セルヒオ・ラモスもメッシもいない!?それでもリーガは面白い! ~スペイン ラ・リーガ20チームを語る~
こんにちは。
tadashi(ただし (@tadashi0716) | Twitter)です。
本日はスペインのサッカーリーグ ラ・リーガ1部で戦う20チームについて様々な角度から語り、ラ・リーガの魅力を伝えてみようという内容になります。
私が20年間のめりこみながら時には離れながら見ていた何かが伝えられるかもしれません。
すでにラ・リーガを愛しているみなさま。仲間です。お友達になりましょう。
一緒にラ・リーガを盛り上げていきましょう。
ラ・リーガはレアルマドリード、バルセロナ、アトレティコマドリードしか知らないみなさま。
おめでとうございます。
これから新しいものを知ることのできるチャンスを持っています。うらやましい!
難しいことは抜きにして各チームの”ここに注目してみては?”というポイントをかいつまんでいきます。私ももちろんすべてを知っているわけではないので、今シーズンは自分が注目したいところの視点も込めています。
また、あえて画像をほとんど貼らずに言葉だけで紹介しています。
興味があったら試合を見たり、調べたりしてみて、その姿やキャリアを確認して見てほしいなという思いもこめました。
さて、こういう紹介記事というのはどうしても昨シーズンの順位で上から順番に紹介する手法が多いので、この記事では下位チームから書いていきます。
ぜひ読んでみてください。
- サッカーとしてのラ・リーガの魅力
- 各チーム紹介
- ラージョ・バジェカーノ 2部 6位(プレーオフにより昇格)
- マジョルカ 2部 2位
- エスパニョール 2部 1位
- エルチェ 17位
- アラベス 16位
- ヘタフェ 15位
- レバンテ 14位
- バレンシア 13位
- カディス 12位
- オサスナ 11位
- アスレティックビルバオ 10位
- グラナダ 9位
- セルタ 8位
- ビジャレアル 7位
- レアルベティス 6位
- レアルソシエダ 5位
- セビージャ 4位
- バルセロナ 3位
- レアルマドリード 2位
- アトレティコマドリード 1位
- セルヒオ・ラモスとメッシという存在
サッカーとしてのラ・リーガの魅力
この章では、各チームを紹介する前にスペインのサッカークラブはどういったサッカーをするのかを簡単に説明します。
まずは、ラ・リーガのレギュレーションです。
下の図を見てください。
※下記公式HP参照
2部については、上位2チームが自動昇格。3~6位は昇格プレーオフを実施し、1チームが昇格。
上のラ・リーガのHPはとても見やすく、色彩も鮮やかで、眺めるだけでも面白いです。
では、さっそくラ・リーガの面白さを紹介します。
私の考える他リーグとの異なる魅力的な部分は3つあります。
1.熾烈な欧州大会出場権争い
ラ・リーガにおいてのチャンピオンズリーグ争いは残り1枠の勝負です。
まず間違いなくレアルマドリード、バルセロナ、アトレティコマドリードは3位以内に入ってきますので、実はシーズン開始から残りの1枠を残りの17チームで争うことになります。
レアルマドリード、バルセロナ、アトレティコマドリードが過去10年間でチャンピオンズリーグを逃したのは10-11シーズンのアトレティコマドリードだけです。
ヨーロッパのコンペティションに参加するために最初から3チームが埋まっているリーグはおそらくスペインだけだと思います。
これをどこかのチームが崩すのか、それとも粛々と残り1枠を狙うのかといったチームの戦略も面白いポイントです。
ヨーロッパリーグなら上位3チームは狙ってないので、どのチームがチャンピオンズリーグを目指しているのか、ヨーロッパリーグを狙うのかというところに注目しましょう。
ちなみに余談ですが、クラブの考えでヨーロッパの大会に参加しない方が良いと考えるクラブもあります。
良い成績を残してヨーロッパの大会に出場したところまでは良いのですが、その年にリーグでうまくいかず下位に沈み2部へ。なんてこともあります。
クラブとして街のために1部定着を続けることの方がよほど重要だ、という選択を取るクラブもあるみたいです。
クラブ経営は難しいですね。
2.美しいパスサッカーが主流かと思いきや…
スペインリーグのサッカーと聞いて多くの人が頭に浮かぶのは、2010年ごろのスペイン代表が見せたパスサッカーだと思います。
当然、スペインリーグ ラ・リーガでも同様に華麗なパスサッカーの応酬かと思っている人がいたら違います。
ドリブルで仕掛けるわ、ハイボールで前進するわ、ハードなタックルはかますわの試合展開です。
それはやはり上でも説明しているように上位チームが完全に固定され、揺るがないからです。そして、その上位チームが圧倒的に強く、ポゼッションも高いため、中位以下のチームが同様の戦術で戦っても無駄に勝ち点を落としてしまうからです。
ポゼッションを高め、試合を支配するのはレアルマドリード、バルセロナ、セビージャ、ベティスぐらいでしょうか。アトレティコマドリードも近年シメオネがその傾向を取り入れています。
それ以外のチームは手数をかけず前に運び、サイドアタッカーが仕掛け、ストライカーがゴールを奪うというのがラ・リーガの多くの攻撃パターンです。
つまりイングランドのプレミアリーグやイタリアのセリエAよりもスピーディな試合が見られるのがラ・リーガの魅力です。
乾がエイバルであれだけ活躍できたのは”仕掛けるドリブル”という武器を持っていたからだと私は思っています。
またまた余談ですが、圧倒的に強い上位陣に対抗するために、守ってカウンター!というのは戦術的に他国より遅れを取っているのでは?と思っている人がいたらそれはNO!!です。
そういったポゼッションも高く、個の能力も高いレアルマドリードやバルセロナなどに対抗するために、守備戦術が発達しているのです。
上位チームと中位以下のチームの対戦の際にはぜひとも前からのプレス、ミドルゾーンのブロック、引いた時のライン形成などに注目してみてください。
3.頻繁に起こる番狂わせ
上位チームが崩れないリーグと言いましたが、長いシーズン番狂わせがたびたび起こるのもラ・リーガの魅力です。
昨シーズンはアトレティコマドリードが13-14シーズンぶりの優勝を果たしましたが、これにはバルセロナとレアルマドリードが見事に番狂わせの役者となってしまったからです。
バルセロナはグラナダ、カディス、ヘタフェに、レアルマドリードはレバンテ、アラベス、カディスに負けています。
そしてこの2チームに勝ったチームはどのチームも残留しているので、気持ちの面でも番狂わせを起こしてやろうと意気込んで試合に入るチームが多く、好ゲームになることも多いです。
なんで上位チームが試合を落としてしまうかというと、万全の状態でフルメンバーがそろわないからです。
ラ・リーガは常に上位チームがヨーロッパの大会を同時にこなしています。また、代表選手を多く抱えており、ナショナルマッチウィークには選手たちが各国代表に召集されます。
心も体も疲弊しきってメンバーをあれこれ変えながら戦っているので、下位相手に取りこぼすことがあるのです。
時期的にはチャンピオンズリーグとリーグが重なる10月から年末にかけて、そしてチャンピオンズリーグのトーナメントが始まる2月から4月にかけて注目すると、素早い出足からゴールを奪う中位以下のチームの勝利が見られると思います。
各チーム紹介
スペインリーグ ラ・リーガの魅力をお伝えしたところで、いよいよ各チームの紹介に入りましょう。
最近では、各チーム日本語のアカウントもあるようで、そういったものも紹介しながら一言ずつ添えていきたいと思います。
※すべてのチームのすべての試合を見ているわけではありません。あくまでリーガを長く見てきた個人の意見としてとらえて楽しんでもらえると嬉しいです。
【凡例】
コーチ
主な移籍(←:in →:out)
魅力を一言
今シーズンの注目ポイント
ラージョ・バジェカーノ 2部 6位(プレーオフにより昇格)
- コーチ アンドーニ・イラオラ
- 主な移籍(←:in →:out)アントニン(→グラナダ ※ローンバック)
- 魅力を一言 マドリード第3のクラブ
- 今シーズンの注目ポイント 1部残留は果たされるか/レアルマドリードのレジェンド ジダンの息子が所属
日本での知名度は低いことは重々承知です。
もちろん日本語のツイッターアカウントもなく、有名な選手がいるわけでもありません。
2部でも6位からプレーオフで勝ち上がったわけで1部残留ができるのかも怪しいクラブでしょう。
監督のイラオラは今シーズンよりラージョ・バジェカーノを率います。スペイン代表経験もあるビルバオで15年間プレーした1部を良く知る監督です。
1部での監督経験がないことが心配な要素ではありますが、マドリードのクラブとしてマドリードダービーでは一矢報いてほしいです。
近年では11-12シーズンから5年間1部に在籍していました。
レアルマドリードのトップチームでもプレー経験があり、昨シーズン2部でも11試合に出場し、3試合で無失点を達成。まだ23歳と若いです。ジダンに似ていますよ。当たり前ですが。
かつてお父さんが率いたチームを相手にゴールを守るルカ・ジダンを見てみたいと思いませんか。
マジョルカ 2部 2位
- コーチ ルイス・ガルシア(※バルサのルイス・ガルシアではありません)
- 主な移籍(←:in →:out)久保建英(←レアルマドリード ※ローン)マフェオ(←シュトゥットガルト ※ローン)ブディミル(→オサスナ)
- 魅力を一言 バカンスならこの島
- 今シーズンの注目ポイント マドリーで輝く前の久保建英のラストイヤー
スペインにあるバレアレスマヨルカ島にマジョルカはあります。それはそれは住みやすいようで、当時レンタルで在籍していた久保建英も気に入っている様子でした。
バカンスで一度訪ねてみてはどうでしょう。
注目ポイントはなんといっても久保建英です。来シーズンはヴィニシウスがEU国籍を取得するでしょうからマドリーでも選手登録が可能となります。
つまりマドリー以外のチームでプレーをする最後のシーズンとなるのです。
それがこのマジョルカなのですから注目しないわけにはいかないでしょう。
また、シュトゥットガルトから加入のマフェオは右サイドで久保建英とユニットを組む機会が多くなる選手です。24歳の右SBでプレミアリーグのマンチェスターシティ出身。昨シーズンまではウエスカで岡崎と同僚でした。彼にも注目してみてください。
ちなみにマジョルカにはかつて大久保嘉人が在籍しており、デビュー戦でゴールをあげたことは懐かしい記憶です。
エスパニョール 2部 1位
- コーチ ヴィセンテ・モレノ
- 主な移籍(←:in →:out)
- 魅力を一言 中村俊輔も所属した1部在籍年数6番目のバルセロナのもう一つのチーム
- 今シーズンの注目ポイント ラウール・タムードを追い越せレアルマドリード出身のラウール・デ・トラスのゴール/唯一の五輪戦士オスカル・ヒルの挑戦
日本になじみが少しだけあるのは、中村俊輔が在籍したことのあるチームだったということぐらいでしょうか。
昨シーズンの降格で、1部在籍の連続記録も途絶えたもののスペインで1部在籍年数が6番目に長い記録を持っています。
これより上にいるチームはレアルマドリード、バルセロナ、アスレティック・ビルバオ、アトレティコマドリード、バレンシアのみです。すごい記録です。
中村俊輔が加入した09-10シーズンには生え抜きのDFハルケが開幕直前に心臓発作で死去した悲しいニュースも記憶に新しいかもしれません。
今シーズンの注目ポイントは、かつての点取り屋ラウール・タムードを追い越せる才能ラウール・デ・トラスです。
ラウール・タムードって自分の中では今でいうイアゴ・アスパスみたいな存在なんですよね。
加入当時は振るわなかった得点力も昨シーズンは2部で爆発。
23ゴールで得点王となっています。ぜひ彼のゴールに期待してください。
また、昨シーズンエスパニョールからオリンピック代表に選ばれた選手もいます。
それは右SBのオスカル・ヒルです。
直前までオリンピックに参加して日本にいましたが、さっそく招集メンバーに名を連ねていました。彼のプレーもチェックしてみてください。
エルチェ 17位
- コーチ フラン・エスクリバ
- 主な移籍(←:in →:out)ピアッティ(←無所属)カシージャ(←リーズ:プレミアリーグ)
- 魅力を一言 税金未払い、3部落ちを経験した2000年代に苦労したクラブ(魅力なのか…?)
- 今シーズンの注目ポイント ラウールグティという選手/日本語公式Twitterの躍進
エルチェは日本語公式Twitterがあって、少しずつ知名度を上げようと努力しています。
昨シーズン14-15シーズンぶりに1部で戦い、見事に1部残留を決めました。
過去経営の問題で3部落ちも経験している苦労クラブがどこまで1部残留を続けられるか。
監督はフラン・エスクリバ。私はもちろん知らないです。
調べてみると面白くて、12-13シーズンに就任したエスクリバはエルチェを率いて2部優勝。降格した14-15シーズンまでエルチェの監督をやっていたようです。
今回昇格時は別の監督でしたが、再度1部での勝負。(その間ヘタフェ、ビジャレアル、セルタを率いていたので1部での経験は十分です)
リベンジですね。
注目ポイントは、その名前から
中盤ならどこでもできる24歳。
サラゴサから2020年にやってきた選手です。
名前のプレッシャーに負けずにぜひ今シーズンもエルチェのためにプレーしてほしいと思います。
アラベス 16位
- コーチ ハビエル・カジェハ
- 主な移籍(←:in →:out)原大智(←イストラ:クロアチア)ルジューヌ(←ニューカッスル:プレミアリーグ)
- 魅力を一言 クライフの息子も在籍。00-01シーズンのUEFAカップは決勝まで進出の歴史あるクラブ
- 今シーズンの注目ポイント 原大智プリメーラ初挑戦
長らくリーガを見てきた人であればこの00-01シーズンのアラベスの快進撃を知っている人もいるのではないでしょうか。(私は知りませんでした)
ヨハン・クライフの息子ジョルディ・クライフが在籍し、リバプールとUEFAカップのタイトルを争いました。
そんなクラブに原大智が加入。
さっそく1部挑戦というのはロマンがあります。
チームが苦しいときに走って、ゴールを決めてくれるそんな存在でした。
昨シーズン途中にクロアチアのイストラに移籍し、14試合で2ゴール4アシストと結果を残しています。
彼のプレーをぜひとも注目してほしいです。
日本人が在籍しているし、日本語公式Twitterでも開設してほしいなと思います。
ヘタフェ 15位
- コーチ ミチェル
- 主な移籍(←:in →:out)アレニャ(←バルセロナ)ビトーロ(アトレティコマドリード)
- 魅力を一言 マドリード自治州のクラブと仲良し。会長は熱心なマドリディスタ。
- 今シーズンの注目ポイント バルセロナ、レアルマドリードの下部組織出身のアタッカー
10年ぶりにヘタフェの監督に戻ってきたのがミチェル氏です。
現在2部レガネスに所属する柴崎がかつて所属していたことでも日本では認知されているクラブかもしれません。左足のボレーシュートをバルセロナ戦で決めたシーンは今でも覚えています。
昨シーズンは久保建英もプレーし、久保建英のゴールで残留を決める非常にスリリングなシーズンを過ごしました。
今シーズンは、もっと安定して残留を決めるためにプレーしてなくてはいけません。
注目ポイントは、バルサ、マドリー出身の若者たちです。
ククレジャ、アレニャ、ウーゴ・ドゥーロ
ククレジャはオリンピックにも出場していたもじゃもじゃ頭のサイドアタッカー。
彼がもじゃもじゃ頭である理由は、試合を見に来てくれる母親が自分のことを見つけやすいように。なんとも心優しき選手ですね。
昨シーズンはここに久保建英もいたんです。
残留のため勝ち点が必要で、守備的な戦いが先行していたため、これら若手が同時にピッチに立つことが少なかったのは残念でした。
これらアタッカーが見事にかみ合えば順調に勝ち点を拾っていける戦いができることでしょう。
レバンテ 14位
- コーチ パコ・ロペス
- 主な移籍(←:in →:out)ソルダード(←グラナダ)
- 魅力を一言 2つのクラブが1つに。他サポーターとの繋がりも強い1部に定着したバレンシアのもう一つのサッカークラブ。
- 今シーズンの注目ポイント 強豪チームに強いレバンテの上位3クラブとの直接対決
元々は2つのクラブだったレバンテ。
バレンシアとはライバル関係で、近年はレバンテも力をつけていて、バレンシアダービーも頻繁に行われています。
様々な1部のクラブで活躍し、昨シーズンはグラナダのFWソルダードを獲得し、得点力を高めようとする意識を感じます。
レバンテはあまり詳しくないのですが、
注目ポイントは、強豪チームとの相性の良さに注目です。
上位3クラブとはアトレティコマドリード、レアルマドリード、バルセロナ。
レアルマドリードには1勝1敗
バルセロナには1分け1敗
昨シーズンはこの6試合で8ポイントも勝ち点を獲得。これは素晴らしい結果。
今シーズンの最初の対戦はレアルマドリードとのホームでの試合です。
そんなレバンテに一度、注目してみてはいかがでしょうか。
バレンシア 13位
- コーチ ホセ・ボルダラス
- 主な移籍(←:in →:out)マンガラ(→契約満了)クトローネ(→ウルヴス:プレミアリーグ)
- 魅力を一言 ラ・リーガ優勝経験もあり、アイマールもダビド・ビジャもいた強豪クラブ
- 今シーズンの注目ポイント ダニエル・ヴァスの起用法/オリンピック代表選手で活躍するのはだれだ
ここ最近のバレンシアは、低調なシーズンを送っているようですが、強豪クラブなのです。
アイマールがタクトをふるった2000年代初期はチャンピオンズリーグ決勝にも駒を進めるほどのチームでした。
リーガの優勝経験もあり、優勝争いが当たり前の時期もありました。
ロナルド・クーマンが監督になってから少しずつ変わっていったとか、、、
さて、今シーズンの注目ポイントはダニエル・ヴァスという選手の起用法です。
ダニエル・ヴァスは32歳のデンマーク代表です。
昨シーズン彼は右SBをやっていました。
