでしたが、ここにきてようやくアザールが試合に出られるようになったところで、けが人が多すぎてもうどうすればいいのかわからないといったように見られます。
そもそも戦術家ではないジダンは、限りのある戦力で相手チームを分析し、「少ない力で最高の効果を」という監督でなないので、能力のある選手が軒並み試合に出られないのであればそれは難しいことでしょう。
それでも、依然としてリーガのタイトルの可能性を残しているのはさすがジダンというべきか、なんとまあジダンというべきか。
個人的にはジダンの元に、戦術家タイプのアシスタントコーチか、若手育成に定評のあるアシスタントコーチを置いてほしいと思います。
この試合のあと、気づけば62回目の怪我人が出ました。メンディーは今シーズン終了、ラモスも不透明。オドリオソラも怪我のようです。
グラナダ戦はだれが守るのでしょうか。
しかし、それでもまだ可能性を残しているジダンマドリー。
敗戦濃厚だったこの試合もロスタイムに同点。しかもアザール。
しぶとすぎます。
結果
レアルマドリード 2 - 2 セビージャ
22' フェルナンド(assist by ラキティッチ)
67' アセンシオ(assist by クロース)
78' ラキティッチ(PK)
90’+4 アザール(assist by クロース)
それにしてもここまでどのチームも頭一つ抜けないのはなんとも情けない、とは思います。
下のチームと差が広がってきたというわけではないですよね。
マドリーも同様ですね。
しかし!勝利の女神はまだレアルマドリードを見捨ててはいない!
というこで、金曜日のグラナダ戦に文字通りすべてをかけて、勝利をもぎ取ってほしいと思います。
それでは!
CL準決勝 vs PSG マンシティはいかにしてPSGに逆転したのか
こんにちは。
tadashiです。
あと2勝
マンチェスターシティが目指した頂はもうすぐそこまで来ている。
ペップグアルディオラが招聘されたときにだれもが思った。
準決勝第1戦 PSGのホーム パルク・デ・プランス
それでは振り替えっていきましょう。
プレビューはこちら
両チームのスタメン
両チームのスタメンはこちら。
特筆すべきはこのコロナ禍の過密日程の中で怪我人がどちらにもいないことです。
前半:PSGが狙ったこと
それはたった二つ
・シティのビルドアップを中央で奪う
・最初にネイマールとエンバペを見る
パリの狙いは開始2分にさっそく見られました。
中盤でのビルドアップで、ロドリにボールが入ったところでカット。
シュートを放ちます。
シティからすると開始早々のロドリのロストは試合の流れを左右するものでした。
トゥヘルのときと比べて、ポチェッティーノはあまりポゼッションに固執しない監督なので、この試合もシティにボールを持たれることを嫌っているようには見えませんでした。
むしろ積極的に持たせて、狩場に誘導してゲイエ、パレデスで奪うという戦術を基本としていました。
ネイマールとエンバペの二人が守備でもアンカーを消したり、サイドに追ったり、パスコースを限定したりしていたのがこの作戦の肝であり核。
18分のシーンでは、シティのスピードを中盤で落としたところをネイマール、エンバペが下りて挟んでボールを奪っています。
本気のときのPSGは、全員が守備をするのです。
PSGの攻撃はどうだったかというとこれまた非常にシンプルです。
4-2-4と前からくるシティに対して、ビルドアップでパレデスがCBの間に下りてSBを押し上げ、ヴェラッティがシティの配置の穴をついたりと工夫が見られましたが、
崩しの局面では、どれだけネイマールとエンバペに気持ちよくプレーさせるかという点に気を配っていたと思います。
顔を上げたらネイマールとエンバペを探すのが攻撃のスタートに見えました。
特に、ヴェラッティとディ・マリアはネイマールのポジションに合わせて、下りたりサイドに広がったり、中に入ったり、ドリブルでネイマールのスペースを作り出したりと、良い意味での接待サッカーをしていました。
前半に限って言えばカンセロの裏をSBのフロレンツィが狙うシーンがありました。
開始早々の4分は、ディ・マリアにつられたカンセロの裏。
33分は、ネイマールから右に展開し、ディ・マリアとフロレンツィで崩したシーンでした。
SBが押しあがることで、シティのWGは下がらざるを得ません。それをさぼればフロレンツィのオーバーラップのようにシティのSBの裏をうかれクロスを上げられてしまうのです。
一方のマンチェスターシティは、デブライネの0トップでかつ、ギュンドアンがロドリの横に並びます。
デブライネが左のハーフスペースに下りてきてしまうので重心が重く、パリのDFラインの前にはシティの選手がいない状況もかなり多くありました。
縦パスを入れてもリターンが多く、相手を動かすことにはならず、前には進めどゴールが遠い状況。
唯一のチャンスらしいチャンスは、前半はまらなかったプレスがふとしたときにはまったときでしった。
32分にDFラインでのビルドアップにプレスをかけたところをパリの方でミスがあり、シュートまでいけたシーンでした。
後半に向けてのポジティブなことは、このDFラインのミスの可能性ぐらいだったかもしれません。
前半終盤はボールを持つこともできない時間帯もあり、おそらく0トップだったときの作戦をポチェッティーノに持たれていたと考えられます。
前半のスタッツです。
シティは最短でサイドチェンジを行い、PSGを揺さぶりたいのに、その過程で奪われてショートカウンターを受けるという展開で前半が終わってしまいました。
ポゼッションは上回っているが、負けているという嫌な展開。
なにより、プレミアでは考えられないほどの圧倒的な個が組織だったシティを内面から削り取ってくるようでした。
得点となったコーナーキックにつながったネイマールの左サイドでのワンツー。あんなのプレミアでやってる人見たことないです。
不覚にも楽しい…!と思ってしまいました。
後半:メンバーチェンジなしで見せた変化
昨シーズンの決勝戦を思い出す
19-20シーズンの決勝。
バイエルンvsPSGの試合を思い出すと、PSGは前半からバイエルンにハイプレスを慣行。
この作戦が良かったのか、前半はスコアレスドローで折り返しました。
しかし、問題はここから。
前半から繰り返してきたハイプレスは少しずつ弱まり、唯一奪われた1点により敗北し、準優勝という結果に終わったのでした。
プレッシャーラインは昨年より低い位置だったとは言え、ネイマールやエンバペにも守備をさせ、マンチェスターシティのビルドアップを中央で阻害したPSG。
その勢いそのままに後半に挑むことは、ポチェッティーノにはできなかったのだと思います。
だからこそ、ネイマールとエンバペの守備を減らし、ブロックを作るようにしたPSG。これが結果的にかなりマイナスに働いたのです。
フォーデンの位置
後半に入るタイミングでのメンバー交代がなかったマンチェスターシティは、配置の変更で状況を盛り返します。
PSGが引いた守りになることで、後ろの選手たち(ストーンズ、ディアス、ロドリ、ギュンドアン)が、前半よりもゆとりを持ちボールを捌くことができるようになりました。
それに合わせて後半からはフォーデンを真ん中に固定し、ギュンドアンとフォーデンの間にデ・ブライネをおろすことで、デ・ブライネをプレッシャーの外側に置こうと考えました。
前半はDFラインの前という選択肢がなかったことで、PSGにパスコースを予測させやすくしていたので、選択肢を増やして狙いを絞りにくくさせようとしたのだと思います。
現に、これにより前半にはなかったくさびのパスも通るようになっています。
守備の基準
もう一つ変えたことが守備の基準点です。
4-2-4や4-3-3でWGが外切りする守備をベルナルドシルバを1列前に上げたシンプルな4-4-2に修正。
さらにロドリとギュンドアンでパレデスとゲイエを見ることにしました。
この修正により、PSG側に余る選手がいなくなり、よりシンプルに守ることに成功します。PSG側は、中央の2人が不自由になったため、パスコースが限定され、DFラインからボールを繋ぐことができなくなっていました
ボールは常にシティが持つようになり、ゲームをコントロールし始めます。
前半と逆転してしまったPSGはゲームプラン通りなのかはわかりませんが、全体として引いてブロックを作るようになります。
プレミアリーグでシティがよくやられる中央を締め外側でボールを回させる守備です。
ジンチェンコの投入
後半の15分間は、ボールをシティが持ちながら一進一退の攻防が続きます。
シティには、左から何度かクロスがあったり、60分にはクロスのこぼれをデブライネがバイシクル気味のボレーシュート。
PSGには、56分のペナルティーエリア内のエンバペの突破からのクロスや、59分にはPSG陣内からディ・マリアがカンセロをかわし、エンバペにスルーパスを送ったシーンがありました。
あわやというシーンもエデルソンが飛び出し事なきをえます。
この直後の61分にジンチェンコを投入。
傾いていたシティのペースは完全にシティのものとなりました。
ジンチェンコは普段の試合と同じように的確にボールをキープし、ボールを手放し、すぐにまた自分のもとに呼ぶなど、左サイドを完全に制圧していたと言っても過言ではありません。
パスだけでなく、守備においても、ネイマールをマークし、エンバペの突破を止めていました。
ジンチェンコが入ったことで、フォーデンは真ん中でのプレーに専念でき、ギュンドアンが近づくことで、ジンチェンコ、フォーデン、ギュンドアンのトライアングル+ルベンディアスでパリDFを揺さぶりにかけることに成功していました。
このあとの展開は、みなさんが歓喜した素晴らしい展開でした。
64分のデブライネのゴール(アシストはジンチェンコ)
71分のマフレズの技あり直接フリーキック
77分のゲイエにレッドカードで一発退場
PSGは万事休す。
試合は1-2でアウェイのマンチェスターシティが1stレグを制しました。
終盤は、ネイマールもボールをもうらためにかなり下がってきていました。
ホームで敗戦は避けたいはずですが、攻撃的なカードを切ることができなかったのは予想外だったと思います。
後半のスタッツです。
PSGが引いてくれたのがかなりプラスに働きました。
得点となったフリーキックに繋がったファウルやゲイエのレッドカードなど前半であればあそこまでパスをつなぐ前にネイマールかエンバペがプレッシャーをかけてきていたはずです。
その守備のタスクをはがしたことが、PSGの敗因とも言えますね。
今日のジンチェンコ
今日のジンチェンコを振り返ります。
■スタッツ
30分前後のプレー時間でした。
パス成功率は96%
もはやミスしてないです。
タックルも2回成功していて、思い出す限りネイマールとエンバペを1回ずつ止めています。
デブライネの得点では、ジンチェンコがアシスト。
コーナーキック時に真ん中にポジションを取るジンチェンコ。精度の高いパスがあるので、あの位置で持ったジンチェンコに強くプレスがかけられず、守備の目線を外す真横へのパスを選択したジンチェンコは称賛に値します。(あのスピードとコースを狙って蹴ったデブライネは変態です)
■プレーエリア
上の図がパスの位置をプロットしたもので、下の図がボールタッチしたエリアを表しています。(タッチマップはクリアなどのパスにならなかったボールタッチも含まれている)
ハーフラインでは、サイドライン際で味方のパスコースの選択肢となり、相手陣内に入れば、より内側に侵入し、アタッカーの後方支援に回っているような動き方に見えます。
ロドリとギュンドアンがアンカーの位置で横並びになっていたので、ほとんどそのエリアに入っていないことも読み取れると思います。
■プレー振り返り
カンセロがスタートで、そのカンセロとかわって入りましたが、負けている状態での投入にも関わらず落ち着いたプレー。
取れそうで取れないスピード、タイミングでパスを出していくので、相手としては厄介だったでしょう。
17分 ジンチェンコのディフェンス。エンバペへのパスをクリアしてマイボールに。
18分 ジンチェンコのカット。自分のトラップミスで奪われた後にすぐに戻り、ディ・マリアから奪います。
19分 デブライネのゴールをアシスト。
31分 美しいアウトサイドトラップ。右からのロングボールをアウトサイドのクッションコントロール。何度もリプレイしたい映像です。
結果
PSG 1 - 2 マンチェスターシティ
64' デブライネ(assist by ジンチェンコ)
71' マフレズ
2ndレグ
ビハインドを見事に逆転し、貴重なアウェイゴールを2つ奪っての勝利。
言うことはなにもありません。
個人的なベストプレイヤーはストーンズとルベンディアスのCB。
エンバペのシュート数0は、今シーズンのチャンピオンズリーグで初めてのことです。
第2戦はPSGもスタートから本気で来るでしょう。
ポチェッティーノがあの状況で、数ある攻撃のカードを切らなかったことがなんとも不穏ではありました。(退場者を出していたことも関係しますが)
2点を奪うことができたけど、プレミアで見せているような相手陣内深くへの侵入はなかなか見られず、効果的にゴール前を脅かしたシーンも少なかったというところは気になるところですが、
あまりうまく攻めることができてないのにペナルティの外から2点取れた
という事実がこの5年のチャンピオンズリーグでの成長の証とも言えるでしょう。
残り2勝。
悲願のビッグイヤーを掲げているかどうか。
それでは!
ベスト4 PSG戦直前のあれこれ
こんにちは。
tadashiです。
チャンピオンズリーグ20-21シーズンも残すところあと5試合となりました。
準決勝各2試合と決勝戦です。
決勝は5月29日。コロナ禍の中で行われた長い長いシーズンはようやく終わりを迎えます。
本日はペップシティ初のベスト4ということで、簡単に現状と対戦相手のPSGについて書いていきたいと思います。
リスペクトポイント
チャンピオンズリーグにおけるペップシティを語る上で欠かせない指標がこの「リスペクトポイント=RP」です。
この指標は私が勝手に言い出して、まったく浸透もしなければ、だれも一度も使っていない言葉です。
ペップグアルディオラが相手を研究し、研究に研究を重ね、敬意を表しすぎて、奇策に出ることが多いことから、
奇策に出る可能性をリスペクトポイントで表せるだろうという仮説を立て、今のところ仮説のまま大切に神棚に供えられている状況です。
パッと思いつくのがリヨンですね。
突然の3バック。なにもできず敗戦。という悲しい出来事がシティズンの頭によぎります。
ということで、これ以降読み進めるにあたりリスペクトポイントを定義しておきたいと思います。
「ペップの考える試合展開を覆す戦術、もしくは選手の個性により、敗戦を余儀なくされたチームもしくは監督に対するペップの相手の尊敬」
つまり悔しさです。
マンシティ公式戦直近5試合の成績
直近は3勝2敗です。
4冠の可能性が消えたFAカップチェルシー戦、ビエルサに出し抜かれたリーズ戦の敗戦以外は、順当に勝利。
直近の5試合にペップシティ初のベスト4に進めたドルトムント戦があるのが気持ちが良い。
■直近5試合
PL リーズ 1-2 L
CL ドルトムント 2-1 W
PL アストンビラ 2-1 W
ん?全部1点差の勝利ですね。
これは相当消耗している予感。
直接対決
CLの対戦
15-16シーズンの決勝ラウンドでPSGと当たっています。
PSGホームの第1戦2-2のドロー
シティホームの第2第1-0のシティ勝利
で、次ラウンドに進んでいます。
ペップはこのあとにシティにやってきたので、シティの監督としてPSGと戦うのは初めてということになります。
リスペクトポイントに関係しないことは良いことですね。
ペップvsPSG
ペップは、2008年からバルセロナ、バイエルン、マンチェスターシティと指揮をしていますが、まだPSGとの対戦はないようです。
そもそもPSGが常勝軍団となり、CLに当たり前のように出られるようになったのは2011?2012?年ごろからですね。
ここでもリスペクトポイントに影響はありません。
監督対決
ポチェッティーノとの直接対決は、ペップの10勝3敗5分です。
ポチェッティーノがエスパニョールの監督のときにバルセロナと、トッテナムの監督のときにマンチェスターシティと試合をしています。
監督としての個人成績を見てみましょう。
■ペップグアルディオラ(50歳)
694試合518勝
■ポチェッティーノ(49歳)
539試合254勝
※Sofascore参照
数字だけ見ると素晴らしいですね。リスペクトポイントはまったく関係なさそ…ではないです。
あの忌まわしきチャンピオンズリーグの記憶……
18-19シーズンの敗戦。
VARによる得点取り消し。アウェイゴールによる僅差での敗戦。またもベスト8の壁が破れなかった絶望。
リスペクトポイントはハイパフォーマンスを記録しています。
ペップはおそらくポチェッティーノの試合とPSGの試合を見続けてネイマールやエンバペのファンになっているかもしれません。
唯一の救いはポチェッティーノがトッテナムを率いていないということです。
怪我人リスト
■マンチェスターシティ
直近のカラバオカップ決勝では、デ・ブライネもアグエロもいました。
怪我人はDFのサンドラーぐらい。
選択肢が多くて、それはそれで心配になります。
■PSG
直近の公式戦でエンバペが怪我をしたとの報道が。マルキーニョスも怪我だとか。
風向きはびゅんびゅんとマンチェスターシティに向かってますね。
向かい風で後退しないように気をつけたい。
キープレイヤー
ネイマール対デ・ブライネ
という図式にはならないと予想しています。
もはや一流同士の戦いですから、キープレイヤーはお互いの左SB
ディ・マリアと対峙するジンチェンコとマフレズと対峙するディアロもしくはクルザワ。
ここの勝敗がそのまま試合の勝敗に直結すると予想します。
先制されても勝てないというジレンマもこの直近の5試合で払拭し、勢いのあるシティ。
まずは、アウェイでどこまで戦えるか、決勝を経験したことがあるのはギュンドアンとペップのみ。ベスト4以降を経験したことがないマンチェスターシティの選手たちは、いつも通りプレーすることができるのか、という方がポイントかもしれないです。
※ベスト4経験者は今のメンバーにもいるとご指摘いただき少しだけ修正しています。
予想スタメン
マンチェスターシティは共通。
アウェイであり、攻撃力抜群、個性で勝負の傾向が強いPSGに対してサイドの守備は重要なポイント。
曖昧な守備のマフレズではなく、しっかりと二度追い、三度追いのできるベルナルドシルバを右WGに配置。
SBはウォーカーとジンチェンコ。
二人とも内側に入り、ロドリの脇を固める作戦です。
1トップはジェズスか、フォーデン0トップで左スターリングとも考えましたが、ここ最近の調子とCBをつり出すための動きを知っているジェズスをチョイスしました。
ヴェラッティが出場可能な場合は4-3-3でネイマールを左に置いてくると予想します。
SBは、フロレンツィヨよりもダグバ、バッカーやディアロよりもクルザワをチョイス。
1トップはモイズキーンで、身体能力を活かした攻撃を見せるのかな、と思っています。
ヴェラッティが出場不可の場合は4-2-3-1を予想。
パレデスとゲイエのダブルボランチで中央を固め、ネイマールのトップ下でロドリの脇を使うイメージ。
1トップはイカルディで、得点感覚に期待してゴール前でなにかを起こさせる。
ネイマールに攻撃に専念させるために、サラビアを左に置いています。
※PSGのメンバーが発表。なんとマルキーニョスもエンバペもいました。
二人とも頭から出場可能なら、おそらく4-3-3のCBはマルキーニョスとキンペンベの組み合わせ、1トップはエンバペになるだろうと思います。
CLはなんと言ってもPSGが唯一本気になるコンペティション
なので、そんなPSGとシティが試合をするのはとても楽しみです。
特にネイマール。
CLでは本気で守備します。体張ります。
それでいてドリブルの精度は超一流。早く見たくて仕方がないです。
エンバぺが怪我により出場できなかったら、一サッカーファンとしては悔しいですが、シティファンからしたらラッキーです。
シティが4-2-3-1だけは本当にやめてほしいと思っています。
わくわくしますね。GWは外出もできないし、より観戦に力を注げるだろうと思います。楽しみです。
まずは明日の朝、マドリーチェルシーからベスト4決戦のスタートです。
※結果はドロー。アウェイゴールを与えたマドリーの2ndレグに期待。
それでは!