しかし、彼のポジションはサイドアタッカーです。
プレシーズンマッチや開幕戦を見ると中盤真ん中でのプレーもしています。
万能がゆえに様々な場所でプレーすることを求められる彼は今シーズンどこでプレーをしていくのでしょう。
もう一つの注目ポイントは、オリンピック代表の2人の選手、スペインのカルロス・ソレールと韓国のイ・ガンインです。
ともにオリンピックではチームの主力としてプレーし、ソレールは6試合に出場し1アシスト、イガンインは4試合で3ゴールと活躍しました。
今のところ目立った補強もなくこの戦力でシーズンを戦っていくことになると考えると、明るい未来のためにこの若い2人が引っ張っていかなくてはいけないですね。
そんな2人の選手にぜひ注目してみてください。イ・ガンインはわりとラフプレーで呆れられていたときもありましたね。
ちなみにサッカー解説者、ジャーナリストの小澤さんが愛しているクラブです。
カディス 12位
- コーチ アルバロ・セルベラ
- 主な移籍(←:in →:out)チュスト(←レアルマドリード ※ローン)マルティン・カルデロン(←レアルマドリードカスティージャ)
- 魅力を一言 日本公式Twitterが存在する100年以上歴史のあるクラブ
- 今シーズンの注目ポイント 1部定着に向け一新した戦力と大ベテランネグレド
Cádizと書きます。
昨シーズン15年ぶりに1部挑戦となり、まさかの12位でフィニッシュ。悠々と1部残留を決めたこのクラブは100年以上の歴史を持つクラブです。
1部残留はなんと25年ぶり。地元のファンからしたらお祭りでしょう。
日本公式インスタグラムもあります。インスタグラムはとてもおしゃれでした。ユニフォームはどこで買えるのでしょうか。
選手名鑑のリンクもついているので、楽しめると思います。(21-22シーズンは未更新。期待して待ちましょう)
注目ポイントは、1部定着を目指して戦力を一新しているところと大ベテランネグレドです。
ネグレドはマンチェスターシティにもいたことのある実績あるストライカーです。
彼の得点力を活かしたサッカーを展開すれば今シーズンも残留のチャンスは大いにおると思っています。
マドリディスタからするとチュストがローンで加入しているので、ぜひ試合に出場してもらいたいと思っています。
オサスナ 11位
- コーチ ハゴバ・アラサテ
- 主な移籍(←:in →:out)キケ・ガルシア(←エイバル)
- 魅力を一言 ラウール・ガルシアを育てたクラブ
- 今シーズンの注目ポイント 現実的には残留狙い/チミーアビラのドリブルに期待
日本代表の監督もしていたことのあるハビエル・アギーレが監督だった2002年から2006年がオサスナのピークでした。
ラウール・ガルシアを中心に最高位の4位を獲得。
そこからは長らく低迷している様子です。
今シーズンも残留が目標だろうと思いますが、エイバルからキケ・ガルシア、マジョルカからブディミルを獲得しており、得点数が下から8番目だった攻撃の改善を狙っているようにも見えます。
個人的に注目したいのは、チミーアビラです。
昨シーズンは微妙でしたが、久保建英も所属していた19-20シーズンはドリブルも効果的で得点も決めていました。
今シーズンは、加入したストライカーと合わせて得点を決めていったほしいです。
アスレティックビルバオ 10位
ビルバオの魅力はそのクラブとしての一貫性です。
バスク人でチームを構成すること。
獲得する選手は、親がバスク人、バスク生まれ、バスクのチーム出身という条件でチーム強化を行っていますが、ビルバオは2部に落ちたことのないチームの3チームのうちの1チームです。(残りはレアルマドリードとバルセロナ)
コパ・デル・レイでは23回優勝の経験があり、昨シーズン、一昨シーズンでは決勝までいっています。
そんなこのクラブの注目ポイントは、ニコ・ウィリアムス
です。
ビルバオにはすでにイニャキ・ウィリアムスという選手がいて、ニコはその実の弟です。
昨シーズンの試合では兄弟そろって試合に出場するというフリオ・サリーナスの兄弟同時出場以来の記録を出しました。
昨シーズンはまだたったの2試合の出場ですが、まだ19歳でこれから兄の背中を追いかけて成長してほしいです。
ちなみにビルバオにはラウール・ガルシアという選手がいて、私が高校生のころけっこう好きだった選手です。当時はたしかオサスナにいて、オサスナにもこういう良い選手いるんだと思った記憶があります。
そんな彼ももう35歳。月日の流れを感じます。
グラナダ 9位
- コーチ ロベルト・モレノ
- 主な移籍(←:in →:out)ソルダード(→レバンテ)ケネディ(→チェルシー:プレミアリーグ ※ローンバック)バジェホ(→レアルマドリード ※ローンバック)ヤンヘル・エレーラ(→マンチェスターシティ:プレミアリーグ ※ローンバック)
- 魅力を一言 ディエゴ・マルティネスが造り上げた中堅チームの基盤
- 今シーズンの注目ポイント 1部定着を続けられるか/ローン選手退団後の攻撃のキーマン マチス
ディエゴ・マルティネスのもと昨シーズンヨーロッパリーグベスト8という快挙も達成し、1部でもトップ10に入る成績を残し、今後も1部で戦っていけるチームです。
しかし、移籍予算が潤沢あるわけでもなく、他チームからのローン選手でチームを組み立てている節もあるグラナダ。
今シーズンはヨーロッパリーグベスト8の資金でそこからの脱却を図れるのか、というろことです。
ですが、移籍の様子を見るとフリーでの獲得がほとんどです。
スペイン代表監督の経験もあるロベルト・モレノはどのようなチームを作り上げるのでしょうか。
前監督のように着実に勝ち点を積み上げられるかは気になるところです。
注目ポイントは、ローン選手が攻撃の核となっていた現状をどうするか
という点です。
チェルシーのケネディ、マンチェスターシティのエレーラというドリブル、パスを高い次元で繰り出していた選手がいなくなったグラナダの今シーズンはどうなるのでしょうか。
選手としてはマチスに注目してください。
昨シーズン32試合に出場し、5ゴール5アシスト。ストライカーのソルダードが移籍してしまったので、今シーズンも中心として二桁ゴールを目指してほしいです。
余談ですが、もう一人右SBのフルキエという選手にも注視してもらいたいです。
スキンヘッドで見た目は怖いですが、プレーも怖い。
サイドからガンガン前に持ち運ぶ姿は、「そこ行くのか」と時折思わせてくれるDFの選手なのに少しだけボールを持つとわくわくする選手です。
セルタ 8位
- コーチ エドゥアルド・コウデット
- 主な移籍(←:in →:out)ハビ・ガラン(←ウエスカ)フランコ・チェルビ(←ベンフィカ:ポルトガル)
- 魅力を一言 チームを支えるおじさんたち(イアゴ・アスパス、ノリート)
- 今シーズンの注目ポイント ヨーロッパへの挑戦なるか
セルタと言えばモストボイですよね。相変わらず出てくる名前が古いです。
この20年間なかなか安定した成績を出せていないセルタですが、ここ10年は2部から上がって以降踏みとどまっています。
一昨シーズンと17位でぎりぎりの残留でしたが、昨シーズンは8位。久しぶりに中位でフィニッシュしました。
魅力は書いてある通りおじさんたちの存在です。
気の抜けた顔のイアゴ・アスパスといかつい顔のノリート。
この二人のおじさんが今のセルタを支えています。
イアゴ・アスパスは昨シーズン14ゴール13アシスト、ノリートは7ゴール5アシストです。
若者よもっとがんばれ!
と思うかもしれませんが、サンティ・ミナとデニス・スアレスもちゃんとこの二人を追ってきています。
うまく攻撃が融合し、下手な負け方をしなければ久しぶりにヨーロッパの舞台への挑戦権に手が届くかもしれません。
そのセルタの戦いに注目してください。
ビジャレアル 7位
- コーチ ウナイ・エメリ
- 主な移籍(←:in →:out)フォイス(←トッテナム:プレミアリーグ ※ローンからの買い取り)バッカ(→グラナダ)
- 魅力を一言 日本人がスタッフとして活躍
- 今シーズンの注目ポイント 目指せヨーロッパリーグ/パウトーレスとジェラール・モレノ
昨シーズンの前半戦久保建英が所属していたのがこのビジャレアルです。
また、現在はJリーグを運営する日本プロサッカーリーグの常任理事をされている佐伯夕利子さんがスタッフとして最近まで活躍していたのも有名です。
日本にはけっこう関係のあるクラブかもしれません。
今シーズンの注目は、ウナイ・エメリとものすごく相性の良いヨーロッパリーグにビジャレアルは出られないというところです。
監督のウナイ・エメリは過去10シーズンでヨーロッパリーグの決勝に6回出場し、5回勝利。セビージャ時代には3連覇も達成しているほど得意としている大会です。
その大会に出られないウナイ・エメリは今、何を思い、今シーズンは6位以内に食い込むか、他チームに行くかもしれませんね。
選手で注目してほしいのは、パウトーレスとジェラール・モレノ。
パウトーレスはオリンピック代表でも見せた効果的なビルドアップと戦況を変える縦パス。今のDFは守備だけでは一流になれないなと思わせてくれる選手です。
昨シーズンは23ゴールとゴールを量産。
万能型のストライカーで、下りてゲームを組み立てながらゴール前に得点のために顔を出す。現代のストライカーという感じで、トッテナムのハリー・ケインやリバプールのフィルミーノとも張り合える選手だと思います。
レアルベティス 6位
- コーチ ペジェグリーニ
- 主な移籍(←:in →:out)エメルソン・ロイヤル(→バルセロナ)
- 魅力を一言 ダービーの熱量/サイドを駆け上がる40歳ホアキン
- 今シーズンの注目ポイント ライバルセビージャに追いつけるか/銅メダリストライネスのドリブル
セビージャとのダービーはWOWOWでも何度も見てきましたが、画面越しからもその熱量が伝わってきました。この両チームの試合は、順位や戦力など関係ないものです。
また、前監督のキケセティエンからポゼッションサッカーを見せています。乾も少しだけプレーしたチームですが、乾はだいぶ苦労していた印象でした。
注目ポイントは、魅力の一つでもある40歳ホアキンです。
昔のようなスピードにのったドリブルは確かに減ってしまいましたが、それでもベテランならではのプレーでいまだにピッチで存在感を発揮しています。
もう一人注目しておくべきは、
オリンピック銅メダリスト メキシコのライネスです。
日本も苦しめられたドリブルはリーガでも必ず通用します。
セビージャとのダービーでドリブルを見せるライネスに期待し、ぜひ注目してください。
レアルソシエダ 5位
- コーチ イマノル・アルグアシル
- 主な移籍(←:in →:out)
- 魅力を一言 マドリードよりも先に”レアル”の冠を持っている10年に1回トップ3に肉薄するチーム
- 今シーズンの注目ポイント おじゃる丸(オヤルサバル)の活躍/キャリア晩年を迎えるダビド・シルバ
レアルソシエダで思いつくのはやはりあの02-03シーズンの若きシャビアロンソを司令塔にFWの2人が大暴れしたシーズンでしょう。
右サイドのカルピンも含め、終盤で勝ち点を落とさなければおそらく優勝していたであろう快進撃でした。
レアルという名はマドリーよりも先に持っていたので、スペインではラ・レアルと呼ばれているようです。
注目ポイントは日本の実況で一躍有名になったおじゃる丸オヤルサバルです。
レアルソシエダには強力なアタッカーが何人もいて、その中でも中心となっているのがおじゃる丸オヤルサバル。
オリンピックの日本戦でも最後の最後に2人を引き出すダイナミックな仕掛けでアセンシオをフリーにさせられてしまった苦い記憶も。
そして、ダビド・シルバです。
マンチェスターシティで10年間多くのタイトルを獲得したダビド・シルバが次に選んだクラブがこのソシエダというクラブ。
狭いスぺースでのプレーは世界一のダビド・シルバももうキャリア晩年。いつプレーが見られなくなるかわかりません。
彼の雄姿を少しでも長くこの目に焼き付けておくべきだと思います。
セビージャ 4位
- コーチ ロペテギ
- 主な移籍(←:in →:out)
- 魅力を一言 ラ・リーガ随一のポゼッションサッカー
- 今シーズンの注目ポイント 上位3チームを崩せるか/アナリスト若林さん
各ポジションに優秀な選手をそろえ、それをロペテギがまとめあげたことで、昨シーズンはどのチームよりもポゼッション率が高く、試合展開をコントロールできるチームへ。これはここ近年のラ・リーガでは驚くべきことです。
ちなみにロペテギと言えば、スペイン代表でもレアルマドリードでも監督を勤めていましたが、ワールドカップ前にレアルマドリードの監督となることを発表し、スペイン代表解雇、そしてレアルマドリードでも全然勝てず数試合で解雇。ということがあったのは記憶に新しい。
ちなみにセビージャには若林大智さんというアナリストがトップチームで活躍しており、私もTwitterをフォローしてその活躍を見ています。
19-20シーズンでのヨーロッパリーグ優勝は、本当にすごいことだと思いました。
今後もヨーロッパの舞台で活躍してほしいです。
バルセロナ 3位
- コーチ ロナルド・クーマン
- 主な移籍(←:in →:out)メッシ(→PSG:リーグ1)アグエロ(←マンシティ:プレミアリーグ)
- 魅力を一言 見るものを興奮させるクライフイズム
- 今シーズンの注目ポイント 新加入選手は登録されるのか!?/新生バルサの顔ペドリとフレンキー・デヨング
レアルマドリードとライバル関係を長く続けてきたカタルーニャ州の強豪チーム。
ペップグアルディオラが率いて欧州を勝ち取ったあの時代がもっとも有名で印象的だと思います。
このオフシーズンでのバルセロナはメッシが話題の中心です。
もちろんご存知のとおりメッシは6月30日に契約満了となり、コパ・アメリカ後のバカンス終了後には新契約選手としてバルセロナに再加入することが双方で合意していたようです。
なのになんで?
という感じですね。
それはラ・リーガのサラリーキャップ云々という話がありますが、詳しくはサッカージャーナリストの小澤さんのyoutubeを見てください。
注目ポイントはバルサの新加入選手の登録です。
今のところピケが減棒を受け入れて3人ほどの選手を登録することが出たようです。
今後も在籍する選手に減棒を提案していくようです。
果たして何人の選手が登録されるでしょうか。
もう一つの注目は、新生バルサを背負っていく二人のミッドフィルダー ペドリとデ・ヨングです。
この二人のプレーのすべては、中盤でプレーしているすべての選手に参考にしてもらいたいぐらいです。
多くは語りません。エレガントです。
今シーズンより、ヨハン・クライフの息子ジョルディ・クライフがバルサフロントに入ったようです。
クライフイズムによる新生バルサ大いに期待です。
レアルマドリード 2位
- コーチ カルロ・アンチェロッティ
- 主な移籍(←:in →:out) ダビド・アラバ(← バイエルン:ブンデスリーガ)セルヒオ・ラモス(→ PSG:リーグ1)ラファエル・ヴァラン(→マンチェスターユナイテッド:プレミアリーグ)
- 魅力を一言 圧倒的な個性が戦術を破壊する
- 今シーズンの注目ポイント モドリッチはどこまでやれるか?ポストモドリッチを追え/ベンゼマ以外にだれが点を取るの?/EU国籍獲得レース
2000年代のフィーゴ、ジダン、ロナウド、ベッカムという銀河系軍団のせいで、銀河系であることを世界中から強要されてきた悲しきエル・ブランコ。
タレントを多く擁したメンバーは、それぞれの個人能力をいかしたおよそ戦術には取り入れないようなボール保持で前進し、打てるところでシュートを打って決めます。というスタイル。
失点は仕方ないが、その失点すらもDFの個人能力でなんとかする。
戦術はレアルマドリードに対抗するためにできたと思えるような個人型のチームです。
昨シーズンに選手としても監督してもレジェンドであるジダン、そしてカピタンでありDFリーダーのセルヒオ・ラモス、セルヒオ・ラモスの相棒ヴァランを同時に失ってしまいました。かわりの獲得はアラバのみ。
他にも得点を全然取らない前線や高齢化した中盤と、クルトワのいるGK以外すべてが不安要素のレアルマドリード。でも勝つのがレアルマドリードです。
私はマドリディスタなので、注目ポイント多めです笑
1つ目はモドリッチ。CL3連覇の立役者そしてレアルマドリードの心臓です。
モドリッチは今年で36歳。
そろそろ本当にモドリッチにかわるダイナモを手に入れないと世代交代の最中にCL圏を逃してしまいそうです。
ポストモドリッチ筆頭はバルベルデ。ウルグアイの手足の長いナイスガイです。完全にモドリッチに置き換わるとは思いません。むしろその推進力はモドリッチにはない良い部分。
走ることをいとわない献身性、言われればどのポジションでもやる忠誠心。マドリディズモをこれからも見せてくれるでしょう。
モドリッチのそばでビルドアップを学び、ボックスtoボックスの世界1位となってほしい。
昨シーズンはベンゼマの調子に得点数が左右されるという状況でした。
ベンゼマの23点の次はカゼミーロの6点です。
今シーズンはだれが得点を決めてくれるのか。アザール、アセンシオ、ヴィニシウス。今のところは期待はしていません。
最後に注目したいのはEU国籍の取得です。
現在、外国籍扱いなのはブラジル国籍のヴィニシウス、ロドリゴ、ミリトンと日本国籍の久保建英です。今シーズンの始まりまでにはヴィニシウスがEU国籍を取得すると言われていたのにあろうことか、その取得が遅れてしまったようです。
ラ・リーガの外国籍選手の登録可能人数は3人なので、久保建英がローンで他チームに出されることとなりました。
さて、だれがEU国籍を取得してくれるのでしょうか。
レアルマドリードについては語りたいことが多すぎますが、もうやめておきます。
アトレティコマドリード 1位
- コーチ ディエゴ・シメオネ
- 主な移籍(←:in →:out) デ・パウロ(← ウディネーゼ:セリエA)
- 魅力を一言 シメオネで始まり、シメオネが強くしたチームシメオネ
- 今シーズンの注目ポイント ジョアンフェリックスの復帰/シメオネイズムの後継者は?