マンシティの少しだけ未来のことを話そう
こんにちは。
tadashiです。
突然ですが、みなさまの働いている職場の平均の退職年齢はどれぐらいですか?
長く長く働いていた人たちが抜けたあと、企業は基本的には退職した人よりも若い人を雇おうとしますね。
雇ってもすぐ退職になってしまっては採用にかかったコストとのバランスが悪くなるからです。
しかし、これまで働いてくれた人にはその業界や職種での経験と技術、知識がある。
新しく入ってくる人にそれらが備わっているかは正直わかりません。
新しい人、それが若い人であれば、これから長く働いてくれるメリットと技術を一から伝えていくデメリットがあります。それを退職前に継承できれば問題はありませんが。
さて、今日のテーマは世代交代
サッカーだけでなく、どのスポーツでも、スポーツだけでなくとも関係のある世代交代。
今の組織の機能はそのままに世代交代が行えれば最高ですが、現実はなかなか難しい。
私のもう一つ愛するチームレアルマドリードは、世代交代はできず今でもセルヒオ・ラモス、モドリッチ、クロースを酷使しています。勝てるからいいんですけど。
そこで今回は私の愛するマンチェスターシティの5年後に焦点をあて、シティの課題と世代交代の必要なポジションをアカデミーや元シティのプレイヤーを当てはめられるかなどとあわせて警鐘を鳴らしていきたいと思います。
- 現在のスカッドと5年後
- コンパニーとダビド・シルバの後継者は現れたか
- 現状と課題
- 純粋な選手のいないサイドバック
- 決定的な仕事のできるアンカーが必要かどうか
- 問題を先送りにしたインサイドハーフ
- ザネを思い馳せるウイングというポジション
- アグエロの退団で陥るストライカー不在
- 武者修行中の逸材たち
- EDSに目を向けよう
- まとめ
現在のスカッドと5年後
未来をとやかく言う前に現在のスカッドを年齢に焦点を当てて、整理してみたいと思います。
まずは、各選手の年齢を表にしました。
ポジション | 年齢 | |
Gk | Zack Steffen | 25 |
Ederson Moraes | 27 | |
Scott Carson | 35 | |
DF | Kyle Walker | 30 |
Ruben Dias | 23 | |
John Stones | 26 | |
Nahan Ake | 26 | |
Aymeriv Laporte | 26 | |
Benjamin Mendy | 26 | |
Joao Cancelo | 26 | |
Phillipe Sandler | 24 | |
Eric Garcia | 20 | |
Oleksandr Zinchenko | 24 | |
MF | Ilkay Gundogan | 30 |
Rodrigo | 24 | |
Kevin De Buryne | 29 | |
Bernardo Silva | 26 | |
Fernandinho | 35 | |
FW | Raheem Sterling | 26 |
Gabriel Jesus | 23 | |
Sergio Aguero | 32 | |
Riyad Mahrez | 30 | |
Phill Foden | 20 | |
Ferran Torres | 20 | |
average | 26.375 |
※ポジションは、今シーズン多く使われているポジションでわけています。
全選手の平均年齢は約26歳。プレミアリーグでは6番目に若い数字です。
続いて各年代の割合を見ていきましょう。
20代後半の選手が42%とほぼ半数を占めています。
また、マンチェスターシティの特徴は10代の選手がいないということです。
(今シーズンはデラップなどアカデミーの選手が出場していますが、ノーカウントとしています)
ちなみにマンチェスターシティの年齢の最頻値は26歳で実に7人の選手がいます。
最高齢がフェルナンジーニョで35歳、
最も若い選手がフォーデンとフェラントーレスの20歳となります。
今シーズン35歳のフェルナンジーニョと32歳のアグエロの退団がほぼ決定的なので、さらに平均年齢は下がると思われます。
続いてポジション別の年齢構成。
GK | DF | MF | WG | ST |
29 | 25.1 | 28.8 | 24 | 27.5 |
これはMFがもっとも高く約29歳。ロドリ以外は30近い選手が多いです。
現在の整理ができたところで、今回のテーマである少し先の未来の話に焦点を当てましょう。
ここでは、少し先=5年後として、年齢を整理してみます。
平均年齢は31歳
最頻値も31
若かったフォーデンとフェラントーレスは25歳となり、MFの平均年齢は34歳となります。
5年後なので当たり前ですし、この5年間があれば監督は変わり選手は半数は入れ替わるはず。
時間の経過と共に選手たちは歳を重ねていくことをここでは伝えておきたい。
コンパニーとダビド・シルバの後継者は現れたか
闘志あふれるキャプテンだったコンパニーとプレーで味方を鼓舞する静かなるリーダーダビド・シルバ
この二人がいなくなったあとにシティには後継者が現れたのか。
■ルベンディアス
人々はみな彼のことを過小評価していたと思う。
シティ史上DF最高額での移籍となったこのポルトガル人は、出場早々から味方を鼓舞する姿が見られました。
良い守備をした時にはハイタッチを求め、チームの士気を高めるルベンディアスの姿に、我々はコンパニーを見たはずです。
ダブルボランチの一角でプレーしていた昨シーズンやシーズン序盤の姿はどこへ、というぐらいゴール前に何度となく顔を出してゴールを量産。
プレミアリーグ12ゴールはチーム1位。
ダビド・シルバと同じ役割ではないにしろ、ダビド・シルバと同等の勝利への貢献を見せています。
現状と課題
それではマンチェスターシティの抱える課題をあげる前に、マンチェスターシティの各ポジションの役割を簡単におさらいしておきましょう。
ゴールマウスに張り付くのは厳禁
セービングは当たり前で、ビルドアップにも関与する
ボール保持を第一に考えるので、パスが出せない選手はノーサンキュー
縦パスを常に狙い、パスコースがなければドリブル
サイドラインに張り付いた上下動はしない
ビルドアップの中心になり、相手陣内深くまでは出ない。
被カウンター時はファーストディフェンダーとしても機能する。
- アンカー
サイドバックと共にビルドアップを担う
縦パスを入れるよりはサイドチェンジに従事
自分がダメなら動いてパスコースを作り出せ
ハーフスペースに常にいろ
CB-SB間に走ってペナルティーエリア深くを狙う
守備時は前に出るかアンカーに並ぶ
- ウィング
大外に張り出してサイドチェンジを受ける
1対1よりもワンツーで仕掛ける
逆サイドのクロスに詰める
- ストライカー
縦パスを足元で受ける
ゴール前に顔を出す
サイドには流れない
これからお話しするのは、戦術的なものではなくあくまでスカッド上の課題です。
今後、少しだけ未来のことを考えたときにどこに問題が出てくるかを考えます。
ブラジル代表エデルソン、アメリカ代表ステッフェン、ベテランのスコットカーソンがいるGKは、シティの中でもっともバランスの取れたポジションです。
また、CBに関してもルベンディアス、ストーンズ、ラポルト、アケとこれから数年間はトップフォームを維持できる年齢の選手がそろっているので
だれかが他チームに移らない限りは何の問題もありません。
しかし、残りのポジションには何かしらの問題が存在します。
以下ではその問題をポジションごとに明らかにしていきたいと思います。
純粋な選手のいないサイドバック
ペップの下でプレーするサイドバックは、サイドバックであることを時に忘れてしまうことがあります。
ビルドアップの中心として、アンカーと横並びになったり、幅を取ってサイドチェンジの機会を作り出したり、ペップの考えるサイドバックはペナルティーエリア深くに侵入することは数えるほどしかありません。
現在のシティのサイドバックは、ウォーカー、カンセロ、ジンチェンコ、メンディーの4人。
加入当時は純粋サイドバックだったウォーカーも今ではすっかりペップ仕様のサイドバックとなり、
モナコでぶいぶい言わせていたメンディーは、怪我の影響により、なんとも言えないサイドバックとなっています。
ということで、シティにはここで改めて純粋に縦に推進力のあるサイドバックをチームのオプションとして考えてもいいのではないでしょうか。
世代交代として考えるとけっこう若いんですね。ジンチェンコなんてまだ24歳。他のポジションが埋まって、余力があれば右SBとも思ったんですが、後述するジローナにヤンコートがいます。
決定的な仕事のできるアンカーが必要かどうか
マンチェスターシティには、現在2人のアンカーがいます。
ロドリとフェルナンジーニョです。
ロドリは今シーズンもほぼフル稼働。
左右にボールを散らし、相手のスライドを間に合わせないようにしています。
フェルナンジーニョの年齢的にフル稼働が厳しい中、しっかりとその役目を果たし、試合中も常にシャツをインしているロドリはいてもらわないと困るプレイヤーです。
が、しかし、それこそが問題でもあります。
フル稼働できないフェルナンジーニョとロドリの2枚でシーズンを戦ったマンチェスターシティは、来シーズンのフェルナンジーニョが退団した場合残された選手はロドリのみ。
今さらギュンドアンをアンカーで起用するのはおそらくリージョが許さないので、補強は必須です。
では、補強を考えたときにどんなプレイヤーが必要なのでしょうか。
私は、タイトルにもあるように、「決定的な仕事のできるアンカー」が必要だと考えています。
サッカーにおける決定的な仕事。それは得点です。
パスを左右に散らせる選手がもう一人いてもプランAが2パターンできるだけ。今のシティに必要なのはプランBです。
そうです。
勘の良い人は気づくはずです。
シティには、拮抗した展開でペナルティーエリアの外から得点を決められるミドルシュートをもつアンカーが必要なのです。
ロドリがそこまで成長するかは置いておいて、世代交代の必要性は、ロドリのバックアッパーとして選手を揃えることに意味がありそうです。
問題を先送りにしたインサイドハーフ
第13節の今季初ゴールからコンスタントに得点を重ねたギュンドアンは、IHのポジションで後半戦輝きを取り戻しています。
偽SBによる背後のフォローを受けたギュンドアンは試合中何度となくゴール前、ペナルティエリア内に顔を出し、決定的な仕事を繰り返しています。
ギュンドアンが高い位置を取ることにより、相手のマークが分散され、怪我から復帰したデ・ブライネも少し楽しそうに、自由にプレーできていることも感じられます。
これはまさに昨シーズンと今シーズンの初めを比べたときにマンチェスターシティに足りなかった部分です。
シーズン開幕前に、私は24歳のジンチェンコをダビド・シルバの後継者として期待しているブログを書きました。
また、20歳のフォーデンもIHとしてポテンシャルは十分のはずでした。
しかし、ジンチェンコは左SBでシティでの位置を確立し、フォーデンもその攻撃センスを買われ、WGとしてコンスタントに試合に出るようになりました。
(ジンチェンコは14試合出場うち11試合が先発、フォーデンは21試合出場うち14試合が先発)
ダビド・シルバの後継者とはなれなかったにしても攻撃的な存在として今シーズンシティを支えている選手が、そこまで歳の離れていないギュンドアンで果たして本当に大丈夫なのでしょうか。
未来の中盤構成を考えたときに、ダビド・シルバ、ギュンドアンに続くことができるのでしょうか。
今シーズンこれまでのシティはほとんどの試合を4-3-3のシステムで戦っています。
しかし、その中で時折4-2-3-1のダブルボランチのシステムを採用することがありますが、このときは例外なくIHを休ませる必要があるときなのです。
上述していますが、本来IHでも使える2人の選手が別のポジションで輝いているので、シティのIHは、ギュンドアン、ベルナルドシルバ、デブライネの3人のみ。
シティのように複数のコンペティションを同時にこなすチームではこの控えの少なさは致命的です。
今後も、プレミアリーグ、CL、カラバオカップ、FAカップを戦っていくことを考えるのであれば最重要課題は年齢構成が高く、控えの薄いインサイドハーフです。
ザネを思い馳せるウイングというポジション
マンチェスターシティのウイングはいつしか1対1で縦に仕掛けることが極端に減ってしまった。
大外でボールを受けて、相手を引きつけて後ろに下げ、サイドチェンジが行われたらゴール前に入っていく。
ウイングとは何か。
もしくは、サイドでボールをキープして、カットインからラストパス、もしくはシュート。さらには、ボールをキープしてIHのチャンネルラン(CBSB間を走る)にスルーパス。
ウイングとは何か。
いつの間にかマフレズもスターリングも縦に仕掛けることがなくなり、 なんだかテクニックのある中盤の選手が大外に張っているような感じになってしまっている。
もっと相手の守備組織をはちゃめちゃにできる選手がいてもいいと思っています。
しかし、年齢構成で言えば若い。30歳になっているのはマフレズぐらいです。
世代交代の観点から言うと、そこまで急務ではないかもしれません。
アグエロの退団で陥るストライカー不在
次に課題となるのがストライカーのポジション。
2021年4月に、正式にアグエロの退団が発表された。
11シーズン在籍したチームを離れ、新たな挑戦をするアグエロを尊重したいし、ありがとうと伝えたい。
振り替えればシティズンの中では、伝説のQPR戦の「あぐえろおおおおおおおお!!」が永遠に心に残り続けるだろうと思います。
そのアグエロが来シーズンからいません。
シティは、早急にストライカーの獲得を検討しなければいけません。
マンチェスターシティには、すでにジェズスというブラジル人ストライカーがいますが、ブラジル代表でもウイングをやったり、シティでも下りてきてビルドアップに関わることも多いジェズスは、アグエロの後釜という感じではないですね。
21試合出場で、8得点はやはり少し物足りない。
しかも、ヒートマップを見るとアンカー付近まで色濃くなっており、ゴール前に顔出すストライカータイプではないということもわかります。
むしろ今のシティではギュンドアンの方がストライカー的な顔の出し方をしていますね。
前線の選手が得点を取るというシンプルなチームが結局のところ一番強い。
このポジションは世代交代関係なくインサイドハーフと同様に層が薄いです。
ですが、フロントとペップはいまいちホーランホーランというわりに、デラップやジローナにローンで出しているパブロモレノなんかを考えているかもしれません。
武者修行中の逸材たち
マンチェスターシティは、世界各国にスカウトを派遣し、若い選手を買っておき、レンタルなどで経験を積ませる前に売却するマネジメントを行っています。
トップチームでのプレーを経験していない選手の売却で200億円を稼いでいるとも言われています。
ここでは、シティに所属していた(もしくはレンタル)選手で、現在欧州1部レベルで活躍している選手をあげたいと思います。
■アンヘリーニョ(RBライプツィヒ:完全移籍)
■ジャック・ハリソン(リーズ:レンタル)
■板倉滉(フローニンゲン:レンタル)
他にもジローナに多くの選手がいます。
EDSに目を向けよう
Elite Development Squadというマンチェスターシティの育成チームをご存知だろうか。
プレミアリーグ2を主戦場とするこのEDSにはトップチーム昇格を目指して奮闘する若き才能がプレーしています。
その中で1人選手を紹介したいと思います。
■デラップ
ロングスローを武器にストークなどで活躍したロリーデラップの息子。
フォワードとしてEDSでプレーしており、現在17試合20ゴールと大活躍。
プレミアリーグでも第3節に1度だけ試合に出場した。来シーズントップチーム入りが噂されているので、ぜひ期待したい選手です。
まとめ
では、まとめです。
今回は、マンチェスターシティが少しだけ未来にどんな問題があって、どんな補強が必要かをだらだらと書きました。
ポイントを以下にまとめて終わりにしたいと思います。
■年齢的な課題
■戦術としての課題
- 最重要課題はやはりインサイドハーフ
- 次点はウイングですね
■各ポジションに必要な役割
・純粋なSB:ディーニュ(エバートン)、チルウェル(チェルシー)
・ゴールも決められるアンカー:ライス(ウェストハム)、ドウグラスルイス(アストンビラ)、シェルビー(ニューカッスル)
・インサイドハーフの層を厚くしよう:フォーデン(マンシティ)、グリーリッシュ(アストンビラ)
・1対1で勝てるウィング:サンマクシマン(ニューカッスル)、マーチ(ブライトン)、ネト(ウルヴス)、ジャックハリソン(リーズ)
シティに所属していた選手でも優秀な選手がいます。ローンであれば戻す手段もあります。
CFG(City Football Group)傘下のジローナにもヤンコートやパブロモレノがいます。
EDSをそろそろ自チームの向上に繋げてもいいかもしれません。第二のフォーデンが出るのか。デラップやドイル、パーマーに期待しましょう。
UEFAやマドリーのペレス会長のこの数日の動きにより、UEFAが絶対ではないと私みたいな頭の悪い人でもわかるようになりました。特に日本のサッカーファンには衝撃だったと思います。
プレミアリーグは残り5試合
今朝の試合もなんとか勝利したシティは優勝目前。
応援するとともに、来シーズン、さらにその先を少しだけ想像してみてください。
それでは!