ここまで同じ監督がずっと同じチームを率いていて良いのか、と不安にもなりますが、アトレティコマドリードとシメオネは切っても切れない関係なのです。
シメオネは現役時代、アトレティコマドリードでプレーし、ラ・リーガのタイトルを獲得。
現役の最後の方にはまたアトレティコマドリードに戻ってアトレティコマドリードのためにプレーしました。
ちょうどベッカムがレアルマドリードに入団した2003年のことです。
その当時のアトレティコマドリードは、2001年に1部に昇格し、フェルナンドトーレスがトップデビューを果たしたあたりのことです。
現役引退後、指導者となったシメオネは11-12シーズンに監督としてカムバック。
そこから今も監督はシメオネです。
12-13シーズンからはチャンピオンズリーグ圏内に常に入り、13-14シーズン、そして昨シーズンに優勝しています。
2部から戻ってきたアトレティコマドリードか躍進し続けているのはシメオネのおかげであり、そのシメオネを切ってしまうのは、この流れを断ち切るようなもの。
そんなことできそうにありません。
注目ポイントはジョアンフェリックスです。
いくらで加入したんですか?という移籍金でアトレティコに加入。その価値はある選手だと思っていますが早く怪我を治してその甘いマスクでファンをもっとたくさん獲得してほしいです。
また、この夏サウールを売却するのか?というニュースが流れ込んできていますが、このシメオネイズムの継承者はこのままではコケ一人となってしまいます。
諦めない、戦う、これだけシンプルなことを愚直に行えるアトレティコマドリードの戦士は後継者を育てられるか。
ついてくる若手がいるのかこれが21-22シーズンのポイントでしょう。
セルヒオ・ラモスとメッシという存在
その国のリーグの価値は所属する選手によるものも大きい。
— ただし (@tadashi0716) 2021年8月5日
ラリーガは、この数年でこれまでリーガを支えた選手たちが次々といなくなった。
シャビ、ロナウド、イニエスタ、ジダン、ラモス、そしてメッシ
ラリーガの魅力に関わる。
常に大物を狙うマドリーの存在はラリーガにとって不可欠だとわかる
その国のリーグの価値について思ったことをSNSで呟いています。
レアルマドリードがかつて銀河系軍団として外国から次々と有名な選手を買い、ファン獲得につながらなさそうな選手は切っていったことがありました。
サッカーファンとして、ペレス会長とクラブの考えは許せるものではありませんでしたが、結果として当時セリエAが一番だった日本での人気が少しずつスペインに傾き始めた要因でもあったのは事実です。
そしてこの夏のセルヒオ・ラモスとメッシの退団というのは、同時に
ラ・リーガの象徴を失ってしまったまさにラ・リーガの危機的状況とも言えます。
私は、レアルマドリードからサッカーファンになったので、セルヒオ・ラモスがいなくてもラ・リーガを見ようと思いますが、今ではPSGを見たいと思う人の方が多いのではないでしょうか。
また、メッシの退団によるバルセロナのイメージの悪さはぬぐい切れないものです。
杜撰な経営管理とともに、そのトップを選んだ一人ひとりに重く重くのしかかってくる現実です。
少なくともラ・リーガは新しいフェーズに入っていくことになります。
新たな魅力を創出し、よりスペクタクルなリーグとしてより広く発信していく必要があるでしょう。
レアルマドリードのペレス会長が執拗にエンバペの獲得を公言しているのは、金儲けかもしれませんが、ラ・リーガの拡大にはとても魅力的なプロジェクトです。
21-22シーズンはどんなシーズンとなるのか。
優勝はどのチームに、CL、ELはどのチームに、久保建英と原大智は活躍できるか、番狂わせは起きるのか、上位3チームの牙城を崩すことができるのか。
いつだってラ・リーガは魅力的です。
私はただのファンですが、ラ・リーガはいつまでも一番のリーグです。
それでは!
8月8日 コミュニティシールド vs レスター
こんにちは。
tadashiです。
この2チームがシーズン開幕に華を添える
それがコミュニティシールドです。
圧倒的なチーム力でプレミアリーグを制したマンチェスターシティと決勝でチェルシーをくだしたレスター。
今回は最初ということもあり、感想メインにシティに注目して書いていきます。
スタメン
両チームのスタメンはこちら
ユーロ、コパアメリカと二つの国際大会があったため、そこに主力として参加していた選手たちはこの試合には出場しませんでした。
ペップも言っている通り、全員で集まって練習をすることが難しいままシーズンをスタートするため、序盤は厳しいのは間違いない。
メンバーの入れ替えが少ないことはポジティブに働くかもしれません。
レスターは主力もばっちり出場していますね。
バカンスの期間を短くしたのか、強行出場なのか。
ただ、今シーズンもロジャース監督のレスターは手ごわいことがわかりました。
期待していたこと
上で述べているようにデブライネなどの主力選手が出場しないことで、期待したことは以下の2つでした。
・若手のプライオリティ
・ベルナルドの起用
若手のプライオリティ
1つ目は、プレシーズンマッチ(以下、PSM)から1つ下のカテゴリーの選手を試していたペップがコミュニティシールドにだれを使ってくるのかというところを期待していました。
結果的にスタメンは、PSM3ゴールのエドージーとPSMでダビド・シルバに近いとみなが言っていたパルマーでした。
エドージーは前半は明らかに緊張からか目立つことはできていませんでした。何度かゴール前でパスが受けられていたけど、うまくシュートが打てず。
後半は良い感じに力も抜け、左サイドからドリブルを仕掛け、何度か成功していました。それによりシティが優位に試合を進めることができていました。
パルマーはというと、守備では普段のデブライネのように一列前でCBを牽制し、攻撃ではハーフスペースをファーストポジションにしながら、レスターSBの裏をフリーランニングで取っていく。
エドージーよりも前半から試合に入り込めていたように思います。
身長も高くこれまでにないシティのIHが生まれるかもしれないです。
ここから第二のフォーデンが出てくることを期待しています。
ベルナルドの起用
今夏に退団したいことを告げていたと言われるベルナルドシルバ。
コミュニティシールドは、74分からの出場でした。
左のIHに入ったことで、グリーリッシュやメンディーと小気味良くパスをつないでいました。
グリーリッシュの持つタイミングに合わせてペナルティーエリアの奥にフリーランニングを見せたりとコンビネーションは悪くないように思えました。
ベルナルドの投入に合わせて、グリーリッシュがサイドから中に入ることも増え、メンディーも大外をオーバーラップする姿も見えた。
SB内、WG外というのをベルナルドの投入でSB外、WG内というスイッチに切り替えたようにも見えた。
ベルナルドが退団したいというのならそれを尊重したいとは思うけど、昨シーズンデブライネ不在時にその穴を埋めることができたのはベルナルドだけだった。
デブライネに依存していたマンチェスターシティにおいて、彼に手を差し伸べることができたのは、ベルナルドだけだった。
チームメイトが得点をしたときにだれよりも早く走って祝福してくれるのはベルナルド。
グリーリッシュが来て、フォーデンが台頭してきたことと、イベリア半島に戻りたい気持ちが今ちょうど重なっているのかもしれない。
もう少し彼の動向を見守りたいと思います。
メンディーの魔改造
ペップが今シーズン初めに手掛けているのがこれだと思いました。
銀髪のフランス人は試合開始からジンチェンコのような位置取りをスタート。
少し戸惑いながらもフェルナンジーニョの横をキープし、マークするペレスを内側に寄せ、そのスペースをギュンドアンがフリーで使う、といった左サイドが円滑に回っているように思えました。
図のようにギュンドアンが開くことで、レスターは迷いますが、中央を薄くすることはまず考えられないので、必然的にギュンドアンはフリーになります。
そのひとつ前でエドージーがピン留めしているのもポイントです。
緊張の見えたエドージーがなかなか周りを使えなかったこともあってチャンスにはならなかったけど、メンディーは前半かなりインナーラップを見せていましたし、
19分のカウンターの起点となるスルーパスを出してそのままゴール前に入り込むなど精力的な動きを見せていました。
ウォーカーに仕込んだように、メンディーもついにシティのSBとなるのでしょうか。
個人的には、メンディーまで魔改造されてしまったらメンディーの良さも消え、オプションがなくなってしまうのでほどほどにしてほしいなと思っています。
グリーリッシュ出場
さあ、65分にグリーリッシュが出場です。
加入早々から色気全開の宣材写真で世界中を虜にした彼のプレーもやはりエレガント。右足でボールを運ぶその軸足はセクシーそのもの。
靴下を半分までしかあげないその脛もセクシーダイナマイト。
ルイコスタを尊敬してると思ったが、そうではなかったことだけが残念。
約25分間のプレーを見て思ったのは、まだ万全ではないのかドリブルは少なめでした。
左ワイドでボールをキープし、釣られたSBの裏をIHで狙う。
右足で持っているのでその足でスルーパスが出せる。
チャンスクリエイトがデブライネに次いでいた昨シーズンのスタッツは嘘じゃないかもしれないと思いました。
明らかにスターリングにはないプレー選択でした。
それはパルマーでもベルナルドでも同様でしたが、これはデブライネとのコンビネーションが楽しみだなと思わせてくれました。
敗戦を受けて
88分のPK献上。
イヘアナチョのPK成功により0-1で敗戦。
敗戦はしたもののシーズン初戦はどうだったのか。
まず、守備について
昨シーズン途中から安定して守れていたIHを一列前にあげた4-4-2でレスターに応対。
これは前半よりも後半の方がうまく機能していた印象でした。
CBに素早くプレスをかけ、下りてくるマディソンをケアし、パスコースを塞ぎロングボールを蹴らせることに成功していました。
失点に関しては、シーズンの大事な場面で起きるロドリのエラーですね。
しかし、ロドリはあの時点で前へのパスコースがなかった状態でした。
ロドリを敗因にあげるのはかわいそうだとも言えますが、後ろに下げるならGKに下げるべきだとも思ったのは私だけではないでしょう。
フェルナンジーニョはああいった場面で適当に遠くの方に前に蹴ることも見られます。
こういったときの潔さはフェルナンジーニョを見習ってほしいとも思います。
では、攻撃に関して。
両チームに言えたことですが、前半からチャンスはポジトラでの推進力によって多く生まれていました。
相手のネガティブトランジションを上回る切り替えの速さでゴール前に侵入。
レスターはわかるが、シティがこれに付き合う必要があったのかは疑問でした。
おそらくメンバー構成的にそっちの方が効率的に攻められたのだと思います。
特に前半のメンディーからの攻撃は昨シーズンにないオプションになると感じたところです。
レスターは、マディソンがだいぶ頭を使ってシティの中盤を引き出していました。
20分過ぎからだったと思います。
これにより重心を低くしたかに見せて足の速い選手で後ろの広いスペースを使うという攻撃は、レスターの選手たちの特性をいかした非常に効果的な攻撃だと思いました。
シーズンのスタートは敗戦から始まったマンチェスターシティ。
次は16日のトッテナム戦。
リーグ戦開幕です。
ケインやベルナルドの去就も気になるところですが、まずは合流した選手たちが無事にベストコンディションに戻れるように、その時が来るまでPSMから調整している選手たちが結果を出せるように応援していきましょう。
それでは!
マンチェスターシティ 20-21シーズンレビュー
こんにちは。
tadashiです。
今シーズンのプレミアリーグを2年ぶりに優勝で終えたマンチェスターシティ。
一時は今シーズンのシティはだめだと思われた中で、見事な修正を見せた。
復活と呼んだ人もいたが、復活と呼ぶにはあまりに短期間で、あまりに変更が少なかった。
復活ではなく、単なる修正だった。
ペップは、シーズン序盤のチーム状況、スカッド、このコロナ禍のサッカー、そして現代サッカーのハイインテンシティ、ファンマ・リージョのアシストを得て、効果的にかつ対策されにくい修正を施したのだ。
さて、前置きはこのくらいにして今シーズンのペップシティを印象的な風景を切り取って振り返っていこう。
- 始まりは突然に
- ルベンディアスの加入がもたらしたもの【第2節~第13節】~重心低め4-2-3-1期~
- ストライカーギュンドアン【第14節~第29節】~4-3-3ゼロトップ期~
- フォーデンの独り立ち
- カラバオカップ4連覇とプレミアリーグ制覇【第27節~第37節】~気の抜けた総力戦期~
- アグエロの退団とラストゲーム【プレミアリーグ最終節】
- すぐそこまできていたビッグイヤー【チャンピオンズリーグ決勝】
- [コラム]カンセロロールとはなんだったのか
- ジンチェンコ特集
- 契約延長とさよなら
- 記録の部屋
始まりは突然に
マンチェスターシティの新シーズンの開幕は、非常に物足りないものだった。
物足りないという表現が適切かはわからない。それでもやはり物足りなさを感じたスタートだった。
世界中に蔓延した新型コロナウイルスの影響により、サッカーは絶望の状況を迎えた。
それでもかろうじて無観客という形で再開したヨーロッパサッカーは、確実にゆっくりと今シーズンのチーム作りに影響を与えた。
チャンピオンズリーグでトーナメントに進んでいたマンチェスターシティは、集中開催という手段で試合をこなし、失意の中ようやく19-20シーズンを終えた。
準備期間はほとんどなかった。
それでもプレミアリーグは20-21シーズンをスタートさせた。
開幕時点での戦力の上積みは、ボーンマスから獲得したオランダ人ディフェンダーのナタン・アケとバレンシアの20歳のウインガー フェラン・トーレスだけだった。
かわりに抜けたのはダビド・シルバ。
空いた穴が大きすぎた。
ルベンディアスの加入がもたらしたもの【第2節~第13節】~重心低め4-2-3-1期~
第1節が延期となっていたマンチェスターシティは、2試合目となった第3節 レスターと戦う。
選手のコンディションの問題が危惧されたが、第2節では19-20シーズンにダブルをくらったウルヴスに勝利したシティ。ファンもみな、そこまで崩れないまま尻上がりにベストコンディションへ向かうだろうと思っていた。
結果は5失点の大敗であった。
どれだけ好意的にこの試合を捉えても長い長いシーズンにポジティブな予想はできなかった。
疲れのとれていない重い11人が苦しそうにボールを追いかける姿が思い出される。
だれもがチャンピオンズリーグでリヨンに負けた心の傷が癒えていないこと、昨シーズンの守備のほころびが修正できていないことを語った。
だれもがまるで評論家のように今シーズンのマンチェスターシティのネガティブな側面を記事にした。
そんな中で現れたのが、ポルトガル人CBのルベンディアスだ。
9月27日。コロナ禍であったからこそ可能だったこのタイミングの移籍で、ベンフィカからやってきた23歳は、イングランドではまだ無名だ。
加入後たった2回の練習をこなして挑んだ第4節リーズユナイテッド戦でプレミアリーグデビュー。
チームとしてはドローで終わったが、堂々のデビューを見せたルベンディアス。
この試合の後から第27節マンチェスターユナイテッド戦までの間に複数失点はたったの1試合だけだった。
マンチェスターシティにとってのルベンディアスは、コンパニー退団後に不足していたピッチ上のキャプテンという存在だ。
ディフェンス能力の高さはベンフィカでも証明していたかもしれないが、彼の言葉や行動がストーンズを引き上げ、チームを統率し、守備の向上したシティと言われるまでになった。
たった一人の加入でチームがここまで変わるものかと驚いた。
守備の安定を手に入れたマンチェスターシティは、リーグの順位を順調にあげるものだと思っていたが、
第13節を終えてマンチェスターシティは勝ち点20の9位。
こんなことをだれが予想できただろうか。
第13節までの基本フォーメーション及びスターティングイレブンは図のとおり。
第4節以降ルベンディアスが加入して守備が劇的に向上した。
4-2-3-1で左SBはカンセロとメンディー、右WGはフォーデンとマフレズを使い分けていた。フェラントーレスとベルナルドシルバ、そしてラポルトはサブの扱い。
失点は12失点でかなり少なかったが、問題は得点力不足。
リーズ戦からリバプール戦までの5試合はすべて1得点のみで複数得点はなし。
トッテナムには無得点で敗退。
1得点だったマンチェスターユナイテッドとWBA戦で引き分けた第13節時点で、累計得点数は18点。
昨シーズンの37得点と比較すると物足りなさが否めない。(38試合で比較しても20点以上少ない)
失点は12失点だが、昨シーズンの14失点とあまり変わりがないことを見ると、単純に攻撃における優位性が効かなくなってしまったと言える。
理由は明白である。
攻撃面で言えばアグエロの不在とデブライネへの依存。
そして守備で言えば4-3-3のブロック守備とボールロスト後のハイプレスの限界であった。
このマンチェスターシティが短期間で、かつ、少ない変更で、修正できたのはこの問題を解消したからである。
ここからマンチェスターシティはプレミアリーグをひっくり返していく。
ストライカーギュンドアン【第14節~第29節】~4-3-3ゼロトップ期~
第13節のWBA戦までの12試合のうち半分の6試合で4-2-3-1のシステムを採用し、アンカーを2枚並べ、その一角にギュンドアンを起用していたペップ。
これは守備の安定とコンディションの整っていない選手たちへの配慮でもあったと推察できる。
しかし、これでは前に必要な選手の数が足りなくなり、5レーンを活用した攻撃を展開することが難しくなった。
この回答には、一瞬だけ「カンセロのフリーロール」が組み込まれたが、守備の面で課題が多く断念。
そうこうしているうちに12試合を終えてしまったが、マンチェスターシティはこの次の第14節セインツ戦をターニングポイントに、状況を大きく変えていく。
第14節セインツ戦から第29節ウルヴス戦まで15連勝。
全コンペティションで見ると21連勝を達成し、これは5大リーグでの歴代3位の記録になった。
プレミアリーグでは第20節で首位となった。
この図は、プレミア開幕からマンチェスターシティの順位の推移を表したものだが、20節で首位にたってから一度もその座を明け渡すことなくリーグを走り切っている。
チャンピオンズリーグでもグループリーグ突破を決め、素晴らしい流れで後半戦を戦うことができた。
この間の基本フォーメーション及びスターティングイレブン
この時期はFWが固定されず、ギュンドアンの得点能力を最大化するためのゼロトップでひたすら勝ち続けた。(年末のウォーカーとジェズスのコロナ感染も影響はあると思うが)
WGはフォーデン、マフレズ、スターリング、フェラントーレスをうまく融合させ、FWにはベルナルドシルバ、デブライネ、フォーデン、ジェズスをコンペティションの勝ち上がり、スケジュールを見ながら起用。
デブライネが怪我で離脱したリーグ戦5試合は、その穴をすべてベルナルドシルバが埋めている。
DFラインでは年末ごろにカンセロがブレイクした形となったが、終盤にはウォーカーとジンチェンコの安定感抜群コンビに落ち着いている。
ここまでの成績を収めることができた要因がペップの少しの変更である。
ペップの少しの変更
前項で、私が挙げた問題点を今一度復習しておこう。
もう少しわかりやすく4つの問題としてみた。
1.アグエロの不調によるスコアラー不在
2.シティにおける王様デブライネへの依存
3.4-3-3ブロックでの守備の弱点
4.ボールロスト後の相手陣内からのハイプレスの限界
まず、スコアラーの問題。
これはほとんどの人たちが予想していなかった方法で解決された。
それはギュンドアンをゴール前に飛び込ませることだ。
もしかしたらペップではなく、リージョの提案かもしれないが、第13節の後半からギュンドアンのポジションが高くなった。この試合では得点が必要だったからもしれないが、ギュンドアンは先制点を決めている。
この試合からギュンドアンは怒涛のゴールラッシュ。
0トップを採用したのもギュンドアンの覚醒に合わせてのこと。
ジェズスを起用しても同様の効果が得られた。
引いてボールを受けに来たFWの裏をギュンドアンが狙う縦のポジションチェンジで多くのチャンスと得点を得た。
第13節から12試合で11ゴール。2021年になってからは9試合9ゴールと絶好調だった。
結局ギュンドアンはチーム内得点王でシーズンを終えた。
第13節WBA戦で露見されたのが、デ・ブライネ依存による得点力不足であった。
WBA戦はそれが顕著に表れた試合でもあったが、前半戦のマンチェスターシティは、なかなか相手の守備をこじ開けられずに攻めあぐねる展開が多かった。
このWBA戦では残り10分の時間帯で、ひたすらデブライネがクロスをあげ、跳ね返されるというシーンがあり、これでは点が取れないと強く思ってしまった。
現に、後半残りわずかでデブライネがクロスをあげるシーンになると、シティファンは肩を落として「今日は終わりだ…」と思うほどだ。
昨シーズンまでのシティでは、デブライネがインナーラップし、ペナルティーエリアぎりぎりのラインから高速クロスをニアサイドに蹴りこみ、大外で待つスターリングやアグエロが触るだけでゴールというシーンを何度も見てきた。
パスだけに特化した選手ではなく、相手の嫌がるところに走ることのできるアジリティの高い選手なのがデブライネ。
少なくとも前半戦のデブライネは、まるで走るだれかにパスを放るマシーンのような役割となっていたことを考えるといたたまれない。
デブライネはいつだってプレーで知らしめていた。ラストパスを出すためにいくらでも走れると。
その解決策を見出したのが第14節のセインツ戦であった。
ベルナルドシルバがボールを持ち、デブライネが走る。
今までのデブライネがボールを持ったら周りが走る、という状況から一筋の光が見えた試合だった。
私はこの試合を見て、マンチェスターシティが戻ってくると思ったことを今でも覚えいている。
現にSNSでも、この状況を打開するのはベルナルドシルバだとつぶやいていたほどだ。
引いた位置から最高のパスを出す、ペナルティーエリア手前から人外なミドルシュートを叩き込む、そして前線に走りこんで高速クロスを放つ、そのどれもがデブライネで、そのどれもが均等に行われる可能性があることが重要なのだ。
プレミアリーグだけでなく、ヨーロッパ中で流行しているのがゴールキーパーからのビルドアップ、広いピッチにうまく人を配置したプレス回避である。
たぶんその流行の最もたるチームはマンチェスターシティであり、ビルドアップが詰まったり、相手がハイプレスであれば、エデルソンに下げてサイドチェンジを行う。
サイドで奪おうとしたり、プレス回避のために大きく蹴られるロングボールを回収したりする守備はマンチェスターシティにまったく通用しなくなった。
マンチェスターシティも同様のことを他チームにやられていた。
少しだけ図を使って解説したい。
3バックでも、4バックでも、GKがボールを持つと 、CB、WB、SBがサイドラインまで開く。
マンチェスターシティは序盤戦、この相手GKにプレスをかけ、WGでペナルティエリア幅に開くCBをマークした。
4-3-3による守備を行っていたのだ。
すると図からもわかるが、サイドラインに開いた選手がぽっかりと空いてしまう。簡単に前進されてしまうのだ。
これはボールロスト後のハイプレス時にも同様で、無類の強さを誇った18-19シーズンのようにはいかず、GKを経由したプレス回避ではがされてしまった。
そもそも全体的に能力が向上した現代フットボールの選手たちは下位チームでも中央の選手(センターハーフ、センターバック、ゴールキーパー)には技術の高い視野の広い選手を置いている。
どのチームにもなんとなくボールを動かされるようになったマンチェスターシティが変えたのが3つ目と4つ目の変化。
4-4-2守備への移行とボールを持たれることの許容だ。
これによりファーストディフェンスの3トップを簡単に突破されなくなり、だれかが飛び込んでどこかが数的不利になることも減った。
これまでのマンチェスターシティは、ボールを持つことが自分達を守る最大のディフェンス行為だったのだが、ルベンディアスという最強の盾を得たことで「引いて受けても守れる」という自信を得てしまった。
これは強い。
(最大の要因はハイプレスを連続するインテンシティに耐えられる陣容ではなかったのかもしれないが)
とは言え、選手を獲得するとか監督を変えるとかそういったことをせずに既存の戦力でシーズン途中でチームを引き戻したマンチェスターシティのスタッフたちにはありがとうと伝えたい。
そのほかに印象に残った試合はこの2試合。
まずは、カンセロロール初お披露目のニューカッスル戦。
次がチェルシー戦。
13節のデブライネ依存の現実を受け入れ、14節とニューカッスル戦で戦術に1さじ加え、チェルシー戦で形とした。
この4試合の約1か月のシティの動きは、ペップと選手たちの苦労とその結果が見られたとても良い例であったと思う。
フォーデンの独り立ち
今シーズンのフォーデンを語らないことには、マンチェスターシティの振り返りにはならない。
今シーズンもっとも早く得点とアシスト両方で、二桁を達成したシティグループの才能は、大切に大切に育てられた結果ついに、いや、当たり前のようにチーム内での地位を確立した。
もっとも僕らの記憶に刻まれたのはチャンピオンズリーグラウンド8ドルトムント戦の2ndレグでのミドルシュート。
ショートコーナーからボールを受けたフォーデンは、左足を振り抜き、ニアサイドにボールが吸い込まれた。
そして、プレミアリーグ第23節のリバプール戦のゴールも忘れられない。
左からのサイドチェンジでボールを受けたフォーデンは、そのままペナルティエリア内に侵入。
左足の細かいタッチで一瞬のコースを作り出したその刹那にはボールはゴールネットを揺らしていた。
マンチェスターシティの未来そのものだ。
右足を軸に軽く跳ねるように左足でドリブルする彼の活躍をもっとも喜び、当然に実現させたのはペップである。
個人的には、敗戦したプレミアリーグブライトン戦のハーフラインからのドリブルシュートが衝撃だった。
チームでパスを繋いで崩していくマンチェスターシティが彼の台頭により、個人能力で得点が取れてしまった。
おそらく個人の突破で得点が取れたのはこのゴールだけだったと記憶している。
今のマンチェスターシティにはない突破力を感じ、彼が得点源となる日ももうすぐそこに来ているはずだ。
カラバオカップ4連覇とプレミアリーグ制覇【第27節~第37節】~気の抜けた総力戦期~
先にも書いたが、リーグを折り返した第20節にはプレミアリーグで首位に立った。
一時期14位という位置にいたマンチェスターシティはもうどこにもいない。
連勝街道まっしぐらの絶好調ペップシティであった。
21連勝を達成したチームは、もうプレミアリーグ優勝は手中に収めたようだった。
照準は、初のビッグイヤー獲得。
ペップには珍しく、ターンオーバーも駆使しているように見受けられた。
4-3-3、3-4-2-1、4-2-3-1、3-3-3-1というシステムを使った。
特にチェルシー戦の3-3-3-1は我々を大いに混乱させた。
こういうことをするからチャンピオンズリーグへの不安は増すばかりであった。
参考までに3-3-3-1のときのフォーメーション図を貼っておく。(ちなみに負けた)
全コンペティションで優勝の可能性があったマンチェスターシティ。
ペップは誇張表現なくトップチームのメンバーをすべて起用している。
第3ゴールキーパーのスコットカーソンも36節のニューカッスル戦で出場し、見事勝利に貢献した。
4月にはカラバオカップ決勝でトッテナムをくだして4連覇を達成。
マンチェスターシティのための大会とも言えるカラバオカップでは、一貫してステッフェンがゴールマウスを守った。
しかし、第27節(今シーズンはコロナの影響もあり、変則的なスケジュール)から第37節までのシティは少し気が抜けていたかもしれない。
マンチェスターユナイテッド、リーズ、チェルシー、ブライトンに敗戦。
それまで2敗だったマンチェスターシティは、残りの10試合で4敗した。
それにしても負けた相手がなんとも後味が悪い。
お隣さん、ペップの師匠、オイルマネー先輩に負けたのはあまり気持ちの良いものではない。
ほぼ優勝を決めていたのは本当に良かったと思った。
マンチェスターユナイテッドにも、リーズにもカウンターを華麗に決められ、チェルシーには史上最大の奇策で普通に負けてしまい、ブライトンには身長のあるCB2人に決められ逆転負けを喫した。
もう一度言うが、早めに優勝を決めて本当に良かった。
そしてチャンピオンズリーグ。
2月から再開した決勝トーナメントでは、ベスト16でメンヘングラッドバッハを、ベスト8でドルトムントと、ドイツ勢4連戦を全勝で突破。
鬼門であったベスト8を危なげなく通過した。
ここら辺から我々ファンは手が震えてくる。
次を抜ければついに決勝。
ネイマールとエンバペを擁する昨シーズンのファイナリストだ。
SNSでは、ベスト4でペップが奇策にでないだろうか、と心配する声が数多くあった。
結果はみなさまご存知のとおり、ジンチェンコ大活躍、PSGの自滅感も否めなかったが、勝利をおさめ、初の決勝進出。
相手はチェルシーに決まった。
SNSでジンチェンコ大活躍の得点シーンを分析したものがあるので貼っておくので、思い出してジンチェンコのプレーを再度振り返ってほしい。
1点目の疑似カウンターを分析
— ただし (@tadashi0716) 2021年5月5日
マフレズが倒されてフリーキックを獲得したシティ。
丸の位置でリスタート。
PSGは4-4-2の守備
イカルディまで下がり、ブロックを形成。
ギュンドアンへボールを出したときのピッチの配置はこんな感じ。 pic.twitter.com/Oy5Flekb6p
奇策が出ずに勝利をおさめたマンチェスターシティは決勝で不思議な戦い方をするのであった。
アグエロの退団とラストゲーム【プレミアリーグ最終節】
マンチェスターシティに初優勝をもたらした偉大なレジェンド
11年にわたる彼の功績はおそらくだれも超えることはできないだろう。
クラブ最多得点の記録は偉大すぎるが、彼のキャラクターはとても愛らしい。
ここまで偉大な記録とのギャップを持った選手もいない。
アグエロは退団を決め、シーズン終盤にはバルセロナへのフリー移籍がアナウンスされた。かつてペップが率いたカタルーニャへ。
それでも、ファンの心はアグエロから離れることはない。
それはアグエロが、心のなかでいつまでもマンチェスターシティのアグエロだからだ。
今シーズンのアグエロはコンディション不良、怪我、そして新型コロナウイルスと満足のいくシーズンを過ごせていない。
アグエロはプレミアリーグ第5節アーセナル戦、第6節ウェストハム戦でスタメンとなったが、第26節再度ウェストハム戦でスタメンとなるまでは途中出場がたったの3試合だけだった。
得点は第37節までに2点。
歴代最高のストライカーが少し寂しい感じもした。
チャンピオンズリーグでは、7試合に出場したが先発出場は1回。
得点は2得点であった。
第37節のブライトン戦で、2点リードしながら10人のシティはブライトンに逆転されて負けてしまう。
プレミアリーグで優勝を決めたからと言ってこのレジェンドを負けのムードで送り出すわけにはいかないとだれもが心に思っていた。
最終節
そのアグエロはピッチに立った。
65分に現れたアグエロの姿は少しの観客と全世界のテレビの前の人たちが待ち望んだ姿だ。
これまでマンチェスターシティでもっとも得点をあげ、多くのタイトルに貢献したお茶目なアルゼンチン人に素晴らしいリーグラストを。
そう、だれもが願ったが、アグエロはそんなことは関係がなかったようだ。
出場してたったの10分で2ゴール
そしてそれをアシストしたのは今のマンチェスターシティで一番長く時間を共にしたフェルナンジーニョからのものだった。
アグエロおおおおおおおお!
私たちはずっとそう思っている。
すぐそこまできていたビッグイヤー【チャンピオンズリーグ決勝】
プレミアリーグ最終節 アグエロの2ゴールを含む5発快勝で早々に優勝を決めたリーグを締め括った。
残すところはビッグイヤーだけ。
チャンピオンズリーグのタイトルだけだった。
そう。
"だった"と言わざるを得ない。
マンチェスターシティは届かなかった。ペップはまたも届かなかった。
マンチェスターシティでヨーロッパの頂点に立つ挑戦は、来シーズンに持ち越すことになる。
それも良い。
なぜなら2021年の4月にペップはマンチェスターシティとの契約を更新したからだ。
少しだけ試合の話を。
チャンピオンズリーグ決勝【マンチェスターシティ0 - 1チェルシー】
なぜなら今シーズンロドリもフェルナンジーニョも出場しなかったのは、唯一この試合だけだったからだ。
マンチェスターシティは、チェルシーのコンパクトな守備におおいに苦しめられた。
後ろの7人がブロックをつくり、マウントとハヴァーツでハーフスペースを埋める。
唯一、ボールを受けられたのは左のハーフスペースだったが、それはデ・ブライネだからスペースとしてボールを受けられただけ。
マンチェスターシティがここまでフィニッシュでもたついたのは、幅を取る両サイドで質的に大敗したからだ。
チェルシーのWBは最高の自信を持ってプレーしていた。途中からスターリングは、突破を諦めていたように見えた。
一方のチェルシーはマンチェスターシティをどう攻略したのかを簡単に考察。
マンチェスターシティは、今シーズン4-4-2ブロックで受ける守備に切り替えたことにより、相手チームのGKがわりとボールを持てることが多かった。例に漏れずチェルシー戦も同様だった。
少しだけ違うのは、上の図を見るとわかるが、マンシティは4-4-2と言いつつ、両サイドが高い位置で、3CBの両CBをマークするような立ち位置を取っていた。
これでは4-2-4である。
引いてチェルシーのWBをマークすればいいのに、と思った人もいるだろう。私も思った。
しかし、前半何度なくヴェルナーが裏を狙った。
後方の選手からヴェルナーへパスが出されていた。
マンチェスターシティは、こういった展開に弱い。なぜならウォーカーを除いてシティのディフェンダーにはスピードが少し足りない。
そうなると後ろからパスを出されないようにする必要があるため、上の図のようになる。
もちろんカンテとジョルジーニョの中央も厄介なので、デ・ブライネ、フォーデン、ギュン、ベルで抑える。
残りはチェルシーの前線3枚に対してシティのDFが4枚。同数以下にはできないので、やはり上の図のようになる。
前半40分、42分とまったく同じようにGKからWBにボールを逃がされてそこからゴール前に運ばれたのが失点の要因だった。
チェルシーがうまかったのは、ウォーカーサイドにボールを逃がしたことだ。
ウォーカーが一列前に出てWBに対応することになるので、ヴェルナーやハヴァーツとよーいどん!で走り合うのはルベンディアスとジンチェンコになる。
逆にジンチェンコサイドに逃げていたら、走り合うのはウォーカーとストーンズ。
チェルシーが選択したプレーの正しさをシティファンならわかるだろう。
そういうことだ。
マンチェスターシティは、来シーズンもう一度同じ舞台を目指す。
そしてビッグイヤーを掲げる。
これを期待して新シーズンに向かいたいものである。
[コラム]カンセロロールとはなんだったのか
コラムと題して語るのは今シーズンのマンチェスターシティでのカンセロの活躍だ。
一瞬のうちに多くのメディアや個人が「カンセロロール」という言葉で、マンチェスターシティの試合におけるカンセロの役割について分析した。
私もこのタイミングで”カンセロロール”について語ってみようと思う。