エル・クラシコ ジダンが奏でたピッチと選手の協奏曲
こんにちは。
tadashiです。
本日は世界中が注目する一戦エル・クラシコのレビューになります。
レアルマドリードのレビューは初めてです。
人生で初めて好きになったクラブチームのレビューをするのは少し心配になります。
久しぶりに両チームが好調な状態でぶつかる試合でしたので、非常に楽しみでした。その、期待通りの試合になったことがとても良かったです。
リーグテーブルでは、バルセロナが2位、レアルマドリードが3位です。首位のアトレティコを追う2チームというのは13-14シーズンのアトレティコ優勝のとき以来でしょうか。(記憶曖昧)
勝った方がアトレティコとの優勝争いを演じることができる素晴らしいタイミングでの試合。だれも手を抜くことのない試合。気を抜いたほうがやられる緊迫したゲームになりました。
※リーガのレビューになりますが、ピボーテ=アンカー、インテリオール=IH、ラテラル=SB,WBと表現いたします。
エル・クラシコ
スペイン語で「伝統の一戦」を意味するこの言葉は、スペインではレアルマドリードとバルセロナが戦う試合で使われる。
スペインの首都であるマドリードと、カタルーニャ州にあるバルセロナ。
否が応でも政治的な側面を想像してしまう。このレビューでは、そういったしがらみについては書くことはしないけれど興味があれば調べてみてほしいと個人的には思います。
さて、この両チーム。初めての対戦はスペイン選手権(今のコパ・デル・レイ)で、1902年までさかのぼる。さすがにここでのエピソードは持ち合わせていないが、もうすでに100年以上の歴史がこのエル・クラシコにはあると思うと、時間の遠さと歴史の重みに踏みつぶされそうになる。
最初の対戦はバルサが3対1で勝利を収めている。
これまで公式戦では245試合を戦っており、レアルマドリードの98勝52分96敗。
極端に勝ち越しているということもなく均衡していることがわかります。
私個人の思い出は、マドリーに在籍するフィーゴがコーナーキックのときにペットボトルやらなんやらをカンプノウのバルサファンから投げられている姿とロナウジーニョのプレーにベルナベウがスタンディングオベーションを見せたことですかね。
熱心にリーガを見ていた時代は、むしろバルサの方が目立っていて、それでもマドリーを応援していたのは、当時在籍していた選手たちに憧れに似た感情を抱いていたからだろうと思います。
私の中ではやはり
ミチェルサルガド
イバンエルゲラ
イエロ
ロベルトカルロス
ラウール
の11人が史上最高でした。
マケレレが無情にも放出され、イエロ、ラウールといなくなっていったマドリーには、大げさではなく絶望したことを今でも覚えています。
直近5シーズンの戦績
■勝利数
バルセロナ:6
レアル・マドリー:5
引き分け:4
■シーズン別成績
15/16:バルセロナ1勝、レアル・マドリー1勝
16/17:バルセロナ1勝、1引き分け
17/18:バルセロナ1勝、レアル・マドリー2勝、1引き分け
18/19:バルセロナ3勝、1引き分け
19/20:レアル・マドリー1勝、1引き分け
20/21:レアル・マドリー1勝
15/16、16/17、17/18シーズンはレアルがCL優勝
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム レアルマドリード 4-3-3
セルヒオ・ラモスとカルバハルが怪我、ヴァランがコロナ陽性のため出場不可。ディフェンスラインが壊滅するかと思いきや、銀河系を陰で支えたナチョがこのマドリーの危機を救い続けています。
この試合もナチョはスタメン。
右WGはここ最近好調だったアセンシオではなく、ヴァルベルデをチョイス。
■アウェイ バルセロナ 3-5-2
最適解を見つけたクーマンの3-5-2。
ピケの怪我以外は考えられるベストメンバーだと感じました。注目したいのは10代ながらメッシから信頼されるペドリです。
それにしても怪我をしていないデンベレというのは違和感がとてつもないです。今までの給料分を1シーズンで返しほしいと私がバルサファンなら思います。
ジダンが見せたバルサ対策
試合の入りは予想通りボールを持つバルサとそれを受けてたつマドリーでした。
バルサの配置
バルサとマドリーの配置を上の図で表しています。
バルサの狙いはメッシのライン間活用。両WBにマドリーが釣られ、そこで生まれた中央のスペースを使うことを意識。と、言いつつも前半3分でデンベレが2度マドリーDFの裏に飛び出したシーンがありました。バルサのポゼッションに食いつくならデンベレがいます、というあいさつ代わりの飛び出しでした。
この日のマドリーは前からプレスをかけていたので、中盤とDFの間が広がり、カゼミーロのいるエリアを浮かせようとしたのかもしれません。
9分のメッシからアルバへのパスは、カゼミーロの脇でかつライン間で受けたメッシが右から中央にドリブルしたことで生まれたチャンスでした。
後述しますが、ベンゼマの得点の前後からマドリーは守備時5-4-1となりアルバをヴァルベルデでマーク。
左CBのラングレが比較的フリーでボールを持てていましたが、メッシが右に流れ、そのエリアへのフォローにペドリもデ・ヨングも回っていたので、ラングレからのパスコースが限定されていたのが惜しかった。
バルサは選手同士の均衡の取れた距離感でボールを回し、相手を動かし、スペースを作っているので、どうしても中心選手に人が集まる傾向があります。その最適解として3バック+WBなのだろうと思いましたが、ジダンマドリーは見事に対応していきます。
バルサの強みをどこに設定するか
今回個人的にジダンに対して驚きと尊敬を抱いたのがここでした。
レアルマドリードはすべての面で世界2位というのが最大の強みです。ポゼッションもカウンターもハイプレスもリトリートもあらゆる必要な能力を一位ではないが、かなり高い次元で再現可能。
例えば、アトレティコやリバプールと戦ったときに相手にボールを持たせたのは有名な話。
バルサ相手にどういった世界2位のプレーを見せてくれるのかと期待していましたが、予想は良い意味で裏切られました。
バルサと言えば、その華麗なパスワークやメッシの個人技とそれに呼応する周囲の連携だと思います。今のこの好調なバルサでは、デンベレの「前に矢印の向いたプレー」も驚異的かもしれません。
3バックの採用で大きく幅を取るWBによりピッチを広く使い、CBやブスケツからの縦パスも十分考えられます。
しかし、ジダンにとって「潰すべきバルサの強み」は、左サイドのジョルディアルバでした。
4バックだったのはスタートの時だけ、今日アセンシオにかわりWGに入ったヴァルベルデは、アルバの上がるスペースを消すために、最終ラインの位置まで下がり、5バックを形成しました。
5バックとすることで、アルバだけでなく逆サイドのデストに対してもメンディーをつけることができ、ピッチを広く使って中央のスペースを空けたいバルサはサイドも中央も固められてしまう展開になりました。
WGが下がっているので後ろに重くなったはずのマドリーですが前半はまったくそんな印象もなく。それはヴァルベルデの機動力のおかげでしかないのですが、守っては最終ライン、攻めてはゴール前とたしかにこの戦い方をするならアセンシオではなく、ヴァルベルデだな、と。
バルサもマドリーと同様に前からプレスをかけてきます。しかし、今このリーガにおいて相手のプレスをいなすことにかけては一番のマドリーは、おそらくバルサの前プレを待っていたのではないかと思います。
13分のベンゼマの得点は、ボール回収後に中央でバルサのプレスをはがしての速攻でした。
アルバに対して内側にドリブルをしたヴァルベルデのプレーもほめたいプレーの1つ。これによりアルバの視界からルーカスバスケスが消え、ヴァルベルデにいくか、ルーカスバスケスを見るかの迷いが生まれました。
結果的には一歩飛び出し、足の長いヴァルベルデにかわされてしまいました。
ヴィニシウスという若き才能
ジダンのもう一つの策は、ヴィニシウスでした。
右WGのヴァルベルデと違い、下がりすぎず、バルサCBのビルドアップには前から狙いにいきます。ベンゼマがブスケツを見ていたので、ファーストプレッシャーとしての機能をヴィニシウスは担っていたと思います。
ボールを持てば中途半端なプレーはせずにバルサ守備陣に果敢にドリブルを仕掛けていました。ドリブルだけでなく、20分のクルトワのロングボールに反応するなど、前線でベンゼマとは違った驚異を与えていたと思います。
26分のFK獲得の場面は、ヴィニシウスの良さがもっとも活きた場面でした。デストを裏街道でかわし、2枚のDFに囲まれながらも前への意識を失わずにドリブル。
それにより得られたFKをクロースが決めて2点差です。
ヴィニシウスは、決定力に問題があるとずっと言われていたんですが、ここまでドリブルで攻め込んでくれるなら決定力のなさはマイナスにはならないはずです。
この試合もドリブル4回、キーパス3回と一定の結果を示しています。
クーマンの意地
グリーズマン投入の意図
前半で2点を先制されたバルセロナ。
前半で2点差がついたのは2008年までさかのぼるようです。
さて、このまま黙ってやられるわけにいかないクーマンは、後半頭から動きます。
メンディーに封じられていた右WBのデストをグリーズマンに代え、4-3-3にシステムを変更しました。
トップにいたデンベレを右へ、グリーズマンを左へ。そしてメッシを真ん中に配置します。
メッシ真ん中の時点でだれもが思ったと思いますが、そうです、0トップです。
メッシは後半ブスケツと同じ位置にまで下がりボールをもって前を向いたプレーを頻発させました。
後半の配置としては上の図のような形。
IHのペドリとデ・ヨングもメッシを追い越し、高い位置をキープ。この二人が敵陣ハーフスペースを狙うことで、左右バランスのよい攻撃が可能となります。
もっとも変わったのがアルバの位置です。前半はWBとして大外にいましたが、後半はその役目をグリーズマンに託し、アルバはインナーラップを狙うようになります。
5バックの一角として動いていたヴァルベルデがどう動くかを見るためのものだろうと思います。
途中から強い激しい雨が振り出し、それにあわせてオープンな展開となります。
55分のデンベレ、デ・ヨング、グリーズマンと作り出したチャンス、そして60分の両サイドからクロスを放ち左右に揺さぶりをかけた結果のミンゲサのゴールによりバルサの流れになっていきました。
ヴァルベルデは結局、アルバを見ることになったので、そうするとペドリをだれが見るのかという問題も出てきて、よりバルサのペースが加速。
バルサか同点にするのか、マドリーが耐えるのか、もしくは追加点を取り、引き離すのかという一進一退の攻防が予想されました。
モチベーターとしてのジダン
ジダンは人の心をつかむのがとんでもなく上手い。
クラシコというこの世紀の一戦ですらジダンにとっては、このクラック揃いのメンバーをチームとして強固にするための試合の一つとして捉えていたと思います。
後半投入された選手は以下の3人
イスコ、マルセロ、マリアーノです。
しかもそれぞれクロース、ヴィニシウス、ベンゼマとこの試合で輝いた3人を同時に交代したのです。
相手はバルセロナ
負けたら優勝戦線から離脱
スコアは一点差
この状況で送り出される選手が必要とされていないはずがない。
前線から二度追い三度追いを見せたマリアーノ、後半終盤にロングボールが抜けだしたが、シュートを打てず猛然と走って戻ったマルセロ、雨のなかボールをキープして、体を張ったイスコと最後1点差で勝利した最大の要因は間違いなくこの3人のチームへの貢献があったからだと思います。
根拠のないことはあまり言いたくはないけれど、ラストプレーでバルサのシュートがポストに当たったのはそういった良い流れの積み重ねが起こした現実なんだろうと思いました。
オドリオソラも含めて、途中交代した選手がしっかりとふんばるのを見るととんでもないモチベーターだなと感心します。
試合はマドリーが途中交代のあとに5バックに変更し、守りきりました。
カゼミーロが数分間でイエローカード2枚で退場になったのは予想外だったとは思いますが、価値ある勝ち点3となりました。
未来が明るいのはどっちだ
クラシコに見事に勝利したレアルマドリード。公式戦ではクラシコ3連勝となりました。
しかし、その代償は大きく、カゼミーロのレッドカード、ナチョの累積により出場停止。ルーカスバスケスとヴァルベルデの怪我。
継続してセルヒオ・ラモスとヴァラン、カルバハルは出場できませんからね…。
それよりもなによりもバルセロナにはたくさんの希望が詰まっていましたね。
スタメン出場したペドリとデスト、ミンゲサとアラウーホ。
18歳のペドリは先日A代表デビューも果たし、混沌としたバルセロナにおいてメッシとの連携を深めた非常に貴重な存在。デストは20歳でアメリカ代表。ミンゲサとアラウーホは21歳と22歳です。
途中交代のトリンコンが21歳、最後アンカーに入ったモリバも18歳と、世代交代がうまくいかずいつまでもCL3連覇のメンバーでセンターラインを構成するレアルマドリードとは大きく構成が異なっていました。
バルサの方が早く世代交代の必要性が出てきたのかもしれませんが、この差はなんだろうかと思います。
ほんの近い未来を見るとバルサの方が光輝いているのは間違いない。
シャビ、イニエスタが抜け、カンテラの存在が薄まりつつあるバルサ。
育成組織の存在は置いておいたとしても、若き才能が集まるバルセロナには2、3年後を期待せざるを得ませんでした。
今回はマドリーが勝つことができましたが、モドリッチとクロースとカゼミーロ、そしてベンゼマがいなくなったら果たして勝てるでしょうか。
結果
28' クロース(FK)
60' ミンゲサ(assist ジョルディ・アルバ)
このスタッツの中個人に目を向けるとクロースのパス成功率は93.3%、カゼミーロのインターセプトは5回です。圧倒的ですね笑
翌日にアトレティコが引き分けたため、勝ち点1差まで迫ったことで、マドリーはより追い詰められる展開に。休めません。
リーガもCLも可能性が残ったシーズン終盤戦。
文字通り総力戦。
リバプール戦展望
明日の早朝は、CLリバプール戦。
1点差でのリバプールは非常に怖い。
カゼミーロ、モドリッチ、クロースがいるならばリバプールに前からプレスをかけてもらった方がより試合を進めやすくなるかもしれません。
ポイントは以下
・ナチョ、ミリトンのCBコンビがどこまでリバプール攻撃陣をシャットアウトできるか
・ルーカスバスケスもカルバハルもいない右SBはだれが務めるのか
・ヴィニシウスはまたも輝けるのか
・リバプールにボールを持たせるのか
まだ、結果は見ていません。
心熱く、静かに応援していくしかないです。
それでは!