まず、カンセロロールはほんの一瞬の出来事だった。
偽SBとは違うカンセロの動きはつかみにくく、チャンスクリエイトに長けたプレーは攻撃に新たなアクセントを与えた。
結論から言うと、”カンセロロール”はただの”カンセロのフリーロール”である。
ここで私の考える偽SBといわゆるカンセロロールとの違いを説明する。
この違いはボール保持とネガティブトランジションでの役割を見ることで明確になる。
【ボール保持】
ペップがバイエルンで編み出した偽SBは、SBの選手が内側に入り、アンカーの横に位置取ることで、より安定的なビルドアップと、ウインガーへの質の高い配球を狙ったものである。
これはマンチェスターシティでも同様で、ジンチェンコやカンセロがアンカーの横に並んだり、ウォーカーがCBの横に入ったりと従来のSBと異なる動きを指導していた。
第16節エバートン戦のボール保持の形を例に。
この試合左SBのカンセロがロドリの横に動き、スターリングとマフレズが幅を取っていることがわかる。
右SBのウォーカーはCBと同じ位置で内側に絞っていることも見て取れる。
一方で、今回アーセナル戦で構想を得て、第15節ニューカッスル戦で披露された”カンセロロール”とはどういうものかというと、SBがアンカー、IH、トップ下の位置をボールと相手の配置によって様々に変えていくものである。
第15節ニューカッスル戦を例に。
カンセロがロドリの位置も飛び越えてトップ下のデブライネの位置まで上がっていることがわかる。
この試合ニューカッスルが守備的にブロックを作っていることも影響しているが、カンセロとギュンドアンをハーフスペースに立たせ、相手の5バックがつり出されたところで裏を狙うこともできるため、容易に最終ラインから縦パスが入っていた。
このように、”カンセロロール”と呼ばれていたカンセロの動きは、本来の偽SBのパスの出し手という目的から、パスの受け手になることを状況を見ながらその都度判断して、相手の守備組織を破壊していくプレーだったのである。
【ネガティブトランジション】
先ほどのボール保持の図を見てもらい、パスを相手にカットされた瞬間というのをイメージしてもらえるとわかりやすい。
偽SBは、SBがアンカーの横に並ぶため、 ボールロスト後のファーストディフェンダーにもなれるし、4バックに戻ることもそこまでの距離を走らずとも可能である。
ポゼッション高めに試合を進めるチームにとっての被カウンター対策としても偽SBは有効である。
一方で、”カンセロロール”ではどうだろう。
上のニューカッスル戦の2枚目の図で、ニューカッスルのDFラインと中盤の間でボールを奪われたときにカンセロの戻る距離は、おそらく偽SBの位置から戻るよりも倍以上の距離が必要で、カンセロが間に合わなければだれかがその代わりを負担しなければならない。
カンセロロールでは、ファーストディフェンダーにはなれず、相手のカウンターを追いかける形になってしまうこともなんとなくイメージができるだろう。
カンセロロールという言葉が出たことは、カンセロの能力を象徴するとても素晴らしい表現であるが、ニューカッスル戦以降このカンセロの使われ方が頻繁に行われたわけでもない。
カンセロに徹底してマンマークをつけたり、カンセロが入るであろうエリアに人を配置していたり、とプレミアリーグの監督たちはすぐに対応してきたためである。
また、こぞって「カンセロの裏」「カンセロの守備における判断の甘さ」を狙ってきていたこともあり、終盤になるにつれ、偽SB以上の役割はカンセロにも与えられなかった。
おそらくペップは、対戦する相手が5-4や4-5のブロックで横幅もコンパクトにしていたことで手詰まりとなっていた攻撃に、カンセロを入れることで、カンセロのために手を打ってくるであろうことを想定していたのだと思う。
つまり、カンセロを自由に攻撃に参加させることで、対カンセロを意識した守備を対戦相手は考えることになる。
その意識を利用して、カンセロを起用しながら通常の偽SBを活用するなどして、マンチェスターシティの攻撃の的を絞らせないようにしたと考えらえる。
ということは、このカンセロロールという言葉が一時でも生まれたことは、ペップの思惑通りだったのかもしれない。
ジンチェンコ特集
閑話休題。
少し頭と心を休めておこう。
マンチェスターシティで好きな選手は?と問われたら必ずある選手の名前を言うようにしている。
ジンチェンコだ
シティのユースに加入してからレンタルで武者修行をしたのちレギュラークラスにまで上り詰めたマンチェスターシティでは稀有な存在である。
そんなジンチェンコの今シーズンを振り返ろう。
■プレミアリーグ
プレミアリーグでのジンチェンコは、前半戦と後半戦でチームでの立ち位置をがらっと変えた選手だった。
第15節まで出場は0
左SBはカンセロとメンディーだった
状況が変わったのは、メンディーが調子を落とし、ウォーカーがコロナ陽性となったことから。第16節にリーグ初出場を果たした。
そこからのジンチェンコの活躍は、みなさまご承知のとおり。
外と内のポジショニングを巧みに使い分け、外からは中央へ的確な斜めのパスを通し、内側ではビルドアップに貢献し、ディフェンスではファーストディフェンダーとして機能した。
20-21シーズン
- 第2節~第15節 0試合出場
- 第17節~第38節 20試合出場(先発15試合)
- 1試合あたりのタッチ数 84
- 1試合あたりのキーパス数 0.8
- 1試合あたりパス成功数 90%
- 自陣での正確なパス 92%
- 敵陣での正確なパス 85%
■チャンピオンズリーグ
チャンピオンズリーグでは、9試合に出場し、1アシストを記録。
マンチェスターシティ初の決勝でもしっかりとプレー。
唯一の失点に関与したようにも見えるが、あれだけCBが持ち場を離れさせられてはSB一人で守るのはかなり難しい。
トゥヘルの作戦勝ちだと思う。
もっとも印象的だったシーンは、ベスト4PSG戦。
ネイマールのドリブルについていき、ストーンズとのダブルスライディングでシュートブロックをしたシーン。
シュートブロック後のストーンズとのお互いを称えあう抱擁は見るものの心を震わせた。
■EURO2020
ウクライナ代表として出場し、ベスト8となったジンチェンコ。
監督のシェフチェンコは、攻撃の核をジンチェンコとし、テクニカルなチームを作った。
ジンチェンコは5試合すべてに出場し、1ゴール1アシスト。
ベスト16のスウェーデン戦では、MVPに輝いた。
個人的にもっとも印象的だったのが初戦のオランダ戦。
3失点目を自分が競り負けて与えた後の悔しがり方、強引なドリブル。
チームを勝たせたい。自分のミスを取り返したいという強い思いを感じた。
だからこそ、グループリーグを突破したときは私もとてもうれしかった。
■その他
棒になるジンチェンコ
ルベンディアスのキャプテンシーを世に知らしめたのはジンチェンコかもしれない。
フリーキックのときに、壁の後ろで横になり、飛んだ壁の下を抜けるボールをブロックする役割は近年のサッカーではよく見かける。
マンチェスターシティでは、どうやらジンチェンコがその役を引き受けているようだが、位置がいまいちだったのかルベンディアスがジンチェンコを引っ張るシーンが全世界に放映された。
そしてなにを思ったか、そのシーンを切り取って自身のインスタグラムに投稿したジンチェンコであった。
犬を客に見立てて奥様とシェフごっこ
いったい我々はなにを見せられているのか。
いや、インスタグラムをフォローしているのは自分なのだから自分から見に行っていると言われたらそれまでだが、奥様との仲睦まじい姿を見せられてはジンチェンコを嫌いになれる人なんていない。
よくサッカー選手は奥様に価値を下げられたり、チーム内で立場が危うくなったりすることが見られるが、リポーターである奥様も目立つ気はなく、ジンチェンコをサポートしているようだ。
この心身の安定が今シーズンのプレーに繋がったのだと思う。本当に感謝しかない。
しかし、犬を客に見立ててシェフごっこはしないし、したとしてもインスタグラムに載せたりもしない。
どうてもいいことだが、私も奥様とは仲良しだ。
ちなみにジンチェンコの奥様が第1子を授かったことをインスタで知った。
ジンチェンコもお父さん。
チビライネやチビターリングとともにチビチェンコの成長にも期待したい。
契約延長とさよなら
シーズンオフにはどうしても悲しいことが起きる。これまでともに戦ってきた仲間たちがいなくなってしまうからだ。出会いと別れの季節はサッカー界では、真夏と真冬にやってくる。
契約延長
2023年までの契約延長。
ペップ監督人生の中で最も長い7年シティを率いることになる。
ケビン・デ・ブライネ
2025年まで契約延長。
引退までシティにいてくれるだろうか。
2022年まで一年間の契約延長。
彼がいる間に後進の育成に。
さようなら今までありがとう
いなくなってしまう選手たちも紹介しておこう。これからどんどん増えていくかもしれない。
寂しい。
移籍市場特有の適当な噂もたくさんある。
ジェズス、ベルナルドシルバ、ラポルト。
8月8日のコミュニティシールド、16日のプレミアリーグ開幕戦、31日の移籍市場クローズではどんな陣営で新シーズンを歩むことになるのだろうか。
記録の部屋
最後に、20-21プレミアリーグのマンシティを記録で振り返っていこう。
プレミアリーグ成績
勝ち点86で堂々の優勝。
優勝自体は数試合を残して決めていたので、最後は失速したが2シーズンぶりの優勝を味わうことができた。
ポイントは守備の安定感と言いたいところだが、数字だけ見ると19-20シーズンの35失点と比較してもあまり変わりない(20-21は32失点)
理由は終盤の大量失点とレスター戦の5失点。
シティとしては得点数が20点以上少なかったことを問題ととらえているかもしれない。この夏の移籍市場でまだ動きはないものの、攻撃的選手を狙っていることはうかがえる。
チーム内得点王
1位 13点(17点) ギュンドアン
もっとも印象に残ったのは、第17節のチェルシー戦で、左からのパスを右足の後ろを通してトラップし、右足で冷静に振りぬいたゴールと、
第24節トッテナムにリベンジを果たしたエデルソンのロングパスからダビンソンサンチェスを華麗なステップで尻もちをつかせたゴールだ。
ダブルボランチで起用されるギュンドアンは、どこかやりにくそうで、まるで水を得た魚のようにゴール前に顔を出すギュンドアンは見ていて楽しかった。
2位 10点(14点) スターリング
今シーズンのスターリングは派手なゴールがなかった。なんとなくそこにいたことで生まれたゴールが多かったように思える。よりストライカー的な感覚が高まったシーズンだとも言えるが、決め切りたいところでのゴールがもっとほしかった。
ドリブル突破もほとんどしない自信のないスターリングがシーズンの終わりには多く見られた。
EUROではイングランド代表として決勝進出の立役者となったスターリング。来シーズンの再起を期待。
3位 9得点(14点) マフレズ
ボロ負けした第3節レスター戦でのコーナーキックのこぼれ球を右足で振りぬいたゴールがもっとも印象的だった。
マフレズもレスターにいるときより大分プレーの印象が変わって、ドリブル突破やキープが少なくなり、裏への抜け出しや右足でのシュートが増えていた。
自分のストロングポイントを利用したこの2つのプレーは、大いに有効だったが、マフレズのドリブルはもっと見たい。
※()内は、全コンペティションの数字
チーム内アシスト王
1位 12アシスト(17アシスト) デブライネ
基本的に、人を辞めたかのようなプレーを連発するが、もっとも印象的だったアシストは右サイドから左足でピンポイントクロスを送った第26節ウェストハム戦でのルベンディアスへのアシストだ。
コーナーキックのこぼれ球をジンチェンコ、ウォーカーとつなぎ、ロングボールでデブライネに渡ったところ。内側にトラップしたデブライネは迷うことなく左足を振りぬいた。ハイライトを見てもらうとわかるがけっこう距離があり、緩いボールではキーパーが出てきてしまう。
スピードも滞空時間もすべてがパーフェクトなパスを利き足とは逆足で蹴ることができる。20-21シーズンもお願いしたい。
2位 7アシスト(10アシスト) スターリング
シーズン終盤は悪い評価もあったが、序盤のシティの得点減だったし、最終的にリーグでは得点もアシストも2位なのだから十分の活躍。
今シーズンはギュンドアンへ送ったいくつかのアシストが思い出される。左から中央に移動し、そこからタイミングを見て、ペナルティエリアを突破し、切り返したところで走り込んでくるギュンドアンにラストパス。
ギュンドアンの得点を加速させてくれたのは間違いなくスターリングだった。
3位 6アシスト(8アシスト) マフレズ
スターリングと同様にマフレズも得点とアシストで上位に入ってきた。
右サイドの深いところでボールを持ち、ペナルティエリアに直角にドリブルし、右足キックフェイントからの左足クロスは今シーズン何度なく見られたシーンで、このプレーはシティの武器であったのは間違いない。
※()内は、全コンペティションの数字
出場数(先発、途中出場)
リーグ戦での出場数の上位は以下の通り
先発出場で見ると以下の通り
途中出場は以下の通り
プレミアリーグにおけるペップの中での優先度と交代枠の使い方がよく見て取れる。
特に途中出場上位3人は、試合の流れを変えるため、攻撃の切り札、試合を終わらせるためといった役割が見えてくる。
フォーデンはおそらく新シーズンはもっと試合に出ると思う。
個人的には左SBがどうなるかが気になるところだ。
得点と失点の分析
得点数:83得点
失点数:32失点
上のデータからもわかるように今シーズンは総得点が減った代わりに守備が向上したシーズンだった。ハイプレス一辺倒だった守備はピッチ中央まで引いて受けることも実践するようになった。
ルベンディアスという安定を得たことは引いて受ける守備に移行できた要因でもあるのは間違いない。
さて、得点数の減少はどう説明できるだろう。
二桁得点がギュンドアンだけというのは要因に違いないがそれよりも、FWの不調という要因の方が大きい。
アグエロのコンディションがシーズンを通して万全にならなかったこと、ジェズスがより守備での貢献が高まり、引いて受ける技術が向上したこと、スターリングが自信を失ったことがぱっと思いつく。
この問題を解決するのは、ホーランドか、はたまたフォーデンか。
ジェズスやデラップが殻を破るか。
パサーはたくさんいるので、あとはスコアラーだけだと思うのは私だけではない。
失点についてもう少し細かく見ていきたい。
失点についてシーズン途中の段階でまとめた記事があるのでここで紹介しておく。暇があったら読んでみても面白いかもしれない。
これをもとにマンチェスターシティを倒そうと考えたのが次の記事である。あまりにもばかげているがかなり力を入れて書いた。
このブログを何度か読んでくれてる人にはおなじみの失点分析に活用されるピッチの分割イメージである。
32失点をすべて見て、一つずつどの番号からの失点かを記録した。
かなり時間がかかったが、試合が終わるたびにやっていたのでそこまでの手間にはならなかった。だがしかし、時間はもっと大切に使ってほしい。
その結果が上の図である。
さて、どの位置からの失点が多いのか、弱点はどこだろうか、絶対にわかると思う。
ん?
んん??
最も失点しているのは
PKからであった。
気を取り直して、同じ条件でマンチェスターシティの得点を記録した。
それが以下の図である。
このPKの少なさはなんだ。
得点と失点両方を比べてわかるのは、マンチェスターシティは相手ペナルティーエリア内に侵入し、成功しているが、同じ割合だけ相手にも侵入されている。
②、③、④、⑧でのゴールが得点でも失点でも生まれいて、PK以外の傾向が同じなのが驚きである。
素晴らしいクロスから得点決めたりしていればクロスを上げた位置をカウントしていたにもかかわらず、①、⑤が少なかったのは、奥深くまで侵入することもなく、侵入もされていなかった。
SBの裏を取られるのがかなり高い位置のマンチェスターシティは①、⑤の位置からクロスを上げられることは少なく、チャンスにもならなかった。
一方で、攻撃の際には①、⑤に侵入することはほとんどない。
38試合を見た傾向はこの二つのグラフからもしっかりと読み取れた。
ただ、それよりもマンチェスターシティは、PKを与えないようにして、PKを決められるようになってほしいと心から思う。
対シティのフォーメーション
最後にマンチェスターシティと対戦したフォーメーションをまとめてみた。
4-2-3-1が最も多かった。
3バックや5バックが主流になったかと思っていたが、案外シティ相手には4バックが多いことがわかった。
シティに勝利したチームは、
レスター(5-4-1)、トッテナム(4-2-3-1)、マンチェスターユナイテッド(4-2-3-1)、リーズ(4-1-4-1)、チェルシー(3-4-2-1)、ブライトン(3-5-2)
の6チーム。
この6チームはリーズは置いといて、このフォーメーションが「シティのIH及びハーフスペース活用を阻害」するのに適したものだったということがなんとなくわかります。
3バック、5バックは初めから5レーンに人を配置する。
4バックの2チームはアンカーの2枚がIHの動きに対応する。
というところでしょうか。
うーん、いまいちです。
これはそのときのシティのフォーメーションとの紐づけをしないといい考察はできそうにありません。これは20-21シーズンの課題としたいと思います。
長くなりましたが、以上となります。
飛ばしながらでも、読んでいただいて本当にありがとうございました
マンチェスターシティを愛するものとして、マンチェスターシティがこの1年をどう過ごしてきたのかを毎年書き留めていきたいと思っています。
初戦は8月16日のトッテナム戦。
新シーズンハリーケインがどちらのチームでプレーしているか注目が集まる開幕戦。
EUROも終わり、いよいよプレミアリーグの開幕の空気がイングランドの方角から漂ってきています。
それでは!