シティ対策にはもう動じない 第28節 vs フラム
こんにちは。
tadashiです。
本日はアウェイフラム戦。
監督はご存知イケメン青年監督のスコットパーカーです。
スーツ姿のスコットパーカー監督です。
素敵ですね。
この10年間ではシティはフラムに負けていません。引き分けもたったの2回。
この試合を見るファンも負けるはずがないと思って試合を見ていました。
もちろん勝利をマンチェスターに持って帰ることに成功しました。
複数得点+クリーンシートでの勝利はこの後のCLとFAカップに弾みをつけたことは間違いない。
遅くなってしまいましたが、プレミアリーグフラム戦を振り返っていきましょう。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
■ホーム フラム 4-5-1
前節リバプール戦に勝利したメンバーからは3人を変更。
チェルシーにいたロフタスチーク、シティにいたアダラバイヨ、PSGにいたアレオラとスカッドは魅力的なフラム。
なによりもあの昨シーズンのCLベスト16で、シティを倒したチーム(リヨン)のメンバーだった右SBのテテがいるのが非常に気になりました。
苦しめられた選手
・ハリソンリード
前半スコアレスで折り返した立役者の1人がリードだったのは異論はないと思います。
4-5-1と言いながら中盤の選手がシティへのマークに駆り出されていたため、リードはアンカーとして、DFラインと中盤のスペースを埋め、攻撃では前線へのつなぎ役として左右に走っていました。
守備スタッツでは、7回のタックルを成功させ、インターセプトが2回、クリアが1回でした。攻撃では、59回のパス成功数でチーム2位。
まだ、26歳とこれから成長も期待できる選手だと感じました。
・ロビンソン
80分から出てきた23歳のアメリカ人がシティ相手に非常に良いドリブルを見せていたので、ここに挙げたいと思います。
プリシッチやレイナなど最近のアメリカは良い若手を多く輩出しています。
プレー時間は少なかったけど、1試合を通して見ていた人たちには終盤の勝敗の決まった時間にあれだけアグレッシブなドリブルを見せてくれると楽しいですね。
■アウェイ マンチェスターシティ 3-4-2-1
この試合の数日後にチャンピオンズリーグラウンド16 2ndレグのメングラ戦が控えていたシティは大きくメンバーを変更。システムまでも変えてきた。
前節のセインツ戦からはメンバーを7人変えています。
久しぶりにメンディーとアグエロがスタメンで出場。
守備に難のあるメンディーは、このシステムなら使ってもいいかもしれないという考えなんでしょうか。
アグエロとフェラントーレスは第26節ウェストハム戦以来のスタメン。メンディーは、なんと第13節以来のスタメンです。
3-4-3と4-5-1
まずは、両チームのかみ合わせを見ていきたいと思います。
マンチェスターシティは、とても久しぶりにこのシステムを採用しました。
同じシステムは無残にも散った昨シーズンのチャンピオンズリーグベスト16でのリヨン戦。
今シーズンのプレミアリーグでは、第5節のアーセナル戦が3バックでの戦いでした。
リヨン戦では相手も同じ3バックでWBを採用したチームで、相手のWBに押し込まれる形になってしまいました。
アーセナル戦は、アルテタの裏をかくための3バック、SBのカンセロをCHで起用するやり方でペースをうまく掴みました。
それではフラム戦はどうでしょう。
パーカー監督は、下の図のようにマンマーク+アンカーを余らせて、パスの受け手を封じる作戦で、マンチェスターシティのビルドアップに立ち向かいます。
まず、ベルナルドシルバとロドリの二人のCHには、それぞれレミナとアンギサがマーク。WBのカンセロとメンディーにはそれぞれカバレイロとルックマンがマークをします。
3人のCBにはそこまでプレスにはいかず、ロフタスチークが緩くパスコースを一つ塞ぎながら寄せていきます。
後々、このCBたちのドリブルでのボール運びにフリーの選手をつくられる時間もありましたが、平均60%を超えるポゼッションで試合を進めるシティ相手に50%台で済ませた守備組織はやり方としては成功だったと言えると思います。少なくとも前半は無失点で終えていることは戦術の勝利とも言えるでしょう。
CBで、ボールは持てるが、次にパスを届けたい相手がマークされているということで、マンチェスターシティは3つの策を講じます。
対策1 中盤に+1
1つ目がジェズスの中盤へのフォローです。
3枚のCBの前にいる4人の中盤は、同じくフラムの4人の中盤がそれぞれマークをしているので、ジェズスが下がれば数的優位になるはずです。
しかし、パーカー監督は、それに対してもしっかりと対策。
アンカーとしてマーカーを持たないハリソンリードは、下がっていくジェズスをマークする役目となっていました。
ジェズスだけでなく、アグエロやフェラントーレスが中盤へサポートにいった場合も ついていき、プレッシャーをかけつづけていました。
仮に中盤省略で前線にボールが入っても後ろには4人DFが待っているので、そこまで2対4と数的優位な状態で守ることができました。
7分に見られたシーンは、GKからのビルドアップでしたが、ロドリをマークするアンギサがロドリのマークを捨て、メンディーへプレスして奪ったプレーでした。そのときには背後のロドリを別の人が見ているなど、だれがどこでいく、受け渡しはだれにするかというところが明確になっていたと思います。
なので、シティにとってはこれはあまり効果的とはなりませんでした。
対策2 運ぶドリブル
シティの策の2つ目は、CBの運ぶドリブルです。
今シーズン頻繁に見られ非常に効果的に機能しているプレーです。
ロフタスチークだけがCBへプレスをかける3対1の状況であるため、上の図のように左CBからルベンディアスへボールを出せば、ルベンディアスはフリーでボールを持つことができ、ドリブルを開始することもできます。
また、ロドリやベルナルドシルバは自分がマークにつかれていることを利用して、ボールから離れる動きを見せました。そうすることでより簡単にCBがドリブルでボールを運ぶことを促しました。
このドリブルにより、フラムのマークを自分に引きつけそこからフリーな選手を入れ替わり使っていくビルドアップが前半の15分間に見られました。
45分にストーンズが3人を引きつけてカンセロにパス。そこからアグエロのシュートまでつながったシーンがありましたが、まさにCBの運ぶドリブルでマークを外す動きでした。
対策3 レーン移動
そして3つ目が、カンセロのレーン移動です。
マンマークされていることを逆手に取り、大きくポジションチェンジを行い、フラムの選手に決断をゆだねる作戦です。
カンセロがハーフスペースに、ベルナルドシルバが大外のレーンに移動。それに合わせてフェラントーレスがトップの位置に動くことで、もともとついていたマークが大きくずれ、フラム守備組織を左右非対称にさせることができていました。
カンセロにカバレイロがどこまでもついていくわけでもなかったフラムの守備は、そのカンセロの動きをつききれず、前半20分間の間にカンセロからラストパスを3本も出しています。
得点にはなりませんでしたが、効果的だったことは間違いなかったです。
そのほかにもロドリとベルナルドシルバが縦関係(DFラインに一人入り、ストーンズとラポルトをSB的に振る舞わせる)になったり、右大外にポジションを移したベルナルドシルバが個人技でペナルティーエリアに侵入するなど、様々なアクションでフラムゴールを脅かしていました。
しかし、GKのアレオラが枠内シュート3本すべてをしっかりとセーブしています。
アレオラは3失点しましたが、十分に能力の高いGKであることを証明したと思います。
フラムのビルドアップにも言及します。
フラムの上背のあるロフタスチークに簡単に放り込むのではなく、しっかりとGKからつなぐことを選択します。
下の図は、GKからのゴールキックでの1シーンです。
CBがペナルティーエリア幅に広がり、大外にSB、空いたセンターにはハリソンリードが入りますが、シティの方も前からマンマーク。
シティのWGがCBに、アグエロがハリソンリードに、そしてSBにはWBを寄せていきます。
レミナとアンギサにも同じようにベルナルドシルバとロドリがマークをつき、GKからCBにボールが出されたとしても思うように前に運べず、どちらかのサイドで必ずつまっていました。
41分には、カンセロがフラムのミドルパスの目測を誤り、オーバーしてしまったことで、プレス回避となっていましたが、戦術的にはシティの守備も、フラムの守備と同様にうまくはまっていたと思います。
前半は両者譲らずのスコアレスで後半へと向かいます。
3得点は成功?