Highlight of EURO2020 ~Group League~
こんにちは。
tadashiです。
本日はEURO2020グループリーグのハイライトとして、私が見た試合だけ感想やらを書いていきたいと思います。
分析もなにもしていないので、感想の共有や反論にご活用ください。
- イタリアトルコ
- ウェールズスイス
- イングランドクロアチア
- オランダウクライナ
- フランスドイツ
- ウクライナ北マケドニア
- デンマークベルギー
- ハンガリーフランス
- ポルトガルドイツ
- スペインポーランド
- ウクライナオーストリア
- フィンランドベルギー
- スロバキアスペイン
- 終わり
イタリアトルコ
EURO2020の開幕戦はこのカード。
正直内容をほとんど覚えていない。
シーズンオフのこの期間に行われる国際大会では初戦ほど難しく、コンディションやモチベーションの高め方に悩むことはないと思う。
どの国も、国を背負うという重圧を受けながらもシーズンが終わった少しの緊張感からの解放で、思うようなプレーができないのではないだろうか。
その予想通り、イタリアトルコの前半戦はどちらも決め手を欠いた。
鋭いカウンターを終盤に見せたトルコと、可変で4-3-3から配置をずらして戦うイタリア。
前後半含めて驚くほど記憶に残っていない。
サッカーキングのYouTubeチャンネルをこよなく愛しているので、伊藤さん細江さんコンビのおかげでイタリア代表にも少し詳しくなっていたが、なんだかうまく回らない攻撃だし、DFはいまだにユーベの二人だし、なんだかなと思っていた。
と思っていたらイタリアが後半に立て続けに3点を取り、終わってみれば3-0快勝だったので、イタリアにとっても大会の始まりとしても非常に良かったと思う。
ただ、大会ファーストゴールはイタリアの選手ではなく、トルコのデミラルのオウンゴールだった。
その後の2試合でイタリアの評価は大きく高まることになる。
チームとして成熟しているという意見が多かった。
ウェールズスイス
大会二日目の見やすい時間に始まったので見ていた。ベイルが出ているという要素も強かった。
スイスがキープして、ウェールズがカウンターを狙う展開。
ベイルとダニエル・ジェームズがいたらそうなるだろうな。
逆にスイスは、ラムジー、フロイラー、エンボロ、ザカリアと玄人好みな選手がそろう。控えだがシャキリもいる。
右のエンバブとエンンボロの推進力に押し込まれて、ベイルとジェームズが活かせる展開も作れず、エンボロがコーナーから決めスイスの勝利。
思い入れもなく、ぼーっと眺めているとどういった試合だったからか記憶に残らない。
イングランドクロアチア
マンチェスターシティを追っているので、イングランド代表の選手たちはよく知っている。(敵として)
だからアレクサンダーアーノルドが落選したのも少し寂しかったし、ライスとフィリップスが選出されたのはうれしかった。
この試合人々を困惑させたのは右SBが二人スタメン。そしてスターリング10番。
点を決めたのはケインでもなくスターリング。
いや、良い飛び出しだった。
そして申し訳ないが、試合内容はほとんど覚えていない。
なんでだろう。
オンデマンドが急停止したことは憶えている。
オランダウクライナ
大本命ウクライナの登場である。
ジンチェンコがキャプテンで、ジンチェンコが攻撃を司るウクライナの試合を観ないという選択肢がどうして取れようか(いや、取れない)
結果から言えば善戦しながらも敗戦。
しかも、決勝点はジンチェンコが競り負けたことでWBのダンフリースにヘディングで流し込まれたものによるもの。
相当悔しかっただろう。
オランダはもうワイナルドゥムがフレンキーよりも目立ち、チームを牽引していて、聞いてた話と違うオランダがそこにはいた。
2点先制したオランダが余裕をもって勝利すると思いきやウクライナが意地で追いつく、しかもヤルモレンコのカットインゴラッソのおまけつき。
試合として最後までとても面白かった。
試合終了間際のジンチェンコのドリブル。
あれはシティでは絶対に見られない。
「どうしても自分の力でチームを勝たせたい。自分のミスを挽回したい」という気持ちが最大限に出ていたプレー。
ジンチェンコよ。
その気持ちは絶対にチームメイトに、国民に伝わっているはず。
フランスドイツ
死のグループ最初の注目カード。
レーブの退任が決まっているドイツがここ最近の不調を拭えるのか、ワールドカップ王者フランスが1998-2000年以来の国際大会連覇を狙うのか、という対戦。
3-4-2-1が適正な配置だと思えない試合展開だったが、配置関係なく能力の高さにやられたドイツだったと思う。
グリーズマンは生き生きとプレーしていたし、カウンターはベンゼマが保持してエンバペにスルーパスでなんとなく点が取れそうなのが今のフランスの強いところ。
カンテがいて、カンテがいることでアグレッシブにプレーできるポグバがいる。
サッカーゲームで能力値の高い選手をポジションごとに並べたらこのフォーメーションになった、みたいなフランスが国際大会で強いのは当然のこと。
戦術を具現化する時間もない中で勝利するにはこれが一番手っ取り早い。
こういう戦い方を選択できるのはとても好感が持てる。
試合を見るときは大抵なにかメモをしているのだが、
この試合ドイツのことをまったくメモしていなかった。
ウクライナ北マケドニア
ジンチェンコ2戦目。しっかりと勝利。危なかったけど。
ジンチェンコは、シティでプレーしているということのすごさがチームメイトと比較して感じた。
ポジショニングが絶妙で、通れば前を向いて危険なプレーができるところに立っている。ただ、ウクライナのほかの選手たちからは、パスが出ない。出さないのか、出ないのかはわからないが。
後半北マケドニアは猛攻を仕掛けたけど、どうやら一戦目もそうだったようだが、もたずに失速していたらしい。
今回もそうだったのでなんとか助かった。
それにしてもパンデフがうますぎる…。
あの年齢だし、スピードという部分では他よりも劣るが、オフサイドになったあの1プレーで十分恐怖を与えられた。ほんと危なかった。
ウクライナはうまいけど、危なさはあった。
ボールを持てるが、「持って自分がどうするか」しか考えてないように思えた。自分のプレーがゴールに向かうにはどうすれば良いかということをあまり考えられてないのかもしれない。
ジンチェンコがずば抜けて見えるのはそこまで考えているから。
少し、ジンチェンコをほめすぎているかも。
デンマークベルギー
ベルギー2試合目。
デブライネが後半から出場して、デンマークを黙らせた。
ただ、それまではデンマークにだいぶ苦戦したベルギー。
出足早く前からがんがんプレスをかけ、3枚のCBのパスを狙って、開始から仕掛けていたデンマークの作戦がはまり、デンマークがすぐに先制。
デンマークのセンターハーフ2枚が、ベルギーのセンターハーフについていくから、どこかでFWのだれかが下りて数的優位を作ったらデンマークも崩れそうだなと思っていたが、たいして実行されずに後半へ。
後半はデブライネのショータイム。
1点目のアシストはルカクからの落としをシルキータッチでかわしてゴール前なのにラストパス。
逆転ゴールもデブライネ。
最適な選択を突き詰めるとデブライネのようなプレーヤーになる。あの展開で左で待ち構えていたのはさすがとしか言いようがない。
利き足ではない左でシュマイケルが反応できないシュートを打つのももう人間やめてる。
デンマーク監督の2失点目のときの表情はすごい切ない気持ち。
いけると思ったんだけど、デブライネがなー、という表情に違いない。
それにしても後半にデブライネ、アザール、ウィツェルが出てくるベルギーは卑怯でしかない。
ハンガリーフランス
グループFにおいて、ハンガリーがカギとなるのは死のグループと呼ばれる組に入った下位チームのいわば宿命のようなもの。
その望みもしない期待に応えてくれたハンガリーには賛辞を贈りたい。
ハンガリーは前半からフランス相手に臆することなくサッカーではなく、ファイトを選択。
その流れから少ない手数で先制したハンガリー。
試合は一層面白くなった。
この試合を見て気になったのは、
・ものすごい落ち着いている川島の解説
・コロナどこいった?ってほどの観客席の様子
・グリーズマンの人をいらつかせるゴールセレブレーション
である。
グリーズマンのゴールにつながったエンバペの一瞬のスピードは、やはり脅威。
早く白いユニフォームを着てほしい。
ちなみにこの試合のあとデンベレが怪我をしてユーロ終了。4か月の離脱。
バルサからしたらまたも売却が困難となり、どうしてもこうも年棒だけ獲得するうまいやり方を思いつくのか。
ポルトガルドイツ
死のグループをみんな言い飽きたと思う。
結果以上にドイツが試合をコントロールしていた。
ポルトガルは、前線の4枚の守備を信用していないのか、ダブルボランチに展開力を求めない人選だったからか、流動的すぎてみんながみんな持ち場を離れているように感じた。
唯一その中でベルナルドシルバが、その間を取り持ってくれていたが、どうしてもポルトガルの監督は、交代のファーストチョイスをベルナルドシルバにしたがるのは納得いかない。
最終戦でもそうだったように(まだ見てない)レナトサンチェスが交代で出てリズムを変えたようで、ダニーロとウィリアムカルバーリョのペアではなかなか個人頼みになりそうな気もするけど。
ドイツはゴゼンス一択。
WBなのに守備時に絞るのをさぼらないし攻撃では高い位置まで駆け上がる。
右からのクロスに大外から飛び込んできたシーンもセリエA好きの人からするといつも通りのシーンらしい。
スペインポーランド
スペイン観戦の初戦。
1試合目のスウェーデン戦を引き分けたようだが、この試合も引き分け。
モラタ全然点とってないと思っていたらこの試合でオフサイドになりかけながらも点を取っていた。
あそこらへんの感覚はさすがだな、と。
スペインを見ていて思ったのはスピードに乗らないバルサやシティ。
アルバがキャプテンだし、アルバの良さはだれも活かしてくれないし、ジェラールモレノは器用にどんどん下がってくるし、マルコスジョレンテは9割方ファウルスローだったのが印象的。
それでも、なんてことのないクロスを得点にしたレヴァンドフスキはさすがの一言。
モラタはとにかく外していた。
ルイスエンリケってバルサの監督していたような…。この試合のベンチワークでフェラン、オヤルサバル、サラビアになるのはどうもおかしい。
カウンターを受けていたのはむしろ選手交代後。
ロドリはまだカウンター対応が育まれていないんだ…。
ウクライナオーストリア
3試合すべて見たのはベルギーとウクライナだけ。
それだけデブライネとジンチェンコのプレーを見たいと心が叫んでいる。
第1戦からそうだが、ジンチェンコの国に対する思いは強い。
オランダ戦で逆転ゴールを叩き込まれたヘディングシュート。競り合っていたのはジンチェンコ。悔しさを露わにし、その後なんとか同点にしようともがいていた姿は心にぐっと来た。
が、しかし。
この試合はオーストリアにうまく試合を作られてしまった。
4-3-3で守るウクライナに対して、アラバを前に上げ、3-4-3でセットするオーストリア。
枚数をかけて攻めた後にそのままプレスをかけるため、ウクライナはパスコースが見つけられずに囲まれていた。
結果はオーストリアが1点を守り切りウクライナは敗戦したが、途中でジンチェンコをより前に動かす配置をチームとして取ってきて、「このチームの中心はジンチェンコ」というのがわかってうれしい。
ウクライナは足元のうまい選手が多いけど、飛び出す選手がいなくて、前進ができないチームという印象。
アラバは左SBも問題なくできそう。
マドリーでは、SBにCBにフル稼働してほしい。ラモスも抜けるので。
フィンランドベルギー
2連勝して突破を決めているベルギーにフィンランドが挑む試合となった。
ベルギーは前2戦とスタメンを変えたのにも関わらず、エデンアザールとデブライネがスタメンにいるという。
ベルギーからしたら負けてもいい第3戦で、アザールとデブライネの調子を見れるのはとても良い。二人にとってもコンディション調整にもってこい。
フィンランドが引く。
ベルギーが前に出る。
100人中99人ぐらいは予想していた展開だが、序盤はベルギーの連係の悪さにフィンランドが余裕をもって対応していたと思う。
その余裕が消えたのは、デブライネがハーフラインから伝家の宝刀スルーパスを繰り出してから。
彼は相手のがんばりとかどうでもいいからね。サッカーを追及している感じ。
アザールもデブライネも左に来るのに、チャンスは右からが多い。囮の方が市場価値が高いぞ、ベルギー。
アザールの株が落ちたかわりに19歳ドクの評価は高まったように感じる。
ナショナルチームはクラブチームに比べて連携をそこまで緻密に高められないので、ドクのような一人で前に持っていける選手は短期間の国際大会では非常に貴重。
スロバキアスペイン
グループEの最終節。2分のスペインは勝ち点2で、最終節を迎える。
うん、まあ、そうなるよね、これだけ点を取れなければ。という成績で、スロバキアと相対する。
結果は5得点クリーンシートの完勝でグループリーグの突破を決めた。
気になったことは3点
1.後ろの3人のパスセンス
「ハードボイルドパサーラポルト」
「血液すらもソシオの男エリガルくん」
が真ん中でビルドアップする今日のスペイン。
スロバキアは序盤こそ、ハイプレスをかけたが、暑いし、うまいしで失速した。
前半の終わりからは「あ、そこ縦パス選択するんだね」という何気ない縦パスでスロバキアのブロックを通過。
集中力も切れたスロバキアは相当大変だったと思う。
2.ペドリ
バルサの下部組織出身ですか?と勘違いされてもおかしくないサッカーのうまい少年。
線が細くまともにフィジカル勝負になったら確実に負けると思うが、ボールを動かしながら次のプレーに移行していて、相手選手と対峙する前に別の場所に移動するという、接触をなるべく避けたサッカーをしている。
この辺りはイニエスタを彷彿とさせているなと思った。
3.アスピリクエタ
ベテランとなり、模範となるべくシャツをインする男。
CL優勝チームのレギュラーの彼は右SBとして出場。
しかし、非常に窮屈なプレーだった。
後半真ん中あたりにビルドアップを狙われ、ロストしたシーンがあったように、普段チェルシーでプレーしているエリアとだいぶ違うエリアでプレーすることとなり、だいぶ中途半端な動きとなっていた。
普段の3バックの右や右WBでは、うまくプレッシャーのない状況でボールを受け、前に運ぶ役割だったが、右SBだとボールを受けてプレッシャーを感じながら次の展開に向かうのでやりにくそうだった。
終わり
ということで、グループリーグはこれぐらいが限界だった。
いまだに見ていないグループリーグの試合がHDDに残っている。
見ないままお蔵入りになりそうだ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今はもう決勝トーナメントの試合も始まっている。もうまったくと言っていいほど追いつかない。
最後に、マンチェスターシティの選手は現在、デブライネ、ジンチェンコ、ギュンドアン、スターリング、ストーンズ、フォーデン、フェラントーレス、ウォーカー、ラポルトが残っている(だれか忘れていたら教えてほしい)
レアルマドリードの選手は、アザール、クルトワ、ベンゼマ、モドリッチ、クロース、ヴァランが残っている(だれか忘れていたら教えてほしい)
怪我をせずに戻ってきてくれることを心から願うばかりである。
(デブライネが足を怪我したという情報が…)
決勝まで大変だ。
一応予想しておこう。
勇気をもって、
イタリア vs チェコ
もうトーナメントはこれやりません。
それでは!
プレミアリーグ20-21シーズン シティを苦しめたベストイレブン
デブライネ「おれの後ろマスクしろよ…」
こんにちは。
tadashiです。
初めに
プレミアリーグの全日程が終了しました。
昨シーズン猛威を振るったコロナウイルスは依然として猛威を振るいながらも、人類は強く、中断もなくすべての試合を終えることができました。
プレミアリーグではないけれど、人数制限がありながらFAカップとチャンピオンズリーグの決勝では観客を入れて試合をすることができました。
少しずつ日常を取り戻していきつつあるサッカーは、ここでオフシーズンに入ります。
海外サッカーフリークのみなさま、特に海外リーグを主に見ている人からすると、このオフシーズンは次の熱狂までのしばしの休息となります。
本日は、そんなオフシーズンの始まりにふさわしい毎年恒例のベストイレブン企画の開催です。
題して
プレミアリーグ20-21 シティが苦しめられたベストイレブン
選考の前提条件
昨シーズンの終わりから半ばネタ的に始めた「苦しめられたイレブン」ですが、依然としてGoogle検索では上位に位置し、だれも手を出さない領域であることがわかったので、今シーズンも手を出してみました。
選考の条件はたったこれだけ。
プレミアリーグマンチェスターシティ戦で、1試合でも出場していること。
そして、我がマンチェスターシティを苦しめたこと。
この中から各ポジションの選手を選出していきます。
ベストイレブンの発表
まずは、フォーメーションとあわせてベストイレブンを御覧ください。
システムは4-2-3-1。昨シーズンと同じです。
このシステムを選んだ理由は2つあります。
6敗のうち3敗が4-2-3-1に敗戦
スコアレスで終わった3試合は4-2-3-1を相手にしたとき
敗戦、スコアレスと聞いて、嫌でも思い出す赤いユニフォームと白いユニフォーム。
20節から首位の座を渡さなかったマンチェスターシティを苦しめたマンチェスターユナイテッドとトッテナムのシステムがベースになっています。
それでは、各選手を見ていきましょう。
■凡例
名前(所属チーム・国籍)
年齢 マンシティ戦出場数
GK
サム・ジョンストン(ウェスト・ブリムウィッチ・アルビオン/イングランド代表)
28歳 2試合出場
あとでノミネート選手も出てきますが、2試合を通してシティを苦しめたGKはなかなか見つけられませんでした。
リーズのメリエと悩みましたが、シーズン最初のシティ戦、1対1のドローを演じた試合で枠内シュートのほぼすべてをセーブしたこのGKを選出しました。
特に後半残り10分間のデブライネとの熱い戦いは全シティファンが覚えていることでしょう。(え、覚えていない?)
サッカー選手らしからぬ丸坊主は好感が持てます。
サウスゲイト代表監督にも認められ、現在、イングランド代表にも選出されています。
2戦目は5失点をするもその愚直な姿に心を打たれてしまいました。見てください、この全身証明写真のような姿を。
ちなみに、このジョンストンは、マンチェスターユナイテッドに所属しており、ローンで長らくアストンビラに。今シーズンからWBAに完全移籍をした選手です。
GKは1人しか出られないため、こうやって自分を必要としてくれるチームに移籍することがとても重要だと思ってしまいます。
DF
DFは4枚選びました。
選ばれるのにふさわしい4人を持ってきました。(自信あり)
【右サイドバック】
31歳 2試合出場
右SBは悩みました。(自信があるとか言っていきなり)
彼はクリスタルパレスのウォードという選手。イケメンですね。
2012年からクリスタルパレスに所属。今シーズンで9年間パレスで過ごしています。
みなさんはこの選手をご存知でしたか?私は知りませんでした。
しかし、シティとの2戦目で見つけてしまいました。
左SHで先発したスターリングとのマッチアップで、スターリングを完全に止めたこの選手を。
シティは、ターンオーバーで4-4-2を採用。左に入るスターリングをマンマークしたのが彼です。
シーズン終盤にかけて調子を落としていたとはいえ、リーグ随一のWGをシャットアウトしたベテランに拍手を送らざるを得ません。
試合は、負けてしまいましたが、個人としては、インターセプト2回、タックル3回を記録。対峙するスターリングはこの試合ドリブル突破が0回でした。
※これ以降、使用する写真はすべてその選手をネガティブに表している写真にしました。だって、シティ相手に活躍しすぎなんですから…!