後半を語る前に試合を通したスタッツを紹介します。
xGはほぼ点差通りの結果でした。
ポゼッションもそこまでシティが圧倒しているわけでもなく、パス数も普段のシティよりもかなり少ない(平均606本)です。それだけフラムの統率の取れた守備の効果が出ています。
クリアの数がシティはフラムの倍の数字にもなっており、よりフラムがシティの陣内にも入っているとも言えます。
この試合のアクションゾーンを示したものです。
左から右がホームのフラム。右から左がシティです。
中央のミドルサードでの試合展開が多く、お互いのゾーンではほぼ同じ割合となりました。
ここからもシティに対して、うまく戦術的アプローチがはまっていた証拠だと言えます。
今日のポイントは後半の部分にありますが、
マンチェスターシティは、フラムのミスに救われた
ということです。
得点を振り返ってみましょう。
1点目のストーンズのゴールは、フラムが自陣でファウルを犯してしまい、そのFKをカンセロがストーンズに合わせたものです。
47分の失点で、ファウルを犯してしまったのは後半開始直後ということになります。前半が良かっただけに、この判断は非常に惜しかったフラム。
2点目は56分。
フラムの自陣でのビルドアップミスからジェズスがボールを奪い、そのまま一人かわしてゴールを決めています。外から中央に誘導するハイプレスがうまくはまりフラムの連係を阻害することに成功しました。
お母さんに電話するいつものゴールパフォーマンスも披露され、フラムを突き放します。
最後の3点目は、60分のアグエロのゴールという最高の形でしたが、このPKもフラムのビルドアップミス。
フェラントーレスがアダラバイヨからボールを奪い、そのままペナルティエリアに侵入した際にアダラバイヨに倒されたものでした。
シーズン中盤になってから引いて固めて守ってカウンター一辺倒ではなく、前からプレスをかけてきたり、ミドルサードでパスの矢印方向を狙ってきたり、中位以下のチームもアグレッシブに、シティに対して挑んでくることが多く見られています。
前半守られてしまったことを嘆いているわけではなく、今シーズンは苦しいときの得点が多いことが非常にポジティブな部分です。
この試合も後半開始直後のFKのチャンスをしっかりとものにしています。
相手のミスもついて追加点もあげています。
得点後、フェルナンジーニョを投入すると、
ロドリがラポルトとディアスの間に入り、ラポルトとストーンズをSB的に開かせ、フェルナンジーニョを中央右寄りに配置。アグエロがロドリのいたスペースに入ってきていました。
83分には、フラムが決定機を作りましたが、ゴールならず。
ミトロビッチのキープからアンギサのシュート。完全にシティDFの裏を取り、シュートさえ、良ければというシーンでした。
フラムはよくがんばったと思いますが、最終的にはクリーンシートでゲームを占め、最高の結果と言えるでしょう。
結果
フラム 0 - 3 マンチェスターシティ
47' ストーンズ(assist by カンセロ)
56’ ジェズス
60’ アグエロ(PK)
HIGHLIGHTS | FULHAM 0-3 MAN CITY
まとめ(今日のジンチェンコ)
出場はなし。
しかし、いつでも出場可能なように準備は怠っていなかった…はず。
次回のジンチェンコは、4月3日レスター戦です。
しっかりと準備しましょう。
本日はメンディーとアグエロが久しぶりにスタメンで出場しました。
アグエロも本調子ではないですし、メンディーも普通のプレーに終始。
特にメンディーですが、モナコのときの勢いはシティで追った怪我により影を潜めています。きっと偽SBではない本来のSBとしてメンディーを活躍し、大外レーンをメンディーに任せ、スターリングをよりゴールの近くでプレーさせようという思惑があったはずです。
しかし、現在のメンディーのままでは、今日の試合のように無難にプレーできるWBを置けるシステムにわざわざ変更せざるを得ないという印象でした。
シーズンの途中からジンチェンコやカンセロが左SBでプレーするようになり、レーンを巧みに移動する偽SBがはまったことで、メンディーの立場は危うくなっています。
もしかしたら、もっとシンプルなSBとしてのプレーを求めてくれるチームに移籍した方が本人の幸せにもなるかもしれません…。
本日は以上です。
クリーンシートで、完勝。
何よりもうまく守られて、前半で得点ができない嫌な流れのある中で修正してしっかりと勝利したことはプラスだと感じます。
あとは先制されたあとでも勝利できるかどうかということですね。
この試合のあとにCLラウンド16メングラ戦、FAカップエバートン戦を勝利。
マンチェスターダービーで完敗しながらも崩れない今シーズンのシティの堅さを感じます。
現在代表ウィーク。
代表に召集されたシティの選手たちが怪我をせずに戻ってきてくれることを心から祈るばかりです。
4月のリーグ戦までしばしの休息。
それでは!
立ち位置が重要すぎた試合 第33節 vs サウサンプトン
こんにちは。
tdashiです。
本日は今シーズンいまいち調子がつかめないセインツとの試合です。
メンバーも、やっているサッカーも悪くないと思ってはいますが、なかなか結果がついてこない。リーグ戦直近5試合では前節シェフィールドユナイテッド戦での勝利のみ。
しかし、南野が冬の移籍市場で加入し、初戦のニューカッスル戦とドローで終えたチェルシー戦で得点。
この試合でも出場を期待しましたが、残念ながら出場はありませんでした。
RBグループ仕込みのサッカーを体現するハーゼンヒュットルのスタイルには南野はすぐにマッチできるはず。
残りの試合に期待しましょう。
結果はマンチェスターシティの大勝ということになりましたが、マンチェスターシティはまたもPKで失点。得点直後の失点というものもありました。
今日はネガティブなイメージを払拭するマンチェスターシティの良かったプレーをピックアップしながら、スタッツと合わせて振り返っていきたいと思います。
スタメン
両チームのスタメンはこちら。
■ホーム マンチェスターシティ 4-3-3
前節マンチェスターダービーからは、5人を入れ替え。ダービーの敗戦を引きずるとは思えませんが、ジェズスはベンチスタート。
右SBはウォーカーで、カンセロを休ませています。
ジンチェンコはまたもスタメン。最高です。
3トップはフォーデン、ベルナルド、マフレズと並びのわからないスタメンでしたが、スタートはベルナルドが0トップでした。
この過密日程の中、ストーンズ、ディアス、ラポルトがローテーションできているCBは昨シーズンの状況を考えたらポジティブすぎます。
■アウェイ サウサンプトン 4-2-2
前節エバートン戦からは2人を入れ替え。南野はベンチでした。
とにかく勝てないセインツ。直近10試合で1勝。よく監督が解任させられないものです。
イングスやウォルコットが怪我をしていますが、精鋭はそろっています。
苦しめられた選手
特筆して良かった選手はいなかった印象でした。
どちらかというチームとしての連動が目立ちました。特に前半開始15分と2点目を取った後のボール保持も追加点を狙う姿勢がよく見えました。
強いて言うならウォードプラウズ。
前回対戦でもあげているのですが、結局彼の精度の高いキックがラストパスにもフィニッシュにも活かされるのが今のセインツ。
それよりも守備をしっかりした方がいいと感じてしまった試合でした。
スタッツから読み取る戦況
マンチェスターシティが5得点、サウサンプトンが2得点とスコアだけ見れば大味な試合になったと思いそうですが、実際にどのような試合だったのかをスタッツから少し考察してみたいと思います。
まずは、90分間のスタッツを見てください。
※データはすべてFotMobを活用しています。
「xG:Expected Goal」はゴール期待値と呼ばれ、シュートに対して得点の可能性の高さを考慮した数値として枠内シュートや決定率よりも実の値として用いられています。
マンチェスターシティは2.61、セインツは1.73。両チームともxGよりも多く得点をしていることがわかります。ただ、このxGは、なんとも曖昧な数字だなと私なんかは思います。得点の可能性をどのように数値化しているのか、可能性の高さを感じるのは人それぞれでつまり指標や用いる式が媒体によって異なる点が非常に曖昧。今後の発展はある指標だと思っています。
はい。
そのほかのスタッツに関しては、パス本数以外は均衡しています。シュートに関してもシュート数に対する枠内シュート数、いわゆる枠内決定率は、シティ58%、セインツ55%なのであまり変わりませんでした。
パス本数が少ない分効率よく攻めていたのはセインツの方だったなと思います。
守備のスタッツを見るとクリア本数、空中戦の勝利数はほぼイーブン。
インターセプトの数が5本セインツの方が上回っています。
前半は両サイドで相手の内側へのパスをひっかけることが多く、後半はディフェンスラインと左サイドでのインターセプトが多かったです。
シティは、中盤でのインターセプトは1本だけで残りはサイドとディフェンスラインでのものでした。
xGからもそうですが、この点差はあまり予想のつかないものだったということがわかります。
それもそのはず。
前半のシティの3得点は、こぼれだまへの反応が2点、セインツのビルドアップミスで1点なので、スタッツには表れない部分も多かったと思いました。
続いてはゲームが動いた前半のスタッツを2つのタームにわけて見てみたいと思います。
前半開始からボールを保持したのはセインツ。
WGがCBに外切りでプレスをかける4-4-2のシティに対して、空いたサイドを有効的に活用していました。
2トップの片方が下りてきてウォードプラウズを前向きに使い、サイドに展開。シティのSBに対してセインツはSBとSHで数的優位を作るシーンも見られました。
と、試合展開を書いてしまいましたが、前半の15分間はセインツがポゼッションでシティを上回っていました。
シュートはどちらも0本。均衡した試合展開で、どちらがゲームを支配するかにらみ合いという15分間と見えます。
10分間だけで言えば60%を超えるポゼッションを見せたセインツ。6分に見られたようにシティのスローインを狙ったり、偽SBとして振る舞う左サイドを狙ったりと前進も見せていました。
※WhoScoredから引用
色がわかりにくいのですが、左から右に攻める赤丸のシティと右から左に攻める青丸のセインツの前半15分間のタッチ位置をプロットしたものです。
相手陣内ではサイドでしかボールを持てていなかったシティに対して、セインツは相手陣内のペナルティーエリア周辺でボールを持てていることがわかります。
シティ側の要因は0トップにありますが、ジンチェンコがロドリと並ぶ3-2でのビルドアップでかつ、ギュンドアン、デブライネ、ベルナルドシルバとどんどんボールを受けに来てしまうので、人はいるのに狭くてパスが出ないという事態に陥っていました。
ボールのタッチ数でみると、ギュンドアンこそ13回と多い数字でしたが、デブライネ3回、ベルナルドシルバ4回とかなり少ない数字でした。それだけパスが回っていなく、外回りを余儀なくされていたことがわかります。
そこで、少し立ち位置を変えたのが15分を過ぎてからでした。
これが残り30分のスタッツです。
シティがポゼッションで圧倒しています。最初の15分間はなんだったのかと思うほどです。スコアも3対1で折り返すことに成功しています。
そのほかのスタッツは15分間と同じく均衡はしていますが、ボールを保持し、自分たちのペースで攻撃をしていたことが数字として表れています。(逆にセインツもシティ相手にうまく立ち回って同じだけのシュートを打っていますが)
この要因がまたスタッツには表れないことで、ジンチェンコが外に開き幅を取り、ギュンドアンが少し下がりました。ベルナルドシルバが下りてくる前線にはフォーデンが流れるようになり、配置の整理されたシティが中盤を経由したボール回しを可能としていました。
だいぶ、相手陣内でもボールを持てるようになっているのがわかると思います。
失点がまたもPKというのはとても気になりましたが、悪くない前半でした。
このように少しずつペースをつかみ、いい形で折り返したシティは、そのままの勢いで2点を追加。
55分の4点目もセインツのパスミスでしたが、5点目はウォーカーのグラウンダーのアーリークロスからデブライネが決めました。
後半はフォーデンをトップに変えるなど、前半と少し変更を加えたり、主力を休ませフェランやアグエロを試合に出すことができたなど、今後のチームマネジメントとしても良い方向を見せて試合を閉じることができました。
後半の失点も4点目の直後でのもので、流れとしては最悪な失点。しかも、ベルナルドシルバのパスミスというのもなにか嫌でした。(頭を抱えるベルナルドシルバが印象的でした。すぐ戻れよ、と笑)
本日はスコア上圧倒したシティの個人的に良かったと思った15分の得点シーンと54分のその後のフェルナンジーニョのインターセプトから得点につながったシーンをピックアップしたいと思います。
ピックアッププレー①
ピックアッププレーの一つ目は、15分のシティ先制点のシーンです。
ジンチェンコに幅を取らせ、ギュンドアンが少し下がり目になってからすぐのシーンでした。
こんなに配置替えが効くのか驚きもありました。
形としては大外のジンチェンコがセインツDFラインの裏を取り、CBルベンディアスからロングボール一本でゴール前に侵入できたシーンでした。
特筆すべきはマンチェスターシティの個々の立ち位置です。
全員がセインツ守備陣の間に立っているのです。だれか特定の人にマークされない絶妙な立ち位置によりセインツ守備陣のマークへの迷いを生み出し、だれにでも楔をだせる状態だったのです。
セインツ右SBのバートランドに注目してください。
DFの鉄則は中のマークから見ること。
この場合、だれもマークについていないフォーデンに注意が引きつけられるのは仕方ないこと。ベドナレクやウォードプラウズの任せたところでより危険な中央の選手がフリーとなる危険性がはらんでいました。
ルベンディアスのルックアップと同時にジンチェンコはDFラインの裏へ走ります。
高精度のパスがルベンディアスから配球されます。この時点でセインツ守備陣は自陣ゴールを向いた状態での守備を強いられます。
ジンチェンコへのカバーとペナルティーエリア内のフォローという二つのタスクを同時にはできないベドナレクの後ろをフォーデンが狙うことになります。
そしてゴールを決めたのはデブライネ。
フォーデンのシュートのこぼれに反応していたデブライネが冷静に決めました。
図にも書いていますが、サリスがなぜ絞っていなかったのか疑問でした。ジンチェンコが裏を取ってもフォーデンがシュートを打っても歩いていたサリス。試合にも入れていなかったし、ミスも多く、かなり印象の悪くなった試合でした。
シティの立ち位置とペナルティーエリアへの侵入が際立ったシーンでした。
ピックアッププレー②
続いてのシーンは、直接的には得点には結びつかなかったものの、最終的にはマフレズのゴールとなった54分のシーンです。
お手本のような3人目の動きだったので紹介します。
ラポルトからジンチェンコへパスが通ります。
この時点でベルナルドシルバがセインツ3人の間に入るように顔を出します。
だれからも届かない絶妙な立ち位置。
ジンチェンコには、右SBのバートランドがプレス。
ジンチェンコは、細かいタッチでバートランドを引きつけてからベルナルドシルバへ。
この時点でセインツの右サイドはSBとCBがつり出されており無人状態なのがわかります。
当然、シティはここを狙います。
ベルナルドシルバはベドナレクを背負ったまま、前向きのギュンドアンに落とし、スペースにダイレクトでスルーパスを出します。
フリーでジンチェンコがパスを受けることができました。
そのフォローにいくことになったヴェスターゴーアはジンチェンコにつめていきますが、当然、中央のマフレズがフリーに。
このシーンから得点シーンへと展開は連続していったのです。
今日のジンチェンコはサイドから裏を取るシーンも見え、SBとしてのプレーもこなすことができていて非常に良かったです。
ここでやっぱり気になるのは、サリスの立ち位置ですね。
もっと絞るべきで、なぜそこをさぼっているのか理解はできません。純粋に知らないのかわざと動いていないのか。ハーゼンヒュットルは早急に対策を講じる必要があると感じました。
結果
15' デブライネ
25' ウォードプラウズ(PK)
40' マフレズ
45'+3 ギュンドアン
55' マフレズ(assist by フォーデン)
56' アダムス
59' デブライネ(assist by フォーデン)
FULL HIGHLIGHTS: Manchester City 5-2 Southampton | Premier League
まとめ(今日のジンチェンコ)
では、最後に今日のジンチェンコをプレイバックしたいと思います。
まずは90分の個人スタッツ。
キーパスの2本は、44分のフォーデンへの決定機にもなりえたサイドライン際からの斜めのパスと上述した54分のマフレズへのパス。
パス成功率は相変わらず高く、例えば69分のように2人に囲まれてもパスのタイミングでいなすことができる能力は本当に素晴らしい。
守備ではインターセプト1回、空中戦1回という数字を記録しました。
コーナーキックでヴェスターゴーアにマークすることになったりかわいそうな瞬間もありました。
最後に、タッチ位置のプロットを線でつないだものです。
自陣及び相手陣内のペナルティーエリアに近い位置ではピッチの中央でボールを触れていましたが、ビルドアップの段階ではサイドラインに位置していたことがわかります。
試合開始時はロドリと並び、ボールを動かす役目としてスタートした中で、試合の状況を読みつつ中央をギュンドアンやベルナルドシルバに任せ、サイドに開いた判断はジンチェンコだけの判断ではないにしろ順応力の高さはやはり本職のSBではなかなか難しいプレーなのかなと感じました。
ということで、以上です。
この試合はスコアで感じる大味さとはほど遠い両チームの攻防があって二つ楽しめた試合でした。
失点は2失点とも悪い失点ではありましたがシーズン序盤を思い返すと勝ったしどうでもいいやと思えるほど、リーグの順位を見ると思えます。
よほどのことがない限り1位でフィニッシュできそうですが、デブライネのコンディション、ストライカーと0トップの使い分けなど、シーズン終盤に向けて気になることは多いです。
個人的にはフェラントーレスにもっと出番を与えてプレミアの空気を感じさせて飛躍の2年目に向かわせてあげてほしいなと思っています。(ルベンディアスが初年度から活躍しすぎです)
レビュー書くのが遅くてすでにフラム戦、CLラウンド16メングラ戦を勝利で終えています。
次回はフラム戦のレビューを更新しますので、少しでいいので読んでください。
CL、プレミアの2冠に向けて応援を続けましょう。
それでは!