【右センターバック】
ハリー・マグワイア(マンチェスターユナイテッド/イングランド代表)
28歳 2試合出場
マンチェスターシティを無失点に抑えたユナイテッドの守備の要であり、キャプテンの彼を選ばない理由はないでしょう。
ミラクルレスターによるプレミアリーグ制覇後の2017年、レスターに移籍したマグワイアはプレミアリーグでその実力を発揮し、2019年にはマンチェスターの赤い方へ。
瞬く間にレギュラーに。彼の安定した守備は、戦術のないだれかに依存したユナイテッドの攻撃を支えるスーパーマンとなりました。
シティ戦では、その圧倒的な守備力でシティの攻撃を0で封殺。
昨シーズンからそうでしたが、ユナイテッドを前にすると得点のイメージがなくなります。おそらくそれもマグワイアの実力があってこそでしょう。
とてもセクシーなパートナーがおり、うらやまけしからんと思い、その時点でも苦しめられた(私が)ので文句なしの選出でした。
【左センターバック】
28歳 2試合出場
シティ相手に7失点とチームとしての成績を見れば大敗だったサウサンプトンでしたが、この199㎝の大柄なCBは、大いにシティを苦しめました。
ヴェスターゴーアは、その恵まれたフィジカルに注目がいきがちですが、彼の魅力はなんといってもパス精度の高さです。
左から逆サイドの選手に展開するサイドチェンジの質の高さは一級品。
スピード、正確さは、シティのラポルト、リバプールのファンダイク、もっと言えばレアルマドリードのセルヒオ・ラモスとも遜色ないと言いたいぐらいでした。
また、縦パスの精度も素晴らしくウォードプラウズやウォルコットがハーフスペースに顔を出せば絶妙なタイミングで足元にあてていきます。
1戦目はロングパスを10本成功させており、2戦目は何度もシティ守備ラインを飛び越える縦パスを出していました。
2010年にスカンジナビア半島からドイツに渡ったこの青年は、ホッフェンハイム、ブレーメン(大迫ともプレー?)、ボルシアMGと経験を積み、2018年にサウサンプトンに加入。
当時スタメンだった吉田をおぼやかす存在としても日本で少しだけ話題になっていたと思います。
シティ相手だったから気づけたものを、こうやって毎試合見ることのできないリーグにももっとたくさんの素晴らしい選手がいると思うと悔しいですね。
【左サイドバック】
ルーク・ショー(マンチェスターユナイテッド/イングランド代表)
25歳 2試合出場
ぽっちゃりしているけど、足は速い。
時々スポーツ界にいる体格と動きが合わない人。それがこのルーク・ショーです。
なんといっても、2戦目の後半開始早々のプレーをシティファンは忘れたい忌まわしい出来事です。
GKからのスローを受け、ワントラップでカンセロをかわしドリブル。ラッシュフォードとパス交換をして思い切り左足を振りぬいたシュートはうまくエデルソンすらもかわしゴールに吸い込まれました。
やられた…!と試合を見ながら思いました。
この日のルーク・ショーは敵ながらも素晴らしい活躍でしたし、シティのサイドバックにはこのように推進力のある選手が少ないのでうらやましさもありました。
推進力のあるDFによくある1対1の弱さもこの試合では見られず。
シティ相手だからなのかまだ25歳だし、成長されても厄介だなと思ったのが正直な感想です。
ユナイテッドからはもう一人出しています。
MF
MFはアンカーを2枚並べ、トップ下を置いた5枚編成になります。
【左ボランチ】
フレッジ(マンチェスターユナイテッド/ブラジル代表)
28歳 2試合出場
昨シーズン、シャフタールからこの赤いマンチェスターに移籍したボランチを選出。
昨シーズンはあまりフィットしていなかったけど、今シーズンは2戦ともマンチェスターシティを苦しめる活躍。
マクトミネイが上下の動きを見せるなら、フレッジは横の動きでシティの攻撃をブロック。
試合を見ながら、またフレッジ!またマクトミネイ!と苛立っていたことを思い出します。
2点クリーンシートで勝利した2戦目よりも1戦目の引き分けの試合の方が印象的でした。
パス成功率は90%を超え、タックルも3度成功させていました。
それもこれも試合途中からのシステム変更が効きました。だれの指示だか知らないけれど。
1戦目を見て思ったのですが、フレッジは隣に味方がいるよりも一人で広いエリアをカバーした方が活きるなと感じました。その点で言うと縦に強みのあるマクトミネイとのダブルボランチは最善の組み合わせと言えますね。(悔しい)
【右ボランチ】
ユーリ・ティーレマンス(レスター/ベルギー代表)
24歳 2試合出場
ベルギー代表の若き才能を選びました。
シティ戦ではなんといってもその視野の広さ、配球の質の高さが目立っていて、1戦目の5失点のゲームではすべてのプレーに関与していたのでは?と思うほどボールを散らし、ヴァーディを活かし、シティのSBを孤立させていました。
1対1にも12分の8で勝利、インターセプト3回、タックル2回。5点目の得点もあげました。
チームとしては残念ながら今シーズンもギリギリで、チャンピオンズリーグ出場権を逃してしまいましたが、個人で見れば十分CL圏内のチームへステップアップすることは可能だと思います。
モナコからプレミアへの輸入が近年凄まじいです。その恩恵をリバプールもシティも受けているのでフランスリーグ1には感謝です。
【右サイドハーフ】
スチュアート・ダラス(リーズユナイテッド/北アイルランド代表)
30歳 2試合出場
リーズ自体はシティに無敗。
1勝1分と十分な結果だったので、リーズから一人は選びたいと思っていました。
そこで、そのユーティリティでポリバレントな存在としてダラスを選びました。
チーム事情もあったのかもしれませんが、1戦目の引き分けの試合では左SBとしてプレー、2戦目の勝利をあげた試合ではCHとしてプレーをしています。
2戦目では一人少ないながらダラスはパス成功率90%を超え、少ないボールを持つ時間を無駄にしていなかったし、枠内シュート2本で2点。そのすべてがダラスでした。
特に2戦目の2得点は、本当に余計なことをしてくれた!と思ってしまいましたが、あの切れ味鋭いカウンターは見ていて気持ちが良いものでした。
【トップ下】
タンギ・エンドンベレ(トッテナム/フランス)
24歳 2試合出場
ここでの選出?と思った方も多いと思いますが、普段シティの試合を見ない方はぜひハイライトだけでもトッテナムシティの1戦目を見てください。
普段ダブルボランチの一人として起用されるエンドンベレはトップ下でプレー。
フィジカル的な選手を前に置くやり方は重心は低くなるものの守備での安定感を与えます。
彼がモウリーニョから与えられたタスクは「シティポゼッションの阻害」です。決してボールを奪うわけではないけれど、ファーストディフェンダーとしてケインと二人でアンカーを塞ぎ、ボールが来ればフィジカルでキープしていました。
チャンスメイクはケインに任せてエンドンベレはエンドンベレにできる最良のプレーでチームに貢献するという形です。
これもケインが万能型FWの完成形であり、ソン・フンミンのように左右には得点力のあるアタッカーがいたからトップ下をチャンスメイク以外に専念させられたトッテナムの特殊性もありましたが。
まだ24歳ですし、リヨンで名を上げ、トッテナムに加入した経歴を持っていますので、精神的に問題なければこれからもトップでやっていけるはず。
残念ながらユーロの代表には残れませんでした。
【左サイドハーフ】
レアンドロ・トロサール(ブライトン/ベルギー代表)
26歳 2試合出場
風圧に顔が負けるトロサール
シティファンがこの選手の名前を聞いて思い出すのは第37節だと思います。
1人少なくなったシティがフォーデンのゴールで2点差にしたことで、試合をうまくこのまま終えようとしていたのに、彼の一発でブライトンに勢いが生まれ、残りの2得点はオーバーラップしたCBの二人という展開で敗戦。
得点もそうですが、こういうドリブルやプレーの1つ1つでチームに勢いを与えられる選手はとても重要ですね。(シティで言うルベンディアス)
ブライトンも見事残留を果たしています。(ブライトンは得点入らなさすぎですが)
トロサールは、ヘンクでキャリアを始め、レンタルを繰り返しながら努力を重ね、2019年にブライトンへ移籍しています。
この2年たしかにトロサールはシティ戦では切れ味の鋭いドリブルでシティDFを困らせていましたし、2戦目では途中出場で結果を出しました。
優勝したシティ戦での活躍はその選手の成長を促してしまいます。
本当にやめていただきたい。
FW
30歳 2試合出場
この選出に文句のある人がいれば今すぐにマンチェスターシティの38試合を見直してほしい。
それぐらい苦しめられた選手と言って過言ではありません。
今シーズンのマンチェスターシティはルベンディアスの加入によりとてつもなく強固なディフェンスを築くことが可能となりました。CLとのターンオーバーで終盤に失点のかさむゲームをしていましたが、32失点というのはリーグ最小です。
そのチーム相手には2戦2得点。これは素晴らしい記録です。
特に素晴らしいのはフィジカルなゴールだったということです。
マンチェスターシティの弱点をしっかりと明るみにし、ルベンディアスの気持ちをさらに奮い立たせてくれた優勝の立役者とも言いたいぐらいです。
しかも彼は多くのレンタル移籍を重ねてようやくこのプレミアの舞台に立っています。
プレミアでシーズン10ゴール。
そのうちの2得点が優勝したマンチェスターシティからあげたゴールだなんてとても夢があると思ってしまいます。
惜しくも落選した人
残念ながら11人に入らなかった選手たちを紹介します。
■GK
アレオラ/フラム
マルティネス/アストンビラ
メリエ/リーズ
■DF
ティアニー/アーセナル
ターゲット/アストンビラ
■MF
ライス/ウェストハム
マクトミネイ/マンチェスターユナイテッド
ハリソンリード/リーズ
シェルビー/ニューカッスル
カーティス・ジョーンズ/リバプール
リンガード/ウェストハム
ネト/ウルヴス
シエシュ/チェルシー
■FW
カバレイロ/フラム
ポグバ/マンチェスターユナイテッド
ポデンセ/ウルヴス
フィルミーノ/リバプール
ケイン/トッテナム
サンマクシマン/ニューカッスル
ジョエリントン/ニューカッスル
所感
最後です。
この11人を見たときに感じたのは、相当マンチェスターシティとの相性が良いだろうなということです。
右サイドのビルドアップが読めないところはありますが、引かずに中央を閉め、ブロックを作ってロドリで奪い、ダラスとトロサールのカウンターからクロスさえ上げることができればフィジカルでアントニオが押し込んでくれるはずです。
そういえば監督を決めていませんでしたね。
このチームを率いる監督はシティに負けていないビエルサかスールシャールと言いたいところですが、おそらくはまらないので、シティを行動不能にさせたレスターのロジャース監督にしましょう。
今シーズンのマンチェスターシティは、13節を境に大きく印象を変えています。
20節には首位に立ち、そこから一度もその場所を譲らなかったことを考えるとその状態のシティ相手に勝利したマンチェスターユナイテッドへの苦手意識は増し、11人のうち3人も選ばれるのは必然だったと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
今シーズンはプレミアリーグで覇権奪回。CLでは準優勝。カラバオカップは4連覇となりました。
それでも、思い返すとこれだけの選手に苦しめられていました。この企画もまだまだ続けられそうだな、と思いました。
また、来シーズンにお会いしましょう。
それでは!
父とレアルマドリード
それはもう何年も前からわかっていたいつか来る現実であった。
覚悟していたはずの感情は、事実を聞いて、別れの日を目の前にして、覆い隠せるようなものではなかったと自分自身でも驚いた。
SNSでも勢いで想いを書いてしまった。
サッカーと彼の存在を結びつけたときに話ができて、理解してもらえる人がいなかったから。
少しだけお付き合いください。
現実と向き合う
父親が他界した。
父は約10年前"多系統萎縮症"という難病にかかり闘病を強いられ、そして長らく入院をしていた。
神経系の病気であり、治療法はなく、進行のスピードも個人差があるということで、長くて10年というのが一番最初に聞いた内容だった。
大学生(大学院生)だった当時の私は、自分のことでいっぱいいっぱいで、それでも突きつけられた現実に「どうすればいいんだろう」という疑問だけが漫然と浮かんでいた。
あれからあっという間に10年。
病気はしっかりと進行し、自宅のトイレで動けなくなり入院し、食べることができなくなり、声を出せなくなったが最後まで意識は残っていた。
最終的には癌により亡くなってしまったが、コロナによる面会禁止があったためどのような最期を迎えたかはわからない。
久しぶりに見たその顔は穏やかで、骨となる直前までただ眠っているような姿だったのは、目に焼きついてる。
さて、私とっての父親の存在は、サッカーというスポーツを見るようになったきっかけであり、思い返すとただの家族というだけではなかったということが今になってわかってきた。
こんなにサッカーを見るようになった一番初めは、ちょっとした父親とのきっかけであった。
前置きが長くなってしまったが、父親の生きていた証と私がしっかりと彼の子供であったことを、供養として書き留めていきたいと思う。
彼と私の繋がりにはサッカーというスポーツが密接に関係している。というよりほぼそれだ。
これから始まる自分語りは、私が初めて好きになったレアルマドリードに出会わせてくれた父親とそのレアルマドリード、そしてその先のサッカーと私の、ほんの数十年の物語である。
サッカーとの出会い
こんな見出しでありながらサッカーとの出会いに記憶はない。
例えばサッカースタジアムにサッカー観戦に連れていってもらったとか、父親がサッカーをやっていて生まれたときからボールを与えられていたとか、そんなことはまったくなかった。
ドーハの悲劇も初のワールドカップ出場ももはや記憶にはない。伝聞の類いだ。
しかし、小学校2年生にはサッカーというスポーツを始めていた。
おそらく近所の○○くんもサッカーをやるみたいだから一緒にやらない?と、これもおそらくだが、母親が勧めたんじゃないかと思っている。
なぜなら父親は学生時代のすべてを野球に注いできた人だからだ。
どうやら大学でも続けていたようで、キャッチャーとして大洋ホエールズから声がかかっていたとかなんとか。
「お父さんがプロになっていたらあんたたちは生まれてなかったよ!」というのが母親の唯一父親を誉めるときの言葉であった。きっと二人は出会っていなかったということだろう。
結局この決断は私の人生を大いに良い意味で狂わせ、今でもサッカーにどっぷりとはまっている。
どれだけ記憶をたどっても本当にサッカーを始めた理由は覚えていない。
家では毎日のように野球中継が流れ、ホームランを打つと父親の喜びの雄叫びが聞こえ、元キャッチャーの父親の配球予測が自慢げに語られていたのだ。
どうして野球ではなくサッカーなんだ…。
これは我が家の七不思議の一つだ。(七不思議と言ったが、もう不思議は出てこないので期待しないでほしい)
「だれも野球をやらねえんだよな」とよく愚痴をこぼしていたのも、彼が亡くなってから母親から聞いたぐらいだ。(私には弟たちがいるがだれも野球をしていない)
つまり両親の期待や心残りを押しつけられることなく、好きなことをやれたというのは、両親のおかげで、それは感謝でしかない。
かくして、長い長いサッカー人生が始まった。
プレイヤーの楽しさ
小学生で始めたサッカーに、私は大変熱を入れてしまった。
その当時に熱を入れていた感覚はまったくもってないのだが、それから高校2年生まで競技としてサッカーを続けていた。
勝つか負けるか、試合に出られるか出られないか。常に競争に身を置いていたと今では思う。
よくやっていたとも思う。
友達がみんなやっていたのもあったが、負けると悔しいし、勝つとうれしい。
コーチは怖いけど、優しくて面白いし、なによりがんばっていると父親も母親も応援をしてくれるのだ。
そんなことスポーツを始めるまでなかった経験だ。素晴らしいと思っていたのかもしれない。
といってもサッカーが上手かったわけではなかった。小学6年生まで試合中にボールを触るのも怖くて全然活躍できなくて、いつもチームメイトからやんや言われていた。
父親も怖かった。
走れ!がんばれ!追え!
試合が終わればあーだこーだ。
辞めなかったあのときの自分を抱きしめてやりたい。
まあ、今にして思えば心から応援してくれていたんだろう。
自分のサッカー人生に衝撃を与えた出来事があった。
それは中学のときに友達とサッカーボールで遊んでいたら、同年代ぐらいのブラジル人に一緒にやらないかと誘われたことだ。
向こうはポルトガル語、こっちは日本語ながらも、ボールを蹴りあったが、その技術力の高さに脱帽。
ボールは取れない、クイックネスがとてつもないし、フィジカルは強い。なんだか知らないが「世界」を勝手に感じた瞬間だった。
全然本題に入れない。
悪い癖である。
サッカーを観る体験
ようやくである。
サッカーをしっかりと見たのは2002年日韓ワールドカップ。
それまではコーチからサッカーを見ろよと言われても「なぜ見るのか」「自分と技術がまったく異なるものを見てなにになるのか」というところがわからなかった。当然、Jリーグはおろか日本代表の試合すらもテレビがついてるからとりあえず眺めている程度。
しかし、そんな状況が一変したのがこの日韓ワールドカップであった。
友達とだれかの家でキックオフ待つ間、点が入った瞬間、失点した瞬間。心が沸き立つのを感じた。
自分がプレーしていないのにどうしてこんな感情になるのか。
エキサイティングの塊じゃないか。
トルコに負けるそのときまでテレビに釘付けだった。日本が世界と戦ったあのときを。
ただ、だからといってそのあとサッカーの試合を観るようになったかと言えばまったくそんなことはなかった。
部活で疲れた体でプロの試合を見る肉体的余裕はない。
月日は簡単に流れていった。
相変わらずJリーグはそこまで見ていなかったが、ワールドカップになれば夜更かしをして友達と多くの試合を観戦していたことを思い出す。
レアルマドリードとの邂逅
2002年の日韓ワールドカップが終わって、私が高校生になったころなんと我が家にWOWOWが導入された。
2003年、2004年ごろの出来事だ。
WOWOWを契約したのはもちろん父親だが、野球中継は民放で見られるにも関わらずWOWOWを契約。
ここが本当に父親を尊敬するべきところだが、サッカーを観る楽しさに父親は私よりも早く気づいて、それを我々子供たちに伝えようとしてくれたのだ。(真相は闇のなかだが)
WOWOWが導入されたことで、我が家ではスペインリーグの試合を観られるようになった。
当時マンデイフットボールでしか海外サッカーの情報を得られなかった私にとって海外サッカーをフルで見られる感動は、、最初は感じていなかった。もったいない。
父親はだれに言われるでもなく、子供たちに自慢するでもなく、スペインリーグを観始めた。
深夜や朝方なので録画をして、休日の早朝から観ていた。
そう。ここで出会ったのがレアルマドリードである。
マンデイフットボールのおかげで当然、名前は知っていた。チャンピオンズリーグのロベカルからジダンのボレーも映像だけは見たことがあった。
当時のレアルマドリードはそれはそれは魅力的なスカッドだった。今考えると本当にとんでもない選手たちが揃っていた。銀河系軍団の活躍をこの目にできていたのは幸せだった。
(その前から知っていただろうという声も聞こえてきそうだがそこは脳内補正をしてほしい)
記憶が曖昧で気になって調べたがWOWOWでラリーガが放映され始めたのは2003年だった。記憶とほぼ一致したのでほっとした。
あのころのレアルマドリードが一番好きだった。クラッキばかりだったがだれも悪いやつがいなかった。サッカーに対して熱心で、プロとしての振る舞いも素晴らしかった。
デルボスケ、カルロスケイロス、カマーチョと続いた監督たちのレアルマドリードを応援していたことを思い出した。
ありがちだがモウリーニョのマドリーはあまり好きになれなかった。
今でも鮮明に思い出せる。
左SBだった私に感動を与えたロベカルの破壊力
PKがやたらと上手いイエロはCBの印象を変えてくれたし、エルゲラはCBもボランチもできる万能なプレイヤーだった
セルヒオ・ラモスが来るまでの右サイドはミチェルサルガドが、マドリーに魂を注入し、マケレレが銀河系のために体を張った
ベッカムのその右足は芸術そのものであったし、グティは天才でほれぼれとした
左サイドから中央に移動するジダンはエレガントそのもの、フィーゴのドリブルはフェイントができなくても渡り合える希望をもらえた
ラウールの動きは、自分のためではなく人のためにスペースを作ることを教えてくれ、怪物ロナウドは、体型はこのスポーツに関係なく、得点こそがすべてであると見せてくれた
どうでもいいことだが、好きなサッカー選手を聞かれたら、ジダンとクライフと答えるようにしている。
クラシコと父親
無理やりに父とレアルマドリードを関連づけようとしているが、関係はまったくない。
父が録画をしていたラリーガの試合は、バルサとマドリーの試合がほとんどだった。(時々、セビージャベティスや日本人所属チームの試合があった)
マジョルカに在籍していた大久保のデビュー戦ゴールをリアルタイムで見ていたのは今でも覚えている。
高校生になり、部活と勉強ばかりの日々になると父親との記憶はほぼこの朝方のラリーガの録画を観ていた記憶になる。およそ2006年ごろまでのことだ。
いかんせん積極的に会話をしない父親との会話は試合を見ながら感想をもらし、共感してもらうというパターンが常だった。
この中でクラシコという非常に重要な試合は外すことができない。
私の記憶の中では塩試合はなかったんじゃないかと思う。それは試合内容だけでなく、父との会話がしっかりとなされていたからなのかもしれないが。
良いプレーに感嘆し、今のが良かった。と言えば、ああ、とかそうだな、とか簡単な言葉が返ってくる。
見逃したところを巻き戻して二人で見たり、ラウールが二人引き付けていた、と話したところで、やはり、うん、とかああ、とかが返ってくるが、個人的にはわりと満足していた。
なにより野球しか見ていなかった父が、サッカーを観る時間の方が長くなっていたから、それはそれでサッカーを認められた気がして嬉しかったのかもしれない。
大学生になり、プライベートが変わっていき、一緒に試合を観ることが減っていた。
そして、在学中に父の病気が発症した。
病気が発症するまで、彼は一人でたくさんの試合を観ていたことだろう。
ジダンは引退し、レアルマドリードには新しい風が流れていた時代。
その変遷をラリーガを通じて観ていた父とサッカーについてもっと語り合いたかった。
やっぱり早すぎる。
そんなこと言ったって仕方ないのはわかっているけど、もっと長く生きる人がいるのになんで。
父が入院したあともクラシコはどんなに忙しくてもリアルタイムで観ていた。
それは結局唯一の父親との繋がり、記憶、思い出だったからで、観た試合をいつか話し合えるようにと些細な悪あがきだったかもしれない。
サッカーを観るということ
父が入院していた間は、話したいことがたくさんある。
この約10年の間にレアルマドリードがCLで三連覇したこと。
ジダンはマドリーで引退し、その後は指導者となり、ジダンはマドリーの監督になったこと。
シャルケに行ったラウールも下部組織のコーチをしていること。
バルサにいたグアルディオラはドイツへ渡り、今は私の応援するマンチェスターシティの監督をしていること。
中田英寿が旅人を続けていて、日本酒を作っているとは父親は考えもしていないだろう。
多くの日本人が欧州に渡ったこと。
乾や清武がラリーガに挑戦し、乾は今でもプレーしていること。
久保建英が日本に戻り、その後レアルマドリードに加入したこと。
久保のJリーグ最後のゴールを味スタで観戦していたこと。
ロシアワールドカップでベルギーをギリギリまで追い詰めたこと。
むしろベルギーが強豪国となっているなんてことも、きっと話したら驚いたに違いない。
試合の一つ一つ、サッカーに関係する事柄は記憶とリンクする。
WOWOWとラリーガは今でもこれからもきっと父とのことを思い出すことを助けてくれる。
最後の2年間はコロナの影響もあって病院での面会は禁止だった。
この2年間で会えたのは癌だと告げられた日ともう意識のなくなった日の2回だけだ。
その間にもすごい勢いで世界は変わり、いくらでも話のネタはあったはず。
それを伝えられないことはとても悲しい。
父親が定年退職し、自分が働き、二人でお酒を飲むようになってから、昔話をするようになるんじゃないのかな、と思っていた。
現実は残酷で昔話はおろか、お酒も一緒に飲むことなく、彼はこの世から去った。もう少し待ってくれてもいいじゃないかと今でも思っている。
湿っぽくなってしまった。
これで終わりにしよう。
父親と私はサッカーによって繋がっていた。
私がサッカーをしていたのを父親として観に来ていただけでなく、サッカーファンとしてWOWOWを通じたラリーガの世界の感動を共有していた。そこには親と子ではない関係があった気がする。
父のおかげでレアルマドリードを好きになり、サッカーが好きなだけでなく、特定のチームを応援することの楽しさを知った。
そして、レアルマドリードだけでなく、マンチェスターシティというチームを好きになった。
どこか好きなチームがあると楽しいということは父が教えてくれたとも言える。
今の私がいるのは紛れもなく彼のおかげだ。
そういえばまだゆっくりだがかろうじて喋れるときに、病室で最近の海外サッカーの話をしたことがあった。
返事は「ああ」だった。
なんだよ、今までと変わらないじゃないか。
このやりとりを思い出して今、泣いている。
これからもきっとサッカーは好きだろう。
マンチェスターシティやレアルマドリードの試合に一喜一憂し、サッカーに関係なく、自分の人生も変わっていくだろう。
子供にこれだけの影響を与えられる親に自分はなれるだろうか。
67歳というあまりにも早い最期は、思い出になるには少しだけ時間が短いように思える。
それでも安らかに。永遠に。
サッカーに焦点を当てたが、サッカー意外にも当然、さまざまな話があるのだが、ここでは割愛し、父と私とサッカーの思い出を語らせてもらった。
本人が良い人生だったと思えたかはわからないが、今、私が良い人生を過ごしているのは間違いなく彼のおかげである。
2021年6月2日
シティ戦で全然活躍できなかったビッグネームイレブン
こんにちは。
tadashiです。
本日はこんな内容を題材に記事を書いてみようと思います。
題して
20-21シーズン シティ戦で全然活躍できなかったビッグネームイレブン
です。
はじまり
シーズンが終わると必ず出てくるベストイレブン。
どの雑誌も各個人も今やSNSが全世界に発信できるのを良いことに、多くの人がシーズンを振り返り、もっとも活躍した選手や優秀な若手など一番を決め、順位をつける。
挙句の果てには、ベストイレブンを選定し、勝手に表彰してしまう。
そんな私もなにかシーズンを振り返るイレブンを決めたいなと思い、昨年から始めたのが「シティが苦しめられたベストイレブン」だ。
これはマンチェスターシティがシーズンで2度戦う中でどの選手がシティを苦しめたかを独断と偏見で決めてしまおうという企画である。
さて、今シーズンが終わり、私は悩んだ。
昨シーズンはペップシティが不調で、問題もたくさんあった。
リバプールに独走されてしまったこともあり、比較的簡単に苦しめられた選手を選ぶことができた。
しかし、今シーズンは途中から独走状態。
21試合連続勝利、アウェイ12試合連続勝利、アウェイ23試合連続無敗などなど、シティの強さが際立っていて、苦しめられたことが昨シーズンよりもマイルドになってしまった。
とても良いことだが、10年は続けようと思っていた矢先のことなので困っている。
もちろんこの企画は続けるつもりだが、こんなに気持ちよく優勝したことだし、タイトルにもあるように、本来シティと相対するビッグネームが今シーズン全然活躍できなかった、活躍させなかった良き思い出を形にしたいと思っている。
つまり、盛大な煽りである。
それではいってみよう。
選定条件
まず、ビッグネームという定義をしておこう。
直訳すれば大きな名前、言い方を変えれば有名選手と言えるだろう。
この有名という定義はその人それぞれのサッカーに対する知見に左右されてしまう非常に曖昧な言葉だ。
私の考えるビッグネームとみなさまの考えるビッグネームは明らかに異なる。
とうことで、今回はtransfer markt(https://www.transfermarkt.com/)
というサッカー選手の市場価値をまとめているサイトで上位に位置する選手たちから選定しようと思う。
条件としては、各ポジションで、シティと対戦したチームのうち上位10人ということにしたい。
異論はもちろん認めるが、悉く却下していくので気をつけてほしい。
そしてさらに曖昧なことの「全然活躍できなかった」という言葉。
これは、さすがに試合を見ればわかる。
ここだけはシティファンの主観で語らせてほしい。シティ戦で全然活躍できなかった選手と言えばすぐにでも思いつく名前があるはずだ。
ちなみに、シティ戦に出場していない選手は対象外とする。
(例えば、ビッグネームではあるが、出場していないリバプールのファンダイクは対象外)
では、以下に条件を整理する。
1.transfer marktの市場価値の上位選手
2.各ポジションから上位10名
3.シティ戦に出場した選手に限る
4.”活躍できなかった”のは主観で判断
5.すべてのコンペティションを対象とする
各受賞選手の紹介
受賞選手を紹介する前に、まずは上位10位のリストを示しておこう。
ここに、私の主観は入っていないことをぜひ確かめてもらいたい。
注釈もしているが、シティ戦に出場した選手だけを抜き出している。当然のことだが、シティの選手は除外している。
各ポジションの上位を並べてみたがやはり前線の選手の方が評価されやすい傾向にあるようだ。
そんなことは放っておいてさっそく受賞選手を紹介していこう。
一人ずつ紹介し、最後に何人か追加し、イレブンをご覧いただこう。
GK
「フォーデンのシュートうまかったな…」
アリソン(ブラジル・リバプール)
市場価値 6000万ユーロ
ブラジルの正ゴールキーパーが受賞。
年間を通して考えたときにGKは簡単に選ぶことができた。
マンチェスターシティとの二度目の対戦。
無観客のアンフィールドでのシティ大勝。
少なくとも2失点に絡むアリソンのミスは我々を盛り上がらせ、リバプールファンの心を砕いたに違いない。
カリウスもそうだが、リバプールのGKはなにかに取りつかれているのか。イスタンブールの奇跡で見せたドゥデクのクネクネPKストップをなぜか思い出した。
シーズン途中からフレディマーキュリーのような風貌に仕上がったアリソン。
We are the champion!!とはならなかったが、CL出場権を最終節で獲得。
来シーズンは19-20シーズンのような活躍を。
2試合計 5失点
CB
言葉の響きの良さは今回の選手で一番。
ダビンソンサンチェス(コロンビア・トッテナム)
市場価値 3500万ユーロ
受賞の決め手は、二回目の対戦。
シティがホームで3点クリーンシートの快勝を見せた試合だ。
フィジカル的に勝っているはずのギュンドアンに体をぶつけられ、バランスを崩したところで、キックフェイントを見せられて地面に突っ伏してしまった。
ギュンドアンの左足のシュートに対して頭を投げ出すファイトは見せたが失点してしまった。
いや、そもそもがエデルソンのキック一発でギュンドアンと並走してしまった時点で終了だ。
実はSBもこなせるユーティリティを持ち合わせているが、SBでなにができるかはだれも掴めていないとか。
ギュンドアンにやられたシーン。ダビンソンサンチェスだと思っているが、もし違ったら名誉毀損も甚だしいのですぐにでも教えてほしい。
1試合に出場 3失点
SB
市場価値 3500万ユーロ
実はSBが一番選ぶのが困難だった。
昨今のSBへの戦術依存からして、ほとんどのチームのSBが目立って活躍をしていた。
なので、シティとの対戦であまり目立たなかった選手を選定した。
ドルトムント加入時にはCHでプレー。
香川とも同時期にドルトムントにいた。
元々、SBだったようで、SH、CH、そしてSBと今のチームでの地位を獲得。
「序盤は調子が良かった。」というドルトムントへの評価は、もはや評価になるのかわからない。
今、ドルトムントでは、2012年先発vs2020年?先発を企てているようだ。
非常に楽しみだ。
2試合フル出場
DH
「去年と同じ写真じゃねえか!」
市場価値 6000万ユーロ
昨シーズンは「シティが苦しめられたイレブン」で選出されたが今シーズンは不名誉な受賞に。
そもそもアンカーで受賞しても良いものか疑問を抱かせるほど、今シーズンはリバプールの守備ラインが崩壊。
昨シーズンのマンチェスターシティのように次々とCBが怪我で離脱し、ファビーニョとヘンダーソンでCBをやったとかやらないとか。
10位まで見てもらうとファビーニョ以外はしっかりとシティ戦で活躍している。
何よりも19戦負けなしだったアンフィールドでのシティ戦で4失点大敗のCBをここで挙げないわけにはいかないだろう。
CBで1試合フル出場 4失点
IH
ペップの娘と付き合っているので、苦しめているかも?
市場価値 3200万ユーロ
モウリーニョ政権下ではことごとく信頼を勝ち取れずシティ戦は後半出場が1試合。
出場していたの?というぐらいの記憶しかない。当然受賞に値する。
モウリーニョが来る前のデレアリは、ボールをもってリズムを作り、決定的な違いも生み出せる選手としてトッテナムをけん引していたが、この手の選手は試合に出れないと調子も上がらず、低調なパフォーマンスのままシーズンを終えている。
なんと0ゴール1アシスト。そりゃシティ戦でも目立たないわけだ。
最初にも書いたが、デレアリはペップの娘マリアさんとバーで熱いキスをかわしている姿を撮られている。
21-22シーズンにデレアリがマンチェスターシティにいたとしたら、デレアリはすでに最高のゴールを決めた後かもしれない。
26分間のみ出場
WG
約束のネバーランドなら間違いなく強敵。
市場価値 4500万ユーロ
ザハのようなテクニックとフィジカルとスピードをあわせ持つプレーヤーはたいがいシティ相手に素晴らしい活躍を見せるのだが、今シーズンのザハは不発。
一度目は出場せず、二度目はシュート0本とさんざんな結果に。
ロイ・ホジソン率いるパレスの前線は出てくる選手みな怖いプレーヤーのはずだが、シティ相手だとまずほとんどボールがさわれない。そして、ルベンディアスがいる。
他の9人を見れば自ずとザハが受賞するだろうなと思える。
二桁得点でチームに貢献しているもののシティ相手にはまったく活躍できなかった。
2試合目フル出場 シュート0本
FW
「ノムノムノム」
エンバペ(フランス・PSG)
市場価値 1億6000万ユーロ
今、もっとも価値のある男。
CLセミファイナルでエンバペと対峙したルベンディアスは、被シュート0本と彼を完璧に抑え込んだ。
むしろこの賞はエンバペのためにあると言っても過言ではない。(そのためにこのテーマを選んだ)
ネイマールがあれだけ活躍できたのにエンバペは…というところにPSGの限界があったのかも。
リーグ1で27ゴール、CLで8ゴールと大活躍を見せたエンバペもシティの前ではお口チャック、YKK、ミッフィーちゃんである。
来シーズンはいったいどのチームにいるだろうか。
1試合目フル出場 シュート0本
ビッグネームイレブン
皆様お待ちかねのイレブンである。
総額5億3200万ユーロのとんでもない陣営となった。
上記各ポジションの受賞選手に、CB、SB、SH、STを加え4-4-2というシステムでメンバーを構成した。
CBのキーンは最終節5失点大敗したエバートンのCBとして滑り込みランクイン。
相棒のゴッドフリーがアグレッシブに守備をして非常に良かったこともあり、相対的に悪く見えたのは仕方がない。
SBのもう一人はセメド。今シーズン、シティはウルヴス相手にダブルを達成。
守備に追われて2列目の位置を任されながらもほとんどの時間カンセロのケアをしていたので、その不遇さも含めてランクイン。
SHはハメス・ロドリゲスを追加召集。
アンチェロッティのもと再度輝きを取り戻すかと思いきや怪我がちで安定感はなく、シティ戦は途中から出場しても決定的な仕事はできず。
そもそも最終節ではいなかった。レアルマドリードの選手なんだからもう少し頑張ってほしかった。
そして、ランクイン最後の選手はドルトムントのホーランド。
エンバペと同じくチャンピオンズリーグという最高峰の舞台でルベンディアスストーンズに完全に封じ込まれた。
心配性のシティズン史上もっとも不安のなかったベスト8だったと感じた。
そう感じさせたのはホーランドの不発が最大の理由だ。
この並びを見て感じたのは中盤の守備がスカスカになるだろうなということ。
おそらく4-1-5もしくはセメドまで上がって3-1-6になるかもしれない。
ファビーニョはこんなところでも不運なところを見せる。やはり選出して良かったと思った。
監督
今シーズンで引退。リスペクトを集める高貴な監督。
ペップやクロップも敬意を表する重鎮。
今シーズンも引き続きクリスタルパレスを率い、シティ相手に2試合合計0-6で負けた。
1試合目は好調だったエゼをサイドで起用するも、ハイプレスという戦術の理解が薄くそこから崩され、2試合目はエゼを中盤で起用したり、ラポルトにプレスにいかずロングボールを蹴られまくる事態に。
唯一シティ戦で良かったのは右SBウォードの起用ぐらい。
今シーズンで監督業を引退する73歳のホジソン。
率いたチームは20チーム。その中にはリバプールやインテル。イングランド代表などもある名将だ。
監督として過ごした日々はおよそ39年。
私が生きているより長く監督をやっているホジソンは素晴らしいと思う。
まあ、しかし、この企画は活躍できなかったというところなので、心苦しさはありながらも彼をピックアップさせてもらった。
余生を優雅に穏やかに過ごせることを私は願っている。
終わりに
どうだっただろうか。
それぞれ頭で思いうかべていた選手は受賞していただろうか。
ビッグネームとして市場価値で10人ずつ並べてみたもののなんだかんだシティ相手でも活躍している選手が多かったことがわかり感心した。
どんなに相手が強くても個人として持ち味を出せる選手はやはりそれだけ選手としての価値が高いのだと感じた。
また、シティ1チーム相手に活躍できなくてもそれ以外でものすごく活躍できる選手もいる。
エンバペやホーランドは国際舞台でしか当たることのない選手。1年間のほとんどは安定して活躍できる能力を持っているのだ。
本当は、本音では「市場価値高いくせにシティ相手になにもできなかったじゃないか!」と煽るつもりだったが、そうはいかなかった。
こういった企画は違った角度からシーズンを振り返ることができ、非常に楽しい。
これを見て、たくさんの意見、議論が繰り広げられることも期待している。
ここに名前の挙がらなかったビッグネーム以外でも、今シーズン活躍しているのにシティ戦ではだめだった選手を教えてもらえるとまた、私の意欲がわくと思う。
シティの話をすると数日後についに待ちに待ったチャンピオンズリーグの決勝。ぜひ勝ってほしい。
悲願を達成してほしいが、どんな結果であれ最高の舞台に連れてきてくれたマンチェスターシティというチームを私は誇らしく思う。
シーズンオフにはユーロが開幕。
我々が休む暇は今のところない。
それでは!